『マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界2』 [読書日記]
内容紹介【コミセン図書室】
今なお続く新型コロナウイルス感染症の流行。国立長寿医療研究センターによれば、コロナ禍で孤独が募ることにより、認知症の人の認知機能の低下リスクは2.7倍に高まったことが報告されています。家族との面会が制限され、面会は窓越しやオンラインが中心。コミュニケーションもマスク越しとなり、そのためか、徘徊や不穏などの症状が悪化してしまうケースが介護現場から数多く報告されています。超高齢社会に突入した日本では、認知症患者が増えつづけており、認知症の人とどう接するかは、多くの人にとって重大な関心事といえるでしょう。
本書は、認知症の人が見ている世界と、周囲の家族や介護者が見ている世界との違いをマンガで克明に描き、困った言動への具体的な対応策を紹介していきます。本書を読んで認知症の人が見ている世界を理解することにより、認知症の人への適切な寄り添い方を知り、毎日の介護の負担を軽減する一助としてください。
なぜだか知らないが、既に第3巻も出ているこのシリーズ、第2巻だけがコミセン図書室に所蔵されている。去年9月のアマゾン介護部門書籍のベストセラー第1位だったそうだから、第1巻を差し置いていきなり第2巻だけを入れたということなのかもしれない。できれば、第1巻も第3巻も入れてほしいものだな。それくらい理解しやすい構成になっている。
本書を手に取ったのは、マンガで開設されていたのが大きいが、3年前の今頃、介護士のお世話になっていた父のことを思い出しながら、あの時どうすればよかったのか、一度考えてみたいと思ったのも理由としてはある。次は義父にも少し認知症の気配が見えてきたこともあるし、僕自身の最近の忘れっぽさとか、物事への集中のできなさとか、これは老いとともにある程度予想されうることなのか、それとも自分の認知能力が低下しつつあるのかとか、自分自身のこととして、気になることもあった。
妻は自分の父親に対してはけっこう厳しいことを言うし、僕に対してもそういうところがある。嫌な感じがすることもあるが、関係を壊したくないから不快感を表明するよりも自分の中で呑み込むことが多い。本書でいうところの「スピーチロック」の軽いバージョンかもしれない。
そういう、認知症の人にやっていいこととやるべきではないことの整理が、本書を斜め読みするだけでもけっこう進んだ気がする。読んだことをその局面局面ですぐに思い出して実践につなげられるかどうかはわからないが、そうでなくても時々パラパラとページをめくり、あの時の自分の取った措置は適切だったのかどうか、振り返ってみるという使い方なら結構有用だろう。
『電子工作真ガイド』 [仕事の小ネタ]
内容紹介【MT市立図書館】
本書は主に月刊『ラジオライフ』の特集や連載で掲載してきた、電子工作やAV機器の改造記事から、特にインパクトのあったものをセレクトし、再編集したムックです。電子パーツや回路記号の基本といった最低限の基礎は抑えつつも、思わずマネしたくなるような工作ネタを詰め込んだ構成になります。初心者向けに丁寧にステップアップして…というよりは、ワクワクできる工作かどうかを重視した構成なのですが、結局のところ、興味の趣くまま手を動かしていくことが、スキルアップの近道になるので、ある意味、究極のビギナー用ガイドかもしれません。かなりスパルタ式ですが(笑)。今回は巻頭企画に、各種イタズラ工作をまとめました。昭和時代の伝説的なネタである「写ル○ですのスタンガン化」をはじめ、100均アイテムを使ったプチ感電装置、赤外線リモコンジャマー…などが並びます。ぜひ自分だけのスペシャルな玩具を作り上げて下さい!なお、別冊付録は秋月電子のキットカタログの最新版。見逃せない新商品に加え、売れ筋の定番商品も収録しているので、1冊持っていると便利です。工作のヒントになりますよ!
この本も、前々回紹介した『電子工作が一番わかる』と同様、藁にもすがる思いで図書館で借りた1冊である。2022年9月に一時帰国した際、書店店頭に置いてあったのをパラパラめくり、面白そうだと思っていたけれども購入には至らず、約1年半を経過した後に図書館で再会することになった。
『美術手帖 2022年2月号』~ケアの思想とアート [読書日記]
内容紹介【MT市立図書館】
医療や福祉の現場における意思決定のプロセスや、ケア労働とジェンダーの問題などが議論されるなかで、自己責任の限界を提唱する「ケア」の概念が注目されてきた。本特集では、介護や子育てといったケア労働を扱った作品から、 他者との関係性のなかにある自己について考える作品まで、広く「ケア」の思想に通じる活動をする作家やプロジェクトを取り上げる。美術はこれまでも、異なる身体や感覚を持つ人々が他者について想像する契機となってきた。コロナ禍により、かつてなく生命の危うさに向き合わざるをえない今日、私たちはいかにして個人主義的な価値観を脱し、ともに生きることができるのか。アートの視点から考えてみたい。
何の気なしに市立図書館に立ち寄り、最初は借りる気がなかったのに、日本を離れていた2年半の間に『美術手帖』ではどんな特集が組まれたのかとふと気になり、書庫を物色して1冊だけピックアップした。
「ケアとアート」という組み合わせに新鮮さを感じた。インタビューや対談等で構成されているのだが、スミマセン、読了から数日経過しているのと、気になった既述に付箋をふるような作業をしてなかったので、具体的にどこの誰の言葉が気になったのかまではここでは書けない。ただ、なんとなくだけれど今ちょっと注目されている障害当事者の方が描かれた絵やデザインを売るビジネスというのに、なんだか新しい境界線を画定しているような違和感があって、それを言語化してくれている記述があったのだけは記憶に残っている。
本書で登場されているアーティストや研究者の方々が、キュレーションや研究プロジェクトの背景にあった考え方とか日頃感じておられたモヤモヤ感を、どうしてこんなに言語化できるのだろうか―――自分がブログで記事を書いていて、そういう、ニッチなところを的確に突いてくるような文章表現がなかなかできないので、僕はこういう本で登場する人々の言語化能力の高さにちょっと圧倒されたところがある。
今読んでいる別の本の中に、「エクストリームを理解することによって、メインストリームを変革することができる」という表現があった。アート作品というよりも、ここでは実装がある程度前提となっているプロダクトデザインの文脈の中での記述だったと思うが、利用する上でのエクストリームなシナリオこそが新しい製品アイデアや操作方法のイノベーションを圧倒的に生み出してきたという指摘を見ながら、それはケアとアートの接点領域においても言えることなのかもしれないと思った。
『電子工作が一番わかる』 [仕事の小ネタ]
内容紹介【MT市立図書館】
電子工作の知識も楽しさも得られる1冊
電子工作は、半導体素子(特に能動素子)を用いた工作のことで、アナログ回路でラジオの製作や、音響機器の製作などを行っていました。その後、デジタル回路が工作に採用されるようになり、デジタルICが登場し、電気で動くものならほとんどつくることができます。本書では、電子工作ができるために必要な知識の習得を目的とし、回路図や配線などの基礎知識を説明します。
今夜から、6カ月のデジタルものづくり人材養成プログラム受講が始まる。自分が今持っているスキルを自己分析してみると、ものづくりに必要なスキルとしては、①3Dデザイン、②電子工作、③プログラミング、④UI/UX(ユーザーインターフェース・ユーザーエクスペリエンス)、⑤機械操作の5つらしいが、このうち今の僕が辛うじてできるのは①と⑤ぐらいで、あとは本当に覚束ない。しかも、講義も実習も、さらに課題の取組み状況やプロジェクトの進捗状況の記録は全て英語で行わねばならない。これから6カ月間、相当な覚悟が必要だ。
年が明けてからの3週間、ドキドキしながら過ごしてきた。手をこまねいていて、開始と同時に怒涛の英語ラッシュにさらされるのは怖いので、少しでも予習できることはないか、藁をもすがる思いで模索を続けてきた。
「電子工作は経験。不安ならとにかくやれ」——先輩方からはそう言われた。「はんだ付けが覚束ないなら、はんだ付けの練習をしろ」とも言われた。それは確かに一理あるので、それはそれで、始めたこともある(最初にやったのは、はんだごてを購入することだったのだけれど)。また、比較的最近発刊されている電子工作入門書で、できるだけ簡単そうなものを、図書館で借りてひと通り読み切ることだとも考えた。市立図書館のHPで検索して、4冊ほどリストアップして、貸出予約した。うち2冊は貸出中だった。ああ、近所に同様に電子工作について勉強しようともがいている人がいるんだと思うと、なんだか嬉しくなった。
『オーグメンテッド・スカイ』 [読書日記]
内容紹介【コミセン図書室】
僕たちは、テクノロジーで世界(CODE)を「書き直す」。片田舎の少年たちが、世界を向こうに仕掛けるゲリラ戦。武器は〈知恵〉と〈友情〉、報酬は〈自由〉。SF小説の旗手が、VR世界大会を舞台に紡ぐ青春ハック小説。2024年、鹿児島。県立南郷高校に通うマモルは、男子寮の次期寮長に指名される。下級生の指導や揉め事の解決など、マモルの負う役割は大きいが、なかでも、学生VR全国大会出場に向けてチームをまとめるのが最重要ミッションの一つである。昨年敗れた先輩たちの雪辱を果たすべく、準備を進めるマモルだったが、大会事務局の対応にある違和感を覚える。同じ頃、アマチュアVRの世界大会「ビヨンド」の存在を知り、自分たちの進むべき新たな道を見出していく。
昨年後半はほとんど本が読めない状態が続いたので、年末を迎える頃には、極端に読むスピードが落ちていた。この1月はそこからのリハビリだとばかりに読書に力を入れ、かなりの冊数の本を読むようにしてきた。
ジャンルも問わず、気になった本はなるべく手に取るようにしてきた。歴史小説もあれば、新書もある。直木賞候補作品もあれば、僕の住む町ゆかりの作家の最新作というのもある。一昨年だったか、「今年はもっとSF作品も読むぞ」と宣言し、藤井太洋の作品を何冊か読んでいたが、振り返ると昨年は『プロジェクト・ヘイルメアリー』ぐらいしか読んでいない。
今月久々に近所のコミセン図書室に行ったら、新着本の棚にいきなり藤井太洋の新作が陳列されていたので、内容はよくわからなかったけれど、取りあえず借りてみることにした。冒頭の内容紹介にもある通り、今回のテーマはVRである。実際にVRゴーグルを装着して、誰かが没入しているところをメタで見るような経験があればもっとイメージしやすかったかもしれないが、残念ながらそういう経験が僕にはないので、十分理解できたわけではない。でも、高校生が1つの目標に向かって数カ月にわたって取り組む姿を追いかけるだけでも十分楽しめるので、SFに造詣がなくても読める作品にはなっている。
『「あまった食べ物」が農業を救う』 [持続可能な開発]
「あまった食べ物」が農業を救う (PHPサイエンス・ワールド新書)
- 作者: 山田 浩太
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2012/05/19
- メディア: 新書
内容紹介【MT市立図書館】
国全体で6割の食料と、大量の肥料を輸入し、その後食料の3割近くを廃棄する国、日本。一方でほとんどを海外に依存している化学肥料は、すでに入手困難が指摘されるものもあり、国際関係の動向にも大きく左右される。膨大な無駄と深刻な危機を乗り越えるのは、生ゴミや家畜糞をきちんと発酵させ、有機質肥料として活用する社会だ。さらに「有機農業」の危険性にも注意を払いつつ、自ら循環型農業に取り組む農業コンサルタントが語る。
この本との出会いは今月初旬に遡る。市立図書館から最初に借りたのは妻である。経緯は詳しくは知らないのだけれど、市の活動助成をもらってコンポストづくりのハンズオンワークショップを妻が企画した。助成金の申請からプレゼンと1人でこなしてきた妻は、いざ助成決定後は今度はワークショップの募集、講師との連絡調整、使用資機材の事前調達、プログラムと当日配布資料の作成、参加者アンケートの作成等の多くの準備を1人でこなしてきた。もちろん協力者はいたのだけれど、助成金をいただいてくるところは僕にも経験がなく、よくやったと敬服した。その後の準備に関しては、その手のワークショップをやたらと企画実施してきた僕から見ていてちょっと肩の力が入りすぎているかなと思った。「案ずるより産むがやすし」だと何度か言ったけれど、「初めてなんだからしょうがないじゃん」とずっと不安がっていた。
先週末、そのワークショップの1回目が終わったので、ホッとしている様子が窺える。僕よりも良質の実践経験を積めたのだから、羨ましいとすら思う。
さて、そんな妻が、空き時間を見つけては、不安を紛らすために読んでいたのが本日ご紹介するこの本である。たぶん、妻の企画していたコンポストづくりのワークショップは、実際に近郊農業で小さな畑を持ってやっておられる参加者が多いので、世帯レベルでの資源循環になっているのだと思われるが、本書の著者が取り組んでいるのは地域レベルでの資源循環の実現で、そうなると生ごみや家畜の糞尿から有機質肥料を作ってもそれを使って下さる農家さんや、作物を買って下さる消費者の理解が必要となる。話が大きくなればなるほど難易度は上がる。
ワークショップ1回目を前に妻が本書を読了して図書館に返却したタイミングで、今度は僕が借りて、ざっと斜め読みをしてみた。
『羆嵐』 [読書日記]
内容紹介【MT市立図書館】
北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現!日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起った。冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音……。自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮彫りにする、ドキュメンタリー長編。
読了の順番は前後するけれど、妻の名前で借りた本は早めに返却した方がいいと思うので、先に書いておく。
日本における史上最悪の獣害といわれる「三毛別羆事件」を扱ったドキュメンタリー小説。昨年の海外駐在時代、テレビとは無縁の生活を送っていた僕の癒しはYouTubeであった。その中の1つに、北海道の廃道・酷道・廃墟探索をテーマで動画配信されている方のサイトがあり、そこで昨年、三毛別羆事件の舞台を車で走るというものがあった。
小学生時代によく学校の体育館や公民館で開かれていた教育映画の上映会で、夜囲炉裏を囲んでいたところをクマに襲われるシーンがあったと記憶している。いきなり壁板をぶち破って入って来るクマの姿が強烈だったので、三毛別の動画を見た時、もしかしたらこの羆事件絡みの映画だったのかなとも思った。でも、調べてみるとやはりわからない。
別に調べたからといってその映画がまた見てみたいと思ったわけではないのだけれど、小学生時代まではよく開かれていた映画上映会も、今はどうなっちゃったのかなと少し寂しい気持ちには駆られる。
三毛別の件は自分の中ではそれでおわっていたのだけれど、先週たまたま妻と2人で市立図書館を訪ねた際、僕は図書館カードを携行しておらず借りる気はなかったのだけれど、貸出図書の返却ラックにたまたま『羆嵐』の表紙を見かけた。単なる偶然だったのだが、これも何かの縁かもしれないと思い、妻の図書館カードで借りることにした。
『マンガでわかるディジタル回路』 [仕事の小ネタ]
内容紹介【MT市立図書館】
半導体技術に必要なディジタル回路を「マンガでわかる」シリーズで学ぼう!本書は、マンガを使ってディジタル回路について解説した入門書です。ディジタル回路とは離散値をとるディジタル信号を扱う電子回路のことですが、通常はHハ(イレベル)とL(ローレベル)、あるいは1と0の2つの信号レベルを扱います。2つの信号だけと一見単純そうに見えますが、この2つの信号を組み合わせて論理ゲートなどいろいろ組み合わせて複雑な回路を作るため、理論を苦手とする人も多くいます。本書では論理演算などの基本的な回路をマンガで直感的に理解できるように解説しています。さらに、組み合わせ回路や順序回路も理論を解説するにとどまらず、設計まで踏み込んで解説しているため、大変実践的な内容となっています。
ブログなどでは2024年の新年の抱負は「読書」以外のことを公表していないのだが、今年は今月から半年間、デジタルものづくりの人材養成プログラムを受講することにしている。主催は米国の財団で、グローバルセッションは1月24日スタートだが、それに先立って今週は4日間のオリエンテーションが行われ、6カ月間をものづくりに捧げる「覚悟」を僕たちに問うてくる。
使用言語は当然英語。しかも時差の関係で日本からオンライン受講となると開始は日本時間の23時。オリエンテーションは1時間だけだから午前零時で終了するが、グローバルセッションに至っては午前2時まで行われる。生活スタイル自体を、これまでの超朝型から、それとは真逆の超夜型に変えないといけない。
6カ月のプログラムの中には、僕も多少のたしなみのあるモジュールもあれば、まったく初心者というモジュールもある。特に、電子回路製作はこれまでずっと避けてきたテーマで、しかも予めスケジュールを確認すると、電子回路はなんと1週間でクリアしなければならない。普通の人なら1週間に15時間程度の時間投入で済む課題だが、僕の場合は倍以上、35時間は必要だと覚悟している。
『変な家』 [読書日記]
内容紹介【娘が先輩から借りた本】
謎の覆面作家・雨穴デビュー作!! 「読み出したら止まらない」と大反響、売れ続けて60万部突破、映画化2024年春公開決定。YouTubeで1200万回以上再生のバズ動画、あの「【不動産ミステリー】変な家」にはさらなる続きがあった!! 謎の空間、二重扉、窓のない子供部屋——間取りの謎をたどった先に見た、「事実」とは!? 知人が購入を検討している都内の中古一軒家。開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に「謎の空間」が存在していた。知り合いの設計士にその間取り図を見せると、この家は、そこかしこに「奇妙な違和感」が存在すると言う。間取りの謎をたどった先に見たものとは……。不可解な間取りの真相は!? 突如消えた「元住人」は一体何者!? 本書で全ての謎が解き明かされる!
妻が友人からもらったという『変な家2』に続き、娘が職場の先輩から借りたという『変な家』もお金を払わずに読むことができた。
ジャンル的にはミステリー小説なので、内容を紹介すればするほどネタ晴らしになってしまいそうだ。だから今日も短めで行かせていただきたい。
『変な家2』がノンフィクションではないとわかった瞬間、作品としての興味は半減してしまったのだが、なにせ去年のベストセラーだから、早々に読めたことには感謝したい。また、映画化もされるそうだけれど、なにぶんホラー映画が苦手で心臓が弱い僕は、こういうのは観ないにこしたことはない。
集中すれば2時間程度で読了することは可能だと思う。ただ、若干恨み節を述べるとすると、後半の種明かしのあたりを読んでいる時に横から妻に何度も話しかけられて、集中して読めなかった。何が何だかわからなくなって、だけど読むペースだけはなるべく落とさぬようにしていたので、はっきり言ってオチが何だったのか自分でもよくわからかった。読了したことは間違いないのだが、話が理解できたかどうかは別の話。一応読了したことにはしておくが、読み直す見込みはほとんどないと思う。
これから読む方へのアドバイスは、終盤の種明かしの部分に来たら、周囲の雑音はシャットアウトしていないと、話がわからなくなりそうなので要注意である。
『八月の御所グラウンド』 [読書日記]
内容紹介【コミセン図書室】
女子全国高校駅伝――都大路にピンチランナーとして挑む、絶望的に方向音痴な女子高校生。謎の草野球大会――借金のカタに、早朝の御所G(グラウンド)でたまひで杯に参加する羽目になった大学生。京都で起きる、幻のような出会いが生んだドラマとは---?今度のマキメは、じんわり優しく、少し切ない。青春の、愛しく、ほろ苦い味わいを綴る感動作2篇
万城目学作品を読むのは久しぶりだ。ちょっと調べてみたら、『鴨川ホルモー』『ホルモー六景』を読んだ2010年1月以来で、実に14年間も読んでいない。
ここまで間を空けると、何を読んでも新鮮に感じる。笑いの要素も込めながら、でも京都にまつわる歴史の一面をぶっこんでくる。ああなるほど、そういう展開か―――読み進めるうちに展開の予想もついてしまうが、それでいて、終わり方がまあまあ心地よい。
どちらも中編。特に本題ともなった「八月の御所グラウンド」は長い。それでも、スラスラ読めてしまうから読み終えるのに時間はさほどかからない。1~2時間の空き時間の穴埋めに、読める作品としてはなかなかおススメ。
これ以上はご勘弁を。これ、語れば語るほどネタ晴らしになってしまいそうなので。