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『ぶらぶらミュージアム』 [読書日記]

ぶらぶらミュージアム (散歩の達人POCKET)

ぶらぶらミュージアム (散歩の達人POCKET)

  • 作者: 大田垣晴子
  • 出版社/メーカー: 交通新聞社
  • 発売日: 2018/01/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
ゆるく学ぶ、アートを作る、貴重な体験をする、のんびり散歩する、憩いの場として活用する……などなど、新しい楽しみ方を提案するのがこの本のコンセプト。 月刊『散歩の達人』の連載(2013年6月号~2017年11月号)をベースに、大量の加筆修正を施した、初心者にやさしく、上級者には目から鱗の一冊です。 時折、ミュージアム以外ものってますが、そういう意味でもゆるめなのです。

この三連休のうち、最初の2日は自宅に引きこもって過ごした。心配された台風19号の被害は、僕の住む地域では最小限で済んだ。低地や河川に近い地域では浸水や堤防決壊の被害で大変なことになっており、影響を受けた皆さまにはお見舞い申し上げたいと思う。

台風がなければ、この三連休、何をやっていただろうかと考えてみる。ここ数週間、論文の原稿を書いたり、学会発表の準備をしたり、実際に学会に出て発表をやったりして過ごしてきた。何もやらない週末は久しぶりだったので、ずっと懸案だった未来館にでも行ってくるかと考えていた。あるいは、ジャンル的にまったく場違いなテーマの読書とか。

結局外出もままならない週末だったので、最初の2日間は、自分が非常勤で教えている大学院の担当講座の履修生指導をやった以外は、読書をしていた。

そこで息抜き、というか読書メーターのページ数積上げを狙って読んだ本がこれである。2週前に近所のコミセンで借りていた3冊の中の1つで、いちばん後回しにしていた。イラストばかりなので、読むのは簡単だと思っていたので。

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『死ぬこと以外かすり傷』 [読書日記]

死ぬこと以外かすり傷

死ぬこと以外かすり傷

  • 作者: 箕輪 厚介
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2018/08/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
予約開始即、Amazonベストセラー総合1位!超速の12万部突破!「スッキリ」(日本テレビ系列)、「サンデージャポン」(TBS系)等TVで紹介されて話題沸騰!!「2019 若い人に贈る読書のすすめ」(全24冊/公益財団法人 読書推進協議会 選)選定図書!
NewsPicks Book編集長 箕輪厚介の初の著書。ベストセラー連発! わずか1年で100万部突破!天才編集者の革命的仕事術がここに明かされる!堀江貴文『多動力』、落合陽一『日本再興戦略』、佐藤航陽『お金2.0』、前田裕二『人生の勝算』など、最前線で戦う起業家の著書を次々にベストセラーにしてきたその「剛腕」の秘密。
幻冬舎に身を置きながらも月給の20倍もの収益を副業で稼ぎだす方法。オンラインサロン「箕輪編集室」を主宰し、1300名を集め、さまざまなイベントやプロモーションで「熱狂」を生み出していく手法。本書では新時代の哲学を体現する箕輪氏の「働き方」を、32の項目として立てて紹介する。

去年の今頃出た本で、なんだかすごく売れたという印象だけが当時はあった。そのタイトルだけを見て、世界中バックパッカーとして旅して、紛争地でも死にかけるような体験をして、時にはスラムで雑魚寝して、時にはこっぴどい下痢にやられて動けなくなり、そして時にはデングかマラリアにやられて生死の淵をさまよったり…そんな経験でもされた人の本なんだろうなと勝手に想像していた。

そんな本が近所のコミセンの図書室にあったので、これも何かの縁かなと思って借りてみることにした。あらら、著者はあの見城徹率いる幻冬舎の編集者なんだ。それじゃあハチャメチャ冒険野郎の本じゃないな。読み始めたら、海外で冒険はしてないけど、国内でやられていることはハチャメチャであった。タイトルだけ見て僕は誤解していたわけだけど、本書を読んでも、著者の言う「死ぬこと」の定義が何なのかは出てこない。それを言うなら著者の経験の何をもって「死ぬこと」と「かすり傷」の境界をさまよったといえるのかも書かれていない。タイトルの付け方で本の売れ方は変わるといわれるので、このタイトルに釣られて手に取ってしまった僕は、著者のまいた餌にまんまと引っかかったというわけだ。

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『ライフ』 [読書日記]

ライフ

ライフ

  • 作者: 小野寺 史宜
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2019/05/28
  • メディア: 単行本
内容紹介
アルバイトを掛け持ちしながら独り暮らしを続けてきた井川幹太27歳。気楽なアパート暮らしのはずが、引っ越してきた「戸田さん」と望まぬ付き合いがはじまる。夫婦喧嘩から育児まで、あけっぴろげな隣人から頼りにされていく幹太。やがて幹太は自分のなかで押し殺してきたひとつの「願い」に気づいていく――。誰にも頼らず、ひとりで生きられればいいと思っていた青年が、新たな一歩を踏み出すまでを描いた胸熱くなる青春小説。

ここのところ小難しい本ばかりを紹介してきたから、たまにはこういうのもいいよね。

読みながら、吉田修一『横道世之介』と比較しちゃっている自分に気付いた。『続 横道世之介』も読んでるけど、いずれの印象も、「どこにでもいそうで、なんだかイイ奴なんてキャラは結構沢山いるし、それが何で皆の記憶にこれほど残るのかが理解しづらかった」とか、「周囲の人々が彼に一目置く理由があまりよくわからなかった。読込み不足かな」とかいったことだった。特に『続~』の方は世之介に毒があって、「なんだかイイ奴」なんてとても思えなかった。

それに比べれば、本作品で出てくる井川幹太は「なんだかイイ奴」だと思える。どこにでもいそうだが、少なくとも彼に絡んだ人には確実に好印象を残している。幹太を主人公にして一人称で描き、その心の中もわかるように描かれているのもいい。本当にどこにでもある話だし、カタルシスのあるエンディングではないけれども、なんだかいい気持ちで本を閉じることができた。

オジサンが読むような小説じゃないかもしれないが、息抜きには良かった。


タグ:小野寺史宜
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『帝国ホテル建築物語』 [読書日記]

帝国ホテル建築物語

帝国ホテル建築物語

  • 作者: 植松三十里
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2019/04/10
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
1923年(大正12年)に完成した帝国ホテル2代目本館、通称「ライト館」。「東洋の宝石」と称えられたこの建物を手掛けたのは、20世紀を代表する米国人建築家、フランク・ロイド・ライトだった。世界へと開かれた日本において、迎賓館の役割を果たしていた帝国ホテル。そのさらなる進歩を目指す大倉喜八郎と渋沢栄一が、明治末期、アメリカで古美術商として働いていた林愛作を帝国ホテル支配人として招聘したことから、このプロジェクトは始まった。しかし、ライト館完成までの道のりは、想像を絶する困難なものだった―。ライト館の建築にかけた男たちの熱い闘いを描いた、著者渾身の長編小説。

先々週末、近所のコミセンの図書室に寄った際、何気なく借りた本。植松三十里作品は昔、富岡製糸場の初期の製糸工女・尾高勇を主人公にした『繭と絆』を読んでいたし、パラパラとページをめくっていたら伊藤博文とかチラッと出てきたので、それなら借りようかということになった。同時に借りたのが、重松清『木曜日のこども』である。

結局、『木曜日の子ども』の方から先に読み始めちゃった。それで先週1週間を費やしてしまったのだが、11日になって『帝国ホテル建築物語』を読み始めて、プロローグでライト館の明治村への移設の話が出てきたとき、僕はこの読み方の順序を逆にしていればよかったと激しく後悔した。

先週木曜日(5日)、僕は愛知県犬山市に行っていたのである。用があったのは犬山といっても市の南部の方面だったが、名鉄線の乗継で犬山駅は使っていたので、明治村は目と鼻の先だった。用務を済ませて、ちょっと足を延ばせばライト館は見てくることができたのだ。それに加えて、明治村のことをもうちょっと調べてこの日の用務に臨んでいれば、用務先での会話の中でもそれを生かすことができたかもしれない。大げさかもしれないが、ちょっと自分の将来を左右したかもしれない。

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タグ:植松三十里
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『仕事にしばられない生き方』 [読書日記]

仕事にしばられない生き方 (小学館新書)

仕事にしばられない生き方 (小学館新書)

  • 作者: ヤマザキ マリ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/10/03
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
チリ紙交換のバイトに始まり、絵描き、大学教師、テレビリポーター、普通の勤め人等々、経験した職業は数知れず。働き方を考え続けてきた漫画家が体験を元に語る、仕事やお金との向きあい方。好きな仕事ならばどこまでもがんばるべきなのか。金にならない職業をいつまで続けるか、などについて考察。さらに、契約を軽視する日本の慣行についても言及。「働くこと」を考えるヒントが満載の体験的人生論!

『テルマエ・ロマエ』の原作者の描かれた人生論。「人生論」とあるけれど、僕はヤマザキマリの自叙伝として読ませていただいた。相当に壮絶な生き方をされている人だが、真似できるかといわれれば、多分難しいだろうなと思う。

以前、「好きな仕事ならば頑張れる」という逆の主張をされている方の本を読んだことがある。アドレナリンが出ている時は確かに多少の無理はきくというのを僕自身も経験しているので、僕にとっては腑に落ちる主張だった。ヤマザキマリさんの場合も、そうした無理の仕方をされていたようだが、それが真逆の結論に至るのは、仕事を引き受けすぎて体を壊し、家庭も崩壊寸前まで行ってしまったからである。

ふつうの人だと、好きな仕事はさせてもらえるうちが華だから来た仕事は引き受けるというような、発注者が「余人をもって代えがたし」と思ってその人のところにまでアプローチする、ずば抜けた知識や才能といったものを持った自営業主的な仕事のスタイルをそもそもあまりとらないのではないかと思う。いや、いるかもしれないけれど、僕自身が今は自営業主ではないので、この辺のことを言われても響かないのである。

むしろ、嫌な仕事であっても仕事があるだけましと考えねばならない状況にあるのではないだろうか。

個人的には、自営業主的生き方には憧れる。1年の何カ月はこの仕事、他の数カ月は別のこの仕事とか、あるいは1週間のうち何時間はこの仕事で何時間は別のこの仕事、といった具合に、自分の持ち時間を何にどう配分したらいいかを考えられたらいいと思う。老後を考えたら時間配分すべきは「仕事」ばかりじゃないとも思う。アウトプットを出すことばかりに時間を割かないで、インプットにも時間を割きたいとかも考える。(「読書してインプットしてんじゃね~か」というツッコミはあるかもしれないが。)

思うに、著者は10年以上に及ぶイタリア留学時代に相当なインプットをしてしまったので、その後体を壊すまで、アウトプットばかりへの時間配分を余儀なくされたんじゃないか。ふつうはそれほど強烈なインプットオンリーの期間はないので、そこまで独特な知識や作風を編み出すところまではたどり着けないのではないかと思う。

なので、自叙伝と割り切って拝読した。読んでおくと、彼女の作品の味わい方が増すかも。

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『それでも空は青い』 [読書日記]

それでも空は青い

それでも空は青い

  • 作者: 荻原 浩
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/11/29
  • メディア: 単行本
内容紹介
人と人の組み合わせの数だけ、物語がある―― 読めば心が軽くなる傑作集!
バーテンダーの僕は、骨折で入院した先の看護師の彼女に恋をした。退院後、何度かバーを訪ねてくれたものの、バツイチ7歳年上の彼女との距離はなかなか縮まらない。なぜなら彼女は“牛男”と暮らしているようで……(「僕と彼女と牛男のレシピ」)。
人間関係に正解なんてない――人づきあいに悩む背中をそっと押してくれる7つの物語。

前述の放送大学オンライン講座の終了試験が無事終わったし、もう1つ今週末にやりたかった秘密の作業にも予想よりも早めに目途がつきそうだったので、久しぶりに息抜きで小説でも読むことにした。選んだのは荻原浩の短編。先週末にコミセンの図書室で借りてあったのだけど、読めるのは遅めの夏休みに入る今週後半からかなという気がしていた。実際にはそれよりも数日早く読みはじめ、そして読み終わった。

夏休みの読書としては最適だったかも。荻原さんの作風がうまく出ていて、読後感もいい。「人生はパイナップル」は、甲子園の準々決勝の試合中継を時々チェックしながら読むこととなった。「スピードキング」も「僕と彼女と牛男のレシピ」も野球絡みの作品である。そういうのを、甲子園と同じ時期に読むっていうのもなんかの偶然だ。

どれも良かったと思うのだけれど、でもすみません、僕的にいちばん良かったのは「妖精たちの時間」でした。登場した主人公は僕よりも少なくとも15歳は若いのだけれど、同窓会と高校時代をつなげる作品ってのも、今の季節には合ってるかなと思うし、ちょっと意外な展開だったけど、あの静けさっていいなと思う。

それにしても、妖精だの幽霊だのがよく出て来る本だったな。

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『大人の週末起業』 [読書日記]

大人の週末起業

大人の週末起業

  • 作者: 藤井 孝一
  • 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
  • 発売日: 2019/05/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
ベストセラー『週末起業』から16年、令和の時代に待望の“大人版”が満を持して登場!サラリーマンは会社にいながら自分のビジネスを始めなさい。誰も教えてくれなかったあなたの「経験」「人脈」「趣味」をお金に換える方法。

2003年に出た『週末起業』、僕は2010年に二度にわたって読んだ。あの本は起業関係の本の中では最も共感できる1冊で、今でも時々読み返したくなる。そんな気持ちがあって、我が家の蔵書になっているちくま新書を書棚で探し始めたのとちょうど同じ頃、著者が16年ぶりの関連書を出したというのを知った。昔の蔵書を読み直すのもいいが、本書はどうも僕ら50代読者を想定して書かれているらしい。今読むなら後者だろうと判断し、さっそくキンドルで購入して読み始めた。

期待通りの1冊であった。今感じている自分のニーズには合っているし、提示されている方法論についても、無理のないものだと感じる。現在の僕の生活スタイルを振り返った時、おそらく変えて行かねばならないのはこのブログの活用方法だというのもなんとなく感じた。このブログが今のままではいけないのではないか、PV累計500万に到達した今、このブログを改装してビジネスツールにできないものかとは思っていた。ここ数カ月は自分の本の原稿を書くのに必死だったので、自由な時間のほとんどをそれに費やしてきていた。それが山を越えた今、次のステップとして考えておくべきはこのブログの改装、あるいは目的別に複数のブログに分離することなのかなという気がしてきている。

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『老後の資金がありません』 [読書日記]

老後の資金がありません (中公文庫)

老後の資金がありません (中公文庫)

  • 作者: 垣谷 美雨
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/03/23
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
「老後は安泰」のはずだったのに! 後藤篤子は悩んでいた。娘の派手婚、舅の葬式、姑の生活費…しっかり蓄えた老後資金はみるみる激減し、夫婦そろって失職。家族の金難に振り回されつつ、やりくりする篤子の奮闘は報われるのか?ふりかかる金難もなんのその、生活の不安に勇気とヒントをあたえる家計応援小説。

あまりにもタイムリーな読書。数カ月前から僕の読友がFacebookで薦めはじめ、いつかは読もうと思っていたら、近所のコミセン図書室で偶然見つけてすぐ借りることができた。「老後の資金不足2000万円」という例の金融庁審議会報告書のおかげで、本書にも余計な注目が集まっていたに違いないこの時期、まさか借りられるとは思っていなかった。

垣谷作品も5作目ともなると、なんとなくパターンが見えてきていて、序盤から中盤にかけて主人公を奈落の底に陥れる様々な出来事が起こり、そこで明確にターニングポイントになる出来事が起こり、そこから終盤に向けた展開は、「V字回復」と表現したくなるような劇的なもので、何もかもがプラスに働いていくようになる。そういうポイントが作品の中観にかならずある。そこに至るまではこれでもかこれでもかという不利な出来事の連続で、読み進めるのもつらくなるが、ターニングポイントをクリアした瞬間がわかると、あとの展開はワクワクしながらページをめくり続けられる。

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タグ:垣谷美雨
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『平場の月』 [読書日記]

平場の月

平場の月

  • 作者: 朝倉かすみ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2018/12/13
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
朝霞、新座、志木―。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。須藤とは、病院の売店で再会した。中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。50年生きてきた男と女には、老いた家族や過去もあり、危うくて静かな世界が縷々と流れる―。心のすき間を埋めるような感情のうねりを、求めあう熱情を、生きる哀しみを、圧倒的な筆致で描く、大人の恋愛小説。

この本、近所のコミセン図書室で偶然借りられた直後、なんと直木賞候補作品にノミネートされた。過去に直木賞を受賞した作品との比較において、またこれまで少ないながらも読んだ朝倉作品との比較において、これで選ばれないのもどうかという気は確かにする。

50代、年老いた親の介護、子の成長と独立、癌と死―――扱っているキーワードは一時期の重松清作品と近いが、彼の受賞作『ビタミンF』よりは高く評価する。重松作品はちょっと泣かせるための押しが相当入るが、『平場の月』の場合は冒頭ですでに須藤が大腸がんで亡くなることを明示し、それに向かって静かに流れていく時間が描かれている。一気に泣かせる描き方ではなく、静寂の中でじわじわ効いてくる泣かせ方である。僕はあまり読書してて泣くタイプの読者ではないけれど、同じ時代を生きている同年代の読者として、抱く共感は大きい。50代のオジサンにはやられた感が大きい作品だった。

朝倉作品にはありがちかなと思うのは、冒頭で出てくる人物と人間関係のごちゃつきであった。そこを我慢してやり過ごせば、あとの展開は時系列に沿っているので比較的読み進めやすい。適宜冒頭部分に戻って読み直し、「そういうことか」と理解して行くのである。また、時折中学時代の回想シーンが出てくるが、青砥が「付き合って下さい」と須藤に告げた時の須藤の不可解な言動が、どのような背景で生まれてきたのかもその中で語られていく。うまく効いていると思う。

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タグ:朝倉かすみ
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『まちの病院がなくなる!?』 [読書日記]

まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生

まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生

  • 作者: 伊関 友伸
  • 出版社/メーカー: 時事通信出版局
  • 発売日: 2007/12/01
  • メディア: 単行本
内容紹介
「残念ながら、わが国の地域医療の崩壊は、一過性のものではなく、今後、さらに深刻なものになると思われる。日本の地域医療の崩壊を食い止めるためには、国民すべてが、医療現場で起きていることを、人ごとではなく、自らのものとしてとらえること、何が問題なのかを「言葉」にして他人に伝えていくこと、自ら積極的に行動していくことが必要と考える。

読書メーターの「根雪」的蔵書解消プロジェクトの第3弾。これまでのところ最も古くからの根雪で、購入時期は2009年頃である。この頃、僕はインドに駐在していて、わけあって日本の地域医療の問題点について調べていた。その一環でアマゾンで購入したのだが結局駐在期間中には読むことができず、日本に持ち帰ってそのまま本棚に直行してしまった。

こういう時事ものって、旬を逃すと書かれている内容が現在もイキなのかというので悩んでしまう。本書は発刊から既に12年が経過している。当時としては新しい議論で、2006年に起きた夕張市立総合病院の経営破綻を契機に、自治体病院の実態について注目が集まっていた時期であった。

僕がこんな本を購入したのもそういう背景があったのことだが、発刊から12年も経った今、いざ読み始めてみると、当時の問題点の分析もさることながら、それで今はどうなっているのかの方が知りたくなってしまった。著者の書籍刊行は2014年で止まっている。そこで、著者が運営している「伊関友伸のブログ」も覗いてみたのだが、こちらは最近までブログのアップが行われていて、時々独り言のように持論が展開されているが、比較的最近のログでも議会や行政の無理解が指摘されているし、最近は「まちの病院」どころか「まち」自体がなくなるとの指摘も目立っている。


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