『セブン セブン セブン』 [読書日記]
内容紹介【Kindle Unlimited】
今の子どもたちは、家の周囲に空き地や原っぱもないし、そんな時間もなくなって、「缶蹴り」や「陣取り」をして遊ぶような、幼馴染の世界を失っているけれども、ウルトラセブンをつくっていた人間関係は、それに似ていたと思う。おやじさん(円谷英二さん)はその中で「大将」だった。そしてアンヌは、みんなに可愛がられた『オミソ』のような存在だったのではないか、と今にして思い至るのである。(解説より)
永遠の特撮ヒロイン、アンヌ隊員がホンネで書いたあのころの真実。写真ページを刷新して待望の文庫化!
まあ、Kindle Unlimitedでダウンロード可能だったから読んだわけです。昨年10月はウルトラセブン放映開始55周年だったそうで、YouTube動画でも各回のストーリー解説とか円谷プロのウルトラマン公式チャンネルでウルトラセブンの番組再放送が行われたりしている。このブログ記事を書いている時期はちょうどウルトラセブンの第14、15話「ウルトラ警備隊、西へ」が公式YouTubeチャンネルでは公開されていたのだけれど、これがテレビ放映されたのも1968年1月上旬だったらしいから、本当に55年前の今頃だったことになる。粋な配慮だな。
当時の僕は4歳で、リアルタイムでウルトラセブンをテレビで見ていたのかどうか、記憶が定かではない。親に買ってもらったソノシートで、第18話『空間X脱出』はなぜか聴いていて、「擬似空間」「アマギ隊員」「ソガ隊員」「ベル星人」といったキーワードは、それで覚えたものと思われる。ウルトラセブンが確実にインプットされるのは、むしろその後何度か行われたウルトラシリーズの再放送を通じてのことだったのではないかと思う。
で、なんとなくの流れでウルトラセブンものが何か読んでみたくなり、いちばんお手頃だったのが、Kindle Unlimitedに上がっていたアンヌ隊員役ひし美ゆり子さんの初エッセイ集のリメイク版だったというわけ。これだけでもセブンの撮影裏話はいろいろと知ることができて面白い。
『御社の新規事業はなぜ失敗するのか?』 [読書日記]

御社の新規事業はなぜ失敗するのか? 企業発イノベーションの科学 (光文社新書)
- 作者: 田所 雅之
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2020/02/18
- メディア: 新書
内容紹介【購入(キンドル)】
外部環境が激しく変わり、プロダクトやサービスのライフサイクルがどんどん短命になる現代において、「うちの会社には新規事業は必要ない」と断言できる人は、よっぽど環境が恵まれているか、変化に非常に鈍感かのどちらかだ。少なくとも、本書を見つけた人であれば、新たなビジネスを生み出すことの重要性は、すでに感じているのだろう。それなのに、なかなか一歩を踏み出せない。いざ踏み出すとなっても、及び腰になる――。なぜ新規事業には、ネガティブなイメージがつきまとっているのだろうか? そして、なぜ実際、たいていの新規事業はうまくいかないのだろうか。このような現状を変える方法を本書では明らかにしたい。結論を先に言ってしまえば、「3階建て組織」を実装できるかだ。
本書の著者には『起業の科学』(2017年)というベストセラーがある。ちょうど、ブータンで「スタートアップ」と呼ばれる人々との付き合いが始まって、その付き合いの中で彼らに対して若干の不信感も芽生え始めていた時期でもあったので、日本人的に見た場合の起業の王道みたいなものを一回知っておきたいという気持ちもあって、注目していた新刊だったが、「大きいディスプレイを備えた端末で読む方がいい」という注意書きにも関わらず、キンドル版でも2000円以上するというのでどうしても買う勇気が起きず、先送りにした。
日本に戻ってからも、図書館で借りられないかと何度か試みたが、いずれも長い順番待ちがあるのに怖気づき、結局読むことができずに今日に至っている。そのうちに「ブータン人スタートアップとの付き合い方」という当初の問題意識の優先順位は後退してしまい、そもそも自分自身が定年後にどうするかという別の問題意識が台頭してきている。それに必要なのは起業の知見よりもそもそもの技能の方なので、『起業の科学』に手を出すのは、もうちょっと先でもいいかと思っている。
ただ、今回ご紹介する書籍に関しては、ちょっと内容を見てみたいという気持ちが強く、新書でキンドルでのダウンロードにも向いているかと思ったので、購入に踏み切った。自分自身が起業するというよりも、所属している会社の中での新規事業が進められるか否かの話である。
『世界史を大きく動かした植物』 [読書日記]
内容紹介【Kindle Unlimited】
一粒の小麦から文明が生まれ、茶の魔力がアヘン戦争を起こした――。人類は植物を栽培することによって農耕をはじめ、その技術は文明を生みだした。作物の栽培は、食糧と富を生み出し、やがては国を生み出した。人々は富を奪い合って争い合い、戦争の引き金にもなった。歴史は、人々の営みによって紡がれてきたが、その営みに植物は欠くことができない。人類の歴史の影には、常に植物の存在があったのだ(本書の「はじめに」より)。 【本書の目次より】コムギ――一粒の種から文明が生まれた/イネ――稲作文化が「日本」を作った/コショウ――ヨーロッパが羨望した黒い黄金/ジャガイモ――大国アメリカを作った悪魔の植物/ワタ――「羊が生えた植物」と産業革命/チャ――アヘン戦争とカフェインの魔力/ダイズ――戦国時代の軍事食から新大陸へ/チューリップ――世界初のバブル経済と球根/サクラ――ヤマザクラと日本人の精神……
今から20年以上前、僕がまだブログというものを知らなかった時代、エリック・ドゥルシュミート『ヒンジ・ファクター』『ウェザー・ファクター』という2冊の本を読んだことがある。それぞれ、「幸運と愚行は歴史をどう変えたか 」「気象は歴史をどう変えたか」というサブタイトルが付いており、どちらも面白くて一気に読んでしまったのを覚えている。アラフォーの時代から、僕はそこそこの読書愛好家だったのだ。
それ以降も、「〇〇の世界史」という類の、何らかの切り口をもって世界史(時には日本史)を解説する本に出会うと、なんとなく読んでみたくなる自分がいる。要は歴史が好きなのだ。ましてや、そんなタイプの書籍がKindle Unlimitedで読めるとあらば、飛びつかない手はない。
本書で扱われている植物は以下の通りだ。「コムギ」「イネ」「コショウ」「トウガラシ」「ジャガイモ」「トマト」「ワタ」「チャ」「サトウキビ」「ダイズ」「タマネギ」「チューリップ」「トウモロコシ」「サクラ」———。海外駐在生活、あるいはこれまでに自分が関わった仕事の中で、接点があった植物が結構多い。「トウガラシ」「ジャガイモ」「トマト」などは中南米起源らしいし、「タマネギ」は中央アジア起源らしいが、それらをいずれも今住んでいるブータンで見かけるというのには、ちょっとしたらロマンも感じる。伝播の歴史がきっとある筈なのだ。「ワタ」はその起源と言われるインドでの仕事でお世話になった。
『君と会えたから……』 [読書日記]
内容紹介【Kindle Unlimited】
将来に対する漠とした不安を抱えながらも、自分のやるべきこともやりたいことも見つけられずに何もせず、無気力に過ごしていた平凡な高校生の僕のもとに、ある夏の日、美しい女の子がやってきた。そして、彼女から、その後の僕の人生を変える教えを聞くことになる。いつしか彼女に恋心を募らせていた彼の前に次第に明らかになっていく彼女の秘密とは……
Kindle Unlimitedだったから読んだ。自分の子どもたちが中高生だった頃に読ませたいような自己啓発系の小説で、還暦前の自分自身には今更感があるし、病魔に侵されていた女の子がこれだけ啓発的な言葉を理路整然と長セリフで言ったり書いたりできるのかと、突っ込みたくもなったのだが、まだスポンジのように柔軟な中高生なら、きっと響くのではなかろうか。
ただ、そんな自分の子どもたちも、いちばん下でも今や大学生で、本書を読ませるにはもはや遅い。20代は20代のうちに読むのに相応しい本が他にもある筈だ。
喜多川泰×ディスカバー・トゥエンティワンといったら、自己啓発系小説の鉄板のような組合せだ。そもそも中高生が入っていきやすいストーリーから入って、登場する同世代の人物からその啓発的メッセージを語らせるか、あるいは大人の場合は主人公の中高生に何らか試練を与えて、それで主人公自身に気付きを促すといった展開が多い気がする(サンプル数は少ないが)。
定年後は中高生とちょっと関わるような仕事をしたいと考えているので、引き続き中高生受けしそうなおススメの本のリサーチは時々やっておきたい。
『さいはての彼女』 [読書日記]
内容紹介【Kindle Unlimited】
25歳で起業した敏腕若手女性社長の鈴木涼香。猛烈に頑張ったおかげで会社は順調に成長したものの結婚とは縁遠く、絶大な信頼を寄せていた秘書の高見沢さえも会社を去るという。失意のまま出かけた一人旅のチケットは行き先違いで、沖縄で優雅なヴァカンスと決め込んだつもりが、なぜか女満別!? だが、予想外の出逢いが、こわばった涼香の心をほぐしていく。人は何度でも立ち上がれる。再生をテーマにした、珠玉の短篇集。
前回ご紹介した通り、僕は「1ヵ月10冊」の最低ノルマをこなすために、池井戸潤『下町ロケット』の四部作のうち、第二作以降を通しで読むという行動に出た。この流れで行けば、僕のキンドルに入っている過去の池井戸作品でも読んで冊数の荒稼ぎでもしようかとなりそうなところだったが、そこでたまたま、これまた時々読んでいる原田マハの作品が、Kindle Unlimitedに挙がっているのに気付いた。
「さいはて」とあるぐらいだから、たぶん北海道が舞台として出てくる作品だろう。(余談だが、「さいはて(最果て)」といったら、別に九州の最南端だってそうとは言える筈なのに、どうしても北の果てを連想してしまうのはなぜなんだろうか…)
北海道で本の仕事をしている親友との話のネタにでもしようと考え、急遽予定を変更して読んでみることにした。収録されているのは4作品のみで。184頁と比較的薄めのボリュームだが、短編というよりは中編に近い。ちょっと息抜きで読もうとしても、1話読了するにはそれなりの時間が必要となる。収録されたどの作品も主人公は女性だが、最初の3作品(「さいはての彼女」「旅をあきらめた友と、その母への手紙」「冬空のクレーン」)は、恋と仕事に疲れた30代のキャリアウーマンが旅に出るお話。残る「風を止めないで」だけは、前3作と違い、旅に出た夫や娘を見送る50代か40代後半(?)の女性のお話となっている。
『定価のない本』 [読書日記]
内容(「BOOK」データベースより)【購入(キンドル)】
神田神保町―江戸時代より旗本の屋敷地としてその歴史は始まり、明治期は多くの学校がひしめく文化的な学生街に、そして大正十二年の関東大震災を契機に古書の街として発展してきたこの地は、終戦から一年が経ち復興を遂げつつあった。活気をとり戻した街の一隅で、ある日ひとりの古書店主が人知れずこの世を去る。男は崩落した古書の山に圧し潰されており、あたかも商売道具に殺されたかのような皮肉な最期を迎えた。古くから付き合いがあった男を悼み、同じく古書店主である琴岡庄治は事後処理を引き受けるが、間もなく事故現場では不可解な点が見付かる。行方を眩ました被害者の妻、注文帳に残された謎の名前―さらには彼の周囲でも奇怪な事件が起こるなか、古書店主の死をめぐる探偵行は、やがて戦後日本の闇に潜む陰謀を炙りだしていく。直木賞作家の真骨頂と言うべき長編ミステリ。
長年の親友が推していた本。本が好きな人、神田神保町にお世話になっている人にはお薦めの作品である。神田神保町がなんで本の街、古書の街になっていったのか、その歴史がわかるだけでなく、古書店に陳列されている古書に対する見方も変わるだろう。丸善の商売や人材養成のシステム、白木屋デパートの位置付け、皇居にある楠木正成像など、ところどころでトリビアもさしはさまれていて、かなり満足感の得られる内容だった。
物語自体はフィクションだけれど、ところどころで実在の有名人をストーリー展開に絡めてくる。それらが伏線としてちりばめられていて、それらもいい具合に終盤回収されていく。エンタメ小説として読む分には面白いと思う。
『和僑』 [読書日記]
内容(「BOOK」データベースより)【購入(キンドル)】
宮城県緑原町に老人定住型施設「プラチナタウン」が開設され四年。町は活気を取り戻し居住者は増えた。だが、町長の山崎は不安を覚えていた。いずれ高齢者人口も減り、町は廃れてしまう―。山崎は、役場の工藤とともに緑原の食材を海外に広め、農畜産業の活性化を図ろうとする。だが、日本の味を浸透させる案が浮かばず…。新たな視点で日本の未来を考える注目作!
『プラチナタウン』の続編だということで、10年前に前作を読んでいた者としては、続編を読まないわけにはいかない。前作を読んだ当時も、これって一時的には効果があるけれども根本的な課題解決にはならないだろうなとは予想はしていた。いくら元気な高齢者を外から集めてきて需要を創出したからといって、その高齢者が20年もしたらどんどん鬼籍に入るし、国はこういう成功事例にはすぐに飛びついて、こういう事例を全国各地で増やそうと奨励するから、必ず競争が起きる。
ただでも縮小していくパイを増えていくプレイヤーが争奪するという構図で、絶対サステナブルじゃない。そういう感覚は、ちょっと人口学をかじって冷静に見ている者ならわかるのだが、今が良ければそれでよいと思っていそうな地元の住民にとっては、なかなか理解してもらいづらい。
次期町長選挙も絡んでくるので、細かいところでのストーリーの展開には読めないところもあったが、冒頭の紹介文にもあるような方向で、一応落ち着いていく。エンディングは予想通りだが、予想通りであったとしても読後感はまずまずだった。
『月光の東』 [読書日記]
内容(「BOOK」データベースより)【購入(キンドル)】
「月光の東まで追いかけて」。出張先のカラチで自殺を遂げた友人の妻の来訪を機に、男の脳裏に、謎の言葉を残して消えた初恋の女性の記憶が甦る。その名前は塔屋米花。彼女の足跡を辿り始めた男が見たのは、凛冽な一人の女性の半生と、彼女を愛した幾人もの男たちの姿だった。美貌を武器に、極貧と疎外からの脱出を図った女を通し、人間の哀しさ、そして強さを描く傑作長編小説。
「月10冊」のノルマを死守すべく、今月末に向けた駆け込みで読んだのが再びの宮本輝作品。選んだ理由は、単にタイトルに惹かれたからだ。結局、「月光の東」が何を指すのかはよくわからなかったのだけれど、作中に出てくる「白い月がかかった薄青い空をバックにそびえるチョモランマ」の写真は、僕も見たことがあり(但し、ネパール側でのエベレストは「サガルマータ」と呼ばれていたと思うが…)、少しばかりの懐かしさも感じる作品だった。
作中の登場人物のうち、今の僕は元画商・元馬主である津田に近い年齢である。そのためか、主要登場人物の出来過ぎた人柄、複雑な思考回路、そして重ねた年輪、どれにも至らない自分自身の物足りなさを突き付けられた気もして、読後感はあまりよろしくなかった。僕は絵画のことも陶器のことも、サラブレッドへの投資のこともわからないし、ワインの知識もない。クリームコロッケのおいしさもわからない。サラブレッドのことは、競馬をかじったことがあったので多少はわかるが、複勝ころがしのことも、馬産地のことも、生産者と馬主・調教師の関係もよくわからない。そういう仕組みもわかった上で、運用もできるのが還暦を迎えようとする大人の人間なのだと作者が思っているとしたら、俺の歩みなんてダメダメだなぁ~と、抱くのは劣等感ばかり。
一方で、五十路前とはいえ作中の杉井の行動は、僕にはまだ理解しやすいところはあった。ただ、40代後半ぐらいの自分を振り返った時、やっぱり仕事上は杉井ほどの立場にもなかった。仕事帰りにバーで軽く一杯なんて日が、週に3回もあるような生活はしてなかった。
要するに、作中のどの登場人物と比べたとしても、僕は大したことない。宮本輝って、なんでこんなにできた人ばかりを登場させるのだろうか。そして、それが彼が描く作品の登場人物の1つの基準だとしたら、作品を読み続けるのはちょっとしんどいなぁという思いが増してきた。もうちょっと、等身大の人間を多く登場させてくれないですかね(笑)。
『ここに地終わり、海始まる』 [読書日記]
内容(「BOOK」データベースより)【Kindle Unlimited】
【上】大西洋に突き出したポルトガルのロカ岬から、18年ものあいだ結核の療養生活を送っていた天野志穂子のもとに一枚の絵葉書が舞い込んだ。一世を風靡したコーラスグループ「サモワール」のリーダー梶井克哉の書いた言葉が、諦念に縛られていた志穂子に奇蹟をもたらす。人間の生きる力の源泉を描いた力作長編。
【下】志穂子は、親身になってくれたダテコや尾辻玄市のおかげで梶井克哉と会えたものの、絵葉書の宛名が間違っていたことを知ってしまう。しかし、人と交わる暮らしを始めたばかりの志穂子に運命のいたずらが授けた力は、思い屈するすべての人に真っ直ぐ生きる勇気を与え、自らを「恋」の奔流へと導いていく。
半年ぶりに宮本輝作品を読むことにした。偶然が重なるところがかなり多くて、気にする読者は多分気にするだろうが、そこはフィクションなんだし、多少ドラマっぽい演出があってもいいと僕は思うので、あまり気にはならない。この作品が最初に書かれたのは1991年だという。そのようなバブル経済の残影がまだ残っていた時期に、結核療養者がいたという設定にはちょっと驚かされるが、それはそういうのと縁もなく健康に過ごしていた僕のような人間が気付かなかった社会の一側面だったのだろう。
『進化論はいかに進化したか』 [読書日記]
内容(「BOOK」データベースより)【購入(キンドル)】
『種の起源』が出版されたのは160年前、日本では幕末のことである。ダーウィンが進化論の礎を築いたことは間違いないが、今でも通用することと、誤りとがある。それゆえ、進化論の歩みを誤解している人は意外に多い。生物進化に詳しい気鋭の古生物学者が、改めてダーウィンの説を整理し、進化論の発展を明らかにした。
「え?Sanchaiって、こんな本も読むの?」———意外感ありません?
そう、何もなければこういう本は多分読まない。実は、本書を知るきっかけとなったのは、YouTubeチャンネル『東京の本屋さん』で、「コテンラジオ」の深井龍之介さんが、「僕の”認知”が変わった本」として挙げておられた3冊の中に、本書が含まれていたからである。従って、ここに掲載する動画の該当箇所を見れば、本書で何が書かれているのか、概略はある程度は理解できてしまう。
この動画の中で、ダーウィンの『種の起源』が発表された時期というのは、万物は神が造ったという価値観が揺らぎはじめ、科学がライジングしてきた端境期だと深井氏はコメントしている。本書の著者も、あとがきにおいて、「ダーウィンは神への進行を持っていた時期と、神への信仰を失った時期の中間で『種の起源』を書いている。そのため『種の起源』は神学書のようでもあり科学書のようでもある、微妙な内容になっている」(p.348)と述べている。