『俺たちの箱根駅伝』(上)(下) [池井戸潤]
内容紹介【購入】
池井戸潤の最新長編の舞台は、「東京箱根間往復大学駅伝競走」――通称・箱根駅伝。若人たちの熱き戦いが、いま始まる!
古豪・明誠学院大学陸上競技部。箱根駅伝で連覇したこともある名門の名も、今は昔。本選出場を2年連続で逃したチーム、そして卒業を控えた主将・青葉隼斗にとって、10月の予選会が箱根へのラストチャンスだ。故障を克服し、渾身の走りを見せる隼斗に襲い掛かるのは、「箱根の魔物」……。隼斗は、明誠学院大学は、箱根路を走ることが出来るのか?
一方、「箱根駅伝」中継を担う大日テレビ・スポーツ局。プロデューサーの徳重は、編成局長の黒石から降ってきた難題に頭を抱えていた。「不可能」と言われた箱根中継を成功させた伝説の男から、現代にまで伝わるテレビマンたちの苦悩と奮闘を描く。
5月に入って生活環境がまた激変し、今は新潟県長岡市に生活の拠点を移している。ただ、1月から受講開始しているディプロマプログラムのローカルセッションが週末に横浜であるので、平日は長岡で過ごし、週末は東京の自宅に戻ってローカルセッションに備える二重生活が、これからも1~2カ月は続く見込みだ。
このプログラムが佳境に入っているため、SSブログもnoteも更新がなかなかできないでいる。ブログ記事を書いている時間は演習課題の取組みに充てるべきだとの自覚があるし、SSブログに至っては、そもそもアウトプットに必要なインプット―――つまり読書に充てる時間が覚束ない。
唯一の救いは長岡~東京・横浜間の移動だ。たいていの場合はすぐに寝落ちしてしまうため、バスの中で5時間近く読書を集中して続けるのは難しいが、正直高速バスの車内では睡眠か読書以外できることがないため、結構読書は進む。
ましてや読み始めたら止められない池井戸潤の小説である。今回は、上巻は東京から長岡に戻るバスの車中で読み始めて下車後同日夜に読了し、下巻については翌週末に持ち越すことができず、続きが読みたいと平日に睡眠時間を削って読んでしまった。個人的には上述の原則を破った形になり、罪悪感もあった。でも、そこは次の長距離バスの車内では演習課題と直結するテーマの本を読んで、次回以降紹介するということで、お赦し下さい。
『神保町奇譚』(花咲舞シリーズ) [池井戸潤]
内容紹介【Kindle Unlimited】
テレビドラマ化、新聞連載で大好評の「花咲舞が黙ってない」シリーズ最新作は、神保町が舞台。〝一見客お断り〟のこだわりの寿司屋で、臨店を終えた東京第一銀行の花咲舞と上司・相馬健が舌鼓を打っていると、高齢の女性客がひとりで来店した。店主とも顔なじみらしい、上品そうな婦人の話に耳を傾けてみると……。
婦人は五年前に娘を通称〝もやもや病〟で亡くした。神保町界隈にあるベンチャー企業に勤めはじめてまだ3年目の若さだった。遺品を整理していると、産業中央銀行の通帳が出てきた。この日、銀行に出向き、口座の解約を申し出ると、係員に不思議な話を告げられた。娘の死後も口座が〝動いていた〟と。多額の振り込みがあり、一時、残高は3400万円にものぼったが、1ヵ月後にはきれいに引き出され、娘が口座開設時に振り込んだ1000円だけが残っていた。娘に何があったか知りたいと願う婦人の依頼を受け、舞と相馬のコンビが幽霊口座の謎に挑む!
『犬にきいてみろ』に続き、花咲舞シリーズの短編1編売りで冊数を稼ぐことにした。これも1時間程度で読み切ることができる。そして、感想もほぼ同じで、短編だけにあまり詳述する気にもならない。
でも、半沢直樹シリーズだと『銀翼のイカロス』から10年も前に行われていた産業中央銀行と東京第一銀行の合併より、本短編の舞台が前だというので、時系列がしっくり来なかった。東京第一銀行側の不正融資の発覚で合併交渉が難航している話まで本編には挿入されている。そんなに前の話なのかというところに戸惑いを覚えた。その点だけは述べておきたい。
『犬にきいてみろ』(花咲舞シリーズ) [池井戸潤]
犬にきいてみろ 花咲舞シリーズ (Kindle Single)
- 作者: 池井戸 潤
- 出版社/メーカー: Amazon Publishing
- 発売日: 2018/04/17
- メディア: Kindle版
内容紹介【Kindle Unlimited】
おせっかいな叔母に拝み倒され、人生初のお見合いに出かけた花咲舞。相手は町工場の二代目社長で、育ちはいいが気の弱そうな、平井勇磨という青年だ。銀行勤めということで経営の相談を持ちかけられていた舞は、よりにもよって、銀行で臨店班を組んでいる相馬健に見つかってしまう。大喜びで冷やかす相馬を見て、舞は、勇磨の相談相手にすえることを思いつく。大ベテランの工場長に頭が上がらないという勇磨は、「工場長の不正に気をつけろ」という内部告発の手紙を受け取り、人知れず悩んでいたのだ。工場長は本当に不正を働いているのか、手紙を出したのは誰か。舞と相馬は、真相を突き止めるため動き出すが――?ドラマ化で人気を呼んだ花咲舞シリーズ最新作!
先月は終盤池井戸潤作品の再読で相当な冊数を稼ぎ、「月間10冊」の最低ノルマはクリアしたものの、「年間120冊」の目標は達成できなかった。昨年8月以降の自分の置かれた状況を考えると、毎月10冊をクリアしていくのは至難の業だと思われるし、そんな状況が12ヵ月続けば、昨年と同じ展開になるのが目に見えている。
こと読書に関しては、展望は明るくないな~。読書が趣味だと言い切るには、今の状況はあまり良くない。
さて、そんな中でも今年もちょっと足掻いてみる。冊数だけを考えたら、キンドルの短編個別販売なんてちょうどいい。しかも池井戸潤、しかもKindle Unlimitedである。そんな不純な動機で読みはじめ、1時間ほどで読了した。年末年始の限りある空き時間の中で、見事に今年1冊目の実績を作ることができた。
軽く読める話の展開。これ以上のストーリー紹介はネタバレにもなってしまうので控えさせて下さい。
ところで、この作品、文字数でいったらどれくらいなのだろうか。30,000~50,000字?
タグ:電子書籍
元日だから『陸王』再読 [池井戸潤]
内容(「BOOK」データベースより) 埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。日々、資金繰りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のためにある新規事業を思い立つ。それは、伝統の技術を駆使したランニングシューズの開発だった。世界的スポーツブランドとの熾烈な競争、素材探し、開発力不足…数々の難問が立ちはだかるなか、従業員20名の地方零細企業が、一世一代の勝負に打って出る。ドラマ化もされた超話題作、ついに文庫化!【再読(キンドル)】
先月、「月間10冊」ノルマを達成するために、池井戸潤『下町ロケット』の第2弾以降を通しで読んだのだが、その勢いでもう1冊ということになり、選んだのが『陸王』だった。間に合えば新年元旦恒例のニューイヤー駅伝を盛り上げようと目論んだのだが、読了まではできたものの、ブログを書いている時間がなく、結局元日の朝にこれを書いている。
主題がランニングである上に、上州のシルクが重要な役回りで描かれていたりもして、過去に自分がかじって接点もあるテーマが扱われていて良かったのだけれど、今回6年ぶりに読んでみて、特に冒頭で出てくる、倒産した町工場から古いミシンを引き取るシーンや、高齢の縫子さんたちがミシンで足袋を縫い上げていくシーンなどに、新たな親近感を抱くことになった。
昨年の大きな出来事として、僕もミシンを使い始めたということが挙げられる。作中で細かなミシン操作がどのように行われるのかまでは描かれていないのだけれど、縫子さんたちがどのような作業環境で、どんな機械を動かしておられるのか、どんな姿勢で作業されているのかも、だいたいイメージできる。冒頭からちょっと新鮮だったので、再読とは思えない面白さを感じることができた。
ただ、『下町ロケット』から『陸王』に行くと、どうしてもドラマと被る結果となる。僕は自分が海外駐在していた2017年10月期にテレビドラマ化されたこともあって、年末年始の一時帰国時に見た最終回の記憶しかないのだが、その最終回は「陸王」を履いた茂木がクローズアップされて、そこの印象だけがやたらと残っている。演じたのは竹内涼真クン。つまり、『下町ロケット』の方では佃製作所の技術開発部でキープレイヤーだった立花を演じたのと同じ役者さんだった。
いやぁ、被って仕方なかったな~。
『下町ロケット』を通しで読んでみる [池井戸潤]
最近、サンチャイ☆ブログの「読書日記」がおとなしいのではないか―――。
たぶん、そう思っておられた方も多いのではないかと思います。そうなのです。これは9月の一時帰国から戻って来てからの傾向なのですが、「最低1カ月に10冊」というノルマの達成に難儀しています。
理由は単に仕事が忙しいから。ただでも週6日勤務だし、ややもすると日曜日も翌週の準備に忙殺されていたり、任地と首都の間の移動に充てたりしていて、フルで休んでグダグダしていたという日も2日ぐらいしかありません。毎月目玉的な行事があって、あまり気が抜けなかった。それが読書への余裕を無くしていた最大の理由でしょう。
でも、最低ノルマをクリアするには、仕事の関連の書籍だけではムリです。だから、小説も織り交ぜる。先月は宮本輝作品を3冊も入れました。そして、今月は今のところどうしているかといえば、『下町ロケット』を「ガウディ計画」以降3冊のキンドルでの再読というのに充てて、実績のかさ上げをしました。
たぶん、そう思っておられた方も多いのではないかと思います。そうなのです。これは9月の一時帰国から戻って来てからの傾向なのですが、「最低1カ月に10冊」というノルマの達成に難儀しています。
理由は単に仕事が忙しいから。ただでも週6日勤務だし、ややもすると日曜日も翌週の準備に忙殺されていたり、任地と首都の間の移動に充てたりしていて、フルで休んでグダグダしていたという日も2日ぐらいしかありません。毎月目玉的な行事があって、あまり気が抜けなかった。それが読書への余裕を無くしていた最大の理由でしょう。
でも、最低ノルマをクリアするには、仕事の関連の書籍だけではムリです。だから、小説も織り交ぜる。先月は宮本輝作品を3冊も入れました。そして、今月は今のところどうしているかといえば、『下町ロケット』を「ガウディ計画」以降3冊のキンドルでの再読というのに充てて、実績のかさ上げをしました。
『ハヤブサ消防団』 [池井戸潤]
内容紹介【購入(キンドル)】
ミステリ作家vs連続放火犯
のどかな集落を揺るがす闘い!
東京での暮らしに見切りをつけ、亡き父の故郷であるハヤブサ地区に移り住んだミステリ作家の三馬太郎。地元の人の誘いで居酒屋を訪れた太郎は、消防団に勧誘される。迷った末に入団を決意した太郎だったが、やがてのどかな集落でひそかに進行していた事件の存在を知る───。連続放火事件に隠された真実とは?地方の小さな町を舞台にした、池井戸作品初の“田園”小説として、「小説すばる」連載中から話題を呼んだ珠玉のミステリ。
今、日本でつかの間の休暇を過ごしている。その往路となるパロ~バンコク~羽田の空の旅の途中、思い付いてキンドルでダウンロードしたのが池井戸潤の新作だった。結構なボリュームがあって読了には時間を要したが、バンコク~羽田の夜行便の機中では取りあえず読み切るところまでは行けた。
池井戸潤といったら、メガバンクや企業を舞台にした作品がほとんどで、地方が舞台となる作品は極めて珍しく、新鮮な思いを抱きながら読み進めた。舞台となる八百万市というのは岐阜県八百津町をモデルにしているのだろうと思われるし、劇中登場する新興宗教との関わりで言えば、岐阜県では過去、郡上八幡や国道417号線の福井県境近くで「パナウェーブ研究所」という白装束集団の不気味な活動が話題になったことがあったので、本作品で出てきた新興宗教も、モデルは多分オウム真理教だろうと理解しつつも、パナウェーブ研究所騒動を思い出しながら読んだ。
過去、池井戸潤はこういう作品は描いたことがないので、とても新鮮に感じた。都会から引っ越してきた太郎が地元の人々の勧誘に遭って消防団に入団し、消防団の活動に深く関わっていくことになるプロセスは、重松清作品でもよく見られる展開だなと思っていたものの、中盤以降は消防団の活動そのものよりも、超高齢化が進む過疎地の集落に押し寄せる波を意識させるような内容に、ちょっとサスペンスを重ねる展開で、僕的には楽しめた。重松作品にはあまりミステリー要素ないから。似てる作品を挙げるとしたら、米澤穂信『Ⅰの悲劇』かも。で、米澤作品も舞台は岐阜県だったわけだけど。
このところ「宗教と政治」というのが日本では大きな関心事となっているみたいだし、そのうちこの作品もテレビドラマ化でもされるのではないかと期待したい。ドラマ化させやすい作品には仕上がっていると思う。田舎の良さというのは映像にした方がもっと伝わる気がする。
『半沢直樹 アルルカンと道化師』 [池井戸潤]
内容紹介【コミセン図書室】
★★「半沢直樹」シリーズ6年ぶりとなる待望の最新作!★★★
東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとにとある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版社・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とは――。
TBSテレビ日曜劇場『半沢直樹2』の放送終了から既に5カ月。明らかにこのテレビドラマの放送終了のタイミングを狙って半沢直樹シリーズの新作を講談社が出してきたが、あまりにも露骨な戦術に嫌気がさして、すぐに読もうという気になれなかった。一昨年の『ノーサイド・ゲーム』のケースと同じだ。ドラマとタイミングを合わせた新作リリースに、商業主義には簡単に乗せられまいぞという反骨心が働く。
ところが、テレビドラマを一緒に見ていた娘が半沢直樹にハマり、録画してあった本編を何度も見返している。新作『アルルカンと道化師』が出ていることを知るや、「読みたい」と言い始めた。そこで、コミセン図書室で本書を見かけるや、すぐに借りてきて、僕は娘と同時並行で読むことにした。就寝前と早朝は僕が読み進め、昼間は娘が読むという分担で。
でも、結果は僕の方がとっとと読み終えてしまった。
再読『銀翼のイカロス』 [池井戸潤]
小池都知事が外出自粛要請を出された週末―――。巣ごもり状態での最初の読書は、この春始まるTBS日曜劇場『半沢直樹』後半の原作『銀翼のイカロス』の再読。
前回、2014年8月に一度読んでいて、その時のレビューは結構書き込んであったので、今回は軽めにする。原作のストーリーの復習が目的。思い出せたので良かった。
ただ、話が民主党政権時代を想起させるものだけに、ちょっとドラマ化するにはタイミングが遅くなっちゃったなという気はした。巣ごもりを強いられている時期にこのドラマはエキサイティングだとは思うが。視聴率相当稼ぎそうだね。
週末読書はまだまだ続きます。
再々読『ロスジェネの逆襲』 [池井戸潤]
自分的には再読のつもりだったけど、実は二度目の再読だとこのブログを書こうとして気付いた(苦笑)。まあ、TBSで久しぶりに日曜劇場で『半沢直樹』の新作が放映される直前でもあるし、彼岸の三連休だし、1冊ぐらいは小説を交えてもいいかと思う。
1回目(2012年9月)に読んだ際、「「全ての働く人は、自分を必要とされる場所にいて、そこで活躍するのが一番幸せなんだ。」っていうのは、今の僕自身の状況を考えたら、容易に首肯できなかった」とコメントした。7年半が経過した今、この半沢のセリフのところには再びマーカーで線を引いたけれど、それでは自分がそれを実感できているかというと、是ともいえるし否ともいえる。
どんな仕事において自分が必要とされるのかによる。必要とされる場所であったとしても、余人をもって代えがたいとして求められているのか、誰でもいいけどやってくれる人が必要だからと求められているのかによって、受け止め方は違う。与えられた仕事でベストを尽くしていればそれなりの評価は得られるけれど、器用貧乏というか、一つ間違えば何でも屋になってしまう。それでいいのかという気がしてしまう。
一方で、自分が本当にやりたい仕事をやるのに、一時的にであっても目の前の仕事でベストを尽くさねばならない時期もある。そういうのをコツコツやっていかないと、自分がやりたい仕事にありつけない。「この仕事をやらせろ」とアピールして、聞き入れてもらうためには今やっている仕事での実績が要るのも確かだ。
僕が本作品を30代とか40代とかで読んでいたら、それも受け入れていただろう。でもね、今や僕は50代後半。やりたいことははっきり見えていて、手も届くところにあるのだけれど、目の前には本意ではない別の仕事がある。それは最短時間で片付けたいのに、横やりを入れて話をややこしくする人が多い。
『下町ロケット ヤタガラス』 [池井戸潤]
内容紹介
2018年10月放映、ドラマ「下町ロケット」(TBS日曜劇場)新シリーズの原作小説『下町ロケット ゴースト』に連なる、「宇宙から大地」編、クライマックスへ――!
社長・佃航平の閃きにより、トランスミッションの開発に乗り出した佃製作所。果たしてその挑戦はうまくいくのか――。
ベンチャー企業「ギアゴースト」や、ライバル企業「ダイダロス」との“戦い"の行方は――。
帝国重工の財前道生が立ち上げた新たなプロジェクトとは一体――。そして、実家の危機に直面した番頭・殿村直弘のその後は――。
大きな挫折を経験した者たちの熱き思いとプライドが大激突!
準天頂衛星「ヤタガラス」が導く、壮大な物語の結末や如何に!?
待望の国民的人気シリーズ第4弾!!
テレビドラマが始まる前に、原作は読み切ってしまおう―――ということで、出たばかりの続編、さっそく読み切った。テレビドラマを見ることはないが、ドラマのキャストを確認した上で、彼ら彼女らの姿をイメージしつつ、読み進めることができた。島津役はイモトアヤコか。まあ確かにそうかもな~。
ストーリーとしては面白い。佃製作所としては新規事業を軌道に乗せられるところまで持って行けたという点ではしっかりした成功譚になっている。池井戸作品の良さは勧善懲悪にあるので、帝国重工内の「悪」の部分や、佃製作所を辞めて実家の父のコメ作りを継いだ殿村に忍び寄る「悪」が、最後はお返しを喰らうところは溜飲を下げる。
池井戸潤が初めて描いた農業というのもいい。実はこの人工衛星と農業をつなげる発想には数年前に少しだけ関わったことがあり、多少予備知識があったので、『ゴースト』を読んでた頃から、『ヤタガラス』の展開が想像できていたところもあった。期待通りだったと思う。面白かった。