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美術教育も実はステークホルダー [ブータン]


JICAブータン事務所のこのFacebookのポストについては、すでにブータン大好きな登録者の方々向けに毎日配信されているメルマガでも紹介されていて、日本語の解説もある。JICAの草の根技術協力で2019年度に採択された「美術指導力の向上とアートを通じた地域活性化プロジェクト」 (実施団体:公益財団法人浜田市教育文化振興事業団)の一環で製作されたカレンダーを紹介するのが目的だったのだろう。

このプロジェクトについては、JICAが1分程度のビデオクリップを作っているようなのでご覧いただけるとわかるが、このプロジェクトでは別に絵画だけをやっているわけじゃなく、工作もやっているようである。


それで、今日のお話しであるが、内容は浜田市教育文化振興事業団さんとJICAさんへのラブコールです。

同じ日の「ファブラボCST」のFacebookに、こんな記事が載っています。「ファブラボCST」のFacebookは、つい最近までJICAのプロジェクトであることを明記していましたが、今は現地化を進めるため、7月以降に発足する組織名を使うように変更しています。


で、記事の内容だが、誰とは言わないが、JICAの専門家が、プンツォリン市内の公私立の全学校の校長、副校長が顔を揃えた障がい児インクルーシブ教育に関する研修会で、「ファブラボCST」の事業を紹介して、21世紀型スキルの習得に向けて、ファブリケーションやフィジカルコンピューティングを組み合わせた学習機会を子どもたちに提供するので協力していきましょうと呼びかけたという内容になっている。

そこで使われた発表資料から2枚だけ借用してここに転載する。もちろん、研修会のテーマが「インクルーシブ教育」だったので、専門家は障がい児の自助具を3Dプリントで作ることが可能だと提案もしているが、同時に次のようなことも主張している。ブータンで「STEM教育」というと、学校のICTの授業に組み込まれて、実際にはプログラミング教育が行われているだけだが、これにファブリケーションやフィジカルコンピューティングを組み合わせるということは、アート(美術)や理科、算数、場合によっては社会科の授業であっても行うことができると。さらに、この専門家は、ソニーが開発したMESH IoTブロックも研修会場に携行し、実際にそれが日本では芸大の先生によってどのような活動が考案されたかを動画で見せ、会場の先生方にもMESHブロックでIoTを体験してもらうところまでやった。

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冒頭のJICAブータン事務所の記事によると、ブータンでは2013年からすべての県と市の小学校で芸術教育カリキュラムが導入されたが、必要な教育スキルと経験を持つ少数の美術教師だけが、このカリキュラムを学校で実践しているのが現状だという。でも、教員だけの問題ではなく、美術室が用意されている学校自体もそれほど多くない。

でも、確実に各学校で確実に整備が進められている施設がある。コンピューターラボである。コンピューターラボはICTの授業で使われるというのが建前だが、アート教育でもちょっとITやIoTと組み合わせたりできれば、ラボを美術の授業で使わせてもらうというのも可能になるかもしれない。そういう信頼を各学校で勝ち取るために、アートとデジタルテクノロジーを組み合わせた取組みも、このJICAの技術協力プロジェクトではやろうとしている。

だから、浜田市教育文化振興事業団の方々に、プンツォリンからラブコールをさせていただきます。

MESHブロックでもmicro:bitでも構いません。何かしらIoTデバイスを組み込んだ作品が、ブータンから生まれてくるよう、協力させていただけたら嬉しいです。JICAの事務所は案件担当によって縦割りになっているので、プンツォリンのファブラボCSTが、浜田市教育文化振興事業団さんに、そんな期待をお伝えする機会がなかなかありません。教育省のカリキュラム・プロフェッショナル開発局も、美術教育のカリキュラム担当者とSTEM教育のカリキュラム担当者が分かれているので、両者を融合するということが、局内でも行われていないように見受けられます。

現場から実際にケースを見せていくことも必要だと思っています。このメッセージが関係者の方に届くことを願ってやみません。

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