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欠席者の扱いを誤るな [ブータン]

学生や研修参加者の出頭には柔軟に対応
Reporting dates for students and trainees kept flexible: RUB and Labour Ministry
Pema Seldon Tshering記者、BBS、2022年2月17日(木)、
http://www.bbs.bt/news/?p=165889
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【抄訳】
全国COVID-19タスクフォースによると、大学や研究機関の中には、学生や研修参加者に対して、期日までに出頭しない場合は名簿から名前を削除するとか、入学を取り消すといった警告を発しているところもあるという。タスクフォースは地域及び各県タスクフォースに対して、学生や研修参加者向けに、彼らの入学や在籍を保証するレターを発出するよう指示した。

王立ブータン大学と労働省は、学生の出頭日は状況に応じて柔軟に応じるとの立場を取っている。しかし、授業は当面の間はオンラインで行われることになるだろう。

労働省技術教育局の主任プログラムオフィサーであるジグミ・ドルジ氏は、「研修機関に到着した人には教育を継続しています。また、私たちは、それぞれの研修機関に行けない人への警告などは発していません。大人数が研修への参加が困難な場合、研修自体を延期します。また可能ならば、バーチャル研修も提供します。研修機関への応募済の人々には、もし今回出席できなければ、次の回に応募するよう求めています」と述べた。

一方、全国COVID-19タスクフォースは、遅れて参加するケースについてしっかり配慮するよう、関係機関に対して通達した。ハイリスク地域や「レッド」ゾーンから参加する学生や研修受講者は、隔離施設の不足により、移動自体ができない状況にあるからである。

首都ロックダウンが解除になって、僕は、1月下旬に予定していたのにロックダウンのせいで延期を余儀なくされた講習会を、今度の土曜日に開けないかと調整中である。元々16人が受講を予定していたのだが、意向確認を行ったところ、参加希望者は5名のみで、5名からは欠席表明があった。残る6人は、リマインドしたものの無回答で、たぶん来ないだろう。ロックダウン明けに訪ねてみたファブラボ・マンダラ(ファブラボ・ブータンから名称変更)は、元々労働省傘下の職業訓練機関として設立登記がなされており、労働省のガイドラインを守る必要がある。それは、収容人数の50%までに絞れということになっているらしい。そうすると、元々16人だったのを5人でやるというのだから、僕の講習会は問題にならないだろう。

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De-suupに感謝を捧げよう [ブータン]

ありがとうDe-suup
Thank you, de-suups
編集主幹、Kuensel、2022年2月15日(火)、
https://kuenselonline.com/thank-you-de-suups/
【抄訳】
「法的文書には明記されていないが、人として当然有する、歴史の中でも形成されてきた責任というものがある。私たち全員が、誰であろうと平等に担うべき当然の責任や義務である」――オレンジ色の制服をまとった私たちの隣人が見せるサービスに、国王様のお言葉はよく体現されている。

11年前、120人の若い卒業生とミッドキャリア専門職がDe-suupの第1期生としてワンデュポダンの軍事訓練センターでの訓練に加わった時、このプログラムは世間ではまだよく知られていなかった。当時は、災害対応の基礎訓練が行われた。

今日に至るまでに、48期合計26,257人のDe-suupが訓練を終え、任務に従事し、この国のボランティア意識や住民向けサービスを新たな高みにまで押し上げてきた。オレンジ色の制服を着たボランティアはどこにもいる。治安維持チームの支援から山火事消火作業、水不足で悩む農村の家屋に水を届ける作業、パンデミックの襲来から国境を守る作業、さらには道路建設作業に至るまで、自分が誰かに関わらず、さまざまな活動で国に奉仕してきた。大きな変化をもたらしてきた。

2015年のネパール大地震や、インド・ラージギルでジェ・ケンポが祈りを捧げられた際にも、De-suupは国境を越えて、奉仕活動を行なった。オーストラリアにいる訓練終了済のDe-suupも、必要あれば現地で終結する。

国王様の意向をもとにはじまったDe-Suungは、ボランティアイズムの精神を慫慂し、倫理のポジティブな影響や、地域奉仕活動、誠実さ、市民としての責任感醸成を促進する。オレンジ色をまとった男女は、いつもそれを体現している。

ボランティアイズムや協働、リーダーシップはDe-Suung訓練プログラムの主題である一方、奉仕に対するコミットメントは特別任務の中でこれらを具体的に示す機会となっている。奉仕には滅私や寛容、共感が求められ、これらが個人の生活や地域、そして国家に変化をもたらしている。

昨日は、De-Suungの11回目の創設記念日であった。皆が一度立ち止まって、社会に変革をもたらす活動に奉仕するDe-suupに感謝の意を捧げよう。彼らは私たちに何も負っていないのに、多くの奉仕を捧げてくれてきた。その価値には値段はつけられない。私たちは彼らの奉仕活動に対して返済することはできない。せめて感謝の気持ちを表そう。

De-suung創設記念日はDe-suupの社会への貢献を反映する日でもある。中にはもっと奉仕しようにも活動できないメンバーもいる。そういう人々に対しても、私たちの思いを届けよう。

2月14日は巷では聖バレンタインデーだったが、ブータンの王立ボランティア制度「De-Suung」の創設記念日でもあった。以前からオレンジ色の制服姿のボランティアは市中でもたまに見かけることはあったが、今回コロナ禍で赴任してきてみて、パロ空港到着直後の隔離生活から、De-suupにはお世話になりっ放しで、感謝しようと言われればそれは感謝しかない。

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仮設住宅区域でのウィルスまん延 [ブータン]

アモチュ仮設住宅の60%近くが感染
Nearly 60 per cent infected with COVID-19 at Amochhu temporary shelter
Sonam Penjor記者(プンツォリン)、BBS、2022年2月14日(月)、
http://www.bbs.bt/news/?p=165693
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【抄訳】
1ヶ月も経たないうちに、プンツォリンのアモチュ仮設住宅の70ブロックがCOVID-19に感染している。仮設住宅は121ブロックがあり、各ブロックには8世帯が暮らしている。昨日までに、仮設住宅では180件の陽性者が確認された。プンツォリンは市内が完全に封鎖されているにも関わらず、市中感染の勢いが止まらない。

市内では、ほぼすべての住区において感染者が出ているが、同市の感染者の大半はアモチュ仮設住宅の住区で出ている。ここには約1,000世帯の家族が暮らす。この仮設居住区は全体が隔離状態で機能しているが、その中で陽性者が出たブロックは封鎖がなされる。移動支援チームが基礎物資や医療サービスの提供に従事している。

昨日時点で、70近い区域が「レッド(危険)」区域に指定されている。隔離施設の不足にも見舞われ、今月から一次接触者は自宅隔離とされている。

一方、プンツォリン市に出されていた10日間の完全ロックダウンは明日で終了する。4日間にわたる集団検査が水曜日から実施され、その後の行動規制が緩和か強化かが決まる見込み。

連日二桁の市中感染者が報告されているプンツォリン。街を歩くことは完全に禁止とされ、どの世帯も屋内に閉じ込められて毎日を送っている。ひと足先に首都のロックダウンは解除され、13日(日)、14日(月)と何人かの知人と久しぶりに再会したが、どの人も「同居人とずっと一緒にいるのはつらい」と口々に語っていた。同じ「ロックダウン」と言っても同じゾーン内なら歩き回れたティンプーの場合はまだいいが、プンツォリンは完全に屋内に閉じ込められた状態で、10日間を過ごしている。どこの家屋もそんなに広くはないから、それはそれは大変な状況であろうと推測される。

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Speaking Up! 再掲 [ブータン]

Speaking Up!: A Development Practitioner's Memoir of His 1,065 Days in Bhutan (English Edition)

Speaking Up!: A Development Practitioner's Memoir of His 1,065 Days in Bhutan (English Edition)

  • 作者: YAMADA, Koji
  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2019/06/11
  • メディア: Kindle版

この本を前回ご紹介したのは、2019年6月のことである。その時は著者を三人称で紹介していたが、実はこの著者は僕自身である。在任3年間、いろいろなところに寄稿したりして、自分の考えを世に問うていたので、離任にあたってそれらをまとめ、1冊に本にしておこうと考えた。ブログで紹介したのは、製本版を300冊しか刷らなかったので、せめて後から誰でもダウンロードできるよう、Kindle Direct Publishingを利用して売りに出したのがきっかけだった。

今回、別の肩書でこちらに来て、こちらの人との会話の中で、この本について話題に上ることが何度かあった。覚えていて下さるのはありがたいことである。読んだ方からの反響もあったし、「読みたいんだけど製本版の余部はないのか」と訊かれたこともある。幸いなことに、昔勤めていた事務所に行くと今でも資料室に20冊ほど在庫が置いてあって、これを積極的にさばこうという動きもないので、それならということでいただいてきて、僕自身で配ったりし始めている。前回の肩書だと政府関係者に献本するのがやっとこさだったが、今は市民や若者との付き合いの方が多いので、その気になればもっとさばけるだろう。

研究者になるという途はすでに諦めているので、今はそれほど文筆活動に精力を注ぎたいという気持ちはない。自分はもうODAの実務者でもないので、ブータンの開発全般に対して何かの提言を行うようなことはないだろう。派遣元から、「そんなことはお前の仕事ではない」と言われるだろうし。ブータンの開発全般や開発協力に関しては、しばらく本書にしゃべらせて(speak up)おこう。但し、自分の今の仕事に関連する場合に限り、人々に知ってもらう必要性を感じたら、想定読者をブータン人に限定せず、何らかの英文執筆は行う可能性はある。講義なんかもなるべく録画して、他所でも見てもらえる形で編集・公開する努力はしていきたい(英語、磨かねば!)。

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ロックダウンは明けました [ブータン]

2月13日(日)午前5時、28日間にも及んだ首都ロックダウンがようやく解除されました。皆さん、お疲れさまでした。さすがに、街を歩く人と走る車の数も急増し、喧騒も増したように思います。

ゾーン規制が解除され、ゾーンを越えて移動しても大丈夫ということだったので、解除当日は僕も自分のゾーンから片道1時間も歩き、バベサのファブラボに行ってきました。行く途中でコケて歩道の段差に胸をぶつけ、今もちょっと痛いです。こんなに長い間巣ごもりやってて、足腰が弱ってしまったなと痛感させられました。胸の痛みが早く取れるといいです。

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《ロックダウン中のクロックタワー広場》

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《ロックダウン明け初日午後のクロックタワー広場》

ロックダウン前とロックダウン後で、僕自身の仕事のやり方も、相当見直さないといけないなと思っています。少なくとも、当面プンツォリンへの引越しは無理な状況なので、これから3月下旬まで、首都で何をやるかを考え直さないといけないと感じています。

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『源氏将軍断絶』 [読書日記]

源氏将軍断絶 なぜ頼朝の血は三代で途絶えたか (PHP新書)

源氏将軍断絶 なぜ頼朝の血は三代で途絶えたか (PHP新書)

  • 作者: 坂井 孝一
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2020/12/16
  • メディア: Kindle版
内容紹介
●「承久の乱」へと続く、幕府内の壮絶な権力闘争の歴史とは? ●2022年大河ドラマ『鎌倉殿の13人』時代考証者が描く源氏三代「新解釈」。日本史上初の本格的な武家政権である鎌倉幕府では、創設者頼朝の源氏の血統は三代で途絶え、継承されなかった。跡継ぎのいなかった三代将軍実朝の暗殺がこの「断絶」を招いたとされるが、その当時、二代将軍頼家の遺児、あるいは他の源氏の血を引く人々も存在した。にもかかわらず、なぜ彼らは将軍になれなかったのか。そもそも実朝の暗殺が源氏将軍の断絶を招いたのは、自明の理なのか。頼朝による鎌倉幕府の樹立から三代将軍実朝の殺害に至るまで、幕府内の壮絶な権力闘争の歴史を紐解きながら、「源氏将軍断絶」の歴史的な意味を問い直す1冊。
【Kindle Unlimited】
先週末は伊東潤『夜叉の都』を読み、鎌倉時代絡みで次は何か新書版を読みたいなと思っていた。最初は『承久の乱』を考えたのだが、同じ著者がKindle Unlimitedでも近著があるというのに気づき、だまされたと思ってそちらを読んでみることにした。「0円」の魅力には勝てない。

新書の割には280頁とちょっと分厚い。何度もブログで愚痴ってきたロックダウン4週目、本当に集中力が続かなくなり、読書にも身が入らなくなった。お陰で序盤の100頁ほどは本当にダラダラ読んでいて、週末を迎える直前でもまだ30%を超えるところまでしか読めていなかった。さすがに週跨ぎにはしたくなかったので、12日(土)は集中して読込み、なんとか1日で読了するところまでこぎ付けた。

僕はあまりこの頃の歴史書を読んだことがない。せいぜい、以前大河ドラマで平清盛が取り上げられた2012年頃に、平家のことを扱ったものを何冊か読んだぐらいだ。だから、2018年末に本書の著者が『承久の乱』を著し、それが結構売れた頃、機会があれば読んでみたいと思っていた。中公新書では、2016年頃から『応仁の乱』『観応の擾乱』と立て続けにベストセラーを出していたので、大河ドラマとは関係なく「日本の内乱」シリーズみたいな感じで上がってきた企画だったのだろう。

特に、初代の鎌倉幕府将軍・源頼朝に比べて、二代の頼家も三代の実朝も、日本史の教科書ではサラッと流されることが多くて、頼家の在位がわずか1年だったのはともかく、実朝の在位が16年もあったというのは、なかなか気づかないことだ。

頼朝にしても、1192年の鎌倉幕府創設の部分ばかりがフォーカスされるが、将軍となってから不慮の事故で亡くなるまで、在位期間が11年にも及ぶというのも、意外と気付かない。日本史では、源頼朝は「鎌倉幕府を開いた」としか教わらないからだ。そのため、創設されたばかりの幕府の体制を整備するのに頼朝が11年間の間にやったことは何かと訊かれて、ほとんど思い浮かばないということが起きる。(その部分を読んでいて今回は序盤で時間がかかり過ぎた。)

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ペマガツェルの綿織物を買うには [シルク・コットン]

ペマガツェル県トンサ村の織物に買い手がいない
No buyers for weavers of Thongsa village in Pema Gatshel amid the pandemic
Thinley Dorji記者(ペマガツェル)、BBS、2022年2月8日(火)、
http://www.bbs.bt/news/?p=165497
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【抄訳】
ペマガツェル県トンサ村の織り手は自分たちの織物の買い手を探すのに苦戦を強いられている。その原因として新型コロナウィルスを槍玉に挙げる。トンサ村の人々は何十年にもわたって綿織物を折り続けてきたが、こんな問題にはこれまで直面したことがなかったという。

ネミン・ダザさん(72歳)は長年にわたって織り手を務めてきた。彼女は60年も前にゴやキラの織り方を学んだ。15歳の時である。今は冬なので、畑仕事はない。ほとんど毎日織物に従事する。彼女は1年でゴを5、6セットは織り上げる。しかし、以前と違い、自分が織ったものを売ることが課題となりつつある。「買い手がいません。だから、織り上げた後、状況が改善するまで自分のところで保存しておくしかありません。これまで、買い手を探すのが問題となったこと等ありません。」
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別の織り手、プンツォ・ワンモさんはこう言う。「誰も買ってくれない中で、私たちも日々の出費に見合う収入を確保することが難しくなってきました。」この村の人々は綿を用いてゴやキラを織る。それが主たる収入源となっている。「他の収入源はありません。自分たちの織った衣服を売って得た収入で支出をまかなっているんです。」
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これまで、彼女たちは村を訪れた人々に織物を売ってきた。しかし、新型コロナウィルス感染拡大の中で、この村を訪れる人はまったく見られない。しかし、彼女たちは長年にわたる彼女たちの伝統を放棄することはない、時間が解決してくれると楽観的に見ている。ゴは8,000~9,000ニュルタム、キラは4,000~5,000ニュルタム程度で売られる。村には35世帯の住民がいる。

1月22日にトンサ村の綿織物の再興についてBBSは報じていたが(「ペマガツェル綿花栽培の再興」)、まだ2週間ほどしかたたないのに、今度はその綿織物が売れないと報じた。コロナ禍で人流が途絶えてものが売れなくなるのはそりゃそうだと思うので、なんでわざわざまた報道で取り上げたのか、ちょっと意外な感じもした。

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ロックダウンの副作用(2) [ブータン]

最初にお断りしておくと、2月9日(水)にアップしていた「ロックダウンはまだまだ続く(2)」という記事のデータに、今回の記事を上書きしてしまいました。何を書いたのかは覚えていませんが、たぶん、2月6日(日)時点で「3日間」と言われていた首都ロックダウンの延長が、翌7日(月)の首相官邸発表で8日(火)からマススクリーニングを4日かけて実施することになったため、なし崩し的に週末までロックダウンが継続されることになったのではないかと書いていたのだろう。この点については、昨日クエンセルがこんな記事を上げていた(また、ニマ・ワンディ記者)。リンクだけ貼っておく。
https://kuenselonline.com/existing-restrictions-to-continue-for-thimphu/

ロックダウン中、報告されたDVは70件以上
More than 70 domestic violence cases reported during lockdown
Kelzang Choden記者、BBS、2022年2月10日(金)、
http://www.bbs.bt/news/?p=165551
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【抄訳】
自宅は普通なら安全な天国だと考えられている。しかし、家庭内暴力(DV)を経験した人々にとってはそうでもないかもしれない。国内の多くの地域で以前ロックダウンが行われている中、DVは人々が直面する大きな課題となっている。これまでの24日間で、ロックダウン対象地域から報告されたDVは70件以上(国立女性子ども委員会(NCWC)とRENEWへの相談件数)にも及ぶ。

NCWCとRENEWによると、現時点で76件の相談があったという。うち67件は女性から、男性からは9件。ティンプーが件数的には最も多く、31件にも達した。報告は他にも、ワンデュポダン、パロ、チュカ、ブムタン、ゲレフ、サムドゥップジョンカル、プナカ、トンサ、タシガン、ダガナ、サムチから寄せられている。ほとんどの事案は、精神的虐待と身体的虐待である。相談してきた人の大半は25歳から40歳の年齢層に属する。

RENEWによると、DVはフラストレーションやストレス、不安、夫婦間ないし家族間のコミュニケーション不足と理解不足による。NCWCとRENEWは、ロックダウン開始以降、DVの犠牲になる人々に避難場所をあっせんしたり、カウンセリングや法的助言、その他の心理的支援を行ってきた。

一時避難場所は全県に既に設置されている。

前回の「ロックダウンの副作用」の記事の中で、DVについて「増えている」と又聞きの情報に基づいて述べたところだが、そのDVに関する報道がその後BBSのニュースで報じられたので、そちらもご紹介しておく。できればロックダウンの前の月平均DV相談件数との比較のデータも欲しかったが、増えていることは予想できる。総人口を考えると、ラフな計算で5000人に1人が被害に遭っていることになる。しかも、年齢層を絞り込んで考えると、もっと高い頻度になるに違いない。

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ロックダウンの副作用 [ブータン]

ロックダウンの副作用
Side-effects of lockdown
Nima Wangdi記者、Kuensel、2022年2月9日(水)、
https://kuenselonline.com/side-effects-of-lockdown/
【抄訳】
1)ティンプーのロックダウンも4週目に入り、ナムセリンでバーを営む女性は、配給も貯金も底を尽き、毎日が苦闘だと述べている。お店は彼女の家族にとっての唯一の収入源だった。母と2人の兄、1人の姉、そして若い弟妹の教育費の負担を負っている。貯金は使い切り、家賃も気になる。彼女の支払う家賃は月1万5,000ニュルタムだ。いろいろなことを考えると眠れなくなる。家族に何かあったらどうしようかと。ティンプーのようなところでは、安定的な収入源がない状態では生きていけない。ロックダウンがなければいいとは必ずしも思わないが、生計をどうするかは大きな心配。

2)バベサで衣料品店を営む別の女性は、何もせずに家にいるのは退屈だと述べる。市中感染の心配はないけれど、ロックダウンが終わった後の家族のサバイバルは心配だと言う。彼女の月額家賃は自宅とお店を合わせると4万2,000ニュルタム。まだ払ってないという。

3)会社に勤める25歳の女性は、友人との交流が途絶えて、メンタル的に支障を来しているという。不安障害を患っていて、常に動機を持ってアクティブでいるには課題も大きい。1日中同じ家の中で家族全員が過ごしていると、家族の小言を聴かされることも多くなる。特に、高齢者は四六時中多くの人に囲まれるのが嫌なのか、不機嫌になることが多いような気がする。

4)ロックダウンが唯一の解決策なのか?ある公務員の女性は、ロックダウンに反対なわけではないという。でも、もっとうまくやる方法を考える時だと述べる。ウィルスは突然変異し、ロックダウンにも関わらず新たな陽性者が報告される。これは自分たちの戦略を変更する必要があることを示していると彼女は言う。最初のうちは、政府関係者は1週間以上もロックダウンが続かないよう、将来的にはもっとスマートなロックダウンを実施すると多く語っていた。パンデミックが始まってから2年が経過するが、未だに我々が苦戦している。ウィルスそのものよりも、いつまでも終わらないロックダウンのアナウンスが自分にもっと大きな影響を与えているという。ロックダウン入りして3週間が経過した後でも市中感染が多く見られるということは、そもそもロックダウンが機能していないということではないか。

5)別の市民は非効率なロックダウンのプロトコルが他の疾患や心の病で命を奪うことにもつながっていると述べる。人は社会的な生き物で、あまりにも長期間つなぎとめていれば深刻な問題につながりかねない。ウィルスとの共存を学び、それをやり過ごす方法を模索する時だと彼は言う。ロックダウンは人々のビジネス活動よりも心理的ウェルビーイングに大きなインパクトを与える。多くの人がその日の賃金を得るのに苦戦している。彼らが働けない状況にあるとき、彼らに何が起こるだろうか?彼はそれを心配している。

6)出歩く人々とそのホスト:バベサ在住のある女性は、彼女に家には一時9人もの同居人がいたという。ロックダウンになり、行き場を失った人々だ。彼らは安全のために外を動き回らない。なんとかそれぞれの自宅に戻った人もいれば、まだ居残っている人もいる。居残っている人々にも食べさせなければいけないので、食費が馬鹿にならない。

7)チラン出身でティンプーに出てきていたある住民は、チャンザムトのいとこの家に同居して約1カ月になるという。村では農作業が待っているのに、移動することができないと嘆く。国内移動許可証の電子申請はしてみたが、自分のように自家用車を持っていない人間には適用されない。ここにいるにも多くのことをせねばならない。

8)タシヤンツェで行き場を失った別の人は、兄弟が自家用車を持っていたのでブムタンの自宅になんとか辿り着けた。タシヤンツェでは約1週間居候を迫られ、自分のホストに大きな負担をかけた。ホストはそんなことは表情にも出さなかったが、自分は非常に居心地が悪かったと述べる。

9)しかし、ティンプーのある住民は、自分の家族がロックダウン中に亡くなった時、なんとかやり繰りできたと認める。火葬場で多くの来訪者のアテンドや給仕をする必要がなかったからだ。政府は葬儀への出席者を20人までに絞った。金銭的に節約したかったわけではないが、こんな状況で大勢の人に給仕するのが意味があるとも思えない。

10)一方、医療従事者とDeSuupは南部メガゾーンと第2コアゾーンのルンテンフ地区から6,600のサンプルを収集。結果は本日わかる。集団検査は今日は第2コアゾーンからはじまる。

これでもかというくらいに、しつこいロックダウンの報道の紹介でごめんなさい。でも、このクエンセル紙のニマ・ワンディという記者、結構こまめに街の声を拾っている気がする。僕はクエンセルよりもBBSの報道の方を引用することが多いが、たまにクエンセルの記事を引用しようとすると、気付けばニマ・ワンディ記者の記名記事だというケースが多い。

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タグ:COVID-19
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ロックダウンはまだまだ続く [ブータン]

ロックダウンがビジネスを直撃
Lockdown impacts businesses badly
Nima Wangdi記者、Kuensel、2022年2月5日(土)、
https://kuenselonline.com/lockdown-impacts-businesses-badly/
business.jpg 【要約】
1)2020年のパンデミックで観光業での仕事を失ったあるティンプー在住者(匿名)は、市内でホテル経営をはじめた。しかし、長引く今回のロックダウンで、彼は従業員らに月給を払い続けなければならない。約2年間を無職で過ごした後、ホテル業をはじめたのは6カ月前。王様のキドゥ事務局の負担を軽減したいという思いもあった。キドゥは申請しなかった。彼が開業したホテルは、従業員10人、客室30室だった。デリバリーのサービスもはじめた。しかし、ロックダウンで苦境に立たされた。彼は、やむなく従業員に対して、キドゥを申請するよう求めることにした。3人の子を持つ父親である彼によると、自宅の大家は50%の家賃減額を認めてくれたという。「こういう時こそ、政府が優遇貸付を認めてくれたら嬉しい。ロックダウンが終わってから働いて返済することができる。」

2)別のビジネスマンは重機のレンタル業を行っていたが、ロックダウンで完全に操業停止している。借りている融資は返済を続けなければならない。銀行から返済を催促する電話は休日であってもかかってくるという。ロックダウンの間、収入は得られない。パンデミックの前に銀行融資を受けられた者しか、返済繰延や利息減額の措置を受けられないという。パンデミックの後に融資を受けた者にも適用されたら、大きな支えになる。彼は現在、従業員6人に対して、月給を全額払い続けている。

3)オラカ地区の自動車修理工場のオーナーで、自動車修理工場協会の理事でもあるカルマ・テンジン氏によれば、修理工場オーナーのほとんどが困難に直面しているという。工場が稼働していないのに、従業員の給料と家賃はいつも通り払い続けないといけない。支払わないと、ロックダウンが終わっても、従業員は工場に来なくなると危惧する。ロックダウンは民間企業を苦境に追い込むと強調する。多くの国では陽性者を隔離して他は経済活動継続を認めている。しかし、ブータンでは、市中で1人でも陽性者が出たらいつでもロックダウンになる。

4)オラカ地区の別の工場オーナーは、オラカの修理工場集積地の家賃は高いという。政府は、その権限はないと言って介入もしてくれない。だからオーナーは難局に向けた蓄えを増やすことができないと指摘する。政府は国営テレビの番組で、政府は家屋建設に際して何の支援もしていないのだから、家賃減額はその家屋のオーナーが決めることだとの立場を明言しているが、この工場オーナーは、銀行融資に返済繰延や利息減額が認められるのなら、家賃の減額も必須にすべきだったと主張する。債務繰延や利息減額は大きなビジネスを利するだけ。政府はちゃんと見て欲しいと彼は求める。

5)野菜市場の店子の1人は、3万5000ニュルタム相当の野菜が損害に遭って廃棄を余儀なくされたという。彼女はこの野菜の補償金は受け取っておらず、受給の見通しも暗いという。1人の子を持つこの母親は、これまでの貯金でなんとか食いつないでいる。しかし、ロックダウンがこれ以上続くようだと困難に陥る。Ziukhaの八百屋にこうした野菜を売ろうとしたが、できなかった。僧院に寄付することも考えたが、移動制限がかかっていてそれもできなかった。前回のロックダウンでも、彼女は仕入れた野菜の代金支払いでは困難を強いられた。代金決済には時間がかかった。今回もそうなるのが怖いという。

2月6日(日)午後、首相官邸からアナウンスがあり、現在の行動制限をあと3日継続すると知らされた。翌日(7日)からようやくゾーンを跨いだ移動やタクシー利用が可能になるものと期待していたが、まだまだダメみたい。この3日を合わせると、ティンプーの行動制限は24日間にも及ぶ。在宅勤務で仕事をしていなかったわけではないが、ものすごく長い休暇をどこにも行かずに自室で過ごしている感じ。

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