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『軍師の門』(上) [読書日記]

軍師の門 上 (角川文庫)

軍師の門 上 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2011/12/22
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
戦国乱世、豊臣秀吉の頭脳として、のちに「二兵衛」と称される二人の名軍師がいた。野望を内に秘め、おのが才知で天下に名を残そうとする竹中半兵衛。小寺家の行く末を織田信長に託す決意をし、軍師としての生き様を模索する小寺(黒田)官兵衛。毛利攻略を機に秀吉の下へ集い、いつしか「義」という絆で結ばれていく二人。しかし三木城攻めの渦中、謀反の荒木村重を説得に赴いた官兵衛は、有岡城地下牢に幽閉されてしまう。
【コミセン図書室】
これまで、歴史アンソロジーで何度か火坂雅志作品は読んできたが、長編は初挑戦となる。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』が大詰めを迎えている今のタイミングだから、舞台は戦国・安土桃山時代を選ぶ。

通常、上下巻と分冊になっている長編小説は、全巻読破してから感想を述べることが多いのだが、本作品の前半の主人公はどちらかというと竹中半兵衛なので、上巻を読み終えたところで半兵衛に絞って記しておく。

これまで竹中半兵衛を中心に取り上げた歴史小説はほとんど読んだ記憶がない。半兵衛の領地は、僕の故郷とは山を隔てた反対側にあり、サイクリングで出かけて、半兵衛ゆかりの地に立ち寄ったりはしたこともある。ほとんど準地元なのに、木下藤吉郎が三顧の礼で半兵衛を軍師として迎え入れるというシーンがある小説は、多分読んだことがなかったと思う。

今回、半兵衛目線での秀吉をはじめとする織田家臣団の動きを描いた作品を読んだおかげで、半兵衛による稲葉山城乗っ取り事件だけでなく、対浅井氏攻防戦の模様やその後の長浜の開発政策が詳細に描かれ(もちろんフィクションも織り交ぜての話だろうが)、新鮮な感覚を味わうことができた。特に、浅井家の居城である小谷城と秀吉が新たに拠点とする長浜城、そして後に石田三成の居城となる佐和山城の位置関係が、土地勘に欠ける僕には時々ゴッチャになることが多かったのだけれど、上巻の大きな舞台の1つが対浅井氏攻防戦になったことから、改めて位置関係を確認してみて、自分の認識が間違っていたところを修正することができた。

佐和山って長浜に近いのかと思っていたら、それより南方の彦根に近かったんだ。

また、領国運営に関する思想の違いによって、居城の立地が変わってくるという重要な点に、改めて気付かされた。

それともう1つは、秀吉主人公でなく、秀吉家臣団の一員としての半兵衛が軍師として家臣団をどう差配していたのかを描いているおかげで、他の家臣――例えば蜂須賀小六や前野将右衛門、そして何よりも、秀吉の弟・秀長の動き方がわかりやすくて良かった。もちろん、フィクションが相当入っている筈なので、本当にその通りの動き方を投じしていたのかどうかはわからないけれども、仮説であってもなるほどと思えるところは多かった。特に、秀長の但馬国攻略は、秀吉目線だとサラッとしか出てこなかったのではないかと思う。

そういう新鮮さを味わえた週末読書であった。

元々のお目当てであった軍師・官兵衛の本格的な活躍は、半兵衛が退場した下巻のお楽しみである。年の差はわずか3歳程度だったらしいが、上巻での半兵衛と官兵衛では、軍略の才という点では雲泥の差がある。まだ官兵衛にとっては播磨国平定が大きな課題だった時代の話なので、有岡城幽閉から救出された後の彼の軍師ぶりについては、2月の読書のお楽しみとして取っておこう。
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