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高齢者が暮らしやすい国ランキング2015 [少子高齢化]

国際NGOであるヘルプ・エイジ・インターナショナル(以下、HAI)は、9月9日に「グローバル・エイジウォッチ指数2015年版」(Global AgeWatch Index 2015)を公表した。毎年10月1日が世界高齢者デーであることから、HAIではこれに先立ち、毎年この時期に最新の指数を発表している。
*Global AgeWatch Index 2015トップページ:http://www.helpage.org/global-agewatch/
*HelpAge Internationalプレスリリース:http://www.helpage.org/global-agewatch/press/press/

2015年版が例年以上に注目されるのは、今月末にニューヨークで開催される国連「持続可能な開発」サミットで、2016年から2030年までの15年間に国際社会が取り組むべき開発課題を整理した「持続可能な開発目標」(以下、SDGs)が採択される見込みであるからだ。

SDGsは開発途上国だけでなく、先進国も含めてすべての国とその国民が達成に向けて取り組むべきだとする普遍性(universality)を原則としており、しかも2015年までの15年間を規定していたミレニアム開発目標(MDGs)の達成期間中にさらに広がった国家間、地域間、男女間といった様々な「格差」の問題に焦点を当て、「何人たりとも取り残さない(Leave no one behind)」ことも原則として謳っている。先進国と比べて高齢化が進んでいるわけではない途上国を中心に見ていると高齢者の問題の重要度はあまり高いとは思われないかもしれないが、人口の高齢化はアジアの国々を中心に向こう15年間で多くの国々でもっともっと進行する。お年寄りが取り残されない社会の実現は、これからの15年間の間に、政策的課題としての重要度をさらに増すだろう。

2015年版のグローバル・エイジウォッチ指数の特徴は以下の通りである。

(1)高齢者が最も住みやすい国として、今年はスイスが第1位となった。
  http://www.helpage.org/global-agewatch/population-ageing-data/global-rankings-table/

(2)指数は世界96ヵ国をカバーしているが、残る98ヵ国については統計データの欠如により評価
  することができなかった。アフリカでは、54ヵ国中評価可能なのは11ヵ国にとどまった。


(3)高齢者の貧困率は、少なくとも93ヵ国のデータセットでは欠落しており、数百万人の高齢者が
  データで捕捉されていない。


(4)高齢者の間での不平等が拡大している。ランク上位10ヵ国と下位10ヵ国の60歳時の平均余命
  の格差は、1990年の5.7歳から、2012年には7.3歳に開いた。


(5)2008年のリーマンショック以降、欧州や北米の国々では緊縮財政政策がとられ、高齢者向け
  優遇策が廃止になるケースが相次いでおり、高齢者に対するインパクトが拡大している。


(6)高齢化はそれまでにとられた社会政策の成功の結果である。人びとのライフサイクル全般に
  おいて人に投資することは、人生の終盤になって配当をもたらす。高齢者が社会の一員である
  ことを実感でき、かつ独立して自律的な生活を送れることが重要。


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『2030年超高齢未来 破綻を防ぐ10のプラン』 [少子高齢化]

2030年超高齢未来破綻を防ぐ10のプラン―ジェロントロジーが描く理想の長寿社会

2030年超高齢未来破綻を防ぐ10のプラン―ジェロントロジーが描く理想の長寿社会

  • 作者: 東京大学ジェロントロジーコンソーシアム
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2012/09
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
日本人の4割が高齢者に。5年後、10年後、15年後、具体的に、何をどうすればいいのか?東京大学+トップ企業45社による画期的な処方箋。
2010年に発刊された『2030年超高齢未来』の続編。
企業や大学・研究機関に、向こう20年程度を見越した飯のネタを披露している本というのが第一印象だった。それはそれでいいが、口絵に人があまり登場せず、インフラ整備が中心なのかという印象をどうしても受けてしまう。前編を読んだ際、東大高齢社会総合研究機構の研究チームが千葉・柏の豊四季団地で行なっているという実験でわかってきたことについて言及がないといった批判的コメントをしたことがあるが、続編となる本書の方でも、せっかく豊四季団地に言及していながら、わずか2頁程度しか紙面を割いておらず、いくつかあるインフラ整備の取組みの1つだという印象しか受けなかった。

インフラ整備というのは難しい。誰も住んでいなかったところに新たに街をつくるようなニュータウン建設ならまだしも、元々住民が住んでいた街を再開発するには、住民のコンセンサスを得て一緒に計画を策定していくことが必要で、美しい完成予想図やポンチ絵を見せられても、あまり心には響いて来ない。住民の間での合意形成の部分のあり方、今既に超高齢期を迎えている住民と、20年後に超高齢の仲間入りをする住民、そして、今は被扶養者だが10年、20年経つと超高齢者のケアの負担を中心的に担っていかなければならない子供たちや若者、そうした様々な年齢層の参加のあり方にまで突っ込んだ議論がされているとは思えなかった。

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Social Pensionって何だ? [少子高齢化]

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Social Protection for Older Persons: Social Pensions in Asia

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: Asian Development Bank
  • 発売日: 2012/07
  • メディア: ペーパーバック

「Social Pension」―――聞き慣れない用語である。日本語に訳すと「社会年金」ということになるが、日本では一般的には「社会保険」や「老齢年金」の方がよく聞かれる。但し、「社会保険」は負担と給付が繋がっていると思うし、日本でいう「老齢年金」も、給付の方に注目していても、社会保険料の負担と繋がっていることは暗黙の了解事項だろうと思う。

ちょっと調べてみたけれど、「Social Pension」に定訳はないみたいだ。高齢者の最低所得を保障し、貧困削減を狙った一般歳入による定額現金給付のことを指すため、日本でいう「老齢年金」とは財源が一般歳入であるという点で制度が異なる。

このSocial Pensionについては、2000年代最初の10年の後半ぐらいからよく耳にするようになってきた。最初は国際NGOであるHelpAge Internationalのレポートが2007年に出て、国連において議論が喧しくなった。次は2008年に世界銀行が『カバレッジギャップを狭めるために(Closing Coverage Gap)』というレポートを出した。本日ご紹介するのは、こうした流れを受けて、アジア開発銀行(ADB)が今年7月に発表した、アジアでのSocial Pension導入推進に向けたレポートである。

全部で300頁近くもあるレポートを全部読むわけにはいかないので、第1章「アジアにおける年金制度改革の政治経済学(The Political Economy of Social Pension Reform in Asia)」(Katja Hujo and Sarah Cook)だけを読んで、この記事をアップすることにした。

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映画『人生、いろどり』 [少子高齢化]


徳島県上勝町の有名な村おこし事業「彩(いろどり)」が映画化され、この週末に封切公開となった。折角の三連休なんだし、1本ぐらいは映画でも観てこようかと思い、『天地明察』や『桐島、部活辞めるってよ』との間でさんざん迷った挙句、『人生、いろどり』を銀座で観ることにしたのである。

当然、家族同伴というわけにはいかなかった。本音を言えば中1の娘ぐらいは社会勉強のつもりで連れて行って見せたかったが、まだ夏休みの宿題が終わっていないため、自宅にこもって宿題を片付けるよう申し渡さざるを得なかった。堅実派の妻は、元々興味がなく、この三連休は連日アルバイトを入れていてとても一緒に行ってくれるような状況ではなかった。

朝10時30分の部で観ようとシネスイッチ銀座に行ってみると、既にチケット売り場には行列ができていた。このところ僕は子供を映画館に連れて行くことが多くて、たいてい子連れの観客ばかりのところで映画を観ているので、観客のほとんどがシルバー世代という映画は変な「新鮮さ」が感じさせられた。

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アジア経済展望2011アップデート版 [少子高齢化]

Asian Development Outlook 2011: South-South Economic Links

Asian Development Outlook 2011: South-South Economic Links

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: Asian Development Bank
  • 発売日: 2011/05/31
  • メディア: ペーパーバック

昨年10月頃にダウンロードし、印刷までしてあった資料、2月に韓国に出張した際に帰りのフライトの機内でようやく読み、そしてそれからさらに1ヵ月以上経過して、ようやくブログでも紹介しようという気持ちになった。上に挙げたのはアジア開発銀行(ADB)が毎年4月に公表している「アジア経済展望(APO)」の2011年版で、これも新しい報告書が間もなく発表されるだろう。僕がダウンロードしたのは、APO2011年版のアップデート版で、昨年9月にADBが発表したものだ。各国別分析も含めた全文は、ADBの下記URLからダウンロードができる。
URL:http://beta.adb.org/publications/asian-development-outlook-2011-update-preparing-demographic-transition
内容紹介
 アジア経済展望年次報告「Asian Economic Outlook」は通常毎年4月に発表され、アジアの開発途上国経済パフォーマンスの分析と向こう2年間の経済見通しについて述べたアジア開発銀行の年次報告書である。そして、その半年後に公表される「アップデート」は、こうした予測が当たっているのかどうかをレビューし、予測と実際の乖離が生じた理由について分析し、その後18カ月の予測修正値を改めて公表するものである。
 2011年9月に発表されたアップデートでは、米国、欧州、日本の低調な経済パフォーマンスに比べ、向こう2年間、アジアの開発途上国が高い経済成長を持続するとみている。 アジア地域は堅調な国内需要と拡大基調の域内貿易に支えられる。インクルーシブな成長を実現するには、インフレ抑制が経済政策の鍵となってくる。
 こうした成長は高齢者にも裨益するものでなければならない。アジアの伝統的家族扶助ネットワークが弱まるにつれ、あまりにも多くの場合、 高齢者は置き去りにされてしまう。今後数十年間にわたり、高齢者は地域の人口の高い割合を占めるため、各国とも高齢者の経済的保障を確実なものとし、社会にとってより広い含意をもたらす政策を実行していかなければならない。

今回本書をご紹介したのは、このアップデート版の特集記事「人口学的変化に備える(Preparing for Demographic Transition)」にある。ADBの年次報告を毎年欠かさず読んでいるわけではないけれど、人口高齢化を取り上げて分析結果をADBが公表したのはこれが初めてではないかと思う。

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日本より速いアジアの高齢化 [少子高齢化]


国連人口基金(UNFPA)が10月に『世界人口白書2011年版』を発表したのを受け、このところ、世界人口が70億人に到達したという報道がマスメディアを賑わせている。曰く、世界人口は2050年に93億人に到達し、今世紀末には100億人を突破する、曰く、現在12億1千万人で中国に次いで世界第2位のインドの人口は、2050年には15億人を突破し、第1位に躍り出るとか。

インドに特化した記事はいずれ別の機会に紹介したいと思うが、人口増加が著しいのは、①たくさん生まれて寿命も延びる「多産少死」と、②生まれる数も亡くなる数も少ない「少産少死」が世界全体で見た場合に同時に起きているからである。「多産少死」の国々では、医療の進歩で死亡率が下がり、農業の発展で食料も確保でき、産業の発展で生活レベルが向上してきたが、人口が増え過ぎて、食料やエネルギーの不足、環境への負荷増加、雇用機会の確保といった問題が起きている。一方、人口の伸びが緩やかになった「少産少死」となる国々では、高齢者の割合が増えて、社会保障に充てられる資金や若い労働力人口の不足が懸念されている。白書は、こうした状況を受け、移民の増大や資源不足といった問題が生じるとも警告している。

UNFPAの発表とタイミングを同じくして、総務省は10月26日に、2010年10月実施の国勢調査確定値を発表し、2010年の日本人の人口が1億2535万8854人になったと述べた。2005年の国勢調査結果からは37万人の減少だという。高齢化の進行にも拍車がかかり、65歳以上人口は前回から357万4千人増えて2924万6千人、高齢化率は23.0%になったという。2位のドイツ、イタリアは20.4%だが、1位日本との差はかえって開いた。

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ちょうどそのようなタイミングで、三鷹国際交流協会(MISHOP)は、標題のタイトルの国際理解講座を10月22日(土)に開催した。講師は日本総研の大泉啓一郎さん。いつものように、会場は三鷹駅前コミセンである。

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人口ボーナス格差のとらえ方 [少子高齢化]

このAFPの記事についてはよく指摘されていることであり、長期的に見てその国の人口動態にどのような影響を及ぼすのかを論じた論文をちょっと探してみたいと思っているところである。こんな極端な男女比の国にうちの娘が旅行に行きたいなどとほざくようなことがあったら、親としては相当心配しなければならないだろう。誘拐されてしまいはしないかとか…。

さて、久し振りにインドの人口動態について論じた論文を1つ紹介してみたい。

Shekhar Aiyar and Ashoka Mody,
"The Demographic Dividend: Evidence from the Indian States"
IMF Working Paper, WP/11/38, February 1, 2011

URL: http://www.imf.org/external/pubs/ft/wp/2011/wp1138.pdf

Summary:
Large cohorts of young adults are poised to add to the working-age population of developing economies. Despite much interest in the consequent growth dividend, the size and circumstances of the potential gains remain under-explored. This study makes progress by focusing on India, which will be the largest individual contributor to the global demographic transition ahead. It exploits the variation in the age structure of the population across Indian states to identify the demographic dividend. The main finding is that there is a large and significant growth impact of both the level and growth rate of the working age ratio. This result is robust to a variety of empirical strategies, including a correction for inter-state migration. The results imply that a substantial fraction of the growth acceleration that India has experienced since the 1980s - sometimes ascribed exclusively to economic reforms - is attributable to changes in the country’s age structure. Moreover, the demographic dividend could add about 2 percentage points per annum to India’s per capita GDP growth over the next two decades. With the future expansion of the working age ratio concentrated in some of India’s poorest states, income convergence may well speed up, a theme likely to recur on the global stage.
要約をそのまま英語で転載してしまってごめんなさい。

この論文に注目する最大の理由は、人口ボーナスの州間格差を取り上げていることにある。しかも、これまでにこのブログでご紹介してきた論文の多くは、享受できる人口ボーナスの違いがその地域の成長格差にも繋がり、1国内での地域間格差を拡大すると結論付けているのに対し、この論文は、政策的に何もしなくても格差は縮小していくという逆の結論を導き出している。

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中南米の高齢化に関する世銀報告書 [少子高齢化]

世界銀行の高齢化報告書
世界銀行から発表された新しい報告書では、ラテンアメリカの人口高齢化に焦点を当てている。
WBAgingReport.jpg 「人口高齢化:ラテンアメリカは準備できているか?(Population Aging: is Latin America ready?)」では、鍵となる3つの課題に注目して取組みの方向性を検討している。それは、「高齢者の支援と貧困撲滅」、「高齢化する世界における社会支出の持続可能性確保」、「高齢化が健康状態や保健医療サービスに与えるインパクト」である。
 報告書は、ラテンアメリカの平均寿命がこの半世紀で22年も伸びたことを認め、ラ米諸国に対し、「灰色革命(Greying Revolution)」に備えよと提唱している。具体的な提言として、医療制度の強化、退職年齢の引き上げ、年金制度改革、より多くの労働供給を得るために女性のための雇用の創出等が挙げられている。
 また、報告書は域内各国と地域社会に対し、被用者がより長く生産的な生活を送るよう支援し、できるだけ長く元気で動き回れるようにするための政策を立案実施するよう求めている。例えば、一次医療サービスがより重要性を増し、労働者は労働供給を止めるまでもっと長く働き続けられるようになるだろう。
 この報告書は人口高齢化に関する世界銀行の関心の高まりを反映したものである。1990年代以降、世銀のこのテーマに対する関心は低調に推移した。わずかな例外といえば、1994年の報告書「高齢時の危機を回避する(Averting the old age crisis)」と、2007年出版の『赤から灰色へ(From red to gray)』で東欧の人口高齢化をレビューしたぐらいであった。
出所:HelpAge International, Ageing & Development, Issue 30, September 2011

このところ、あまり人口高齢化をテーマとして取り上げていなかったこのブログであるが、これにまつわる研究を再開したいと思って今月半ばから大学院に復学したこともあり、時々文献レビューみたいなものは扱っていこうかと思っている。実際に読んだかどうかは別として、どんな出版物や論文が世に出ているのかについては、HelpAge International(HAI)のクォータリーがよくカバーしていると思うので、時々取り上げてみたいと思う。勿論、実際に読んだものについてもちゃんと取り上げたい。

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『2030年超高齢未来』 [少子高齢化]

2030年 超高齢未来 ―「ジェロントロジー」が、日本を世界の中心にする

2030年 超高齢未来 ―「ジェロントロジー」が、日本を世界の中心にする

  • 作者: 東京大学高齢社会総合研究機構
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2010/11/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
このままでは、少子高齢化で日本は破綻する…そんな暗い空気が漂っています。しかし、わたしたちには知恵と行動があるはずです。いまなら、社会のしくみを変えることで、超高齢社会を幸せな長寿社会に変えることができるのです。東京大学の英知を結集して描く超高齢社会の明るいビジョンがここに。
最初に断わっておくと、週報で「たかが200頁弱の本を読了するのに1週間もかかる」と書いたのが本書である。正直言うと非常に読みにくかった。集中して読めなかった僕の方の事情もあるが、1センテンスで段落を区切る書き方自体ものすごく内容を塊としてつかみづらかったし、理念や今後の方向性は確かに示されているような気がするものの、東大高齢社会総合研究機構の研究チームが千葉・柏の豊四季団地で行なっているという実験の結果がどう出ているのかがあまり示されておらず、研究成果に基づいて本書が書かれているのか、研究に着手した段階で作業仮説を先に提示しようとして書かれたのか、どちらなのかがよくわからなかった。

集中して読んでいなかったこともあるので、いずれはもう一度読み直したいと思う時期がやって来ると思う。先週、僕はある会議で、15年来の知人と久し振りに再会した。多分7~8年振りだったかと思う。某政府系機関の調査部門にいるその知人は、「最近途上国の高齢者向けビジネスに注目しているので、そのうち相談に行きます」と言っていた。日本の企業にそういう動きがあるのかと少しばかり驚いたのだが、僕はインドで成功した人々が大都市でコロニーを作って悠々自適な生活を送っているのを見てきたし、そういう人々が今のインドの高齢者問題のアドボカシーをリードしているのも知っているので、確かに今から日本がインドでの高齢者向けビジネスモデルを提示できたら大きなチャンスに繋がると思う。

だから本書で次のような言及があるところには惹かれた―――。

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老人主義政治 [少子高齢化]


2011年2月15日付の雑誌Economistオンライン版に、チャート付きのこんな記事が掲載されていた。
老人主義政治(Gerontocracy)
その国の国民と国の政治指導者の年齢差には何か意味があるのだろうか?
アラブ世界で起きた「ジャスミン革命」の原因としてよく言われているのは若年層が多いその国の人口構成とグレーの髪をした政治指導者との年齢差である。エジプトの中心年齢は24歳だが、ホスニ・ムバラク大統領は82歳で、世界でも5番目に高齢の国家元首である。下図を見ると、こうした大きい年齢差は、サウジアラビア、イエメン、アルジェリア、キューバ、北朝鮮(金正日は2月16日で70歳を迎える)といった専制国家に多く見られることがわかる。対照的に、民主主義は今日、より若い政治指導者を求める傾向が見られる。但し、インドやイタリアはその例外と言える。

Gerontocracy.jpg
《上図をクリックすると拡大表示されます》
イタリアはともかく、インドの場合はマンモハン・シン首相が高齢なためにこういういびつな図になっているが、もし政権交代がスムーズにいけばいずれはラフル・ガンジー国民会議派幹事長が首相に就任するだろうから、このギャップはすぐに縮小するだろう。でも、これを見ていると中東・北アフリカの政治指導者がすごく歳をとっているというのはなんとなくわかる。今中東で起こっていることと、この人口構成と政治指導者の年齢差には、相関関係があるのではないかと考えたくなる。また、ここでは登場しないが、リビアのカダフィなんて、25年以上前に米国レーガン大統領に喧嘩を売っていたぐらいだから、今でも国家最高指導者であることが意外な気がしてしまう。

僕自身はこの情報をGlobal Ageing Networkのブログから知った(最近Economistは購読してないので)。でも、このブログをもう少し遡ると、老人主義政治をアフリカのコンテキストで紹介している別の記事にも遭遇する。これは雑誌Africa Reportオンライン版の2010年12月14日付の次の記事からの引用だ。

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