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『情報科学芸術大学院紀要』第11巻 [仕事の小ネタ]

kiyo11_cover-105x155.png情報科学芸術大学院大学
情報科学芸術大学院大学紀要 第11巻・2019年
2020年3月19日
https://www.iamas.ac.jp/iamasbooks/wp-content/uploads/2020/04/journal_of_iamas_vol-11.pdf



前回、ニール・ガーシェンフェルド『考える「もの」たち』でMITメディア・ラボについて言及し、芸術とテクノロジーの橋渡しという点について思いを馳せた時、もう1つ自分の頭の中に浮かんだのは、岐阜県大垣市にある情報科学芸術大学院大学(IAMAS)のことだった。自分の実家からほど近いところにあって、メディア表現研究科しかない小さな大学院大学だが、芸術表現の手段としてデジタルテクノロジーも駆使するため、単に芸術を勉強するだけでなく、テクノロジーを理解し、使いこなすことも求められる。『考える「もの」たち』の言葉で言えば、「ものについて学ぶ」ことと「ものをつくる」ことの両方を学べる場所ということになる。

僕はIAMASが2001年にできるはるか以前に故郷を離れて、さらに言えばできた当初は日本にもいなかったので、IAMASについて知ったのはもう少し後のことになる。さらに、知った当時もそれほどの関心もなかったので、「ふ~ん」ぐらいにしか思っていなかった。

それが自分の中でちょっと大きな存在になって来たのは、2013年秋に「ファブラボ」とか「デジタルファブリケーション」といった言葉を初めて知ったのがきっかけだった。日本に最初にファブラボができたのは2012年のことらしいが、その初期に立ち上がった日本のファブ施設の中に、IAMASが立ち上げたf.Laboというのが含まれていた。故郷の施設だとはいえ、直接つながる人脈もなかったし、里帰りする期間も毎回短いものだったので、利用するきっかけもなく、遠くから眺めていただけだったが。

ただ、その時の関心はf.Laboにあって、IAMASにあったというわけではない。f.Laboは2014年にIAMASがソフトピアジャパン地区に移転した際に、市民向けデジタルものづくり工房としての役割は、新たにできた「ファブコア(Fab-core)」という別の施設に移ったが、IAMAS構内には、学生や教員が利用するイノベーション工房というのが別途あるらしく、そこでは岐阜県や大垣市といった自治体、周辺の小学校や美術館、NPO等と協働し、人材育成事業や社会課題解決に向けたものづくりの実装等が行われていると知った。

そして、2019年に日本に帰って来て最初の冬、大垣で『岐阜おおがきビエンナーレ』というイベントが開催されることをたまたま知り、仕事の合間に実家に立ち寄り、出られるイベントにはちょっと顔を出してみることにした。

今回ご紹介する紀要の第一特集は、まさにこのビエンナーレに関する記録となっている。初日のシンポジウム「ソーシャル・ファブリケーションとメディア技術」は、仕事の都合上どうしても見に行けなかったので、それもあって紀要のハードコピーをわざわざ入手して、話された内容を今回確認してみた。

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