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新しい機械なしで養鶏はできないのか [ブータン]

ペマガツェルで、卵孵化器を待ちわびて
A long wait for egg incubator machine in Pema Gatshel
Thinley Dorji記者(ペマガツェル)、BBS、2022年2月24日(木)、
http://www.bbs.bt/news/?p=166134
Egg-incubutator.jpg
【抄訳】
ペマガツェル県ケナダン村の青年グループは、在来種の雛鳥を育て、近隣の村々に提供することで2015年から生計を維持してきた。彼らは村で孵化施設を運営している。孵化器は摂氏37℃以上の温度で卵を温め続けるのに使われる。しかし、2018年にこの施設が機能しなくなって以来、彼らの生計は長年維持できていない。今、この青年グループは、県畜産部門が孵化器を交換しに来てくれるのを心待ちにしている。

ゾベル・ゲオッグのケナダン村にある孵化施設は、王様から人々への贈り物である。3人の若者が施設を運営し、若い雌鶏を250羽生産できる。孵化器の中で卵がかえるまでに21日を要する。2015年から18年までの間に、この生産グループは750羽以上の雌鶏を生産した。孵化器は10万ニュルタム以上した。

「はじめは、アムシンウォン村で雌鶏生産をしていました。その頃は機械も新しく、僕たちは1カ月でニワトリを育て、それでいくらかの収入を得てきました。2カ月で1万7000~1万9000ニュルタムにはなりました」――施設オペレータの1人、ソナム・ニドゥップ君はこう述べる。

施設の閉鎖はケナダン村の養鶏農家にも影響を与えている。「村の人々は養鶏場を始めるのに興味を持ってくれていました。でも、雌鶏を確保できません。パンデミックになったこともあって、他の県から雌鶏を運んでくるわけにもいきません。機械が動かないからここで生産するというわけにもいきません。だから、ほとんどの養鶏場が今は空です」と、村会議長のヨンテン・ティンレーさん。

「村で養鶏グループのメンバーになった以上、ニワトリを育てないといけないのですが、パンデミックのせいで、他県から雌鶏をもらってくることもかないません。この施設が動いていれば、こんな問題には直面しなかったでしょう」と、ケナダン村の住民の一人、サンパさん。

しかし、状況は間もなく改善される見込みだ。県主任畜産担当官は、古い機械は修理できないとして、新しい機械を発注したことを明らかにした。「500羽のニワトリを育てられる機械をインドから調達する計画です。予算も確保できています。でも、ロックダウンのせいで機械が手元に届いていません」とティンレー・ラブテン担当官。同氏によると、目下の焦点は在来種のニワトリをもっと多く生産して遠隔村落に供給し、卵の自給を実現することだという。「孵化施設は主に在来種生産に集中しています。遠隔村落の幼少者や高齢者は栄養不足なので、在来種のニワトリを村々に供給したいのです。」在来種は飼育しやすいという。一方、より生産規模の大きい機械がじきに到着するとの報を受け、ケナダン村の孵化施設オペレータや住民はより大きな生産者グループを作り、全員に恩恵を与える計画を立てている。

操業再開してより多くの雌鶏を生産できるようになるのは間もなくのことだろう。県畜産課では2、3ヶ月で新機材を配備できる計画だとしている。

またまたブータン国営テレビ(BBS)のティンレー・ノルブ通信員、綿織物、赤糖(ジャゴリ)と続いてレポートした後、次は納豆かと期待していたら、養鶏でした(笑)。

新しい機械もじきに入る予定らしいので、別に全国向けに報じる価値のあるニュースだったのかどうかは少し疑問もあるが、予算も付けて調達先の目途も立っているようだから、良かったじゃないですか~。

でも、2015年に導入した孵化器が実働3年で壊れて使えなくなったというところに、ちょっとした違和感を感じないだろうか。どんな孵化器を入れたのか、孵化器は普通に3年程度で壊れるものなのか、彼らはどんな使い方をしていたのだろうか、そして、彼らの使い方に問題がなかったとしたら、導入を主導した県畜産課は2018年以降の事業継続に対して、何らかの措置を講じていたのか等等。

パンデミックを理由にすれば一見すると追求しづらいが、パンデミックが云々され始めたのは早くても2020年3月頃からであり、2018年以降の空白期間の言い訳にはしづらい。2018年時点で機械に不具合が出ていて、調達手続きも始まっていたというのならともかく、報じられ方を見る限りはそれらしい形跡はない。

孵化器導入初期の段階で、この若者のグループはどんな操作研修を受けたのだろうか?孵化施設はどんな操業体制を取っていたのだろうか?壊れた原因についてどんな分析を行ったのか?それを新しい機械を導入する際には教訓として生かす対応をしているのか?「修理不能」という判断は誰がどう下したのか?

壊れたから新しいものが欲しい―――その気持ちは当然だが、予算があるうちはそれでいいかもしれないが、パンデミックになってから政府の財政赤字は膨らんでおり、コロナ対策に資金が十分充てられない状況だとも耳にする。壊れたから新しい機械を購入するというのはまあいいにせよ、機械の導入に際してどのように粗い使い方をしたらどこに不具合が生じる可能性があるのかを初期の操作研修で示すとか、交換が必要な部品について予めストックしておくとか、修理対応できる現地の修理業者を必ず巻き込んでおくとか、予防措置や不具合が生じた時の初動体制とか、できることもあったのではないか。

以前ご紹介した村落給水施設と同様、できれば現地に行って何が問題なのかをもう少し調べて、可能なら応急措置を講じるぐらいのことまでできるといいのだが、今回報じられたのはペマガツェルの話。問題の所在は別のところにあると感じながらも、そこまで行けない自分の立場が悲しい。

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