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『情報科学芸術大学院紀要』第11巻 [仕事の小ネタ]

kiyo11_cover-105x155.png情報科学芸術大学院大学
情報科学芸術大学院大学紀要 第11巻・2019年
2020年3月19日
https://www.iamas.ac.jp/iamasbooks/wp-content/uploads/2020/04/journal_of_iamas_vol-11.pdf



前回、ニール・ガーシェンフェルド『考える「もの」たち』でMITメディア・ラボについて言及し、芸術とテクノロジーの橋渡しという点について思いを馳せた時、もう1つ自分の頭の中に浮かんだのは、岐阜県大垣市にある情報科学芸術大学院大学(IAMAS)のことだった。自分の実家からほど近いところにあって、メディア表現研究科しかない小さな大学院大学だが、芸術表現の手段としてデジタルテクノロジーも駆使するため、単に芸術を勉強するだけでなく、テクノロジーを理解し、使いこなすことも求められる。『考える「もの」たち』の言葉で言えば、「ものについて学ぶ」ことと「ものをつくる」ことの両方を学べる場所ということになる。

僕はIAMASが2001年にできるはるか以前に故郷を離れて、さらに言えばできた当初は日本にもいなかったので、IAMASについて知ったのはもう少し後のことになる。さらに、知った当時もそれほどの関心もなかったので、「ふ~ん」ぐらいにしか思っていなかった。

それが自分の中でちょっと大きな存在になって来たのは、2013年秋に「ファブラボ」とか「デジタルファブリケーション」といった言葉を初めて知ったのがきっかけだった。日本に最初にファブラボができたのは2012年のことらしいが、その初期に立ち上がった日本のファブ施設の中に、IAMASが立ち上げたf.Laboというのが含まれていた。故郷の施設だとはいえ、直接つながる人脈もなかったし、里帰りする期間も毎回短いものだったので、利用するきっかけもなく、遠くから眺めていただけだったが。

ただ、その時の関心はf.Laboにあって、IAMASにあったというわけではない。f.Laboは2014年にIAMASがソフトピアジャパン地区に移転した際に、市民向けデジタルものづくり工房としての役割は、新たにできた「ファブコア(Fab-core)」という別の施設に移ったが、IAMAS構内には、学生や教員が利用するイノベーション工房というのが別途あるらしく、そこでは岐阜県や大垣市といった自治体、周辺の小学校や美術館、NPO等と協働し、人材育成事業や社会課題解決に向けたものづくりの実装等が行われていると知った。

そして、2019年に日本に帰って来て最初の冬、大垣で『岐阜おおがきビエンナーレ』というイベントが開催されることをたまたま知り、仕事の合間に実家に立ち寄り、出られるイベントにはちょっと顔を出してみることにした。

今回ご紹介する紀要の第一特集は、まさにこのビエンナーレに関する記録となっている。初日のシンポジウム「ソーシャル・ファブリケーションとメディア技術」は、仕事の都合上どうしても見に行けなかったので、それもあって紀要のハードコピーをわざわざ入手して、話された内容を今回確認してみた。

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『考える「もの」たち』 [仕事の小ネタ]

考える「もの」たち―MITメディア・ラボが描く未来

考える「もの」たち―MITメディア・ラボが描く未来

  • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
  • 発売日: 2000/03/01
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
いま、MITの産学協同の研究機関「メディア・ラボ」では、考えるものたちが続々誕生している。なぜ「もの」は考えるべきなのか? それはわたしたちの生活をどのように変えるのか? メディア・ラボにおける一大プロジェクト「考えるものたち」(Things That Think)の全貌がここに。
【購入(中古)】
本書は、首都の1回目のロックダウンがはじまった頃から読みはじめたのだが、第1章「考える「もの」とは何か?」の各節を読み終わった後、厳密に言うと第1章最終節「スマートマネー」あたりで記述が少し理解しづらくなり、読むのを後回しにした経緯がある。翻訳のせいだという意見もあるかもしれないが、2000年3月発刊の時点で、日本で誰も話題にしていたと思えないようなことで、著者には見えているものを翻訳者が同様に理解して、それをその当時あった日本語の語彙に落とし込んで描くなんてことは、至難の技であったに違いない。

繰り返すが、本書の発刊は2000年3月。「九州・沖縄サミット」が開催された年である。7月下旬に開催されたサミットでは、「グローバルな情報社会に関する沖縄憲章」が採択された。議長は、当時「IT」を「イット」と呼んで話題になった森喜朗総理であった。そうした森総理のリーダーシップ(?)もあり、「IT」は当時バズワードとなった。

ただ、そこで言われていたITとは、情報通信技術へのアクセス、情報へのアクセス、教育での情報通信技術の活用と人材の育成といったことだったように思う。僕を含めた下っ端役人はテクノロジーに対する造詣がないため、そもそもわかりにくい話が多かったし、わかってないから当然再現することもできない話ばかりだった。もっと言えば、そういうことを普通にやっていた人々、特にインドでアクセシビリティ向上に取り組んでおられたインド人技術者の方々のこと、僕は畏敬の念を持って見ていた。

ただ、本書で描かれている世界は、九州・沖縄サミットで論じられていたことよりもはるかに先に行っている。沖縄ITイニシアティブの前提は、コンピュータとはCPUにディスプレイとキーボードとマウスがつながったもので、それを利用するには机の前に座らないといけなかった。これに対して本書の前提は違う。コンピュータとはこちらが予めプログラムした命令に基づき、ものを制御したり、ものからデータを集めたり、それを送信したりするものだという考え方で、ウェアラブル端末に近いイメージである。

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新しい機械なしで養鶏はできないのか [ブータン]

ペマガツェルで、卵孵化器を待ちわびて
A long wait for egg incubator machine in Pema Gatshel
Thinley Dorji記者(ペマガツェル)、BBS、2022年2月24日(木)、
http://www.bbs.bt/news/?p=166134
Egg-incubutator.jpg
【抄訳】
ペマガツェル県ケナダン村の青年グループは、在来種の雛鳥を育て、近隣の村々に提供することで2015年から生計を維持してきた。彼らは村で孵化施設を運営している。孵化器は摂氏37℃以上の温度で卵を温め続けるのに使われる。しかし、2018年にこの施設が機能しなくなって以来、彼らの生計は長年維持できていない。今、この青年グループは、県畜産部門が孵化器を交換しに来てくれるのを心待ちにしている。

ゾベル・ゲオッグのケナダン村にある孵化施設は、王様から人々への贈り物である。3人の若者が施設を運営し、若い雌鶏を250羽生産できる。孵化器の中で卵がかえるまでに21日を要する。2015年から18年までの間に、この生産グループは750羽以上の雌鶏を生産した。孵化器は10万ニュルタム以上した。

「はじめは、アムシンウォン村で雌鶏生産をしていました。その頃は機械も新しく、僕たちは1カ月でニワトリを育て、それでいくらかの収入を得てきました。2カ月で1万7000~1万9000ニュルタムにはなりました」――施設オペレータの1人、ソナム・ニドゥップ君はこう述べる。

施設の閉鎖はケナダン村の養鶏農家にも影響を与えている。「村の人々は養鶏場を始めるのに興味を持ってくれていました。でも、雌鶏を確保できません。パンデミックになったこともあって、他の県から雌鶏を運んでくるわけにもいきません。機械が動かないからここで生産するというわけにもいきません。だから、ほとんどの養鶏場が今は空です」と、村会議長のヨンテン・ティンレーさん。

「村で養鶏グループのメンバーになった以上、ニワトリを育てないといけないのですが、パンデミックのせいで、他県から雌鶏をもらってくることもかないません。この施設が動いていれば、こんな問題には直面しなかったでしょう」と、ケナダン村の住民の一人、サンパさん。

しかし、状況は間もなく改善される見込みだ。県主任畜産担当官は、古い機械は修理できないとして、新しい機械を発注したことを明らかにした。「500羽のニワトリを育てられる機械をインドから調達する計画です。予算も確保できています。でも、ロックダウンのせいで機械が手元に届いていません」とティンレー・ラブテン担当官。同氏によると、目下の焦点は在来種のニワトリをもっと多く生産して遠隔村落に供給し、卵の自給を実現することだという。「孵化施設は主に在来種生産に集中しています。遠隔村落の幼少者や高齢者は栄養不足なので、在来種のニワトリを村々に供給したいのです。」在来種は飼育しやすいという。一方、より生産規模の大きい機械がじきに到着するとの報を受け、ケナダン村の孵化施設オペレータや住民はより大きな生産者グループを作り、全員に恩恵を与える計画を立てている。

操業再開してより多くの雌鶏を生産できるようになるのは間もなくのことだろう。県畜産課では2、3ヶ月で新機材を配備できる計画だとしている。

またまたブータン国営テレビ(BBS)のティンレー・ノルブ通信員、綿織物、赤糖(ジャゴリ)と続いてレポートした後、次は納豆かと期待していたら、養鶏でした(笑)。

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『逃げの起業で小さく自由に生きていく』 [仕事の小ネタ]

逃げの起業で小さく自由に生きていく: 消極的起業のすすめ

逃げの起業で小さく自由に生きていく: 消極的起業のすすめ

  • 作者: 石崎 悟司
  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2021/07/08
  • メディア: Kindle版
内容紹介
逃げるために「起業」を選んでもいい!みんなが「志」や「大きな目標」を持って起業しているわけではありません。嫌な事から逃れるための消極的な起業もアリだと思います。努力も必要ですが「やらされる」のと「自らやる」仕事は全く違います。独立しても大変な事はありますが、インターネットの恩恵により、リスクの小さいビジネスを行う事がやりやすくなりました。「自由」に自分に合った仕事の形を作る事ができます。逃げの起業で救われた、そんな筆者の実体験から、何かのヒントをお伝えできれば幸いです。『逃げの起業で小さく自由に生きていく』の1巻。
【Kindle Unlimited】
昨年12月、佐々木紀彦『起業のすすめ』をご紹介した際、「50代後半のオジサンが読むべき本ではない」とコメントした。アマゾンの書評にも「地方での起業やスモールビジネスくらいのスケールの起業を目指す方には参考にはならない」とのコメントがあった。そういう起業の規模感でいえば、本日ご紹介の著者の「逃げの起業」とか「消極的起業」っていい感じである。但し、著者は20代か30代前半と思われるが。

デカい起業の話は、それ1本である程度食っていこうとするものなのだろうが、本書で扱っている起業は、複数の収入源を組み合わせて、時には現金収入ではない別の形のベネフィットも組み合わせて、ほどほどの生活ができるぐらいでちょうどいいというもの。「身の丈起業」と言ってもいい。僕には、これくらいの規模感でちょうどいい。

そもそも100頁もない本なので、あまり内容を書きすぎると、本書に書かれていることを全部しゃべっちゃうことになってしまうので注意が必要だが、現金性の高さや再現性の高さから、初めは物販からスタートすべきとか、ふだんからお金を稼げる手段を常に考える習慣をつける とか、収入源を複数持つことで生活の安定や心のゆとりを手に入れるとかが、僕にとっては有用なアドバイスだった。

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またまたロックダウン… [ブータン]

ティンプーとパロの行動制限、明日からはじまる
Movement restriction in Thimphu and Paro Thromde beginning tomorrow
Kinley Dem記者、BBS、2022年2月22日(火)、
http://www.bbs.bt/news/?p=166102
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【抄訳】
ティンプー市の4つのメガゾーンと、パロ市内の移動は、明日午前5時から制限される。市中感染者の増加を受けて政府が決定した。

明朝から、車両の移動が禁止され、各世帯から1人だけ、ゾーン内の移動を認められる。首相官邸からの通達によると、ティンプー及びパロから外に向かう個人の移動は、明日からRT-PCR検査が前提となる。公共交通サービスの運航は継続されるが、乗客は1010から電子通行許可証を取得することが義務付けられる。市外に移動する場合は、目的地に到着した後、1週間の自宅隔離が必要。

通達では、事業所や各機関は在宅勤務への移行が求められる。食料品店は、店主が同じゾーン内に住んでいる場合は、午前8時から午後5時まで営業が可能。レストランや娯楽施設は営業が認められない。スポーツや集会などもすべからく開催不可。葬儀参列は最大20人まで。試験はメガゾーン内で定められた形式に基づき実施される。

.国内線、国内線の運航は通常通り。首相官邸によると、この制限は追って通知があるまで継続とのこと。

これを書いているのは2月23日(水)午前7時。すでにティンプーはロックダウンに突入しています。

IMG_20220213_165446.jpg
《ロックダウンの朝のクロックタワー》

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『ふしぎの国のバード』 [読書日記]

ふしぎの国のバード 9巻 (HARTA COMIX)

ふしぎの国のバード 9巻 (HARTA COMIX)

  • 作者: 佐々 大河
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2022/02/14
  • メディア: Kindle版
内容紹介
1878年6月。横浜からはじまった英国人冒険家イザベラ・バードの旅は日光から新潟を通り、秋田を抜けて、ついに本州最北の地・青森へ。梅雨の東北地方でバードを待っていたのは、降り続く雨と、荒れ狂う川。そして、その過酷な自然の中であっても、工夫を凝らして生きる日本人のたくましさだった。東北編最終章の第9巻!
【購入(キンドル)】
ブログではちゃんと紹介していなかったのだが、このコミックは第1巻からずっと愛読していて、第7巻までは中古も含めて全巻自宅で蔵書として持っている。その後の第8巻と、今月出たばかりの第9巻は、発刊時期が自分の今回の海外赴任とかぶってしまったので、キンドルで電子書籍版をダウンロードして読んでいる。

当時のバードは47歳、伊藤は17、8歳なのだが、この作品のバードは年上といっても30歳ぐらいにしか見えないし、伊藤は20代前半ぐらいに見える。もっと言うと、イザベラ・バードは、残っている肖像画を見たら結構怖そうな女性である。

それでもフィクションだと割り切って読めばそれなりに楽しめる作品で、それなりにバードの『日本奥地紀行』のエピソードを生かしているといえる。第9巻は、碇ヶ関~黒石~青森~函館という行程だが、それはそれは困難の連続だった。また、戊辰戦争からまだ10年しか経過していないのに、函館は英国の対露戦略の重要拠点になっていたようだし、当時の欧州の学者の間で、アイヌ研究が焦点になっていたという話とか、バードの旅の背景を垣間見るエピソードがとりわけ多かった気がする。

日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー329)

日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー329)

  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2016/11/17
  • メディア: Kindle版


Unbeaten Tracks in Japan: Large Print

Unbeaten Tracks in Japan: Large Print

  • 作者: Bird, Isabella
  • 出版社/メーカー: Independently published
  • 発売日: 2019/10/05
  • メディア: ペーパーバック

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機械がないと村落給水は実現しないのか? [ブータン]

3200万ニュルタムの水供給プロジェクトが失敗、住民を落胆させる
Nu 32 M water project fails to deliver; people disappointed in Haa
Kipchu記者(ハ)、BBS、2022年2月19日(土)、
http://www.bbs.bt/news/?p=165951
haa-water-project.jpg
【抄訳】
ハ県サマル・ゲオッグ(郡)ランパ村及びノブガン村の住民は、新しく建設された村落給水施設のクオリティに失望している。3千200万ニュルタム以上を費やして建設された施設は信頼できない。2019年12月に完工したにも関わらず、地域への引渡しはまだ行われていない。

総距離11.3 kmに及ぶ水路の水源は、ランパ村から車で約1時間のところにある。水源は砂や瓦礫でいっぱいになっている。村人はそれらをこまめの除去せねばならない。無地の看板が除幕式​​を待っている。地元の人が撮影し、提供してくれた映像には、水源近くで水路を横切るヤクの群れも映っている。その上、導水管は何度も破裂し、村は水供給なしの状態が続いている。

「私たちは3年前に新しい施設からの最初の給水を受け取りましたが、それは約1年しか私たちに恩恵をもたらしてくれません。住民説明会では、施設が今後数世紀にわたって私たちに利益をもたらすと言われましたが、すぐに欠陥が露呈し、私たちは不幸だと感じています。それに、これは政府予算の莫大な浪費です」――ランパ村の住民であるナムゲ・ドルジさんはこう述べる。

導水管は、特に冬期には、氷結のために破裂する。村人たちは、適切な被覆が行われなければならない導水管が、いくつかの地区ではむき出しになっていると指摘する。被覆措置の実行には住民も参加を試みたが、導水管が大きすぎ、住民主導で被覆作業を行うのは難しい。

また、仮にそれらが成功したとしても、導水管接続部はすぐに水圧に負ける。村では、人々は貯水池から水を運搬してくる必要があるが、一部の人々は湧き水に頼っている。チオッグの世帯数は60以上にのぼる。

「貯水池から水を汲み上げることは、牛を飼育する人々にとって特に困難です。池は小さく、誰もがそれに依存しています。今、それは私たちにとって唯一の水源です。新しい水源がいつ修理されるかはわかりません」――別の住民であるケザン・オムさんはこう述べる。

「最近降った雪や氷が水路をふさいでいます。今月は水がありません。貯水池は村の麓から徒歩約30分のところにあります。ですから、私たちが水を運ぶには坂を上らなければなりません」とデンデイさんは言う。

「休暇中であっても、他の村に住む友達のように、私たちは勉強したり物語を読んだりする時間すらありません。ここで私たちがしているのは、一日中水を運搬することだけです」と、学生であるソナム・デキさんは述べる。

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県農業担当官のカルチュン氏によると、泥交じりになりがちな区間の存在や地理的な問題のため、一部の地域では導水管を地下に敷設することができなかったという。また同氏は、施工業者が昨年水量が豊富だった期間中に導水管を修理し、それにゲオッグと県庁が続いたと言う。「機械がなければ、導水管をつなぐのは非常に困難です。プロジェクトでは、このような問題が発生したときにいつでも使用できるよう接合機を調達する計画がありましたが、新型コロナウイルス感染拡大により、調達できずにいます。しかし、私たちは機械の購入についてプロジェクト関係者と連絡を取り合っており、できるだけ早く問題に対処することを計画しています」と同氏は補足する。

彼はまた、施工業者はプロジェクトを既に県庁とゲオッグに引き渡し済みだと述べた。しかし、実施が必要な是正作業があるため、地域住民への引渡しは終わっていないという。「引渡しの遅れについて人々が主張していることは事実ですが、対処する必要のある問題が残っているため引渡しは延び延びになっています。そうしないと、半分しか完了していないプロジェクトを引き渡しても住民は満足しません。私たちはすべての修理作業を行い、施設の引渡しの前に水利用者組合を結成させます。」

王立会計検査院(RAA)はまた、建設工事の瑕疵を監視している。その間、修理作業が行われるまで、ノブガンとランパの人々はこれまでのように困難な方法で水を汲み続けなければならない。


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ペマガツェルの赤糖生産 [ブータン]

ペマガツェルの天然赤糖作り
Making natural jaggery in Pema Gatshel
Thinley Dorji記者、BBS、2022年2月19日(土)、
http://www.bbs.bt/news/?p=165999
jagery.jpg
【抄訳】
ペマガツェル県ナノン・ゲオッグ(郡)の赤糖「ツァシ・グラム(Tshatshi Guram)」はかなりの人気産品だ。ナノンやツァシの人々にとって、赤糖は唯一の収入源となっている。伝統的な手作業で何十年も赤糖を作ってきた。赤糖は、サトウキビの樹液を固形化するまで煮込んで出来上がる。

農民は畑からサトウキビを収穫し、仮設の加工場に搬入する。サトウキビはそこで圧搾され、樹液が抽出される。圧搾には機械が用いられる。伝統的な方法よりも簡単だからだ。

「サトウキビ栽培は、私が16か17の時に始めました。いくらかの収入を得るのに役立ちました。それに、赤糖を親戚などに持って行ける贈答品として、手元に置いておくこともできます。そうして、この文化を今も意地してきているのです」――シンリ村の住民であるチェテンさんはこう述べる。

「私は父が赤糖加工をしているのを見ていました。そうして加工方法を学びました。それ以降、振り返ったことはありません。若い人にも教えたいと思います」――クルン村の住民であるノルブ・ワンディさんはこう述べる。

抽出された樹液はゼリー缶に注がれ、加工所から家に持ち帰る。樹液は大きな平鍋に入れ、加熱しながら継続的に攪拌が行われる。加熱の温度は火加減で調節される。このプロセスは7時間近くにも及ぶ。赤糖生産はかなりのスキルを必要とする、きれいに整理されたプロセスである。

「私たちはこのプロセスを正しく理解していなければなりません。液体をかき混ぜ続ける必要があり、粒粒だらけにしたり、焦がしたりしてはなりません。限界以上に煮込みすぎると、赤糖とはまったく別のものになります。黄色に変わるときがちょうどいいのです。不純物やホコリを取り除くために、かき混ぜ続けねばなりません」とノルブ・ワンディさん。

液体を望ましい型に落とし込む前に、円錐状の穴がくり抜かれた木製の板にトウモロコシの粉をまぶす。このトウモロコシ粉は、樹液が板にくっつかないようにする。準備ができたら、樹液を型に流し込む。7時間も煮込むような手の込んだ作業を経て、赤糖ブロックの受け皿が出来上がる。

「電気オーブンがあるというのを聞きましたが、私たちはまだ受け取っていません。オーブンがじきに供与されると聞かされたのですが。もしそれがあれば、いつも悩まされる煙のことは忘れられます。薪の使用を削減してくれる効果も期待できます」とチェテンさんも述べる。

「山で木を伐ることはとても難しく、利用できる木も多くありません。赤糖の煮沸には、薪が最低3~4本は必要です。電気オーブンがあれば、状況が大きく変わるでしょう」とノルブ・ワンディさん。

「ツァシ・グラムは、うちのゲオッグでしか生産されていません。なので、皆が興味を持っています。それをどう加工するか、今学んでいるところです。加工工程は骨の折れるものではありませんが、煙はきついです。長時間にわたって、燃える火のそばにいなければなりません」――トンシン・ガク村出身の若者であるタシ・トブゲイさんはこう述べる。

しかし、赤糖作りの手間暇かかる方法は、人々がそれを諦めるのを止めることができていない。ナノン・ゲオッグの2つのチオッグでは、約100世帯がサトウキビ生産と赤糖作りに従事する。

「私たちは何十年も赤糖で商売してきました。しかし、この生産過程が疲れる作業だと思う人が増えてきています。でも、赤糖は私たちにとっての唯一の収入源なのです。ここでは野菜栽培は行っておらず、赤糖だけが収入創出手段です。だから、できるだけの努力は払うのです」とノルブ・ワンディさん。

「サトウキビの葉と樹液抽出後の廃棄物は、家畜の餌にもなります。ほぼほぼまっとうな額の収入を得ていて、買ってくれるお客さんが全員一度に訪れるわけでもありません。一度に100ペアを買ってくれるお客さんもありますが、ほとんどの場合は10~15ペア程度です」とチェテンさん。

住民は年間2万から20万ニュルタムの収入を得ている。国際的な研究によると、赤糖はその健康上のメリットで知られている。体内を浄化し、消化を助ける機能があるという。

ブータン国営テレビ(BBS)のティンレー・ノルブ通信員、最近、ペマガツェルから地元産品について積極的に発信してくれていて好感が持てる。そのうちに同県でも生産されている納豆の生産も取り上げてくれないかなとも思う。

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画期的な第一歩 [ブータン]


僕がブータン情報をご紹介する際の記事のほとんどは、クエンセル紙かBBSのHP記事をベースにしているのだが、本日はそれとは違う情報源―――JICAブータン事務所のFacebookの記事から引用したい。

記事によると、これはJICAの草の根技術協力事業「ブータン王国での美術指導力の向上とアートを通じた地域活性化プロジェクト」(実施団体:公益財団法人浜田市教育文化振興事業団)と、「地域活性化に向けた教育魅力化プロジェクト~ブータン王国における地域課題解決学習(PBL)展開事業」(実施団体:島根県隠岐郡海士町)の2案件に関する「キックオフ会合」だという。つまり、両国間の協力約束文書の署名式ではなく、これからも両実施団体がこれからも連携していくことだと僕は理解した。

同じ県に属していて、ご近所同士であったとしても、日本ではお互いの自治体が、限られた機会や人材、リソースを巡って、魅力を競い合っている状況だと思う。また、そこまでではないにしても、お互いに事業実施となったら組織のサイロ状態になって、ご近所なのにお互い何やってるか関知しないということはよくある。

現在実施されている草の根技術協力事業というのは、聞くところによると、浜田市の方はハやパロが対象となっているようだし、海士町の事業地はチュカである。お互いにこの事業の後ののスケールアップを考えるなら、隣県同士を事業地としているこの2案件は、最初から協力してくことを念頭に置くべきだ。

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『プロセスエコノミー』 [仕事の小ネタ]

プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる (幻冬舎単行本)

プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる (幻冬舎単行本)

  • 作者: 尾原和啓
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2021/07/28
  • メディア: Kindle版
内容紹介
完成品ではなく「制作過程」を売る!
〝良いモノ〟だけでは稼げない時代の新常識
インターネットによって完成品はすぐコピーできるようになった。だから完成品で差別化するのは難しい。そんな時代にはプロセスにこそ価値が出る。なぜならその人だけのこだわりや哲学が反映されたプロセスは誰にもコピーできないからだ。完成品ではなく制作過程そのものを売る。プロセスエコノミーはこれからを生きる全ての人の武器になる。
【Kindle Unlimited】
最近、僕のキンドルの「おすすめ本」の上位に執拗に挙がっていた本で、著者が『アフター・デジタル』の人だと気付き、読むのを躊躇していた。僕が最近ウォーキングをする際に聴いているポッドキャスト『COTEN RADIO』に著者がゲスト出演されていた回も、この著者の声の高さと人を小馬鹿にするような話し方に、ちょっとした拒否反応を覚えた。それでもダウンロードすることにしたのは、結局Unlimitedで無料ダウンロードできるからだし、また僕がよく視聴しているYouTubeチャンネルで、もうちょっと僕自身が素直に耳を貸せるようなユーチューバーが、本書に言及されていたからでもある。

ただ、西野亮廣『革命のファンファーレ』を読んでた僕からすると、著者の言いたいことは表紙に全部書かれているように感じざるを得なかった。著者本人の実践が記されている『革命のファンファーレ』と違い、『プロセスエコノミー』はあくまでも評論。著者本人の実践が伴っていないため、読んでいても他書や著者が交流のある著名人との交流の中からの引用が非常に多い。読書量は認める。でも、幻冬舎の本でよく見かける、著書を用いて友人の著書への誘導を狙っているような編集のされ方だと映った。

節と節のつながりがわかりにくく、前の節ではある著者からの引用を紹介していたと思ったら、次の節ではまったく別の著者からの引用を紹介していたりもする。自身の主張をサポートする論拠を集めるのは必要なことかもしれないが、序盤で結論が見えてしまっている主張にいろいろ論拠を付け加えて、膨らませたという感じがしてしまう。ついでに言うと、「プロセスエコノミー」という言葉も、著者の造語ではないらしい。

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