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再読『田舎でロックンロール』 [奥田英朗]

田舎でロックンロール 角川書店単行本

田舎でロックンロール 角川書店単行本

  • 作者: 奥田 英朗
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2014/11/01
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
英米ロックが百花繚乱の様相を呈していた70年代。世界地図の東端の、そのまた田舎の中学生・オクダ少年もその息吹を感じていた。それはインターネットが登場する遥か前。お年玉と貯金をはたいて手に入れたラジオから流れてきた音楽が少年の心をかき鳴らした。T・レックス、ビートルズ、クイーン…。キラ星のごときロック・スターたちが青春を彩り、エアチェックに明け暮れた黄金のラジオ・デイズ。なけなしの小遣いで買った傑作レコードに狂喜し、ハズれレコードを前に悲嘆に暮れる。念願のクイーンのコンサート初体験ではフレディ・マーキュリーのつば飛ぶステージに突進! ロックのゴールデン・エイジをオクダ少年はいかに駆け抜けたのか?
【再読(キンドル)】
今月、ホント精神的余裕がなかったんだろうね。振り返ってみても、本書を含めても現時点で5冊しか読んでいない。最終週の週末にひと仕事を終えて、次の仕事との間にようやくつかの間の休息をつける1日半を迎えた。但し、土曜午後は停電。徐々に暗くなってくる屋内にこもりつつ、昼寝以外にできたことといったら、キンドルのバックライトを使って既読の本でももう一度読むことぐらいしかなかった。

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《こ~んな感じ。あたりが暗くなると、心も暗くなる…》

そこで手に取ったのが奥田さんの自叙伝的エッセイ。その雰囲気は7年前に読んだ時に書いたブログ記事で、結構包括的に語っているのでそちらもご参照下さい。。奥田さんのエッセイは奥田さんが中1だった1972年から、高3になられた78年ぐらいまでをカバーしておられる。ご出身は各務原市立蘇原中学ですか?県内の何かの集まりで、蘇原中学の同学年の生徒と交流したことがあったが、なんかあか抜けてたという記憶があった。奥田さんにとってはド田舎なのかもしれないが、僕は郡部なので、4年のギャップはあったとしても、もっとド田舎です(笑)。

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タグ:岐阜 各務原
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雨期の日常茶飯事なのか? [ブータン]

男児2人がフラッシュオーバーで負傷
Two boys injured in an electrical flashover accident- Phuentshogling
Ashok Tirwa/Sonam Penjor記者、BBS、2022年6月27日(月)
http://www.bbs.bt/news/?p=171262
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【要約】
チュンミタン中期中等学校の2人の男子生徒が、プンツォリンのパサカ地区を流れるバウニジョラ川を横切る送電線からのフラッシュオーバー、ないしは漏電に晒された。1人は軽傷で済んだが、もう1人は重傷で、今も病院で治療を受けている。2人は土曜日に学校から下校の途中だった。

大型ビル建設用地として居された土地で土砂崩れ。女性1人が死亡
Phuentsholing land converted to allow for a big building is the site for landslide killing a woman
Tenzing Lamsang主筆、The Bhutanese、2022年6月25日(土)
https://thebhutanese.bt/phuentsholing-land-converted-to-allow-for-a-big-building-is-the-site-for-landslide-killing-a-woman/
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【要約】
6月18日、市内カブレタㇽ地区で起きた土砂崩れで、55歳の女性が死亡。ビルの1階の寝室に土砂や瓦礫が流れ込んだ模様。本紙の調べによると、この土地は元々2階建ての家しか建ててはいけないゾーンに指定されていたが、彼女の夫は地質鉱山局(DGM)に調査を依頼し、「安全」との結果を受けて整備を開始。しかし、適切な斜面保護措置等は取られていなかった。

4月末にプンツォリンに引っ越してきてみて、ただただ雨がすごいという印象しかない。朝はたいてい大雨だし、午後にもたいてい夕立がある。それでも晴れ間が見える時間帯があればまだ救いもあるが、今月は中旬以降、ほぼ毎日、1日中ぐずついた天候だった。当然湿度も高く、紙も衣類も食材もしける。洗濯物はなかなか乾かない。普段寝ているベッドどころか、部屋全体がすえ臭い。

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サムチへの道 [ブータン]

サムチ~プンツォリン内国道路は早急な修復が必要
Samtse-Phuentshogling highway needs to be repaired urgently
Passang Dorji記者(サムチ)、BBS、2022年6月27日(月)
http://www.bbs.bt/news/?p=171221
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【抄訳】
世界銀行は、道路を「経済が脈打つための動脈」と例える。このフレーズはプンツォリンとサムチを結ぶ国内道路にもいえる。この道路のお陰で、サムチとチュカの経済発展は進んだ。しかし、この道路のほとんど半分の区間が悲惨な状況にある。すみやかに修復が行われる必要がある。

国境ゲートはいまだに閉鎖されているため、サムチとプンツォリンを結ぶ58㎞の国内道路は、サムチとチュカの両県の人々にとって、主要な経済ライフラインとなった。しかし、このハイウェイ、その中でも特にサムチタウンからウェゼルガン方面への約25㎞の区間は、悲惨な状況だ。この道路はドロカ郡とサムチ県内の他地域をつなぐ道路にもなっている。

この道路を日々利用する人々は、多くのくぼみから歓迎を受ける。モンスーンはこの区間の舗装のほとんどを剥がし、さらに最近の大雨で道路が部分的に冠水した。

コロナ禍からの緩和措置を受けて、このハイウェイ沿いの交通量は大きく増えた。毎日300~500台の車両が往来する。雨期がピークを迎え、いつもこの道路を使っている通行人はさらに路面状況が悪化するとみている。

「ゲートが開いていれば、私たちはインド側の道路で移動したでしょう。でも、今はこの国内道路を通る他に方法がありません。ホント悲しい状況です」——こう述べるのは、サムチ県のタクシー運転手サンタ・バハドゥル。パクリンさん。この路面状況のせいで、タクシーの維持費がかさむと嘆く。「タクシーを買うのに、額に汗して働いて、ようやく貯めたお金を使ったのに、道路状況が酷いせいで、機械トラブルにたびたび見舞われます。」

このハイウェイのことを良く知る他の人々も、同様の苦境を訴える。「道路のくぼみは雨が続くと水たまりになります。そこを通過しようとすると、車が制御不能になって、横滑りに近い状態になります。こんな酷い道路を通行するのが本当に嫌になって来ます。関係機関が早く道路の修復を行ってほしいものです」——サムチの別のタクシー運転手、テク・バハドゥル・スベディさんはこう述べる。

バル・バハドゥル・ビスワスさんもタクシー運転手。ひどい路面状況について不満をあらわにする。「道路の表面はもう流されてしまっていて、けばけばしい砂利やでこぼこの表面が見えます。こんな道路を運転するのは車に損害を与えるし、車を補修に持って行くにしても、スペアパーツはそうそう簡単に手に入りません。」

この道路の改修は2018年に行われた。道路局のプンツォリン地域事務所は昨年改修工事を計画したが、資金不足を理由に棚上げされた。同事務所としては、公共事業省に対し、再舗装の予算を今年度申請しているとのこと。

タイムリー過ぎる記事ですね~。近々この道路を使ってサムチのタウンまで日帰り出張するので、道路の様子をそのうちに追加で掲載して、ご覧いただけるようにしたいと思います。BBSのHPの写真でも雰囲気は十分伝わるが。こんなところ走ってたら、車体やサスペンションの不具合だけじゃなく、タイヤも傷むだろうなぁ(涙)。

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各地域にありそうな雇用のミスマッチ [ブータン]

求人数は多いのに、採用は低調:プンツォリン
More jobs less takers in Phuentsholing
Rajesh Rai記者、Kuensel、2022年6月24日(金)
https://kuenselonline.com/more-jobs-less-takers-in-phuentsholing/
【ほとんど抄訳】
プンツォリンの地域労働事務所が6月22日に行った「Gowa」プログラムには、22の企業と求職者が集まった。合計299の仕事のオファーがあったが、わずか106人の求職者しか来なかった。出席した22の企業のうち、16社は即採用したいとの希望を持っていた。しかし、即日採用となったのはわずか4名で、80人は今後の面接候補者としてリストアップされたのみだった。労働事務所関係者によると、90%以上が職を得る見込みだという。

パサカ工業団地の企業や、他地区の製造業、サービス業者の提示する給与は、月額5,000~24,000ニュルタムの範囲である。しかし、それでも求職者を見つけるのに困難を感じる企業は多い。ラキ・セメント社は電気工の求人を行ったが、同社担当者の下を訪れた求職者は、勤務地がゴムトゥだと聞くと去って行った。「1人だけ来ました」——ある担当者はこう述べた。

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地域労働事務所のソナム・テンジン所長によると、これは逆説的な状況だという。「仕事がないわけではない。職はあるのです。」若者はこうした職に就く必要があるのだと述べる。

製造業者のほとんどが、熟練工、主に職業訓練校の卒業生を求めている。職業訓練校卒業生の1人、プレム・クマール・グルンさん(24)は、どんな仕事でも就きたいと述べた。配管工としてリストアップされた。

ケザン・ダワさん(26)は採用が決まった1人だ。クラス10卒業生で、1年ぐらい無職の状態が続いた。彼はパーフェクト・コンポジット社で採用が決まった6人のうちの1人だ。彼は、リゾート施設で働いていたが、パンデミックのせいで職を失った。ミニドライポートや建設現場で働いて、なんとか生計を維持してきた。

求人担当者によると、彼らは長期雇用のために求人を行ってきたという。「何度も求人広告を出しましたが、誰も来てくれません。今日は、求職者に来てもらって求人内容について直接説明することができ、なんとかリクルートすることができました。」

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プンツォリン市のウッタル・クマール・ライ市長は、求職者に対し、今ある仕事が何であれ、受けるべきだと求めた。「小さく始めることが肝要。それが大きな成功への第一歩なのです」と述べた。 .

求職者と求人内容にミスマッチは日本でもよく聞かれることだと思う。どんな仕事のオファーがあったのか、どんな人が仕事を探しにこの相談会に来たのか、いずれも記事だけからでは想像がつかないが、思ったことを挙げておく。僕はここで取材を受けているソナム・テンジン所長を存じ上げているので、そのうち、会ってもうちょっと掘り下げて調べてみたい。

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廃止されるか5日間隔離 [ブータン]

COVIDタスクフォース、5日間隔離廃止を検討
NC19TF considering removing five-day quarantine
Nima Wangdi記者、Kuensel、2022年6月24日(金)
https://kuenselonline.com/nc19tf-considering-removing-five-day-quarantine/
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【ほとんど抄訳】
コロナの新規感染者数の減少を受け、多くの人が入国時の5日間隔離はもう不要なのではと言い始めている。この隔離は政府にとっても個人にとっても重荷となっている。

最近インドに1週間の出張で出かけた会社員は、5日間隔離は必要ないと主張。1泊Nu.1800、2回の検査に必要なNu.3000は会社と政府が負担したが、それでも彼はもう隔離は必要ないのではないかと言う。国内移動にかかる隔離は数カ月前に撤廃された。

政府は、治療や定期検査のために外国に行き、戻ってきた人々や、生体認証やIELTS受験のために外国旅行した人々について、隔離施設及び検査費用を負担し、私事目的の外国渡航から戻ってきた旅行者の場合は、本人負担としてきた。

ブータンに到着すると、自宅隔離か施設隔離かを選択することができる。もし、ワクチン未接種の家族が自宅にいる場合は、施設隔離に回されるが、それ以外は自宅隔離を選択する。施設隔離についての負担が大きいからだ。

ソナム・ヤンデンさん(30)は、最近欧州から帰国したが、ティンプーの姉の家での自宅隔離を選んだ。「当方から呼べば検査には来てくれますが、モニタリングは行われませんでした。」自宅隔離の人々がその辺を動き回っていたら、そもそもこのプロトコルを導入した目的もフイになると指摘する。自宅隔離を選択したら、責任も持って隔離期間を過ごす必要があるが、コロナの記憶が薄れつつある中、プロトコルを真剣に捉えている人は多くないと指摘する。

この入国後5日間隔離が近々廃止されるのではとの声が上がっている。ある医師は、医学的見地から現時点での隔離は不要だと指摘する。

全国COVID-19タスクフォースの議長であるデチェン・ワンモ保健相は、この件はタスクフォースでも熟慮を重ねているが、いつ実施するかについてははっきり決めていないと述べる。「現在データを見ているところだ。」

ヘッドラインだけ見て心躍って記事を取り上げてみたはいいものの、中身を読むと明確に「近々」とは言われておらず、巷では「不要」の声がある一方で、タスクフォースは「検討継続中」としか答えていない。

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タグ:COVID-19
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ブータンに来にくくなるのか新法案 [ブータン]

特別な観光の目的地ブータンの再促進
Tourism Levy Bill to re-promote Bhutan as a destination for exclusive tourism
Phub Gyem記者、BBS、2022年6月20日(月)
http://www.bbs.bt/news/?p=170952
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【抄訳】
財務相は本日、国会下院にツーリズム徴収法案を上程した。同法案は特別なツーリズムの目的地としてのブータンを再びプロモートすることが狙い。

同法案では、持続的開発手数料(SDF)を1日65ドルから200ドルに引き上げることを提案。ツーリストは1人当たり1晩あたり250ドルを負担している。このうち、65ドルがSDGとして国庫に入る。同法案が可決されれば、ツーリストは1晩あたり200ドルを負担、加えて、宿泊、食事代、交通費、そのた費用を別途負担せねばならない。

同法案を国会に提出するにあたり、財務相は、高付加価値・低ボリュームで知られるブータンのツーリズム政策は、国際的に評価されていると述べ、同法案がブータンをツーリズムの特別な目的地として再興することを狙ったものだと述べた。

65ドルのSDFは1991年に導入されたもので、以来、改訂が行われたことはない。

ナムゲ・ツェリン財務相「我々にとって、国益に優先順位をつけ、政治的アジェンダや私益は後に残しておくことが重要。この法案を支持してもらえれば、我々の子どもたちにとってよりよい未来を建設するのに貢献するだろう。」

同法案によれば、最初の目的地から外に出ない日帰りツーリストの場合はSDFは免除となり、5歳以下の子どもにも適用されない。また、6歳から12歳の子どもについては、50%の割引が適用される。この改訂SDFは、6月20日よりも前に旅行予約を行ったツーリストには適用されない。

ドルジ・ワンディ野党党首「法案審議委員会が同法案がツーリスト数にどのような影響を与えるのか、経済にどんな影響を与えるのかを説明して欲しい。現時点では、我々の協議は、財務相が行ったプレゼンだけをベースに行われている。」

首相は、この変更が時宜を得たもので、必要不可欠だと述べた。ツールズムの恩恵は一般大衆にまで行き渡っていなかった。首相によれば、一般大衆をツーリズム産業の直接的なステークホルダーだと捉えている。

「我々はツーリズムセクターでの政策制度変更にあたっては、常にホテル業界やツアーオペレーターと協議してきた。直接的なステークホルダーはブータンの一般市民だ。ルールを作るにあたり、我々は短期的に直接恩恵を得るステークホルダーとだけ協議をしてきた。それが、我々の政策に柔軟性を欠いてしまった理由だ。」

下院議長は、同法案を下院経済財政委員会に回付するとした。同委員会は水曜日に法案集中討議を行う予定。

今週に入ってから2日間、大学の行事で忙殺されていた間に、世間はこの話題で盛り上がっていたようだ。SNS上で、「こんなの導入したら、ツーリズム産業が窒息する」とつぶやいていた知人もいて、それでこの法案が上程されたことを知った。

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タグ:観光
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「ジャパン・サーブ」を偲ぶ [ブータン]

日本人専門家の生活を偲ぶ
Celebrating the life of Japan Saab
Yangyel Lhaden記者、Kuensel、2022年6月18日
https://kuenselonline.com/celebrating-the-life-of-japan-saab/
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【抄訳】
シェムガン県パンバンの農業キャンプ。気温は37℃。シェムガン全体が今日、彼らの「ジャパン・サーブ」に感謝の意を示した。故ダショー西岡はブータンの農村部において「ジャパン・サーブ」として知られ、1976年から80年まで、パンバンの二階建ての簡素な家で生活を送った。今日は、この家の奉献式の日。長年にわたるネグレクトの後、改修作業が行われ、事務所兼資料室として生まれ変わった。ダショーの旧宅は2018年以来、サムテンリンの農業研究開発センターのサブセンターとなっている。改修にあたっては、当時の建築様式を保持するよう注意が払われた。

青、白、赤、緑、黄色のカラフルなダールに彩られ、この小さな家は、過ぎ去った年月の記憶を思い起こさせる。人々は40年以上前と同様に、このキャンプ周辺を歩き、彼らが愛したジャパン・サーブとともにある近代的な農業実践を学んでいる。「ジャパン・サーブがが今もわしらと一緒にいてくださるようだ」———かすんだ目である男性が語ってくれた。歩様も覚束ない、長年の風雪に耐えてきた老人だ。

ダショー西岡京治は日本から来た農業専門家だ。1964年からこの国の近代農業の基盤を作るのに貢献した。1980年、彼は赤色のスカーフを授与された。そして1992年、ドルック・タクセ(ブータンの心の子)を叙勲された。1976年から80年まで、ダショーはシェムガンでの業務にあたった。当時シェムガンは最も遠隔の県と見られていた。ダショーのミッションは総合農村開発プロジェクトの一環として、困窮する農民を支援することだった。

ダショーの居宅の二階には、彼の足跡や取り組んだプロジェクトを示すギャラリーが併設されている。展示された写真は、見る人に当時の記憶を呼び起こさせる。ダショーはどうやってシェムガンの人々をまとめ、彼らの土地を生活していくのに十分な生産が得られる農地にしていったのか、学ぶことができる。

土地を開墾する様子を写した白黒写真、ダンメチュ川をサトウキビを織って作った簡易ボートで往来する人々の写真、村人とともに畑で働くダショー、居宅の前で撮られたグループ写真、ニシオカ橋、ダンメチュ河畔でダショーに最後の敬意を払う人々、彼の遺灰を川にまく人々———などなど。

ダショーがパンバン入りするまで、シェムガンの人々は移動耕作を行っていた。年に1回、簡易ボートとロープウェイを使ってダンメチュ川を渡り、生活必需品を購入しに出かけていた。ダショーは、ダンメチュ川に吊り橋を架け、それが「西岡ブリッジ」と呼ばれるようになった。この橋はその後架けられた自動車通行可能な橋と並んで今も現存する。

居宅の一階では、お年寄りのグループがダショー西岡の逸話を語らっていた。その中の1人は、自分たちが座っているこの部屋が、当時倉庫として使われ、農機具がそこで保管されていたと語った。
《後半へ続く》

6月9日にフォトストーリーとして取り上げられた西岡ハウスの改修だが、その後クエンセルが改めて特集記事を掲載した。記事の中では「今日」とされているのは、おそらく落成式のあった6月8日のことなのだろう。

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推進機関と規制機関が同居? [ブータン]

連携不足がフラッグシップの進捗に影響
Lack of coordination among stakeholders hindering progress of Digital Drukyul Flagship Programme
Tshering Dendup記者、BBS、2022年6月15日(水)
http://www.bbs.bt/news/?p=170769
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【抄訳】
政府は第12次五カ年計画におけるフラッグシッププログラムの1つとして「Digital Drukyul」を推進してきた。このプログラムを通じて、政府は、この国をICTの力でスマートで包摂的な社会へと変容させようと目指している。しかし、2022/23会計年度の国家予算のレビュー報告の中で、経済財政委員会は、関係機関間の協力や連携の欠如がプログラムの進捗を妨げていると報告した。同委員会によると、今のところ、プログラムの遂行率は60%強だという。

Digital Drukyulへの予算配分は25億ニュルタムで、うち13億ニュルタムが5月末までに執行された。このフラッグシッププログラムには8つのプロジェクトがある。しかし、同委員会が情報技術・電気通信局(DITT)から受けた情報によると、そのうち電子患者情報システム(ePIS)と統合納税システムについては、計画期間中に終了することができなかったという。

保健省によれば、ePISのパイロット事業を来月施行するという作業を開始しておらず、現状、30%弱しか完了していないという。

一方、統合納税システムの開発は当初当初ティンプーテックパークに命じられたが、これも現在滞っている。テックパークは現在、アプリ開発のためにパートナー外国企業の専門家からの助言を求めているところだ。このプロジェクトの進捗は約40%。しかし、財務省は今年4月にこの契約を強制終了させた。プロジェクトの開発スケジュールが同省の期待にそぐわないものだったからだ。

このため、同委員会はDITTに対し、同局が中心となって、デジタルガバナンスや変容の実現というマンデートを達成するため、調整やファシリテーション、IT人材のプールと関係機関への派遣等を担うよう提言した。

しかし、出席した委員の中には、この提言に複雑な反応もある。

キンレイ・ワンチュク議員(アタン・テツォ選挙区)「これからすべてのICT関連サービスが1つの機関の下で運営されれば、サービスのデジタル化に大きな恩恵があるだろう。」

ウゲン・ツェリン議員(ランゴ・ワンチャン選挙区)「CPMSや廃棄物アプリのような多くのアプリは、開発能力や利用、競争入札を通じて開発とローンチが行われてきた。こうした創造が1つのオフィスの下に集められた場合、他のクリエイターや開発業者の機会が失われるのではないか。」

キンガ・ペンジョル委員長「この提言に至った理由は、すべての政府機関がデジタルサービスを林立させた場合、「1つの窓口で」というビジョンが損なわれるからだ。国民に関連するサービスはすべて、1つの屋根の下で利用できるものになるべきだ。」

ナムゲ・ツェリン財務相「ノード機関はDITTである。デジタル関連の政府事業は開始される前に、DITTの許可と承認を受けなければならない。もし我々がデジタル関連事業をDITTとともに行う際に、税制やePISの専門知識がなくても、ガイドラインや規制に関する専門知識は有することになる。既に連携は存在しているといえる。」

イシ・デム議員(カメッド・ルナナ選挙区)「我々がしっかり見れば、G2Cサービスの開発はうまくいっていないのは明白。それは各々の政府機関がアプリのようなデジタルサービスを無調整に作り出しているからだ、これらをまとめられる場所がない。結果的に、利用者が混乱を来す。」

カルマ・ハモ議員(モンガル選挙区)「私は専門知識に関するパートナーシップについてこの提言を支持する。しかし、開発責任や役割は関係機関に負わせるべきだと思う。各々のプロジェクトは特定の省庁や政府機関の下にあるものだから。」

こうした討論にも関わらず、多数決の結果、提言は下院で採択された。これにより、ICT関連プロジェクトは、どこの政府機関の下にあっても、DITTを通じて開発が進められることになった。

この報道、ヘッドラインだけを読んでブログでの採用を決定した。「連携不足がフラッグシッププログラムの進捗を損なった」とあるが、因果関係が逆なのでは、すなわち、「プログラムの進捗が遅れたために連携不足に陥った」のではないかと突っ込みたくなったからだ。

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パンバンの「西岡ハウス」の改修完了 [ブータン]

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Kuensel、2022年6月9日(木)
https://kuenselonline.com/picture-story-1116/
【抄訳】
シェムガン県パンバンにある「ダショー」故西岡京治氏の居宅が改修され、昨日その落成式が行われた。農業研究開発センターの地区事務所の一角に立地。故ダショー西岡の功績への経緯と次世代への継承を図るため、ニューデリーの日本大使館はこの2階建ての伝統家屋を当時の建築方式を維持しつつ改修を図るため、2019年に資金支援を行うことを決めた。建物の1室は、故ダショーのギャラリーとして利用されている。

先週木曜日のクエンセルの1面トップで、写真と簡単な解説だけが据えられていた。クエンセルのHPに掲載されたら自分もブログで紹介しようと思っていたところ、今日掲載が確認できた。

パンバンは遠すぎて、僕も前回駐在時に二度訪れるのがせいぜいだったが、その当時、この西岡ハウスの朽ち方には本当に心が痛んだ。政府高官と話す機会があれば、その写真を見せて、「これなんとかリノベできないですかね」と具申してきた。大使館がお金を出して下さったとは知らなかったけれど、ブータン政府がやる気になって下さったのはありがたい。ちょっとホッとした。

プンツォリンからなら、インド側に出れば簡単に行けるのだが、まだ国境ゲートはオープンされていないし、インドビザはシングルエントリー限定だから、パンバンで再入国すると、今度はパンバンからプンツォリンまで戻る陸路がかなり大変だ。ちょっと行くのは難しいかなと思っている。
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CNDP2030のその後 [ブータン]

今日の記事はいささか古いです。半年以上前の記事をほじくり返して書いています。

国土計画法案、また棚上げに
Spatial Planning Bill shelved again
Yangchen C Rinzin記者、Kuensel、2021年12月3日
https://kuenselonline.com/spatial-planning-bill-shelved-again/
【抄訳】
ほぼ6年前に起草され、この冬の国会会期に提出される予定だった国土計画法案がまた棚上げとなった。公共事業人間居住省(MoWHS)は2015年に同法案を起草し、同年、同省は国会への提出と真偽のため、同法案を内閣に提出した。同法案は、全国で実施中の開発計画と、今後実施予定になっている開発計画に法的根拠を与えることが期待されていた。

ドルジ・ツェリン公共事業相は、内閣がさらなる見直しの必要性を感じたのが法案棚上げの理由だと述べた。「でなければ、法案は法案提出に必要なすべての手順を踏み、それをクリアしてきた。私は内閣での見直しの決定を尊重するが、同法の制定は、開発計画の実効性を担保するという大きな利益を含め、省にとっては重要な課題だ。」大臣は明言しなかったが、内閣はMoWHSに法案を見直すよう指示した模様。

同法案が棚上げされたのはこれが初めてではない。省当局者によると、同法案は国民民主党(PDP)政権の在任中にも内閣に提出された。

また、一部の当局者は、大臣の同意を得て、国土計画法が既存の計画に法的根拠を与えるものであると語った。そのため、同省は法案を至急扱いとしてきた。しかし、法案は国会に到達することはなかった。

省とは別に、2019年のティンプー市の都市開発計画に関するパフォーマンス監査報告書の中で、王立会計検査院(RAA)は、省が法案の制定を進めるよう提言している。RAAはまた、国土計画が、構造計画の実施に関与する機関の意思決定権限と役割および責任を明確にするだろうと述べた。法案が承認されれば、現在実施中の開発計画に及ぶ影響を最小限に抑えることができるともRAAは指摘している。

ちょっと古い記事になるが、ふと「全国総合開発計画(CNDP)」の法的根拠ってちゃんと確保されたのだろうかと気になり、グーグル検索をしてみたところ、現時点でまだだということがわかった。

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