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『定価のない本』 [読書日記]

定価のない本 (創元推理文庫)

定価のない本 (創元推理文庫)

  • 作者: 門井 慶喜
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2022/10/19
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
神田神保町―江戸時代より旗本の屋敷地としてその歴史は始まり、明治期は多くの学校がひしめく文化的な学生街に、そして大正十二年の関東大震災を契機に古書の街として発展してきたこの地は、終戦から一年が経ち復興を遂げつつあった。活気をとり戻した街の一隅で、ある日ひとりの古書店主が人知れずこの世を去る。男は崩落した古書の山に圧し潰されており、あたかも商売道具に殺されたかのような皮肉な最期を迎えた。古くから付き合いがあった男を悼み、同じく古書店主である琴岡庄治は事後処理を引き受けるが、間もなく事故現場では不可解な点が見付かる。行方を眩ました被害者の妻、注文帳に残された謎の名前―さらには彼の周囲でも奇怪な事件が起こるなか、古書店主の死をめぐる探偵行は、やがて戦後日本の闇に潜む陰謀を炙りだしていく。直木賞作家の真骨頂と言うべき長編ミステリ。
【購入(キンドル)】
長年の親友が推していた本。本が好きな人、神田神保町にお世話になっている人にはお薦めの作品である。神田神保町がなんで本の街、古書の街になっていったのか、その歴史がわかるだけでなく、古書店に陳列されている古書に対する見方も変わるだろう。丸善の商売や人材養成のシステム、白木屋デパートの位置付け、皇居にある楠木正成像など、ところどころでトリビアもさしはさまれていて、かなり満足感の得られる内容だった。

物語自体はフィクションだけれど、ところどころで実在の有名人をストーリー展開に絡めてくる。それらが伏線としてちりばめられていて、それらもいい具合に終盤回収されていく。エンタメ小説として読む分には面白いと思う。

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『野生化するイノベーション』 [仕事の小ネタ]

野生化するイノベーション―日本経済「失われた20年」を超える―(新潮選書)

野生化するイノベーション―日本経済「失われた20年」を超える―(新潮選書)

  • 作者: 清水洋
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/08/21
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
「最新経営学」で日本企業を復活させる!「米国のやり方」を真似すれば、日本の生産性は向上するはず―そんな思い込みが、日本経済をますます悪化させてしまう。米・英・蘭・日の名門大学で研究を重ねた経営学のトップランナーが、「野生化=ヒト・モノ・カネの流動化」という視点から、イノベーションをめぐる誤解や俗説を次々とひっくり返し、日本の成長戦略の抜本的な見直しを提言する。
【購入(キンドル)】
2019年に職場で机を並べていた同僚から、昨年突如メールが来て、薦められた本。その同僚と一緒に仕事をしていた当時は、年下なのに平気で人をバカ呼ばわりするそいつに反目し、何度も口論に至った。あまり印象は良くない奴だったけれど、他人がバカに見えるぐらいに仕事は猛烈にできた。付き合いで飲みに行ったりするのは時間の無駄だと公言していて、確かに読書家であった。

そんな彼が、机を並べていた当時僕が言っていた話が最近ようやく理解できるようになってきたと言って、そのきっかけになった本を数冊紹介するのに僕にメールしてきたというわけ。著者が頻繁に用いておられる「ジェネラルパーパス・テクノロジー」(汎用性の高い技術)というのが、僕が当時「やりたい」と言ってたことと通じると彼は感じたらしい。

確かに、最近うちのプロジェクトに来られていた日本人研究者も、デジタル・ファブリケーションを「ジェネラルパーパス・テクノロジー」と表現していた。汎用性が高いという意味では、確かにそうだと思う。

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『和僑』 [読書日記]

和僑 (祥伝社文庫)

和僑 (祥伝社文庫)

  • 作者: 楡周平
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2017/08/08
  • メディア: 文庫

内容(「BOOK」データベースより)
宮城県緑原町に老人定住型施設「プラチナタウン」が開設され四年。町は活気を取り戻し居住者は増えた。だが、町長の山崎は不安を覚えていた。いずれ高齢者人口も減り、町は廃れてしまう―。山崎は、役場の工藤とともに緑原の食材を海外に広め、農畜産業の活性化を図ろうとする。だが、日本の味を浸透させる案が浮かばず…。新たな視点で日本の未来を考える注目作!
【購入(キンドル)】
『プラチナタウン』の続編だということで、10年前に前作を読んでいた者としては、続編を読まないわけにはいかない。前作を読んだ当時も、これって一時的には効果があるけれども根本的な課題解決にはならないだろうなとは予想はしていた。いくら元気な高齢者を外から集めてきて需要を創出したからといって、その高齢者が20年もしたらどんどん鬼籍に入るし、国はこういう成功事例にはすぐに飛びついて、こういう事例を全国各地で増やそうと奨励するから、必ず競争が起きる。

ただでも縮小していくパイを増えていくプレイヤーが争奪するという構図で、絶対サステナブルじゃない。そういう感覚は、ちょっと人口学をかじって冷静に見ている者ならわかるのだが、今が良ければそれでよいと思っていそうな地元の住民にとっては、なかなか理解してもらいづらい。

次期町長選挙も絡んでくるので、細かいところでのストーリーの展開には読めないところもあったが、冒頭の紹介文にもあるような方向で、一応落ち着いていく。エンディングは予想通りだが、予想通りであったとしても読後感はまずまずだった。

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『月光の東』 [読書日記]

月光の東 (新潮文庫)

月光の東 (新潮文庫)

  • 作者: 輝, 宮本
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/02/28
  • メディア: 文庫

内容(「BOOK」データベースより)
「月光の東まで追いかけて」。出張先のカラチで自殺を遂げた友人の妻の来訪を機に、男の脳裏に、謎の言葉を残して消えた初恋の女性の記憶が甦る。その名前は塔屋米花。彼女の足跡を辿り始めた男が見たのは、凛冽な一人の女性の半生と、彼女を愛した幾人もの男たちの姿だった。美貌を武器に、極貧と疎外からの脱出を図った女を通し、人間の哀しさ、そして強さを描く傑作長編小説。
【購入(キンドル)】
「月10冊」のノルマを死守すべく、今月末に向けた駆け込みで読んだのが再びの宮本輝作品。選んだ理由は、単にタイトルに惹かれたからだ。結局、「月光の東」が何を指すのかはよくわからなかったのだけれど、作中に出てくる「白い月がかかった薄青い空をバックにそびえるチョモランマ」の写真は、僕も見たことがあり(但し、ネパール側でのエベレストは「サガルマータ」と呼ばれていたと思うが…)、少しばかりの懐かしさも感じる作品だった。

作中の登場人物のうち、今の僕は元画商・元馬主である津田に近い年齢である。そのためか、主要登場人物の出来過ぎた人柄、複雑な思考回路、そして重ねた年輪、どれにも至らない自分自身の物足りなさを突き付けられた気もして、読後感はあまりよろしくなかった。僕は絵画のことも陶器のことも、サラブレッドへの投資のこともわからないし、ワインの知識もない。クリームコロッケのおいしさもわからない。サラブレッドのことは、競馬をかじったことがあったので多少はわかるが、複勝ころがしのことも、馬産地のことも、生産者と馬主・調教師の関係もよくわからない。そういう仕組みもわかった上で、運用もできるのが還暦を迎えようとする大人の人間なのだと作者が思っているとしたら、俺の歩みなんてダメダメだなぁ~と、抱くのは劣等感ばかり。

一方で、五十路前とはいえ作中の杉井の行動は、僕にはまだ理解しやすいところはあった。ただ、40代後半ぐらいの自分を振り返った時、やっぱり仕事上は杉井ほどの立場にもなかった。仕事帰りにバーで軽く一杯なんて日が、週に3回もあるような生活はしてなかった。

要するに、作中のどの登場人物と比べたとしても、僕は大したことない。宮本輝って、なんでこんなにできた人ばかりを登場させるのだろうか。そして、それが彼が描く作品の登場人物の1つの基準だとしたら、作品を読み続けるのはちょっとしんどいなぁという思いが増してきた。もうちょっと、等身大の人間を多く登場させてくれないですかね(笑)。

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このモヤモヤ感はなんなんだ? [ベースボール]

忘れた頃のベースボールネタである。

中日ドラゴンズの主力野手だった阿部と京田が次々とトレードに出された。

阿部は昨季外野手にも挑戦したり、そもそも立浪監督の構想から外れていると思われる中で結果を残し、レギュラーを勝ち取った。ただ、立浪監督から阿部の起用法について積極的なコメントが出されたのはあまり記憶にない。

京田については、あれだけファンからのバッシングを受けていたらメンタルが心配だと思っていた。前回、「がんばれ!京田くん」(2022年5月7日)で書いたのは、根尾とどうしても比較されるから、京田へのファンの当たりが強いのではないかということだった。ところが、昨季は根尾の起用法も迷走していて、ファンも評論家も戸惑いを見せた。根尾と比較されることは少なくなったけれど、今度は土田が出てきたので、土田と比較された。SNSでは土田がえらく持ち上げられたシーズンとなった。

2人とも新天地での活躍が十分期待されているので、良いトレードだったと思う。そのわりには、「なにもそこまでやらなくても…」「中日大丈夫?」といった懸念の声も広がっている。

僕自身も、この間の報じられ方にはモヤモヤするところが多かった。

よほどのことがない限りベースボールネタを扱ってはこなかったこのブログで、あえて書き残すことにしたのは、未だにこの気持ちの整理ができていないからだ。

もっとはっきり言ってしまうと、この間の立浪監督のコメントの少なさに関する違和感である。

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『ここに地終わり、海始まる』 [読書日記]

ここに地終わり 海始まる(上) (講談社文庫)

ここに地終わり 海始まる(上) (講談社文庫)

  • 作者: 宮本輝
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/09/28
  • メディア: Kindle版
ここに地終わり 海始まる(下) (講談社文庫)

ここに地終わり 海始まる(下) (講談社文庫)

  • 作者: 宮本輝
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/09/28
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
【上】大西洋に突き出したポルトガルのロカ岬から、18年ものあいだ結核の療養生活を送っていた天野志穂子のもとに一枚の絵葉書が舞い込んだ。一世を風靡したコーラスグループ「サモワール」のリーダー梶井克哉の書いた言葉が、諦念に縛られていた志穂子に奇蹟をもたらす。人間の生きる力の源泉を描いた力作長編。
【下】志穂子は、親身になってくれたダテコや尾辻玄市のおかげで梶井克哉と会えたものの、絵葉書の宛名が間違っていたことを知ってしまう。しかし、人と交わる暮らしを始めたばかりの志穂子に運命のいたずらが授けた力は、思い屈するすべての人に真っ直ぐ生きる勇気を与え、自らを「恋」の奔流へと導いていく。
【Kindle Unlimited】
半年ぶりに宮本輝作品を読むことにした。偶然が重なるところがかなり多くて、気にする読者は多分気にするだろうが、そこはフィクションなんだし、多少ドラマっぽい演出があってもいいと僕は思うので、あまり気にはならない。この作品が最初に書かれたのは1991年だという。そのようなバブル経済の残影がまだ残っていた時期に、結核療養者がいたという設定にはちょっと驚かされるが、それはそういうのと縁もなく健康に過ごしていた僕のような人間が気付かなかった社会の一側面だったのだろう。

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『進化論はいかに進化したか』 [読書日記]

進化論はいかに進化したか(新潮選書)

進化論はいかに進化したか(新潮選書)

  • 作者: 更科功
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/07/12
  • メディア: Kindle版

内容(「BOOK」データベースより)
『種の起源』が出版されたのは160年前、日本では幕末のことである。ダーウィンが進化論の礎を築いたことは間違いないが、今でも通用することと、誤りとがある。それゆえ、進化論の歩みを誤解している人は意外に多い。生物進化に詳しい気鋭の古生物学者が、改めてダーウィンの説を整理し、進化論の発展を明らかにした。
【購入(キンドル)】
「え?Sanchaiって、こんな本も読むの?」———意外感ありません?

そう、何もなければこういう本は多分読まない。実は、本書を知るきっかけとなったのは、YouTubeチャンネル『東京の本屋さん』で、「コテンラジオ」の深井龍之介さんが、「僕の”認知”が変わった本」として挙げておられた3冊の中に、本書が含まれていたからである。従って、ここに掲載する動画の該当箇所を見れば、本書で何が書かれているのか、概略はある程度は理解できてしまう。


この動画の中で、ダーウィンの『種の起源』が発表された時期というのは、万物は神が造ったという価値観が揺らぎはじめ、科学がライジングしてきた端境期だと深井氏はコメントしている。本書の著者も、あとがきにおいて、「ダーウィンは神への進行を持っていた時期と、神への信仰を失った時期の中間で『種の起源』を書いている。そのため『種の起源』は神学書のようでもあり科学書のようでもある、微妙な内容になっている」(p.348)と述べている。

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『言葉の周圏分布考』 [読書日記]

言葉の周圏分布考 (インターナショナル新書)

言葉の周圏分布考 (インターナショナル新書)

  • 作者: 松本 修
  • 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
  • 発売日: 2022/04/07
  • メディア: 新書
内容紹介
「全国アホ・バカ分布図」の完成から30年! 圧巻の50枚以上のカラー分布図で日本語変遷二千年の謎を解き、方言の豊かさを描き出す。知的興奮とともに、ふるさとの言葉の懐かしさを味わえる1冊。テレビ番組『探偵!ナイトスクープ』の全国アホ・バカ調査で示した分布図で、方言が京都を中心に何重もの円を描いていることを見せ、言語学会を驚かせた著者。その後1991年に全国3000超の市町村へ行った方言アンケートの回答を、膨大な私費を投じて集計、数多くの言葉の分布図を作成した。本書では50数枚の方言分布図を丹念に読み解き、日本語の伝播の経緯と背景にあるストーリーを面白く興味深く描き出す。身近な「どっさり」や「醤油」などの分布図を、方言にまつわるエピソードとともに解説。なかでも源氏物語での「戻る」に注目し、その変遷を史料を駆使してどこまでも深掘りし、波照間島まで旅する論考は圧巻。また、周圏分布の原点に立ち返り、柳田國男が『蝸牛考』でとなえた方言周圏論について検証する。謎解きの強烈な助っ人、「小竹探偵」とのやりとりも楽しい。『全国アホ・バカ分布考』(新潮文庫)、『全国マン・チン分布考』(インターナショナル新書)につづく第3弾!
【購入(キンドル)】
本書は、今年前半に出たのを知っていて、いずれ読もうと思って今日に至っていたもの。1996年発刊の『全国アホ・バカ分布考』は、このブログをはじめるずっと以前、文庫化される前の1993年刊行の単行本を独身の頃に読んでいる。この著者の単著としては、2005年刊行の『探偵!ナイトスクープ アホの遺伝子』を2009年11月に読み、ブログで紹介している。

著者はこの関西のオバケ番組『探偵!ナイトスクープ』の初代プロデューサーを務めた方だが、その番組で「全国アホ・バカ分布図」を取り上げた後もこの方言の分布というテーマを追求し、本書のタイトルにもある、京都を中心とした方言の「周圏分布」を主張し続けてきた民間研究者でもある。

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『原敬』 [仕事の小ネタ]

原敬 「平民宰相」の虚像と実像 (中公新書)

原敬 「平民宰相」の虚像と実像 (中公新書)

  • 作者: 清水唯一朗
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2022/07/20
  • メディア: Kindle版
内容紹介
初の「平民」首相として、本格的政党内閣を率いた原敬。戊辰戦争で敗れた盛岡藩出身の原は苦学を重ね、新聞記者を経て外務省入省、次官まで栄進する。その後、伊藤博文の政友会に参加、政治家の道を歩む。大正政変、米騒動など民意高揚の中、閣僚を経て党の看板として藩閥と時に敵対、時に妥協し改革を主導。首相就任後、未来を見据えた改革途上で凶刃に倒れた。独裁的、権威的と評されるリアリスト原の軌跡とその真意を描く。
【購入(キンドル)】
いつの頃からだっただろうか。たぶん、2007年にインド駐在が始まった頃からだったような気がするが、隔週刊の『ビッグコミックオリジナル』を読むようになった。当時連載がすでに始まっていて、今も続いているのは、かざま鋭二『風の大地』と北見けんいち『釣りバカ日誌』、弘兼憲史『黄昏流星群』、西岸良平『三丁目の夕日』など。連載を長く続けることが読者つなぎ止めのアプローチだといわんばかりの長寿連載だ。しかし、このうち、かざま鋭二さんは体調を崩されて夏から療養に入られ、秋にはお亡くなりになった。今は過去の回のリバイバル掲載が続いている。

最初は、南デリーにあった日本食レストラン「田村」の店内に置かれていた棚にあった雑誌の中から、日本人の来店客が置いて行ったであろう「オリジナル」を拾って、注文待ちの間に読んでいたが、2010年に帰国した後ぐらいから、職場からの帰路に駅のキオスクで「オリジナル」を買って、帰りの電車の中でパラパラめくるようになった。隔週刊なので、マンガを読むのにさほど抵抗があったわけでもない。ちょうどよい息抜きだった。

「オリジナル」には、編集部が重用している作家がいる。現在連載中の作家でいえば、『テツぼん』の永松潔、『スティグマ』の井浦秀夫、シリーズ『父を焼く』の山本おさむなど。他にも、今は連載していないが、自分が知る限り過去に複数の連載を持った作家には、テリー山本、尾瀬あきら、一丸などがいる。

能條純一も重用されている作家の1人といえる。リアルでちょっと怖い描き方をする漫画家で、作風はあまり自分の好みではないが、現在連載中の『昭和天皇物語』は毎号楽しみにしている作品の1つだ。初期に出てきた元老・山県有朋や今も時々登場する西園寺公望は、写真で見るご本人の肖像とすごく似た描き方がされている。その他ほとんどの登場人物が、たぶんそんな感じだったんだろうと思わせるリアルさである。

そんな中で、巷間知られているご本人の写真と作品中での描かれ方が極めて異なる登場人物が1人だけいる。それが原敬である。

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『流浪の月』 [読書日記]

流浪の月 (創元文芸文庫)

流浪の月 (創元文芸文庫)

  • 作者: 凪良 ゆう
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2022/02/26
  • メディア: Kindle版
内容紹介
2020年本屋大賞受賞作———。
愛ではない。けれどそばにいたい。新しい人間関係への旅立ちを描いた、息をのむ傑作小説。
あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。
【購入(キンドル)】
当地が連休のうちに、もう1冊ぐらい小説を読もう―――そう考えて電子書籍を物色し、凪良ゆうの『汝、星のごとく』にちょっと興味が惹かれた。でも、アマゾンのレビュワーさんの声を見ていたら『流浪の月』を推す声も多く、それなら古い方の作品から挑戦しようと考え、後者をダウンロードした。

それで、次にまた凪良作品を読むかと聞かれたら、たぶんもう買ってまでは読まないと思う。いつも贔屓にしている作家の未読作品がすぐに図書館で借りられる状態であるうちは多分そちらを優先すると思うが、もし借りる本に困った時には、凪良作品も選択肢の1つに加えることはあり得ると思う。

嫌いな作風ではないし、文章も読みやすく、読むペースを上げやすい作品だと感じた。また、テーマがどうこうというわけでもない。結局のところ、人の考えていること、思っていること、置かれた事情、過去に起きた事件の当事者から見た事件の真相などは、本人でないとわからない。外野が憶測と自分が信じる常識だけでとやかく言うべきではないということを、改めて痛感させられるような内容だった。

でも、続けざまに作品を読むには正直言えば疲れる。こういったテーマの作品と向き合うにはそれなりの姿勢が必要な気がするので、「気軽に」というわけにはいかない読書姿勢が求められる気がした。


この作品、映画化されて今年前半に日本では公開されていたそうである。ティーザーを見ていると、原作で読んだのとちょっと設定は変わっているけれど、多くのシーンは文章で読んだのと映像のイメージがすごく似ていたのでかえってびっくりした。多部未華子ファンの僕としては、何かの機会に映画も見ることになるだろう。

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