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『3Dプリンタで自助具を作ろう』 [仕事の小ネタ]

はじめてでも簡単 ! 3Dプリンタで自助具を作ろう

はじめてでも簡単 ! 3Dプリンタで自助具を作ろう

  • 出版社/メーカー: 三輪書店
  • 発売日: 2019/08/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
3Dプリンタで自分のイメージを形にしよう ! かんたん・低コスト・1人でできるあきらめない「私」に合ったものづくり。ここ数年で高精度の3Dプリンタが手頃な値段で手に入るようになった。3Dプリンタがあればその場でものづくりができ、誰でも簡単に自分のアイデアを形にすることができる。本書では、3Dプリンタやアプリを利用して初心者でも簡単に自助具を作る方法を紹介する。初めて3Dプリンタに触れる人でも作れるよう、製作に必要な道具やアプリケーション、簡単なモデリング方法、素材の選び方なども解説する。現在、3Dプリンタで出力できるデータの公開・共有サイトも増えており、世界中のアイデアを物質化できるようになった。本書では自助具のデータを無料でダウンロードできるサイトやURLも掲載しているため、まずは3Dプリントだけを試してみることから始められる。3Dプリンタを利用したものづくりではサイズやパーツの形状の変更などが簡単にできる。調整などの応用が利き、工夫次第でその人に合った道具が自由自在に作ることができる。本書を読んで、さまざまな用途に役立つ、自分に合ったものづくりを始めよう。
【購入】
勢いというのは恐ろしいもので、ひょんなことから、2月中に、オンラインで3D CADデザインの勉強会をホストすることになった。2コースあって、1つは全くの初心者向けで、これはTinkercadを用いて直感的にデザインデータが作れればよいというもので、もう1つはちょっとだけFusion 360をかじったことがある人向けで、入門編なら2Dのデータから押し出し機能を使って3Dのデータにする程度のことは知っているが、それ以上の操作、例えば回転やフィレット、ロフト、シェル、スカルプト機能等は未だという人向けの初級コースである。しかも、英語でだ。

なんとなく、「こうしよう」というアイデアはあるものの、本音を言うと「荷が重いな」という気もする。ただ、おそらくこうやってホストすることが自分自身を追い込むには必要であり、これでうまく運営できれば、自分にも少しは信頼を勝ち得ることができるのではないかとの期待はある。

そうやって、アウトプットの場を自分から設定したことで、自ずとインプットにも身が入ろうというもの。何を読むのがいいかな~と思いつつ、昨年末に購入していた本書を、この週末に一気に読んでしまうことにした。

「自助具」と銘打っているけれども、自助具が本格的に出てくるのは第2章にある「3Dデータダウンロードページの紹介」や、第5章の自助具のモデリングの具体例ぐらいであり、実は本書の大半は、3Dプリンティングにまつわる基礎知識の解説になっている。

そんなの今までも紹介しているだろと突っ込まれるかもしれない。実際、僕はTinkercadやFusion 360といったデザインソフトの操作法の独習書はそれなりに揃えていて読んでもいるし、3Dプリンタの原理や適用可能性に関する考察、導入の意義などに関する解説書もそれなりに読んでもいる。

だが、デザインソフトの操作法の解説書では、作ったデータをどう3Dプリンタにつないでいくのかは詳しくは書かれていないことが多いし、そもそもFDM方式の3Dプリンタで使用されるフィラメントに、ABSとPLA樹脂以外の素材とそれらの特徴や適性にまで触れている解説書はあまり見たことがない。

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『農ガール、農ライフ』 [読書日記]

農ガール、農ライフ (祥伝社文庫)

農ガール、農ライフ (祥伝社文庫)

  • 作者: 垣谷美雨
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2019/05/15
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
水沢久美子は派遣切りに遭った日、同棲相手から突然「結婚したい人がいるから出ていってくれ」と告げられる。仕事も家も彼氏も失った32歳の春。失意のどん底にいたとき偶然目にした「農業女子特集」というTV番組に釘付けになる。「農業だ!」運命を感じた久美子は早速、田舎に引っ越し農業大学へ入学することを決意。明るい農村ライフが待っていると信じていたが…!?
【コミセン図書室】
コミセン図書室4冊まとめ借りで必ず入れる、文庫/新書サイズの1冊。夜の睡眠導入のための1冊としてはちょうどよいサイズで、3夜ほど就寝前にダラダラ読み進め、最後は約100ページをイッキ読みして読了。就寝目標時刻(午後10時)を30分オーバーしてしまった。

垣谷美雨さんの作品はこれまでにも何冊か読んできたが、前半は主人公をどん底に落とす出来事がこれでもかこれでもかと続いて起こり、ちょうど中間点ぐらいでちょっとしたきっかけとなる出来事が起こり、そこから反転してすべてが好転していき、最後はハッピーエンド、というパターンが多い。

そういうパターンを予想しながら本作品も読んでいくと、序盤に主人公・久美子が叩き落されていく奈落がけっこう底深く、序盤でここまで描いたらこの後どうなるのかと少し緊張した。同棲していたマンションを出て、大学の先輩のつてを頼って実際に地方に引っ越してからは、実はすごい落ち込みがあるわけではない。農業大学校での実習の過程は淡々と安定的に描かれていて、農業大学校がどんなところなのか、これを読むだけでも結構参考になる。

でも、本当の試練はこの農業大学校の課程を修了してからで、主人公はその地域にそれまで縁もゆかりもなかった女子が1人で農業をやっていくのが並大抵の努力では済まないという現実を知り、さらに、移住のきっかけとなったテレビ番組の「農業女子」特集が、実はわけありだったことも見抜く。

そしてそこからが面白かった。今回の作品は、好転の糸口が意外と序盤にあったわりに、どうやってハッピーエンドになるのかが、終盤に迎えるまであまりよく見えない展開だった。農業婚活パーティーの部分の描写が細かくてやや中だるみ感があったが、最後の100ページの展開は良かったと思う。おかげで就寝が遅くなったわけで。ちゃんとメモを取り、必要なことはちゃんと行動して人と会って話を聞き、しっかりとした作物を作ることが、結局身を助けるのだというのを改めて認識させられる。

ハッピーエンドで良かった。但し、元・同棲相手の言動って、ちょっとそりゃないだろ、お前それでも人間か、というぐらいのもので、登場人物の中では唯一こいつだけ違和感あった。

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『工夫の連続』 [仕事の小ネタ]

工夫の連続: ストレンジDIYマニュアル

工夫の連続: ストレンジDIYマニュアル

  • 作者: 大輔, 元木
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2020/10/02
  • メディア: 単行本

内容紹介
視点を変えるだけで、あらゆるものは素材になる。ゼロから考えずに、すでにあるものをハックする方法を獲得しよう。まわりの環境を変える工夫を身につければ、世界はより豊かで楽しいものになる! 自由に形を考えられるフルーツ・ボウルから駅の階段を使った劇場まで、さまざまなスケールのものを自らの手で作り、考えるための画期的なDIYマニュアル。ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展への出展などで注目を浴びる建築家、元木大輔による初の著書!
【購入】
フラッと立ち寄った最寄り駅近くの書店で、それも普段ならあまり歩かないような芸術コーナーに、表紙を前面にして陳列されていたその本。「工夫の連続」という、ちょっと奇異なタイトルもさることながら、表紙のオビに載っていた、街で見かける道路脇のガードレールにちょいと引っ掛ける折りたたみベンチのイラストに目が行った。気になってページをパラパラめくってみると、そうした日常生活でよく見かける周囲の環境をちょっと変える工夫が、イラスト入りでいくつも紹介されている。しかも、使った材料と寸法に、制作プロセスまでイラスト表示だ。

これは面白い。即日というわけにはいかなかったけれど、後日またその本屋に立ち寄り、購入。買ってみて気付いたのだけれど、この本、物理的にもちょっとした工夫がほどこされており、どこのページを開いても、重しを置かなくてもパッと開いた状態で机の上に放置できる。なんでなんだろうと思って表紙カバーを脱がせてみると、なんと背表紙の部分の補強がない。DIYの作業をやりながらちょいちょい目をやり参考にする、そんな使い方にも本書は向いているように思う。

デザインとは「何かをよりよくする工夫そのもの」だと著者は言う。そして、作品に「完成というのはない」と何度か強調されている。1つの作品を制作しても、そこからのバリエーションをいろいろ考えたり、また新たな用途を思い付いてさらなる作品につなげて行ったりと、そのプロセスも所々文章で解説を挟んでおられる。その発想がどのようにして生まれたのか、制作過程で何を考えたのか、そういう思考の訓練をしていない僕のような読者にはわかりづらい箇所もなかったわけではないが、そうした解説も紹介されている作品群を理解する上では参考になった。

当然、最初は本書にある作品群の制作プロセスをなぞってみるところから始まるのだろうが、読者各々の置かれた状況に応じて、このデザインデータを改編して、その人その人の独自の作品に発展していく―――そうやって増殖していくことを多分著者は期待しているだろうし、そうした光景をイメージするとワクワクする。

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『にっぽんの美しい民藝』 [地域愛]

にっぽんの美しい民藝

にっぽんの美しい民藝

  • 作者: 萩原健太郎
  • 出版社/メーカー: エクスナレッジ
  • 発売日: 2020/09/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
日本各地の民芸館・有名店を旅しながら、民藝の世界を紹介する本。日本民藝館からはじまって益子、盛岡、会津、松本、南砺、京都、丹波、倉敷、出雲、八女、読谷……など各地域の代表的な手仕事を紹介します。各スポットでは、民藝品の特徴や歴史を紹介。さらに柳宗悦や濱田庄司、芹沢銈介、丸山太郎、河井寛次郎、吉田璋也、バーナード・リーチ、外村吉之介などの民藝同人のゆかりを解説しています。旅で役立つガイドとして使うのはもちろん、民藝の入門書としても楽しめます。
【コミセン図書室】
コミセン図書室に本を返却に行くと、ついつい次の本を目いっぱい借りてきてしまう。以前は上限3冊だったのが4冊に緩和され、貸出期間は2週間と変わらずなので、自ずと借りようとする本の中に週末読書用の小説を入れたり、ページをパラパラめくるだけで読んだ気になれるガイドブックのような本を入れたりと、年初に立てた誓いにそぐわない本を選択してきて、それに時間を取られる。

しかし、これまでの僕の本の選択の傾向との関連性が全くないかというとそうでもない。例えば、昨年前半、僕は「民藝」や「アーツ&クラフツ運動」をテーマにして何冊かの本を読んだことがある。さすがに柳宗悦の著書を読むところにまでは至らなかったが、これからの仕事との関連で、和紙作りや竹工芸についてはもう少しハンズオンで知っておきたいと思う気持ちもあり、それらを扱っているような民藝館や民藝品のお店には、足を運んで匿名の人々が製作した作品の数々を実際に見ておきたいと思っている。

もちろん、新型コロナウィルス感染拡大が収束したらという条件付きだし、自分とあまり縁もゆかりもない地方にまで出かけて行ってまで見たいという気持ちもない。せいぜい、東京近辺と実家のある岐阜周辺、さすがに東北や北陸、京都・大阪あたりに足を運ぼうとはなかなか思わない。

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『軍師の門』(上) [読書日記]

軍師の門 上 (角川文庫)

軍師の門 上 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2011/12/22
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
戦国乱世、豊臣秀吉の頭脳として、のちに「二兵衛」と称される二人の名軍師がいた。野望を内に秘め、おのが才知で天下に名を残そうとする竹中半兵衛。小寺家の行く末を織田信長に託す決意をし、軍師としての生き様を模索する小寺(黒田)官兵衛。毛利攻略を機に秀吉の下へ集い、いつしか「義」という絆で結ばれていく二人。しかし三木城攻めの渦中、謀反の荒木村重を説得に赴いた官兵衛は、有岡城地下牢に幽閉されてしまう。
【コミセン図書室】
これまで、歴史アンソロジーで何度か火坂雅志作品は読んできたが、長編は初挑戦となる。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』が大詰めを迎えている今のタイミングだから、舞台は戦国・安土桃山時代を選ぶ。

通常、上下巻と分冊になっている長編小説は、全巻読破してから感想を述べることが多いのだが、本作品の前半の主人公はどちらかというと竹中半兵衛なので、上巻を読み終えたところで半兵衛に絞って記しておく。

これまで竹中半兵衛を中心に取り上げた歴史小説はほとんど読んだ記憶がない。半兵衛の領地は、僕の故郷とは山を隔てた反対側にあり、サイクリングで出かけて、半兵衛ゆかりの地に立ち寄ったりはしたこともある。ほとんど準地元なのに、木下藤吉郎が三顧の礼で半兵衛を軍師として迎え入れるというシーンがある小説は、多分読んだことがなかったと思う。

今回、半兵衛目線での秀吉をはじめとする織田家臣団の動きを描いた作品を読んだおかげで、半兵衛による稲葉山城乗っ取り事件だけでなく、対浅井氏攻防戦の模様やその後の長浜の開発政策が詳細に描かれ(もちろんフィクションも織り交ぜての話だろうが)、新鮮な感覚を味わうことができた。特に、浅井家の居城である小谷城と秀吉が新たに拠点とする長浜城、そして後に石田三成の居城となる佐和山城の位置関係が、土地勘に欠ける僕には時々ゴッチャになることが多かったのだけれど、上巻の大きな舞台の1つが対浅井氏攻防戦になったことから、改めて位置関係を確認してみて、自分の認識が間違っていたところを修正することができた。

佐和山って長浜に近いのかと思っていたら、それより南方の彦根に近かったんだ。

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『Gene Mapper - full build -』 [読書日記]

Gene Mapper -full build-

Gene Mapper -full build-

  • 作者: 藤井 太洋
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/04/24
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
拡張現実が広く社会に浸透し、フルスクラッチで遺伝子設計された蒸留作物が食卓の主役である近未来。遺伝子デザイナーの林田は、L&B社のエージェント黒川から自分が遺伝子設計した稲が遺伝子崩壊した可能性があるとの連絡を受け原因究明にあたる。ハッカーのキタムラの協力を得た林田は、黒川と共に稲の謎を追うためホーチミンを目指すが―電子書籍の個人出版がたちまちベストセラーとなった話題作の増補改稿完全版。
【市立図書館MI】
今年は藤井太洋のSF作品を読むと年初に宣言していたので、その第一弾。個人出版の電子書籍で7,000回ダウンロードを記録したという作品で、著者のメジャーデビュー作品である。藤井作品は発表順に読んでいくことにしよう。

SF作品はあまり慣れないので、手に取るまでにも時間がかかるし、読み始めてからも、ストーリー展開がこちらがわかったかわからなかったかがわからない状態で、作品の世界観を味わえるところまでなかなか辿り着けないのが悩ましい。コリィ・ドクトロウにしても、『三体』の劉慈欣にしても、読んでいて作品を味わえているという確信が抱けずに困った。舞台が外国だからか、近未来の未だ表出化していない事象を取り上げているからか、そもそも科学のリテラシーが低いからなのか、とにかく味わえない。(ドクトロウなんて、原書ではあれだけの数の作品が世に出ているのに邦訳されているのは『マジック・キングダムで落ちぶれて』と『リトル・ブラザー』しかない。日本の一般読者に受けるのかどうかは思案のしどころだろう。)

そこで、作家が日本人で、登場人物に日本人が含まれている作品ならどうなんだろうかと思い、それが藤井作品挑戦宣言へとつながっていった。

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『「接続性」の地政学』(下) [仕事の小ネタ]

「接続性」の地政学 下: グローバリズムの先にある世界

「接続性」の地政学 下: グローバリズムの先にある世界

  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2017/01/26
  • メディア: -
内容紹介
ポスト・グローバリズムの新しい世界像を提言した全米ベストセラー! グローバル戦略の専門家が膨大なデータと自らの経験をもとに、「接続性」をキーワードに、あり得べき未来をわかりやすい言葉で紹介する。
【市立図書館MI】
上巻を読んで、ブログで紹介記事を書いてから、既に半年が経過してしまった。上巻だけでも随分と多くの情報とアイデアをもらった気がしたものだが、下巻を読まずに全編読んだ気になるのも格好がつかないので、年の初めに片付けておこうと考えた。

ただ、かなりの部分が国民国家の枠組みにはまらないグローバルサプライチェーンの話に集中していた上巻と比べると、下巻は海上に浮かぶ新たな無国籍(?)移動構造物の話とか、港湾都市の発展の話とか、都市の台頭の話とか、サイバースペースの話とか、民族の希釈化の話とか、自然災害の話とか、各章が独立して書かれている印象が強く、まとまりには乏しい気がしてしまった。

いずれもまとまれば国民国家という枠組みが国境をまたいだ複雑かつ巨大な課題への取り組みを難しくしており、国民国家に代わる枠組みが構築されなければ効果的な課題解決にはつながらないという主張なのだと理解した。

例えば、気候変動問題にしても、パリ協定では国ごとの取り組みでの問題解決が指向されているが、温室効果ガスを排出しているのは物流や人流を支える運輸交通網であり、それを利用しているのはグローバルに事業展開している企業であり、遠くへの旅を頻繁に繰り返す人々である。

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『13億人のトイレ』 [インド]

13億人のトイレ 下から見た経済大国インド (角川新書)

13億人のトイレ 下から見た経済大国インド (角川新書)

  • 作者: 佐藤 大介
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/08/10
  • メディア: Kindle版
内容紹介
 トイレを見れば、丸わかり。都市と農村、カーストとイノベーション……ありそうでなかった、「トイレから見た国家」。海外特派員が地べたから徹底取材!!
 インドはトイレなき経済成長だった!? 携帯電話の契約件数は12億件以上。トイレのない生活を送っている人は、約6億人。経済データという「上から」ではなく、トイレ事情という「下から」経済大国に特派員が迫る。モディ政権の看板政策(トイレ建設)は忖度の産物? マニュアル・スカベンジャーだった女性がカーストを否定しない理由とは? 差別される清掃労働者を救うためにベンチャーが作ったあるモノとは? ありそうでなかった、トイレから国家を斬るルポルタージュ!.
【市立図書館MI】
某夕刊紙に紹介記事が掲載されているのをたまたま見かけ、書店で探したけれども見当たらず、市立図書館で検索したら簡単にヒット。予約したらすんなり借りることができた。

インドに駐在されている日系のメディアの特派員の方から昔よく聞かされた話として、日本の視聴者向けによく採用されるニュースネタというのは、「経済成長が著しい輝けるインド」か、「日本人には信じられないおかしな風俗習慣」か、いずれかしかないという。日本の全国紙や国営放送の特派員だったら当然前者だし、変わったネタに飢えている民放関係者の短期出張の場合は、当然後者だ。そうすると、日本のメディアの特派員が、草の根レベルでインド社会の矛盾や実態を暴くようなドキュメントはなかなか取り上げられない。企画書を上げても本社からはねられるのだそうだ。

視聴者や読者受けするようなネタを本社が取り上げたがるから、特派員も自ずとネタの選別を行い、受ける話ばかりを日本に送るようになる。英国BBC放送なんて、なかなか見つけられない実際のインドをよく拾った、いい報道をやるなぁと思うことが多いが、日本の場合はなかなか難しいみたいだ。

でも、日々の報道でなかなか拾えない実態を、地道な取材を進めて1冊の本にまとめるという、まさに「その手があったか!」と唸らされるような素晴らしいルポが世に出た。国際交流基金の現地駐在員や、大使館の専門調査員ならまだしも、本書の著者は共同通信社の特派員である。よくぞこのテーマに地道に取り組んで下さったものだと思うし、出版社もよくぞこの企画を採用して下さったものだと思う。

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『文系AI人材になる』 [仕事の小ネタ]

文系AI人材になる―統計・プログラム知識は不要

文系AI人材になる―統計・プログラム知識は不要

  • 作者: 野口 竜司
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2019/12/20
  • メディア: Kindle版
内容紹介
AI社会になって、ボクは職を失わないだろうか? 文系のワタシが、AIでキャリアアップするには? そんな不安や疑問を解消するのが本書です。
英数国理社×AI時代に対応した、AI活用の現場から生まれた実践トレーニング本。
・専門用語は必要最低限に
・豊富な業種別事例は「自社での活用」を考えるヒントに。
・AIとの「共働きスキル」を身につける。
AIを活用したビジネスプランを豊富に紹介。本書は、AIを、機能別に4分類、役割別に2分類し、合計4×2=8分類にわけている。その分類を用いて、事例を解説しているので、非常に理解しやすく、自分の仕事への適用・応用を検討しやすい。AIとお共働きスキルを身につけよう。
【コミセン図書室】
大学入学共通テストが実施されている週末にこの記事を書いている。今年は他人事のようにテストの実施状況を見ていられるが、来年はうちの末っ子が受験する可能性がある。たぶん、ハラハラしながらこの日を迎えているんだろうなと思う。

高校入学からこれまでの約2年、愚息の勉強ぶりは頭痛のタネだった。なにしろ模試の1つも受けておらず、自分の実力を客観的に把握し、今の力ならどの辺の大学の合格確率がどれくらいなのかの把握もできていない。高校もあまり進路指導をやってくれていないので、本人も何をやればいいのかがほとんどわかっていない様子。かといってオヤジや兄姉の経験を訊いて、参考にしようというそぶりもない。僕自身が高2の二学期から志望校を絞り込んでそれなりの受験勉強を始めていたことからすれば、きわめて平和な二学期を過ごし、三学期に突入している。

お気楽な愚息を尻目に、焦り始めているのは妻と僕である。自分も仕事柄DXだとかAIだとか職場の話題に上る中、大学時代にデータサイエンスの勉強でもしておけば、後々食いっぱぐれないだろうと思い、数学に対してさほどの苦手意識がないのであれば、データサイエンス学部でも狙ったらどうかと水を向けたことが何度かあるが、愚息は興味を示さず、ここ1、2カ月で彼が言い始めたのは文系の経済学部。本人が決めたことにはとやかく言うつもりはないが、私立専願希望と聞いて、自分の懐ぐあいと会社勤めの残り期間を考えて、少しばかりの不安も感じた。

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『四十九日のレシピ』 [読書日記]

四十九日のレシピ (ポプラ文庫)

四十九日のレシピ (ポプラ文庫)

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2018/03/02
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
熱田家の母・乙美が亡くなった。気力を失った父・良平のもとを訪れたのは、真っ黒に日焼けした金髪の女の子・井本。乙美の教え子だったという彼女は、生前の母に頼まれて、四十九日までのあいだ家事などを請け負うと言う。彼女は、乙美が作っていた、ある「レシピ」の存在を、良平に伝えにきたのだった。家族を包むあたたかな奇跡に、涙があふれる感動の物語。
【コミセン図書室】
先月読んだ『雲を紡ぐ』がなかなか良かったので、今年も伊吹有喜作品は読もうかと思い、その第一弾として本書を取り上げる。伊吹作品としては作家デビューから2作目の2010年の作品で、僕が初めて読んだ『ミッドナイト・バス』よりも4年前の作品となる。読了後に知ったのだが、本作品はその後テレビドラマ化もされ、かつ映画化もされた。作品を読みながらこれってきっと実写化されるだろうな、それくらい良作だなと感じていたが、とっくの昔にされていましたね~。作中でキーを成す乙美さんのカードとか絵手紙も、映像があった方がわかりやすいと思ったし。

良平役を國村準、娘の百合子役を伊藤歩(って、それっとサントリーオールドのCMじゃないか!)が演じてたら結構ピッタリはまりそうだと思ったり、ガングロの井本を伊藤沙莉あたりが演じてたら似合いそうだなと思ったり―――。乙美さんも70代という設定だから、合いそうな女優さんを見つけるのも大変だけど、今のふっくらした松坂慶子さんあたりが結構務まりそうだとか…。舞台は多分浜松か豊橋あたりなんだろうけれど、川辺が重要な場面になってくるお話で、多摩川あたりでもいい場所がありそうだな、とか。実写化したらどんな映像になるんだろうかと想像しながら、一気に読んでしまった。

これも、ある意味家族の再生をテーマにしているような作品だった。重松清にちょっと似た作風だなと感じたが、舞台設定の幅は伊吹有喜の方が広いかもしれないし、読了後に読者が実生活に持ち帰ることができる何かを提供してくれているような気もした。

続けて時々読んでいきたいと思います。

タグ:伊吹有喜
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