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首相演説ににじみ出る危機感 [ブータン]

首相、最高レベルの説明責任を公約
Lyonchhen pledges to deliver the highest level of accountability
Phub Gyem記者、BBS、2021年12月24日(金)、
http://www.bbs.bt/news/?p=163589
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【抄訳】
本日、国会において、現政権下で三度目となる一般教書が提出され、ロテ・ツェリン首相は、最高レベルの説明責任を果たすことを約束した。

「世俗法の黄金の天秤の運用は、今我々にかかっている。特に現政権に課せられている。我々が行うすべてのことにおいて自分自身を正当化し、擁護する習慣的な行動はやめなければならない。我々は、国王陛下のメッセージが発せられてから後付けでそれを解釈して分析し、すぐに忘れ去る傾向を捨てねばならない。公的システムを構成するすべての組織が国の目標達成に向けた変革に邁進できるよう、我々は、将来見通しとアプローチを変えなければならない。」

首相は、第114建国記念日における国王陛下の演説からインスピレーションを得て、国民と国のより大きな利益のために働く方法に革命を起こすことが、すべての人にとっての究極の課題であると述べた。

「今後も、これに続く一般教書は、これまで描いてきたのとはまったく異なるシナリオを提示すべきである。この壮大な偉業を達成するため、我々は主義主張の違いを脇に置き、おそらくそれを完全に処分せねばならない。我々はともに説明責任を遵守し、並外れた就業倫理を確立せねばならない。システムに蔓延している明白な弱点と欠点を修正する必要がある。」

首相によれば、民主化の過程で、選挙で選ばれた政府は、票を獲得するために人々に温かい言葉を投げかけ、公約を履行することによって得られる政治的利益に支配されてきた。 「新しいアプローチを採用する過程で一部の人々を失望させることは承知している。しかし、忍耐と理解をお願いしたい。同じ冗長な道のりを進むことはもはや許されないということを覚えておいていただきたい。」

今後、首相は、経済を活性化し、教育の質を高め、信頼できる人材を育成することにより、焦点を資源配分を定め直し、有益な雇用を創出すると述べた。

ブータンの年末年始はカレンダー通りで、大みそかまで仕事して、年明けは2日から働き始める。2022年はたまたま1月2日が日曜日だったからお休みだったが、感覚としては普通の週末を過ごしたに過ぎない。元日の夜でも外食に出かけられたし。

そんな短い正月休みだったので、あまり新年らしいこともしていない。ただ、仕事の一環として、12月24日に首相が行った「State of the Nation」演説ぐらいは目を通しておこうと思い、首相府のHPからダウンロードして、少し目を通してみた。
https://www.cabinet.gov.bt/wp-content/uploads/2021/12/State-of-the-nation-2021.pdf

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『道徳感情論』 [読書日記]

道徳感情論 (講談社学術文庫)

道徳感情論 (講談社学術文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/07/26
  • メディア: Kindle版
内容紹介
アダム・スミスの二大著作の一冊が『道徳感情論』(1759)です。本書こそが主著で、『国富論』はその副産物だったのです。個人とは「共感」能力を持ち、様々な「激情」を持っています。利己的であったり、社会的であったり、憤ったり、感謝したりします。スミスはこういった個人の心に「義務」「道徳」を確立して、新しい社会と人間のあり方を探りました。近代社会の原理を知るための必読書が読み易い新訳で登場!
【購入】
2021年の年初の目標の1つに、「古典を読む」というのがあった。古典を様々な論者が様々な角度から解説した解説本はあるものの、意外とこれまで古典を読むというのをしてこなかったので、ものは試しに何冊かの古典にチャレンジしてみたいと考えていた。そのきっかけとなったのが、2020年9月に読んだ井上義朗『「新しい働き方」の経済学:アダム・スミス『国富論』を読み直す』だったので、当然『国富論』はメニューに入っていたのだけれど、スミスは『国富論』刊行の前に『道徳感情論』を発表していたということから、先にそちらを読んでみることにしたのだ。

でも、8月下旬には着手したこの古典解読も、なかなか捗らず、何度も何度も中断しながら12月初旬時点で270頁にしか到達していなくて、でも年越しの課題にはしたくなかったので、12月中旬から馬力をかけて、残る400頁もとりあえず「目を通し」た。アマゾンの多くのレビュアーが述べていることだが、これを一発で理解するのは難しいので、何度か目を通せと言われるのはわかる気がする。多分、スミス自身の原文のクセのようなものなのだろうが、関係代名詞の接続法がものすごく多用されているため、その関係代名詞がつないでいる名詞がどれだったのかがわかりづらい。また、それが肯定文なのか否定文なのかが文末になるまで予想できず、著者は多分肯定的に述べているんだろうと思っていたら最後に「~ではない」的な否定句で結ばれていて、何が何だかわからなくなったりした。

翻訳がそんなに拙いというわけでもないのだが、でも訳文が理解しづらいという、僕にとってはかなりの敗北感の残った古典読書になった。こんな調子で『国富論』も書かれているのかと思うと、ちょっと怯む。しかも、『国富論』は上下巻に分かれていて、『道徳感情論』のさらに倍のボリュームである。今年1年かかっちゃうかな。かなり気が重い。

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「GNH of Business」のその後 [ブータン]

「ビジネスのGNH」認証第1号の授与
First GNH of Business Certificate awarded
Sonam Wangdi記者、BBS、2021年12月30日(木)、
http://www.bbs.bt/news/?p=163987
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【抄訳】
ブータン銀行(BOB)、ブータン電力公社(BPC)、ブータンテレコム.の3社は、木曜日、ビジネスのGNH認証(GNH of Business Certificate)を授与された。彼らは認証取得の対象企業のグループに属する。これは、3社が国民総幸福量(GNH)の価値観に準拠して事業を行っていることを示すものである。

ロテ・ツェリン首相は授賞式とともに、認証システムの正式な立上げも祝った。

王立ブータン研究所(CBS)のチームは、心理的幸福感、健康、優れた統治、コミュニティの活力など、GNHの9つの領域内の指標に基づいて企業を評価した。評価は2019年から2021年の間に実施された。CBSの首席研究員であるカルマ・ワンディ氏によれば、この認証は、企業の成否の評価指標として利益を強調しすぎるというこれまでの企業評価モデルを超えるものだという。「GNH of Businessは、事業運営を行う中でも様々なステークホルダーのニーズに応えていこうとするもので、そのためには、社会的、文化的、経済的、環境的問題にそれぞれ配慮し、その企業のパフォーマンスを包括的なウェルビーイングへの配慮の取組みによって評価しようとするものです。」

企業にとって、認証を取得することは、GNHのインパクトを伴う強力なブランドであるとともに、インセンティブにもなると期待される。BPCのソナム・トブゲイ最高経営責任者は、次のように述べる。「認証は弊社がGNHの考え方に沿って企業の目標を達成する努力を後押しするものになるでしょう。」

カルマ・ワンディ首席研究員によると、証明書を授与するGNH認証理事会が、認証企業にとってさらなる取組みを促すさらなるインセンティブ措置の提案も行っているという。「私たちは、政府側からの公共調達契約や税制上の優遇措置に加え、さらなる特恵措置を検討しています。」

ツェリン・トブゲイ前首相が、2015年にGNHとビジネスを連携させるというアイデアを最初に提案した。CBSによる評価ツールの開発作業は2年後に始まり、このシステムは40社以上で試験運用された。首席研究員によると、どの事業体もGNH of Business認証を申請する資格があるという。「しかし、企業が認定を受けるには、評価において少なくとも50%のスコアを得る必要があります。」

認証は2年間有効で、その後企業は再評価を申請することになる。

最近、あまりブータンでの報道を紹介するというのをやらなくなっていたのだけれど、昨秋に相当時間を割いていた某私大の秋学期履修指導が終わり、2022年に入って少し時間の余裕ができそうなので、もう少し頻繁にご紹介するようにしていきたいと思っている。年明け第一弾の報道紹介は、GNH of Businessのその後に関するものだ。

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