再読『実践Fabプロジェクトノート』 [仕事の小ネタ]
実践Fabプロジェクトノート 3Dプリンターやレーザー加工機を使ったデジタルファブリケーションのアイデア40
- 出版社/メーカー: グラフィック社
- 発売日: 2013/08/06
- メディア: 単行本
内容紹介【購入(積読)】
3Dプリンターやレーザー加工機などでデータから製品を製造できるデジタルファブリケーションが話題となっています。本書は、日本でその活動を行ってきた市民工房「FabLab(ファブラボ)」および関連施設によって書かれたデジタルファブリケーションの入門書です。本書ではFabLabおよび関連施設6か所で実際につくられた40のアイデアとそのつくり方を写真で紹介しています。たとえば、自分の顔の立体データを3Dプリンターで出力したり、アクリル板をレーザー加工機でカットしてボタンをつくったりなど、初心者でも半日程度で製作できる実例約40点を掲載。各ラボの利用案内や設置機材の説明もあり、これから自分で3Dプリンターやレーザー加工機を使ってみたいという方々にぴったりの実践的入門書です。
10月は、仕事上の行き詰まりを感じた1ヶ月だった。あまりそれを詳述するつもりはないのだが、「今のままで本当にいいのか」と自問自答することも多く、特に、毎週土曜日に主宰しているワークショップがなくて暇な週末を過ごしたりすると、本当に余計なことを考えるのでダメだ。
で、ちょうど三連休となる10月最後の週末、気付けば10月の読書はあまり捗っておらず、1日1冊でも読まないと、毎月のノルマと思っている10冊にすら到達しないのに愕然とした。慌てて手元にある積読蔵書のうち、短時間で一気に読めそうな本書を選んで1日で読み切った。
元々、僕が前回の駐在の際に持って来ていて、そのままJICAの事務所の蔵書として寄贈していたものである。当時、JICAではブータンに第2のファブラボを作るという協力プロジェクトでブータン政府側と協議をしていたので、参考になればと思い、寄贈して帰国した。で、図らずも2年後にまた戻って来ることになり、自分自身もこの国のファブ施設を使いこなせるようになりたいと思い、昔寄贈した蔵書を手元に持ち帰って読み返すことにした。
当然、前回2014年10月29日にそのレビューをこのブログで紹介している。くしくも、時期も現在と同じ10月下旬だった。ちょうど7年ぶりの再読となった。
『南朝研究の最前線』 [趣味]
南朝研究の最前線 ここまでわかった「建武政権」から後南朝まで (朝日文庫)
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2020/11/06
- メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)【購入(キンドル)】
従来、史料の乏しい建武政権・南朝だったが、近年の研究で、その実態が解明されつつある。前後の時代の政権と隔絶した、特異で非現実的な政権ではなかったことが明らかになってきた。16人の気鋭の研究者たちが建武政権・南朝の先進性、合理性、現実性を解き明かす。
前回、シューマッハー『スモールイズビューティフル再論』についてご紹介したが、予定より少し早く読了することができ、月末までの間にもう1冊ぐらい読めそうだと考えた。それで、何を読もうかとアマゾンのサイトを物色していて、久しぶりに「趣味」の世界に向かおうと決め、南北朝時代を扱った歴史書をとり上げることにした。
歴史書といっても、小説ではない。小説なら、史料が乏しくてブラックボックスになっているところをそれぞれの作家の独自解釈で埋めて、フィクションとして描くことが可能だが、研究者は、その史料の乏しい箇所を他の史料などを動員してできる限り穴埋めしていくことが求められる。そうやって長年にわたって積み重ねられていった研究の成果が、それまでの通説として僕たちが刷り込まれていたことと、かなり異なる新たなイメージの提示につながる。
僕を歴史ファンへといざなった南北朝時代も、興味を持ったきっかけは結局小島法師の『太平記』であり、1991年のNHK大河ドラマであり、そして大河ドラマと同じ時期に読んだ鷲尾雨工『吉野朝太平記』だった。『吉野朝太平記』が世に出たのは昭和10年だから、南北朝正閏問題で南朝正当という決着がついて、国定教科書でも「吉野の朝廷」が使われるようになった時期だった。『吉野朝太平記』を初めて手にしたとき、「吉野朝」という聞きなれない言葉に少しひっかかったが、発表された当時は当たり前に使われていた言葉だったのだろう。
『スモールイズビューティフル再論』 [持続可能な開発]
内容紹介【購入】
物質至上主義、科学技術万能主義を痛烈に批判した前著『スモール イズ ビューティフル』。その思想を更に敷衍した小論文を「リサージェンス」誌に発表したもののアンソロジーが本書である。地球環境に配慮し、人間の身の丈に合った、「精神性」のある経済政策を提唱して反響をよんだ、シューマッハー独特の経済論。新訳、文庫オリジナル。
日本出発のずっと前に購入し、出発までずっと積読にしてあった1冊。今年の目標は「古典を読む」ことだったので、読んでおけば後で何かの引用で使えそうな古典は、まとめてこちらに持って来ている。シューマッハーの著作を「古典」で括るのにはちょっと語弊もありそうだけれど、開発途上国に来たら来たで、シューマッハーの論点には頷けるものが非常に多い。
で、今回は、さすがに『スモールイズビューティフル』の訳本の方は持って来ていないけれど、長らく積読にしていた『~再論』の方は持って来た。前回、『スモールイズビューティフル』読了後の紹介記事では結構ちゃんと書き込んだ感じだったし、その後原書のキンドル版も購入してマーカー箇所を転記してあるので、いざとなればそちらを参照することにし、今回は、英国の隔月誌「リサージェンス」に1966年から77年にかけて寄稿された論文のアンソロジーの訳本の方だけを携行した。
で、ここ2カ月ほど断続的に別の「古典」を読み続けているけれど、あまりに難解で、1日10頁読めればいい方という状態だった。それでまだ230頁しか到達していない。ちなみに全体では670頁もある学術文庫本で、先は気が遠くなるほど長い。読んでいても全然頭に入ってこないから、時々息抜きがしたくなり、今回のような別の読み物を挟む事態に陥る。で、そちらの方が圧倒的に読みやすく感じる。
こうして、スラスラと読み進めることができた。元々『スモールイズビューティフル』を過去に読んでいて、シューマッハーの思想についてはあらかたわかっていたという点も大きいと思う。
どこまでが本気? [ブータン]
王立ブータン大学ビジネスアイデアコンテストで上位3チームが決まる
Top three business ideas win university’s business idea competition
Thukten Zangpo記者、Kuensel、2021年10月23日(土)、
https://kuenselonline.com/top-three-business-ideas-win-universitys-business-idea-competition/
21日(木)、王立ブータン大学(RUB)本部大講堂を会場に、大学生ビジネスアイデアコンテストの決勝大会が開催された。参加したのはRUB傘下の単科大学7校と、私立大学2校。それぞれ大学レベルで行われた予選会を経て、1位に選ばれた9チームが、それぞれのアイデアを競った。
審査員は既に広くブータンでも認知されている若手企業家3人と女性企業家1人。審査の結果、科学技術カレッジ(CST)、シェラブツェ・カレッジ、ロイヤル・ティンプー・カレッジ(RTC)代表が上位入賞し、シンガポールの企業家ジョージ・ゴー氏の寄付による賞金10万シンガポールドルが授与された。
このクエンセルの記者は、RUB本部発表のFacebook記事をもとに新聞記事を書いており、写真もRUBのものを転用している。僕は当日その会場にいたから言うが、記者が会場にいたとはとても思えない。よって、あまりこの記事の内容は要約する気にもならず、代わりに上述の通り僕なりの整理でコンテストの要約をまとめることにした。
都会の高齢者の孤独 [ブータン]
慌ただしい都会での孤独と鬱屈
Alone and depressed in the busy urban centres
Younten Tshedup記者、Kuensel、2021年10月19日(火)、
https://kuenselonline.com/alone-and-depressed-in-the-busy-urban-centres/
【ちょっとだけ要約】
農村から都市への移住は、村を空にするだけでなく、特に年老いた人々の間で、メンタルヘルス問題の潜在的な原因として認識されている。
特に高齢者の生活環境の変化は、人々に心理的な影響を与えることが知られている。 これは、ブータン人のメンタルヘルス問題について考えられる理由の1つとして特定されている。
高齢者が密室に閉じ込められたままで、誰とも交流がないと、落ち込んでしまう可能性がある。平均余命が伸び、高齢者人口が増えるにつれ、認知症の症例がより一般的になりつつある。認知症症状に苦しんでいる人々は、自分自身のニーズを自分で充足させることが難しい。 そんな人々が家に一人で残されていると、精神的に健康であると感じることはない。これは大きな課題で、今後も悪化が懸念される。
この記事は、全体を読むと、子どもの仕事の関係で農村から呼び出されてティンプーのような都会に暮らすことになった高齢者が、家での留守番や子守のためだけに家にこもっていると、精神上の疾患や認知症を引き起こす可能性があるという警鐘を鳴らしているものだ。
同じようなケースは日本でもよく耳にする。かと言って後期高齢者に属する親を一人田舎に残しておいて何かあったらどうしようかなどと、都会に住む息子は悩むのである。
残念ながらどこにも通用する正解があるわけではない。この問題が指摘されたことは重要で、そういう視点からの取組みが今後出てくることを期待したいと思う。
『はじめての電子回路15講』 [仕事の小ネタ]
内容紹介【購入(キンドル)】
はじめて電子回路に触れる読者のために最重要必修ポイントを基礎の基礎からていねいに解説。秋田先生の語り口とわかりやすさは大人気! モーニングの電子工作マンガ「ハルロック」の作者がイラストを担当。最強コラボでわかりやすく楽しく学べる!!!
僕はあまり電子回路のことはわからないので、そろそろ自分自身の次のステップを考えて、このあたりの勉強を少し始めようかと漠然と考えていた。本屋さんに行って直接手に取って、中身を確認してから購入するのが本当はいい筈だが、今はすぐにそういうことができる状況にはないので、運任せの丁半博打で、入門編っぽいタイトルで、かつアマゾンの書評がわりと好評なものを1冊購入してみようと考えた。
で、選んだのがこの本。ハルちゃんのイラストに惹かれてジャケ買いしたが、ハルちゃんは、各章末のワンポイントのイラストでしか登場しない。「最強コラボ」というほど、ハルちゃんが学習効果促進に役立っているとは思わないが、僕のようにジャケ買いする奴はいそうだから、販売促進にはつながっているに違いない。どこの出版社だろうと思って見てみたら、なんと講談社か!なるほど…。
内容的には、大方の書評で言われている通り、大学理工系学部の1年生ぐらいの予備知識は必要としている。多少電子をかじったことがある人が、自分の経験をベースに振り返って理論的裏付けを得るにはいい本で、これから始めようとしていて、かつ文系の僕のような人間にはチンプンカンプンであった。理解できたのはオームの法則の説明がある第1章と、「メイカームーブメント」について書かれたBOXコラムぐらいだった。僕のオームの法則は、中学3年の3学期の理科あたりで習ったところで止まっており、これでは先が思いやられる。
しかし、僕がこれから本格的に付き合っていかなければならない学生は理工系学部生。共通言語としてこれぐらいは知っておかないといけないのだなと覚悟もしている。もう少し電子工作をやってみてから、必要になった知識とその該当箇所を時々読み返す、そんな使い方を考えていきたい。
ただ、モノクロのKindle Paperwhiteだと文字が薄れて読みづらい。照度を上げてズームしてみると、文字がぼやけてしまう。この手の電子回路の本にはつきものの数式も、大文字に付属するのが「ɤ」なのか「a」なのかとか確認したくても、キンドルでもキンドルクラウドリーダーを使ったPC画面であっても、確認しづらい。写真も数点挿入されているが、これがモノクロのキンドルでは読みづらい。アリバイ作り程度に電子書籍化した感じ。買うなら製本版の方をお勧めする。
で、キンドルで買っちゃった本を、製本版でまた買うのは敗北感を伴うので、多分次は別の入門書を製本版で購入すると思う。
地元起業家にとっての課題 [ブータン]
過剰な輸入品が地元起業家を苦境に
Excessive import poses challenge to local entrepreneurs
Thukten Zangpo記者、Kuensel、2021年10月16日(土)、
https://kuenselonline.com/excessive-import-poses-challenge-to-local-entrepreneurs/
【抄訳】
経済ロードマップでは、約22,000人に雇用を提供する小規模零細産業(CSI)が2030年までに約50,000人を雇用できると示している。しかし、現在CSI部門で従事している人々は仕事を辞めていっている。
ティンプー市内にあるCSIマーケットのソナム・チョフェルCEOによると、CSI部門で働く人々の80〜90%が、海外に行くか、他の仕事に就き始めているという。CSIは国内産業の95%を構成しているが、国内総生産(GDP)への貢献度は5%未満でしかない。 「しかし、それは最大20%程度は貢献できるる力が潜在的にはあり、政府が私たちを支援してくれれば、輸入品に取って代わる可能性があります。」
同氏によると、農業部門では、サプライチェーンや配送のシステムが欠如しており、その産品が付加価値を付けてくれる人や起業家に届かないため、儲かるビジネスになっていないという。 「500のCSIを収容するCSIマーケットは、産品の5%しか受け取りません。」同氏は、市場の90%が輸入品で溢れており、過剰な輸入はCSIにとって大きな脅威になっていると指摘した。
CSI部門をもっと魅力的にするためには、CSIにより多くのインセンティブが与えられるべきだという。 「政府は全国信用保証制度と国立CSI銀行を通じてCSIを財政的に支援していますが、コーディネーションに欠けています。」例えば、CSI部門ではプラスチック製造はできないが、市場に出回っているすべてのパッケージ製品はプラスチック包装されている。 「プラスチック包装品が規制されていれば、地元生産者により平等な競争の機会を提供するでしょう。」他にも、同氏は、金融アクセス、許認可や諸手続きのための単一窓口となるファシリテーションセンターがあると良いと指摘した。
(後半に続く)
『孤愁(サウダーデ)』 [読書日記]
内容紹介【MKレストラン文庫棚から拝借】
「父が精魂を傾けながら絶筆となってしまったこの作品を、必ずや私の手で完成し父の無念を晴らすつもりだ」――その公約を果たすためには、30余年の歳月が必要であった。本書は、「孤愁(サウダーデ)」を毎日新聞連載中に新田次郎氏が急逝、未完に終わった作品を息子である藤原正彦が書き継いで完成させた。ポルトガル人ヴェンセスラオ・デ・モラエスの評伝である。 「孤愁(サウダーデ)」とは、「愛するものの不在により引き起こされる、胸のうずくような思いや懐かしさ」のこと。軍人で、外交官で、商人で、詩人でもあったモラエスは、在日ポルトガル領事もつとめた。日本人のおよねと結婚、およね亡き後は妻の故郷である徳島に住み、その生涯を終えた。あまり知られていないが、モラエスの遺した詳細な日記や日本を題材にした作品が、日本の素晴らしさ、日本人の美徳を世界に知らしめ、「もう一人の小泉八雲」といわれている。精緻で美しくも厳しい自然描写の新田次郎ファン、日本人の誇りと品格を重んじる藤原正彦ファン、双方の期待に応える一冊。(文庫解説・縄田一男)
15日から17日まで、僕にとっては超久々の三連休だった。祭日が週末にくっついたのも久々だが、それ以上に、毎週土曜日が僕にとっては勤務日で、そもそもが週休1日という状態でここまで3ヶ月ほど走って来た。たまたま今週末はその土曜日をオフにしたため、大型連休になった。とはいえ、この3日間とも完全にオフしていたわけではない。ならしたら毎日半日分ぐらいは、溜めてた仕事を片付けるのに費やした。そして、残りの半日は、本書を読むのに充てた。720頁もある超大作である。
これぞブータン的イノベーション [ブータン]
若者のグループが、自動手消毒器と手洗い洗剤噴霧器をリリース
Youth group launches automatic hand sanitiser and liquid soap dispenser
Thukten Zangpo記者、Kuensel、2021年10月14日(木)、
https://kuenselonline.com/youth-group-launches-automatic-hand-sanitiser-and-liquid-soap-dispenser/
【抄訳】
イノベーションに取り組む若者のグループが昨日、「Thangtong’85」というブランド名で、現地生産された自動手指消毒剤と液体石鹸ディスペンサーを発売した。これは、7カ月にわたる研究開発と設計変更を経て、ティンプー市内のスタートアップセンターで産声を上げたもの。
Thangtong’85の創設者であるタシ・ナムゲイ氏は、自分たちは、将来的に85種類のイノベーティブな製品を製作するため、チームを拡大していく計画であると述べた。
「自分たちで消毒剤ディスペンサーを作れるなら、なぜ輸入する必要があるのでしょうか?」―――氏はこう投げかけた。現地製作された消毒剤ディスペンサーの価格は2,000ニュルタムで、現地生産の消毒液500mlが含まれる。3ヶ月の製品保証付き。
「この取組みの主な目的は、輸入代替を支援し、若者をよりイノベーティブな活動に参加させることです」と氏は述べる。「私たちは、よりイノベーティブなソリューションを備えた社会的企業になりたいと考えています。」
このプロジェクトでは、50台のマシンを高地の保健所(BHU)や老人介護施設(Goensho Tshamkhang)などに寄贈する予定。最初のフェーズでは150台のマシンを生産する。
グループメンバーの一人であるタシ・デマさんは、「ブータンにはイノベーションがなく、前進する時が来た」と語る。また、別のメンバーであるペマ・ヤンゾムさんは、「このローンチングにより、グループは今後もプロジェクトに取り組む自信がついた」と述べた。
このイニシアチブは、EU(欧州連合)とスイスの開発協力機関Helvetusの資金供与により実現した。
ブータン腎臓病財団の創設者であるタシ・ナムゲイさんが、先週あたりからソーシャルメディア上でこの民間工房のことを宣伝し始めたので、僕は好奇心交じりでタシさんに連絡を取り、今週月曜日に彼の工房を見学させてもらった。
ファブラボ・ブータンとの棲み分け [ブータン]
中高生グループ、廃棄物管理ロボットで国際ロボコンに臨む
Group of students to present waste management robot
at international robotics competition
Phub Gyem記者、BBS、2021年10月9日(土)、
http://www.bbs.bt/news/?p=158844
【抄訳】
中高生グループがFIRST Global Challenge 2021で廃棄物管理ロボットを発表する。FIRSTGlobalは、世界中の若者がSTEMのイノベーションを考え出すことを奨励する国際的なロボット工学コンテストである。ブータンがファブラボ・ブータンを通じてこのイベントに挑戦するのは3回目となる。2018年から参加は始まっている。
ティンプーの学校から選抜された生徒12人とメンター7人のチームが、現在廃棄物自動回収ロボットを設計している。これが実現すれば、ロボットは陸と水の両方で廃棄物を収集し分別することができる。彼らは今年、200カ国以上の若者と競うことになる。
「ロックダウンのため、適切な廃棄物管理が行われてきていません。よって、廃棄物自動回収ロボットを設計するというテーマを採用することにしました」―――こう語るのは、FIRST Global Challengeのメンターの1人、アヌジ・プラダンさんである。
今回はパンデミックのため、イベントはオンライン開催となる。「発見と回復(Discover and Recover)」をテーマにした今回のイベントでは、参加チームは、パンデミックに関連した、教育、環境、健康、経済面での地域の課題を特定し、STEM知識を動員して課題解決用ロボットを製作しなければならない。チームは、このイベントに参加することにより、STEM推進を通じてブータンをデジタル化するとする国王陛下のビジョンを実現することを目指している。
「ロボットは私たちにとってはお金を払って購入し、遊ぶためのものでしかありませんでした。ロボットの作り方など知りませんでした。でも、私たちはちゃんと動くロボットを作ることに成功する機会を得ました。ロボット工学について探求し、学ぶことができる機会を与えてくれたFIRST Global Challengeに感謝したいと思います」と、モティタン後期中等学校のアンジャリ・ミシュラさんは述べた。
(後半に続く)