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『「あまった食べ物」が農業を救う』 [持続可能な開発]

「あまった食べ物」が農業を救う (PHPサイエンス・ワールド新書)

「あまった食べ物」が農業を救う (PHPサイエンス・ワールド新書)

  • 作者: 山田 浩太
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2012/05/19
  • メディア: 新書
内容紹介
国全体で6割の食料と、大量の肥料を輸入し、その後食料の3割近くを廃棄する国、日本。一方でほとんどを海外に依存している化学肥料は、すでに入手困難が指摘されるものもあり、国際関係の動向にも大きく左右される。膨大な無駄と深刻な危機を乗り越えるのは、生ゴミや家畜糞をきちんと発酵させ、有機質肥料として活用する社会だ。さらに「有機農業」の危険性にも注意を払いつつ、自ら循環型農業に取り組む農業コンサルタントが語る。
【MT市立図書館】
この本との出会いは今月初旬に遡る。市立図書館から最初に借りたのは妻である。経緯は詳しくは知らないのだけれど、市の活動助成をもらってコンポストづくりのハンズオンワークショップを妻が企画した。助成金の申請からプレゼンと1人でこなしてきた妻は、いざ助成決定後は今度はワークショップの募集、講師との連絡調整、使用資機材の事前調達、プログラムと当日配布資料の作成、参加者アンケートの作成等の多くの準備を1人でこなしてきた。もちろん協力者はいたのだけれど、助成金をいただいてくるところは僕にも経験がなく、よくやったと敬服した。その後の準備に関しては、その手のワークショップをやたらと企画実施してきた僕から見ていてちょっと肩の力が入りすぎているかなと思った。「案ずるより産むがやすし」だと何度か言ったけれど、「初めてなんだからしょうがないじゃん」とずっと不安がっていた。

先週末、そのワークショップの1回目が終わったので、ホッとしている様子が窺える。僕よりも良質の実践経験を積めたのだから、羨ましいとすら思う。

さて、そんな妻が、空き時間を見つけては、不安を紛らすために読んでいたのが本日ご紹介するこの本である。たぶん、妻の企画していたコンポストづくりのワークショップは、実際に近郊農業で小さな畑を持ってやっておられる参加者が多いので、世帯レベルでの資源循環になっているのだと思われるが、本書の著者が取り組んでいるのは地域レベルでの資源循環の実現で、そうなると生ごみや家畜の糞尿から有機質肥料を作ってもそれを使って下さる農家さんや、作物を買って下さる消費者の理解が必要となる。話が大きくなればなるほど難易度は上がる。

ワークショップ1回目を前に妻が本書を読了して図書館に返却したタイミングで、今度は僕が借りて、ざっと斜め読みをしてみた。

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『オッサンの壁』 [持続可能な開発]

オッサンの壁 (講談社現代新書)

オッサンの壁 (講談社現代新書)

  • 作者: 佐藤千矢子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/04/13
  • メディア: Kindle版

内容紹介
日本一の「オッサン村」ーー永田町の非常識、政治メディア の実態。全国紙初の女性政治部長が克明に記す「男社会」のリアル。なぜ、永田町と政治メディアにオッサンが多いのか?幾多の「壁」に直面してきた政治記者が男性優位主義の本丸で考えた、日本社会への処方箋。
【MT市立図書館】
昨年8月、斎藤幸平『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』のレビューをブログで書いた際、「本書の中で著者が引用した文献のいくつかは今一度チェックして、次に読みたい本のリストには上げておきたい」と結んだ。それに基づき、著者の引用文献をメモしておき、帰国後に市立図書館で探して借りた最初の文献が本日ご紹介する『オッサンの壁』だ。

日本のジェンダー主流化の取組みは相当遅れていると言われているが、それを毎日新聞社の政治記者として大物代議士やその秘書と接する中で体験した具体的な実態として描いている。加えて、そういう政治家を相手にネタをとって来なければならない記者の労働環境とか、有力女性代議士の主張とかから拾って来て、永田町界隈の政治家やメディア関係者を含むコミュニティ全体でのジェンダー主流化の遅れも知ることができる。

さすが普段から記事を書かれているだけに、読みやすいし、頭にも入って来やすい。SDG5(ジェンダー平等を実現しよう)のうち、特にターゲット5.5「政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参加および平等なリーダーシップの機会を確保する」への日本の取組み状況のどこが良くないのか、具体的に突き付けている内容だと思う。永田町界隈の実態がこんな感じだと、女性の政治参加の実現とか女性のリーダーの台頭とか、そんなに簡単には望めないだろう。


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『入門 開発経済学』 [持続可能な開発]

入門 開発経済学-グローバルな貧困削減と途上国が起こすイノベーション (中公新書 2743)

入門 開発経済学-グローバルな貧困削減と途上国が起こすイノベーション (中公新書 2743)

  • 作者: 山形 辰史
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2023/03/22
  • メディア: 新書
内容紹介
21世紀に入った今でも世界は悲惨さに満ちている。飢餓、感染症、紛争などに留まらず、教育、児童労働、女性の社会参加、環境危機など、問題は枚挙にいとまがない。開発途上国への支援は、わたしたちにとって重要な使命である。一方で途上国自身にも、ITを用いた技術による生活水準の向上など、新たな動きが生まれつつある。当事者は何を求めているのか、どうすればそれを達成できるのか、効果的な支援とは何か――これらを解決しようと努めるのが、開発経済学である。その理論と現状を紹介し、国際協力のあり方、今こそ必要な理念について提言する。
【購入】
僕も間もなく定年を迎え、その時には今勤めている会社はきっぱり辞めて、政府開発援助の現場からは思い切って距離を置こうと思っている。国際協力に一切かかわらないというつもりではないものの、ジェネラリスト的な立ち位置での仕事はもうしないだろう。

そう心に決めてからは、あまりこのタイプの本は読んでいない。というか、他に読まねばならない資料が多いことから、国際協力系の文献は優先度を下げているというのが正直なところだ。ただ、3月末に日本に帰った時、たまたま店頭平積みになっていたし、ものが新書なので読み終わったらティンプーの昔の職場にでも置いておけば後輩の誰かが読んでくれるだろうと考え、1冊購入してこちらに持ってきた。

それを今頃読もうと考えたのは、このところSDGsについて考えさせられる出来事が多かったからである。今の自分の仕事とSDGsが絡んでくる局面があったことや、SDGsが制定された当時のことを思い出さねばならなくなったことなど、続く時には続くものである。今の自分の仕事とSDGsに関しては、「デジタルものづくりとSDGs」という記事をnoteの方で書いたので、ご覧いただければと思う。

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『なめらかなお金がめぐる社会。』 [持続可能な開発]

なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。

なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。

  • 作者: 家入 一真
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2017/08/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
「お金がすべて」の社会のその先に。クラウドファンディング、恩送りの社会。資本主義のアップデートが始まる。今、家入一真が伝えたい、新しいお金、経済の姿。
【Kindle Unlimited】
この本は、日本にいた頃、一度近所のコミセン図書室で借りようかどうしようか悩み、結局借りなかったという記憶がある。それを今さら読んだのは、Kindle Unlimitedで読めたからである。

ただ、先週ぐらいからだろうか、クラウドファンディングで資金調達を手伝ってあげられないかと思う案件があり、ちょうどタイミングの良い読書となった。これを読んだ後、CAMPFIRE主催の「クラウドファンディング勉強会」も出てみた。30分と短い講座の中に多くの情報を詰め込もうと、ずいぶん早口で説明されて少しついていけなかったが、外国在住者でもあってもクラウドファンディングに挑戦可能とのお話があったのには勇気づけられた。(ちなみに、資金調達を手伝ってあげたいと思っている目標額は5000ドルである。)

本書は、著者が立ち上げた日本のクラウドファンディングプラットフォーム最大手のCAMPFIREの宣伝本ともいえる。2016年にCAMPFIREの代表取締役に就任しているので、なぜ自分がクラウドファンディングを推すのか、そしてCAMPFIREで何を目指すのかが、述べられている。著者のエッセイとしても読める。

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再々読『農山村は消滅しない』 [持続可能な開発]

農山村は消滅しない (岩波新書)

農山村は消滅しない (岩波新書)

  • 作者: 小田切 徳美
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2014/12/20
  • メディア: 新書

【JICA事務所の書棚から拝借】
5年ぶりに再読した。元々のきっかけは、昨年末に行われた岐阜県在住の有志主催のオンライン勉強会で「内発的発展論」が扱われた際、本書の著者による「交流をエネルギーとする内発的農村発展論」に言及があったからだ。勉強会では、小田切徳美先生の農村発展論を、次のようにまとめて紹介されていた。

農村への若手移住者増、女性移住者増、「半農半X型」の職業増→関係人口に注目

地域づくりの内発性、多様性、革新性→交流を内発性のエネルギーとする新しい内発的発展論→格差是正と内発的発展のバランスの重要性→「にぎやかな過疎」へ

そこで扱われた参考文献は本日ご紹介する岩波新書ではなかったのだが、小田切先生の名前が出てきた時、「そういえば、先生の著書がJICAブータン事務所の資料室の書棚に入っていたな」と思い出した。

僕は3月14日に当地で「日本の地方開発」という講義を英語で行うことになっていた。年末にJICAの所長さんから依頼されたもので、テーマだけは縛られていた。何をどうしゃべろうか考えていた時に、前述の岐阜県有志のオンライン勉強会で「内発的発展論」に久しぶりに触れ、これは取り込もうと考えた。

いずれ事務所へ行って本書も参考文献としてお借りしようと思っていたところ、1月に入って首都ロックダウンが始まり、3月下旬まで、JICA事務所には入らせてもらえなかった。当然、講義には間に合わなかったが、自分自身でもあの講義では「内発的発展論」の日本国内での展開をうまく描き切れなかったとの反省もあったので、もう少し文献読んでみようと考えた。

本書については、過去二回の読込みの際、いずれもこのブログで紹介記事を書いている。僕の頭も今よりずっと明晰だった時期の記事なので、それはそれで読みごたえがある。
(2015年8月23日):https://sanchai-documents.blog.ss-blog.jp/2015-08-23
(2017年8月27日):https://sanchai-documents.blog.ss-blog.jp/2017-08-27

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『FAB CITIZEN DESIGN GUIDE BOOK』 [持続可能な開発]

FabCitizenDesignGuideBook.jpgFAB CITIZEN DESIGN GUIDE BOOK
應義塾大学SFC研究所、ファブ地球社会コンソーシアム、2022年3月23日(水)
https://www.fabsteps.org/
「はじめに」より
本プロジェクトの母体となる「ファブ地球社会コンソーシアム」は、2015年に文部科学省COI(Center of Innovation)に採択された基礎研究の成果を社会に広げていくために設立されました。本コンソーシアムでは、技術と社会が重なり合い到来しつつある「ファブ地球社会」において、共通の課題となる技術、流通、社会、福祉、そして教育の5つのワーキンググループをつくり、研究活動を行ってきました。

本報告書は、2016年よりコンソーシアム内の教育や人材育成のワーキンググループ「高大連携ワーキンググループ」と、それらが発展し2019年から開始した「ファブシティズン デザインワーキンググループ」の活動を総括したものです。

特に、3Dプリンタやレーザーカッターなどのデジタル工作機械を用いた「ものづくり」を軸とした探求行為を、FAB(ファブ)と位置づけ、教育機関はじめ、地域、企業の枠組みを越えた、新しい仕組みづくりを積極的に行ってきました。これまでの6年間の活動から得た知見を、「持続可能な社会を担うひとやまちを育むための学びの実践ガイドブック」としてまとめています。

未来を担う世代、そうした世代の教育に関わる関係者や保護者の方々に対して、それぞれにあった形で 未来に対しての手引書になれば幸いです。

一昨日の記事「ブータン人間の安全保障上の課題」の中ですでにご紹介した通り、先週、このガイドブックの公開記念イベントがオンラインで開催された。このコンソーシアムの関連で「ファブ地球社会/創造的生活者シンポジウム」というのが2016年3月に慶應義塾大学三田キャンパスで開催された時も、僕は大学受験に失敗した長男を連れて会場にいた。その長男は今や修士1年目を終えようとしていて、自分で言うのもなんだが、着実に「ファブシティズン」の道を歩んでいる。

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ブータン人間の安全保障上の課題 [持続可能な開発]

デジタル・ガバナンスの時代の人間の安全保障上の課題を乗り越える
Overcoming human security challenges in the age of digital governance
2022年3月25日(金)、UNDPブータン事務所
https://undpbhutan2012.medium.com/overcoming-human-security-challenges-in-the-age-of-digital-governance-c037167864e8
UNDP-HSR001.png

本日ご紹介するのは、今年2月にUNDPから出された「人間の安全保障特別報告2022年版」(以下、SRHS2022)を引用した、UNDPブータン事務所の記事である。補足しておくと、UNDPには「人間の安全保障ユニット」というのが今もあって、国連の中での人間の安全保障の主流化に役割を果たしている。ただし、日本人の職員が配置されているのかどうかはわからない(多分されていないのではないかと思われる)。今回の報告書の編集チームの中にも、日本人は入っていないし、日本人の名前として載っているのは、高級諮問委員会(パネル)の共同議長として武見敬三議員の名前があるくらいだ。

UNDPがすごいと思うのは、レポートの量産能力の高さだ。先日、ブータンの若者の失業に関するレポートを紹介したばかりだが、こうした国別のレポートの他に、全世界対象にしてオピニオンを打ち出して何らかの国際世論形成を図ろうとするレポートも存在する。しかも、そうしたグローバルなレポートを、ブータンの文脈に落とし込んで紹介しようとすらされている。

これは素晴らしいことで、たとえて言えば、JICAの持っているシンクタンクがいろいろなワーキングペーパーを出しても、その示唆を各国の文脈に落とし込んで各々の国で紹介するような機能は、よほど意識の高い事務所でないとあり得ない。いや、ワーキングペーパーは「~~国における――」と国の条件指定が入っていることが多いため、普通に考えれば、研究対象になった国なら関心あるけれど、そうでない国の事務所にとってはほとんど関心がない。そもそも、JICAはそうしたグローバルなフラッグシップレポート自体を出していないので、単純にUNDPとの比較自体ができないのだが。

しかし、そうであったとしても、緒方貞子先生以来、「人間の安全保障」の推進役と自認していた日本が、UNDPにお株を取られているのも悲しいし、仮にレポート自体はUNDPが出しているものであったとしても、そしてフラッグシップレポートのようなものを出していないとしても、UNDPに書かれっ放しにされているのは悲しい。SRHS2022の分析枠組みの土俵の上に立って、「これはどうなんだ」と指摘したり、新たな視座を提供するようなコメンタリーを出せたら、「おおっ」と日本を見直したくなる。

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『世界幸福度報告2022年版』 [持続可能な開発]

戦争とパンデミックの中、世界幸福度報告は明るい点を示す
Amid War and Disease, World Happiness Report Shows Bright Spot
2022年3月19日(土)
持続可能な開発に向けたソリューションネットワーク(SDSN)メルマガより


戦争とパンデミックという問題に直面するこの時期に発表された『世界幸福度報告2022(WHR)』は、暗い時代でも明るい光があることを示す。パンデミックは、痛みや苦しみだけでなく、社会的支援や慈善的行為の増加ももたらした。私たちが疾病や戦争の災禍と闘うとき、幸福への普遍的な欲求と、非常に必要なときにお互いの支援に結集する個人の能力を覚えておくことは特に重要だ。

今年はWHRの10周年を迎えた。この報告書は、世界的調査データを使用して、世界150か国以上で人々が自分の生活をどのように評価しているかを報告するものである。もちろん、幸福への関心は世界的なものである。WHRは2021年に900万人以上に届いた。WHRは、最初に発表されて以来、2つの重要な思想に基づく。1つは、幸福または人生の評価はオピニオン調査で測定できるということ。そしてもう1つは、ウェルビーイングの主要な決定要因は特定可能であり、それにより国家間の生活評価のパターンは説明可能だということだる。こうした情報は、次に、各国がより幸せな社会を実現することを目的とした政策策定に役立つ。

ジェフリー・サックス教授は、WHRの起源と目的を以下の通り説明する。「10年前、世界中の政府は、世界の開発アジェンダの中心に幸福を置きたいという願望を表明し、その目的のために国連総会決議を採択した。WHRは、より大きな世界の幸福への道を見つけるという世界的な決意から生まれたもの。今、パンデミックと戦争の時代に、私たちはこれまで以上にそのような努力を必要としている。そして、長年にわたるWHRの教訓は、社会的支援、お互いへの寛大さ、そして政府の誠実さが幸福のために重要だということである。世界の指導者はWHRに注意を払うべき。政治の注目は、偉大な賢人がずっと前に主張したように、支配者の力ではなく、人々の幸福に向けられるべきだ。」

WHR2022.jpgWHRが10年前に発表されて以来、幸福と生活満足度を測定することへの関心が高まっている。これは、2005/06年度以降のギャラップ世界世論調査で入手可能なデータによりかなりの程度まで可能になっている。WHRは毎年、過去3年間の調査のデータをまとめて、サンプルサイズを増やし、精度を高めている。

150か国以上をカバーする15年間のデータが利用可能であることにより、これまでにない棚卸しの機会を我々は得ている。 幸福度が最も改善したのはセルビア、ブルガリア、ルーマニアの3ヵ国、幸福度を大きく落としたのは、レバノン、ベネズエラ、およびアフガニスタンの3カ国であった。

「WHRで検討されたデータは、世界中の人々が自分の幸福をどのように評価しているかのスナップショットと、ウェルビーイングに関する科学的見地からの最新の洞察のいくつかを提供してくれる」とララ・アクニンは述べる。 「この情報は、人間の状態を理解し、人々、コミュニティ、国がより幸せな生活を送るためにどのように役立つかを理解するために非常に強力です。」

3月20日(日)は、国連が定めた「世界幸福デー(International Day of Happiness)」である。この記事を書いているのはまさにその当日だが、日曜日であるため、ブータンの主要メディアはまだこれを報じていない。たぶん、21日あたりのクエンセルでは何らかの記事が掲載されるだろう。幸いなことに、昨夜(19日)に首相官邸から追加緩和策のアナウンスがあり、明日からティンプーは同じメガゾーン内であれば移動して事業所に行っていいことになった。レストランも再開される。そういう意味では、市民は外を歩ける幸せをかみしめる日になるであろう。僕も約1カ月ぶりに出勤できそうだし、これから年度末に向けて、片付けねばならないことが結構多い。そのために、本日は予約投稿をさせてもらっている。

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再読『国土計画を考える』 [持続可能な開発]

国土計画を考える―開発路線のゆくえ (中公新書)

国土計画を考える―開発路線のゆくえ (中公新書)

  • 作者: 本間 義人
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1999/02
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
列島改造、田園都市構想など時々のコンセプトを掲げて国土を開発してきた「全国総合開発計画」は日本の現在の豊かさの原動力となった。反面、中央主導、公共投資重視によって環境破壊、東京一極集中をもたらし、地価高騰、政官財界の癒着を生み出したのも国土計画であった。しかし98年に策定された新計画にこの反省は生かされていない。地方分権と行財政改革が迫られている現在にふさわしい国土計画とはどのようなものであるべきか。
【キンドル】
このところ度々話題にしている3月14日(月)の講義、1週間の余裕残しで読上げ原稿を先に作り、7日(月)からは講義資料のスライド作成に入った。「余裕残し」といってもそれほど余裕があるわけではない。スライドを作りはじめてみて、これからが情報武装・理論武装の正念場だと気を引き締めている。

その情報武装の一環で、日本の地域開発政策の経験を復習しておこうと思い、5年半ぶりに再読することにしたのが本書である。1962年策定の「全国総合開発計画」(一全総)から、1998年策定の「21世紀の国土のグランドデザイン」(五全総)に至るまでの国土計画の歴史と教訓、そしてその反省と教訓を次の全総策定に生かせず、東京一極集中と地方にある廃墟リゾート施設、地価高騰とバブル崩壊、県知事の中央陳情、予算ぶんどり合戦等を生み続けてきた日本の半世紀近い失敗の経験を、わりとコンパクトに整理してくれているいい文献だ。

また、自分の講義プランとの関係で言えば、①全総と各県の県総合開発計画の連動性(特に「定住圏構想」を謳った1977年の「三全総」と80年代の「テクノポリス構想」が県の施策に与えた影響)、②僕たちが学生時代に途上国開発の文脈で語っていた「内発的発展論」と日本の地域開発政策との関連性、さらに、③自分の講義の最後のまとめで使おうとしていた「地域における交流と学習のデザイン」というのが、全総の経験と教訓の中からも導き出せるのか、という3つの点から確認できたのが収穫といえる。

前回紹介した際、相当な箇所の引用をブログ上でやっていたので、そちらも参照していただければと思うが、上記で示した再読にあたっての問題意識から、新たに下線を引いた箇所について、少しばかり追加で引用させていただければと思う。

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『スモールイズビューティフル再論』 [持続可能な開発]

スモール イズ ビューティフル再論 (講談社学術文庫)

スモール イズ ビューティフル再論 (講談社学術文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/04/10
  • メディア: 文庫
内容紹介
物質至上主義、科学技術万能主義を痛烈に批判した前著『スモール イズ ビューティフル』。その思想を更に敷衍した小論文を「リサージェンス」誌に発表したもののアンソロジーが本書である。地球環境に配慮し、人間の身の丈に合った、「精神性」のある経済政策を提唱して反響をよんだ、シューマッハー独特の経済論。新訳、文庫オリジナル。
【購入】
日本出発のずっと前に購入し、出発までずっと積読にしてあった1冊。今年の目標は「古典を読む」ことだったので、読んでおけば後で何かの引用で使えそうな古典は、まとめてこちらに持って来ている。シューマッハーの著作を「古典」で括るのにはちょっと語弊もありそうだけれど、開発途上国に来たら来たで、シューマッハーの論点には頷けるものが非常に多い。

で、今回は、さすがに『スモールイズビューティフル』の訳本の方は持って来ていないけれど、長らく積読にしていた『~再論』の方は持って来た。前回、『スモールイズビューティフル』読了後の紹介記事では結構ちゃんと書き込んだ感じだったし、その後原書のキンドル版も購入してマーカー箇所を転記してあるので、いざとなればそちらを参照することにし、今回は、英国の隔月誌「リサージェンス」に1966年から77年にかけて寄稿された論文のアンソロジーの訳本の方だけを携行した。

で、ここ2カ月ほど断続的に別の「古典」を読み続けているけれど、あまりに難解で、1日10頁読めればいい方という状態だった。それでまだ230頁しか到達していない。ちなみに全体では670頁もある学術文庫本で、先は気が遠くなるほど長い。読んでいても全然頭に入ってこないから、時々息抜きがしたくなり、今回のような別の読み物を挟む事態に陥る。で、そちらの方が圧倒的に読みやすく感じる。

こうして、スラスラと読み進めることができた。元々『スモールイズビューティフル』を過去に読んでいて、シューマッハーの思想についてはあらかたわかっていたという点も大きいと思う。

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