公務員に研修手当を払う慣行 [ブータン]
王立人事院、特別日当を廃止
No DSA for short-term training: RCSC
Phurpa Lhamo記者、Kuensel、2022年5月19日(木)
https://kuenselonline.com/no-dsa-for-short-term-training-rcsc/
【要約】
王立人事院(RCSC)は、同院主催、ないし他機関のファンディングにより国内で実施される短期研修プログラムに適用されてきた特別日当(DSA)を廃止する。5月16日付の通達で発表されたもの。すべての公的機関に対して発出されたこの通達では、DSAは給付されなくなるが、研修参加者には、通常の日当(DA)と宿泊費(TA)は引き続き適用される。
ブータン公務員規制法(BCSR)では、DAは、公務員が公務で国内出張する際に所要日数に応じて適用される。これに対して、DSAは短期研修や外国出張時にその日数に応じて適用される。DSAは、2019年の公務員給与改定法により、1日2,000ニュルタムと決められている。
RCSCの今回の通達では、人材育成プログラムの質や有効性を貶めることなく、費用節約措置は実施されるとある。2020/21年度の年次報告によると、短期研修は資金総額のうち96.1%を占め、長期研修は3.1%だった。金額にして、9,462万4,000ニュルタムが配分されていた。
RCSCによると、今後、バーチャルやオンラインに研修を切り替えて実施するのを優先したい考え。「移行を確実に進め、革新的な仕事のやり方を継続的に取り入れ、ニーズに基づく、包括的かつ合理的に効果的かつ効率的な能力開発事業の実施にテクノロジーを活用していくチェンジエージェントであり続けたいと私たちは考えています」と通達は述べる。
少し前に、「研修生に行う現金給付」という記事をアップし、技能研修で参加者募集する際に1カ月3,500ニュルタムの「手当(stipend)」が支給されるお話を紹介した。その時は民間人を対象に行う技能研修の公募のお話だったが、今回のRCSCの通達は、公務員が短期研修に参加する場合のお話であることを先ずお断りしておく。
来てたんですか? [ブータン]
先週、デリーの日本大使館の方が来られていたみたいである。実際にどこをどう訪問されたのか、何日間ぐらいいらしたのか、あまり全体像がはっきりわからず、断片的な情報でしか知る機会がないのだが、日本大使館のHPを見ると、以下の4件の草の根無償資金協力の供与式が行われたそうだし、加えてパロのFMCLをJICAの関係者と訪問された話(上記)や、UNDPの事務所で地球環境ファシリティ(GEF)のグラント調印式に出席された話などがSNS上では読み取れる。
①令和2年度「ティンプー県ワンシスナ郡女性の自立支援のための職業訓練施設送迎バス整備計画」
②令和元年度「ものづくり市民工房ファブラボにおける工作機械整備計画」
③令和元年度「農村部貧困層のための非感染性疾患及び腎臓病予防医療巡回バス整備計画」
④平成30年度「プナカ県グマ郡農道整備計画」
ここでも住宅不足 [ブータン]
住宅不足は続く:プンツォリン
Housing shortage continues in Phuentsholing
Rajesh Rai記者(プンツォリン)、Kuensel、2022年5月14日(金)
https://kuenselonline.com/housing-shortage-continues-in-phuentsholing/
【要約】
過去2年間、パンデミックの影響で多くの住民がプンツォリンを去った。残った住民は住宅不足が改善されるのを期待したが、実際そうなっておらず、今でも適当な賃料で住居を確保するのは難しい。3ベッドルームのアパートだと、家賃は最低でも月1万5,000~6,000ニュルタムはする。
住居やオフィススペースの賃料だけでなく、レストランも同様。月5万2,000ニュルタムを要求されるケースもあるという。
家賃の下落が起きない理由は、オーナーが次のCOVID-19変異種の感染拡大がやってくるのを恐れているからだという。オーナーたちは、所有ビルの空きスペースを、商店の在庫保管倉庫として貸し出している。これはアパートが商業目的で使われているということであり、市当局はこうした商業活動に対して課税の捕捉ができていない。ちゃんと捕捉できれば、市の住宅問題の20%程度は解消されると見られる。
現在、タウンエリアの家賃は1万2,000~2万ニュルタム程度である。
しかし、住民側にも責任があるとの指摘も。オーナーの知らないところで、店舗スペースの売買を繰り返しているという。それがオーナーの知るところとなり、オーナーが家賃つり上げを測ったのだという。結局、高値でつかまされた最後の入居者が損をし、オーナーがいちばん儲けている。
あまり解説のしようがない記事なのだが、プンツォリンの現在の家賃相場がわかるので、あえて紹介させてもらった。すみません。今日はこれくらいで!
美術教育も実はステークホルダー [ブータン]
JICAブータン事務所のこのFacebookのポストについては、すでにブータン大好きな登録者の方々向けに毎日配信されているメルマガでも紹介されていて、日本語の解説もある。JICAの草の根技術協力で2019年度に採択された「美術指導力の向上とアートを通じた地域活性化プロジェクト」 (実施団体:公益財団法人浜田市教育文化振興事業団)の一環で製作されたカレンダーを紹介するのが目的だったのだろう。
このプロジェクトについては、JICAが1分程度のビデオクリップを作っているようなのでご覧いただけるとわかるが、このプロジェクトでは別に絵画だけをやっているわけじゃなく、工作もやっているようである。
それで、今日のお話しであるが、内容は浜田市教育文化振興事業団さんとJICAさんへのラブコールです。
『風待ちのひと』 [読書日記]
内容紹介【購入(キンドル)】
“心の風邪”で休職中の39歳のエリートサラリーマン・哲司は、亡くなった母が最後に住んでいた美しい港町、美鷲を訪れる。哲司はそこで偶然知り合った喜美子に、母親の遺品の整理を手伝ってもらうことに。疲れ果てていた哲司は、彼女の優しさや町の人たちの温かさに触れるにつれ、徐々に心を癒していく。喜美子は哲司と同い年で、かつて息子と夫を相次いで亡くしていた。癒えぬ悲しみを抱えたまま、明るく振舞う喜美子だったが、哲司と接することで、次第に自分の思いや諦めていたことに気づいていく。少しずつ距離を縮め、次第にふたりはひかれ合うが、哲司には東京に残してきた妻子がいた――。人生の休息の季節と再生へのみちのりを鮮やかに描いた、伊吹有喜デビュー作。
この1週間、ちょっとした空き時間を使って、紀伊半島絡みの動画を2本続けて見た。1本目はYouTuberスーツさんの旅行チャンネルで、紀伊半島1週の旅を取り上げておられた。この1年、スーツ旅行チャンネルは楽しく拝見している。続いて紀伊半島の「酷道」をドライブするというYouTuberの動画を見た。「日本三大酷道」の1つである国道425号線を、終点から起点まで逆にたどるという動画で、その目的地が三重県尾鷲市だった。
前回吉田修一『ミス・サンシャイン』を取り上げた後、次に何読もうかと物色していたところ、そういえば伊吹有喜さんは新作出していないのかと気になり、アマゾンで調べてみた。でも、結局は新作ではなく、見つけた未読作品は彼女のデビュー作で、しかも舞台が三重県南部だった。YouTube動画を立て続けに2本見た直後だったし、なんとなく、「これ読めよ」と言われているような気がして、それでダウンロードした。
来年の花博会場か? [ブータン]
プンツォリン市民にとっての遊園
Recreational park for Phuentshogling residents
Sonam Penjor記者(プンツォリン)、BBS、2022年5月12日(木)
http://www.bbs.bt/news/?p=169180
【抄訳】
この国で最も人口が多い年の1つであるプンツォリン。しかし、この街にはレクリエーションの場所がこれまでなかった。その状況も間もなく解消される。この9月、プンツォリンに、市民が来てリラックスできる場所が誕生する。整備作業工程の75%が終わっている。
遊園の開発は2020年4月に開始された。今、整備作業は全速力で進められており、残り数カ月で終わる見込みだ。
ウッタル・クマール・ライ市長「この事業は今月で終了する予定でした。しかし、パンデミックの影響で送れ、整備受注業者との契約を延長しました。あと2、3カ月で終了することができるでしょう。」
完成すれば、花園や魚の泳ぐ池、歩道、スカイウォーク、オープンシアター等の設備を持つ公園となるだろう。この遊園は王立ガバナンス戦略研究機関(RIGSS)に隣接した1エーカー以上の用地に作られている。元々市民のリクリエーションの場だった。
ライ市長「皆さんご承知の通り、以前はこの地は適切な管理がなされていませんでした。いい設備もなく、市民に大きな恩恵を与えられる場所ではなかったのです。」
住民はこの報道にすでに興奮を隠せない。
タシ・ツォキ・ハモ「プンツォリンは、ティンプーと違い、外をぶらぶら歩ける場所がありません。だからこの遊園は素晴らしい場所です。とても楽しみ。」
ケンガ・ギャツォ「若者はバーに繰り出すことが多いです。でも、ユースセンターや公園があれば、私たち若者も有意義な時間が過ごせると思います。」
ペマ・リンチェン「この公園が完成したら、子どもや両親と一緒にここに来て一緒に過ごしたいです。いままで屋内でしか過ごせてこなかったから、退屈して来たのです。」
この遊園整備の事業費は約2,500万ニュルタムである。.
この遊園整備地は、国道を下りて行ってプンツォリン市街地への入り端左手にある。サッカー場の向かいだ。プンツォリンを訪れたことがある人なら、「ああ、あそこか」とすぐに想像がつくのではないか。
『ミス・サンシャイン』 [吉田修一]
内容紹介【購入(キンドル)】
僕が恋したのは、美しい80代の女性でした…。大学院生の岡田一心は、伝説の映画女優「和楽京子」こと、鈴さんの家に通って、荷物整理のアルバイトをするようになった。鈴さんは一心と同じ長崎出身で、かつてはハリウッドでも活躍していた銀幕のスターだった。せつない恋に溺れていた一心は、いまは静かに暮らしている鈴さんとの交流によって、大切なものに触れる。まったく新しい優しさの物語。
祝・マイカテゴリー「吉田修一」の10件到達!———但し、『横道世之介』およびその続編だけでのべ3回も取り上げているから、カテゴリーを設けているわりに、多くの作品を読んでいるわけではない作家でもある。
マイカテゴリーを設けているわりに、作品を読んでいない作家が何人かいるというはずっと忘れていたのだが、今回は、そんな吉田修一の新作で、かつキンドルでもダウンロード可能だったので、週末読書のつもりで読み始め、週明けになってから読了した。
読後感が心地よい作品だった。久しぶりの吉田作品なので過去に読んだ作品との比較も難しいのだが、これくらいに人畜無害の主人公を立てる一方で、元銀幕の大スターだった鈴さんとか、「せつない恋」の相手となった桃ちゃんとか、「陰」———というか、触れられたくない、語りたくない部分を持った周りの登場人物を対照的に配置して、うまい展開のさせ方をしていると思う。
タグ:長崎
地元宗教界もステークホルダー [ブータン]
5月11日のシャブドゥン命日を前に、ジェ・ケンポがプナカ入りされたという報道は、僕には正確に記事を日本語に訳すのは自信がないし、中途半端な訳し方をするとよくご存知の方から「それは違う」とお叱りも受けるかもしれない。今回は抄訳・要約も付けず、BBSのFacebookからの切り抜きを貼り付けるだけにさせて下さい。お許し下さい。
ちょうど、仏教絡みの報道が出たので、これを機会に自分の仕事とも関連したエピソードを、今日は1つ紹介してみたい。
先日、CSTで朝学長室を訪ねた時、パサカの僧院(たぶん、ウゲンドルジ僧院)の方が来られて、学長と談笑されていた。王様からの指示で、僧院も科学技術イノベーションを取り入れて、新しい仏教修得のあり方確立や僧院生活の改革が求められているのだそうだ。王様からの指示があったのはパンデミック前のことで、僧院では近所にある工科大学CSTと組んだら何かできるのではと考え、CSTへのアプローチを開始していた。ロックダウンも解除され、通常生活に戻りつつある中、CSTとのダイアログを再開したい、それがこの時の訪問の趣旨だったらしい。
ゲレフの女性塗装工 [ブータン]
近年になって、ブータン人女性が、これまでは男性中心と見られていた仕事の世界に進出して名を成すケースが出てきた。政治の世界でのリーダーシップからホワイトカラー、さらにはブルーカラー職に至るまで、ブータン人女性は次に続く若い世代のために、長い旅を続けている。
ゲレフでは、1人の女性が、自動車整備工場唯一の女性塗装工になっただけでなく、その地区でも最も技能を有した塗装工の1人として認められるまでになっている。
言われてみれば当たり前のことでも、外国人にとっては言われるまでは気付かないということが、日常生活を営んでいてもたびたびある。この報道も、BBSが「女性」という点で取り上げてくれたおかげで、僕は塗装工というのが自動車整備工場にいるんだというのがわかった。
塗装工と自動車整備工場とはどういう関係にあるのだろうか。1人の塗装工は、1つの整備工場と完全にペアになっていて、整備工場から賃金を受け取っているのだろうか。それとも、塗装工は一種のフリーランサーで、複数の整備工場から声がかかって、塗装工程部分でのみ報酬を得ているのだろうか。このBBSのテレビ報道の動画には、近隣の複数の塗装工がインタビューで出てくる。彼らがしゃべっている内容は僕には理解できないのだけれど、ひょっとしたら塗装工というのは各整備工場に所属しているのかもしれない。というか、自動車整備工に塗装のノウハウもセットで求められているのかも。
留学に行けない人もいる [ブータン]
5月7日(土)付クエンセルの社説はオーストラリアに渡航するブータン人の多さを嘆く記事だった。「Bニュース」というメルマガに登録されている方なら、5月9日付の同メールで、機械翻訳ながら全訳が掲載されていたので、そちらで内容ご確認いただけるだろう。
おそらくは先週行われた豪州向け留学説明会及び在印豪州大使館の一等書記官へのインタビューを受けての論説だと思われる。僕もこの論調にあるような嘆き方はこれまで何度もしてきたし、僕の場合はそもそもこういうビザを出し続ける豪政府に対しても、それならそうと若い人々を吸い上げられたブータンの開発問題に関して、ちゃんとブータンに来て議論に加われと言い続けてきた。
SNS上では、「そりゃそうなんだろうけど、でも国内にいても豪州で働くほど収入は得られない。仕事が得られても月8,000ニュルタムほどで、家賃は最低でも14,000ニュルタムもするではないか」なんて書かれている。ティンプーのことを言っているのだろう。
「外国渡航と国内残留を天秤にかけ、それでも選んでもらえるブータン」のあり方を考えるのは誰にとっても重要なテーマだろう。僕だって考える。外国人の目から見たら、こんなに豊かな国をなんで去ろうとするのかと思いたくもなるのだが、それだとこのクエンセルの社説の最後に登場するニューヨーク在住のブータン人のノスタルジーの話とレベルはあまり変わらない。