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『カレイドスコープの箱庭』 [海堂尊]

カレイドスコープの箱庭

カレイドスコープの箱庭

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2014/03/05
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
なぜか出世してしまう愚痴外来の元窓際講師&厚生労働省の変人役人の凸凹コンビ、最後の事件!閉鎖を免れた東城大学医学部付属病院。相変わらず病院長の手足となって働く田口医師への今回の依頼は、誤診疑惑の調査。検体取り違えか、それとも診断ミスか!? エーアイ国際会議の開催に向けて、アメリカ出張も控えるなか、田口&白鳥コンビが調査に乗り出した―。バチスタ・シリーズ真の最終章!巻末に登場人物リスト&桜宮市年表&作品相関図など収録。海堂ワールドを網羅した完全保存版。

記事の更新頻度が落ちていることもさることながら、せっかくniceを下さっているブロガーの方々の管理されているサイトの方を拝見して、niceやコメントを差し上げる余裕も正直失くしているのが現状です。一方で、更新頻度が高かった時期には、僕のことを実生活でもよく知っている恩師あたりから、「そんなことやっててお前は大丈夫か」という御懸念の声が上がっていたりもしたので、ほどほどというのがいいのでしょう。熱くなり過ぎず、かといって寂し過ぎずといったところでしょう。仕事が忙しすぎるというのもないこともないのですが、最大の問題は自宅のPCの使用時間を巡って家族との競合が激化しており、なかなかPCを使わせてもらえないという現状もあります。個人的には、せめて月間で12本ぐらいの記事はなんとか新規掲載したいところですが、現状では平日のアップはほとんどできません。新調したスマホじゃそうそう頻繁にはブログの記事は書けませんし。

そんなわけで、読書のペースにブログの更新ペースが付いていっておらず、順番待ちのネタが結構残っています。順番待ちなので、読了してから実際に記事を書くまでに相当なタイムラグが存在するケースが多く、特に専門書の場合、内容を思い出すのに相当苦労します。逆に、小説や軽めのノンフィクションなどの場合は、大事なのは個別の記述というよりは大きな文脈なので、読み進める時もさほどディテールにこだわって精読したりはしないし、そうやって大づかみで全体を把握してしまえば、多少時間が経過しても割とざっくりとしたブログの記事の書き方ができます。そうした意味では、小説などは特に楽です。

でも、精読しないと全体がつかめないという小説も存在します。海堂尊の作品はその典型だと思います。

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『輝天炎上』 [海堂尊]

輝天炎上

輝天炎上

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2013/02/01
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
桜宮市の終末医療を担っていた碧翠院桜宮病院の炎上事件から1年後。東城大学医学生・天馬大吉は学校の課題で「日本の死因究明制度」を調査することに。同級生の冷泉と関係者への取材を重ねるうちに、制度自体の矛盾に気づき始める。そして、碧翠院の跡地にAiセンターが設立され、センター長に不定愁訴外来の田口医師が任命されたことを知る。時を同じくして、碧翠院を経営していた桜宮一族の生き残りが活動を開始する。東城大への復讐を果たすために―。
「桜宮サーガ」完結編との前評判らしく、図書館で予約しようとすると30人以上の順番待ち。それでもなんとか順番が回ってきて、満を持して読み始めたのだが…。

う~ん。海堂尊はもういいかな。『チーム・バチスタの栄光』を人から薦められ、それ以降ほぼ全作品を読んできたが、これだけ登場人物が入り乱れると、もう何がなんだかよくわからない印象だ。いまさら昔の作品を読んで調べなおす気力も湧いてこない。最初のうちは長編の連作で時間軸と空間軸を組み合わせてお得感もあったが、ここまで桜宮サーガを拡げると、読者としてはついていけない。

『輝天炎上』は『ケルベロスの肖像』と対になっている作品で、両方読めばAiセンターの爆発炎上事故も立体的によくわかるということだが、僕にとってはそれだったら1冊でしっかり描いて欲しいし、それを2冊に分けて小出しにするという発想自体、商売優先のご都合主義に映る。両方読まないと話がわかりませんよ、と言われているようで遺憾である。しかも、『輝天炎上』は四部構成で、第1部から3部までを、それぞれ天馬大吉、桜宮小百合、桜宮すみれの視点で描いているが、視線を統一してもうちょっと丁寧な描き方がされてもよかったのではないかと感じる。

自分が住民の立場なら、これだけ火災や爆発炎上を起こすような危険な石油化学コンビナートやデパート、医療機関がある自治体には住みたくないし、こんなに権謀術数と陰謀が渦巻く医療機関のお世話にもなりたくない。この手法で桜宮サーガを膨らまし続けるのはもう限界ではないのだろうか。

タグ:桜宮サーガ
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『ケルベロスの肖像』 [海堂尊]

ケルベロスの肖像

ケルベロスの肖像

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2012/07/06
  • メディア: 単行本
内容紹介
『このミステリーがすごい! 』大賞を受賞した、ベストセラー『チーム・バチスタの栄光』から続く、田口&白鳥シリーズ最終巻! 大人気メディカル・エンターテインメント、いよいよ完結です! 「東城大学病院とケルベロスの塔を破壊する」――東城大学病院に送られてきた脅迫状。高階病院長は、院内の厄介事を一手に引き受ける愚痴外来の田口医師に、犯人を突き止めるよう依頼した。厚生労働省のロジカル・モンスター白鳥の部下、姫宮からのアドバイスによって、調査を開始する田口。警察、医療事故被害者の会、内科学会、法医学会など、様々な人間の思惑が交錯するなか、Ai(エーアイ)センター設立の日、何かが起きる!?
先週末、ようやく時間がとれてコミセン図書室に本を返却しに行くことができた。ついでに小説を1冊ぐらいは借りようと考え、書架を物色していて海堂尊の『ケルベロスの肖像』を発見。今がチャンスとばかりに即決で借りた。海堂尊&宝島社のタッグチームの中心は「田口&白鳥」のコンビだが、今回はその完結編と銘打たれている。従って、これまでの海堂作品が描いてきた過去から未来に至る様々な出来事の時間軸と、同時多発的に各地で起きている出来事を散りばめる空間軸とを交差させたポイントで、桜宮市の東城大学医学部付属病院を描き、医学部付属病院の経営破綻と高階病院長の退任を以て1つの区切りにしようという著者と宝島社の意図がよく見える。良い方を変えるなら、桜宮サーガの作品間のつじつまをうまく合わせるために用意された作品ということになる。

アマゾンや読書メーターの読者感想を読んでいると、本書はかなり不評なので驚いた。でも、実際に読んでみると、そんなにひどい作品だとは思えない。完結編というだけあって、過去の海堂作品に登場した人物が沢山登場し、それらを読んだことがある人間は多少なりともケーキ・バイキング的な嬉しさは禁じようがない。相変わらず乱暴な展開、人を小馬鹿にしたキザなセリフが目につくが、だからといって、僕にはここまでの作品など書けない。つじつま合わせもここまでやれたら立派だ。とはいえ、最低限、『ブラックペアン1988』と『螺鈿迷宮』あたりは事前に読んでおかないと、本書の大きな流れは捉えづらいだろう。

高階院長は当日急に田口先生をつかまえて桜宮からはるばる羽田空港まで東堂先生を迎えに行っている一方、その東堂先生が手土産に持ち込んだ「リヴァイアサン」は、大牧空港(愛知県の小牧空港かと)に到着し、そこから名古屋から桜宮まで延びる「桜宮バイパス」というのに乗って、戦車部隊によって桜宮に運ばれたとなっている。この距離感がイマイチよくわからない。厚労省の白鳥クンは精彩欠いてたね。普通ここまで出来の悪い部下を抱えたらクビにすることを考えた方がいいが、それができないのはそれが一応お役所だからということか。(それにしても、この部下はひどい。)田口先生には「俺」よりも「私」の一人称の方が合っている気がした。

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『ひかりの剣』再読 [海堂尊]

11月3日に東京・日本武道館で開催された剣道全日本選手権第60回大会は、木和田大起六段(大阪府警)が初優勝を果たして幕を閉じた。史上初の三連覇に挑んだ高鍋進六段(神奈川県警)を準決勝で出ばな小手1本で破り、決勝では通算三度目の優勝を目指した内村良一六段(警視庁)から試合開始8分でまたもや出ばな小手で1本先取し、そのまま逃げ切った。木和田選手は、僕のお手本としている寺本将司先生と同じ大阪府警所属。長身をうまく生かした剣道をするのも寺本先生とよく似ている。出ばな小手で決まる試合は、豪快な面や突きで決まる試合と異なり、盛り上がりという点ではイマイチかもしれないが、少なくとも僕にとっては非常に参考になった大会だった。

朝日新聞のウェブ版は結構早めに記事を削除してしまうので、いつまで閲覧できるかわからないが、僕は朝日で使われている写真に感銘を受けた。内村選手が諸手突きに出たのに対して、木和田選手が出ばな小手で応じている写真だが、驚いたのは内村選手の飛び込みの方である。残した左足がまっすぐ伸び、右踏み込み足が相手に向かってまっすぐ出ている。身長が170cm少々と上背で10cmほどハンデがある内村選手がそれでも同世代のトップに君臨できるのは、この無駄なく伸びる飛び込み技にあると思う。僕は軸にする左足が少し外に開く癖があり、小さい頃から指導を受けた先生方には、「直さないと足首を故障するぞ」と度々警告を受けてきた。それを矯正するために普段から足運びが左右平行となるよう心がけて歩くようにしているが、なかなか思ったようには直らない。内村選手のような踏み込みができるようになりたいものだ。

さて、全日本選手権3日に開催され、翌4日には我が子の試合が近所の私大を会場にして開催されたこの週末、剣道漬けもいいかと思い、久し振りに『ひかりの剣』を読み直してみた。

ひかりの剣 (文春文庫)

ひかりの剣 (文春文庫)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/08/04
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
覇者は外科の世界で大成するといわれる医学部剣道部の「医鷲旗大会」。そこで、桜宮・東城大の“猛虎”速水晃一と、東京・帝華大の“伏龍”清川吾郎による伝説の闘いがあった。東城大の顧問・高階ら『チーム・バチスタ』でおなじみの面々がメスの代わりに竹刀で鎬を削る、医療ミステリーの旗手が放つ青春小説。

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タグ:剣道
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『スリジエセンター1991』 [海堂尊]

スリジエセンター1991

スリジエセンター1991

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/10/25
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
手術を受けたいなら全財産の半分を差し出せと放言する天才外科医・天城は、東城大学医学部でのスリジエ・ハートセンター設立資金捻出のため、ウエスギ・モーターズ会長の公開手術を目論む。だが、佐伯教授の急進的な病院改革を危惧する者たちが抵抗勢力として動き始めた。桜宮に永遠に咲き続ける「さくら」を植えるという天城と世良の夢の行く末は。
僕にしては極めて異例の新刊本の紹介だ。発売とほぼ同時に書店で購入し、先週末京都に出張した際、移動の車中で読み切った。わざわざお金を払って新刊本に手を出した最大の理由は世良雅志という、海堂作品に登場する外科医としては最も普通の人が主人公であり、だからってこともあるのだろうが、これまた海堂作品としては珍しく社内恋愛を絡めているからである。

『ブラックペアン1988』、『ブレイズメス1990』と読んで来た読者は、約20年後の現在が舞台である『極北クレイマー』、『極北ラプソディ』に登場する同じ世良雅志を見て、過去と現在がどうしても繋がらないところにずっと欠乏感を感じていたことだろう。なぜ世良医師は東城大学附属病院を去ったのか、結構いい仲だった花房看護婦となぜ別れてしまったのか。また、『ブレイズメス1990』で華々しく登場した天才医師・天城とスリジエセンターが、なぜ現在は桜宮サーガの人物関係図に全く登場しないのか―――。

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『玉村警部補の災難』 [海堂尊]

玉村警部補の災難 (『このミス』大賞シリーズ)

玉村警部補の災難 (『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2012/02/10
  • メディア: 単行本
内容紹介
田口&白鳥シリーズでおなじみの、桜宮市警察署の玉村警部補とキレ者・加納警視正が活躍する、ミステリー短編集です。ずさんな検死体制の盲点を突く「東京都二十三区内外殺人事件」、密室空間で起きた不可能犯罪に挑む「青空迷宮」、最新の科学鑑定に切り込んだ「四兆七千億分の一の憂鬱」、闇の歯医者を描く「エナメルの証言」――2007年より『このミステリーがすごい! 』に掲載してきた4編をまとめた、著者初の短編集です。
はじめにお知らせですが、ちょっと「マイカテゴリー」をリニューアルして、比較的よく作品を読んでいる作家については、マイカテゴリーから検索がしやすいようにしてみました。本日のところは、「朝井リョウ」「池井戸潤」「奥田英朗」「海堂尊」などです。

実際、この作業をやってみると、インド駐在時代の職場の同僚から薦められて読み始めた海堂作品も、気付いたら17冊も読んでいたことになるのに気付かされた。僕は基本的に小説は図書館で借りて読むようにしているので、人気のある作家の新作はなかなか読むことができないが、たまたま書架で読んでない作品を見つけた時には、何をおいてもとにかく最優先で借りることを心がけている。一期一会というか、ここを逃したらすぐにまた読めるかどうかわからないし…。

このところ、比較的新しい海堂作品を2冊続けてゲットすることができた。小説なので、通勤時間か寝る前のひととき、それと、これを書いたら図書館の関係者の方々からお叱りを受けること必至だが、朝風呂派の僕は、湯ぶねの4/5程度を蓋で覆った状態でテーブル代わりにして、ぬるめのお湯に浸かりながら30分程度の読書をしたり、出勤前のトイレでのお籠りに小説を持ち込んで読んだりしている。(本当にゴメンナサイ!)先週末に近所のコミセン図書室で借りた本だが、こんな調子で読む時間を作ったら、2日程度で読み終わった。

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『極北ラプソディ』 [海堂尊]

極北ラプソディ

極北ラプソディ

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2011/12/07
  • メディア: 単行本
内容紹介
 『極北クレイマー』につぐ、週刊朝日連載の迫力満点の第2弾。崩壊した地域医療に未来はあるのか?「夕張希望の杜」の医師である村上智彦氏は朝日文庫判『極北クレイマー』の解説で、「ここで起こった事は将来の日本全体の縮図である」と書いた。
 『極北ラプソディ』は閉鎖の危機にある極北市民病院に、赤字建て直しのために世良院長がやって来たところから始まる。彼は再生のために、訪問介護の拡充、人員削減、投薬抑制をかかげた。また世良院長は雪見市の極北救命救急センターに外科医・今中をレンタル移籍した。瀕死の地域医療でもっとも厳しい局面にたつ救急医療。速水センター長の指示をあおぐことになった。移籍から3日目には、速水が指揮をとる「将軍の日」で、入れ替わり立ち替わり救急患者が訪れる一日になった。文字通りの救急医療の修羅場に遭遇する今中。
 一方、極北救命救急センター長の桃倉は息子が出場したスキー大会を見学していたが、雪崩に巻き込まれ、命が危険な状態に。速水はドクターヘリの出動を宣言した。医療と行政の根深い対立をえがき、地域医療の未来を探る渾身のメディカル・エンターテイメント。
海堂作品はかなり読んでいるが、最も好きな登場人物は「ジェネラル(将軍)」速水である。従って、どの作品が好きかと聞かれれば、『ジェネラル・ルージュの凱旋』と答えるだろう。では、次に好きな登場人物は誰かと問われたら、速水の先輩にあたる世良である。世良の若かりし頃を描いた海堂作品としては『ブラックペアン1988』と『ブレイズメス1990』がある。個人的には前者が好きだ。そしてその世良が久し振りに病院再建人としてさっそうと登場し、かつ救命救急センター長を辞職して東城大を後にした速水と思しき救命救急医が一瞬登場する作品が『極北クレイマー』である。

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『ナニワ・モンスター』 [海堂尊]


大阪府知事と大阪市長のダブル首長選投票日を前に、なんとなく読もうと思った海堂尊作品。なんとなく、登場している村雨府知事というのが橋本さんとダブり、そこで述べられている村雨知事の政策目標も、橋本さんと似ているのではないかという気もしてしまう。

ナニワ・モンスター

ナニワ・モンスター

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/04/21
  • メディア: 単行本
内容紹介
関西最大の都市・浪速で新型インフルエンザ「キャメル」が 発生した。経済封鎖による壊滅的打撃、やがて仄見える巨大な 陰謀。ナニワの風雲児・村雨府知事は、危機を打開できるのか? 村雨が目論む、この国を破滅から救うための秘策とは――。  近未来を透視するメディカル・サスペンス!

前半は面白かったです。海堂作品といったら、すぐにAI(エー・アイ)の話になるので、感染症のパンデミックとか、町医者や医師会とか、今まで著者が扱ってこなかった領域に踏み込んでいて、きっと面白い話になっていくだろうなという期待をしてしまった。

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『モルフェウスの領域』 [海堂尊]

モルフェウスの領域

モルフェウスの領域

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/12/16
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
日比野涼子は桜宮市にある未来医学探究センターで働いている。東城大学医学部から委託された資料整理の傍ら、世界初の「コールドスリープ」技術により人工的な眠りについた少年・佐々木アツシの生命維持を担当していた。アツシは網膜芽腫が再発し両眼失明の危機にあったが、特効薬の認可を待つために五年間の“凍眠”を選んだのだ。だが少年が目覚める際に重大な問題が立ちはだかることに気づいた涼子は、彼を守るための戦いを開始する―“バチスタ”シリーズに連なる最先端医療ミステリー。
金曜日恒例の手抜き記事を1つ―――。

今週前半、仕事で韓国に行ってきた。こういう旅の場合、僕はお供に1冊ぐらいは小説を携行することが多く、仕事を終えた帰りの飛行機の機内は、居眠りよりもむしろ読書タイムという感じで捉えている。この韓国出張は僕的には急に決まったもので、韓国との仕事上の繋がりはこれまで全くなかったにも関わらず向こうの相手とビジネストークをちゃんとして来なければならなかったため、週末は2日とも近所の図書館にこもり、社内の関係者から提供された資料を読み込んだ。ついでに、出張明け後すぐに開かれる勉強会で検討対象となる文献も読み込んでおいたのだが、その時に、ついでに小説も借りておくことにした。

海堂作品にしようとは考えていたが、『ナニワ・モンスター』か『モルフェウスの領域』かどちらにしようか迷った挙句、最終的には後者にした。決め手になったのは作品の舞台が桜宮市であったからである。「桜宮サーガ」を復習するいい機会だと捉えたのだ。

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『アリアドネの弾丸』 [海堂尊]

アリアドネの弾丸

アリアドネの弾丸

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2010/09/10
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
東城大学病院で再び殺人事件が!「この事件はすべてが不自然すぎる。絶対にどこかがおかしいんだ」東城大学病院に導入された新型MRIコロンブスエッグを中心に起こる事件の数々。さらには、病院長に収賄と殺人の容疑がかけられてしまう!殺人現場に残されていた弾丸には、巧妙な罠が張り巡らされていた…。不定愁訴外来の担当医師・田口公平が、駆けつけた厚生労働省のはぐれ技官・白鳥圭輔とともに完全無欠のトリックに挑む。
久し振りに海堂尊作品を読んだ。1年前に『ブレイズメス1990』以来じゃないか。最近TVドラマなんて滅多に見ないから情報に疎かったのだが、只今毎週火曜日夜22時からフジテレビ系列で『チーム・バチスタ3』が放送されており、その原作本が『アリアドネの弾丸』というわけ。
*番組公式HPのURLはこちらから!
 http://www.ktv.jp/dangan/index.html

ただ、主題は同じだが、原作とドラマとでは全く展開が違う。展開だけではなく、登場人物のイメージが全く違う。東城医大病院法医学教室の笹井先生は、原作では男だが、ドラマでは小西真奈美が演じているし、宇佐美捜査官は原作ではかなり怪しい土佐弁を話す警察庁のベテラン捜査官になっているが、ドラマでは福士雅治が演じている。同じく警察庁の北山審議官というのも、原作では退職間近の元高級官僚という設定だが、ドラマでは現役バリバリだ。原作では余計なキャラが相当に出て来ているので、それを整理したらドラマはこんな形のストーリーになるのかなと思う。それぞれ別の話だと考えたら、2度楽しめます。

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