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都会の高齢者の孤独 [ブータン]

慌ただしい都会での孤独と鬱屈
Alone and depressed in the busy urban centres
Younten Tshedup記者、Kuensel、2021年10月19日(火)、
https://kuenselonline.com/alone-and-depressed-in-the-busy-urban-centres/

【ちょっとだけ要約】
農村から都市への移住は、村を空にするだけでなく、特に年老いた人々の間で、メンタルヘルス問題の潜在的な原因として認識されている。

特に高齢者の生活環境の変化は、人々に心理的な影響を与えることが知られている。 これは、ブータン人のメンタルヘルス問題について考えられる理由の1つとして特定されている。

高齢者が密室に閉じ込められたままで、誰とも交流がないと、落ち込んでしまう可能性がある。平均余命が伸び、高齢者人口が増えるにつれ、認知症の症例がより一般的になりつつある。認知症症状に苦しんでいる人々は、自分自身のニーズを自分で充足させることが難しい。 そんな人々が家に一人で残されていると、精神的に健康であると感じることはない。これは大きな課題で、今後も悪化が懸念される。

この記事は、全体を読むと、子どもの仕事の関係で農村から呼び出されてティンプーのような都会に暮らすことになった高齢者が、家での留守番や子守のためだけに家にこもっていると、精神上の疾患や認知症を引き起こす可能性があるという警鐘を鳴らしているものだ。

同じようなケースは日本でもよく耳にする。かと言って後期高齢者に属する親を一人田舎に残しておいて何かあったらどうしようかなどと、都会に住む息子は悩むのである。

残念ながらどこにも通用する正解があるわけではない。この問題が指摘されたことは重要で、そういう視点からの取組みが今後出てくることを期待したいと思う。

◆◆◆◆

ところで、今回この記事を取り上げたのは、もっと個人的な理由からである。ヘッドラインの字面だけを見て、「ひょっとしてこれって自分のことではないか」と思ったからである。

僕が今住んでいるところはまさに都会の中心地。本当はここに長居したくはないのに、理由あって本来いるべき場所にいまだに行けていない。その本来いるべき場所に行けば、一緒に働ける同僚もいて、ご近所付き合いできる隣人もいるに違いない。でも、ここでは1人。滞在しているホテルでは、僕のフロアには他に滞在者はいない。

派遣元には、「不要不急の集まりへの参加は控える」との念書も提出している。派遣元の現地事務所もその行動規範を遵守されているので、現地事務所関係者との会食はほとんどなく、僕は食事はたいてい1人でとっている。(とはいえ、情報交換のために不要不急とは思えない集まりは意識して自分でも主宰するようにしているが。)

それで、時々ものすごく精神的に落ち込むことがあるのである。日本にいた頃は、同居人がいた。リモートワークばかりで「自分は本当にこれでいいのか」と悩んだ時にも緩衝材に家族がなってくれていたし、逆に出勤して嫌なことがあっても、帰宅すれば愚痴を言い合える家族がいた。今でもその気になればLINE電話で話せるわけではあるが、時差もあるのでそうそう頻繁にそうすることもできない。

ホテルの部屋から見下ろすクロックタワーでは、若者たちが23時頃まで大騒ぎしている。(時々若者同士でマジなケンカや器物損壊の物騒な音も聞こえてくる。治安がいいところでは決してない。)ギター演奏に合わせてフォークソングを歌っている彼らの声を聴くと、時々羽目を外すことはあるが、いい国だよなと思う。で、それに比べてオレは…となって落ち込む。そして、その落ち込み幅がかなりヤバい。

僕も齢なのかな―――。

今日から、メモリアルチョルテンが、午前5時から午後8時までの時間限定ながら開放された。都会のお年寄りにとっては、心の安寧をもたらす場であり、19カ月ぶりの開放は朗報だろう。僕も、前回の駐在の時には、考えが煮詰まったり、落ち込んだりした時、チョルテンを1時間ほど周回して、頭の中をスッキリさせていた。体もスッキリさせていた。朝も夕もというわけにはいかないけれど、還暦が近い僕も、チョルテンは利用させてもらおう。

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