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『農ガール、農ライフ』 [読書日記]

農ガール、農ライフ (祥伝社文庫)

農ガール、農ライフ (祥伝社文庫)

  • 作者: 垣谷美雨
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2019/05/15
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
水沢久美子は派遣切りに遭った日、同棲相手から突然「結婚したい人がいるから出ていってくれ」と告げられる。仕事も家も彼氏も失った32歳の春。失意のどん底にいたとき偶然目にした「農業女子特集」というTV番組に釘付けになる。「農業だ!」運命を感じた久美子は早速、田舎に引っ越し農業大学へ入学することを決意。明るい農村ライフが待っていると信じていたが…!?
【コミセン図書室】
コミセン図書室4冊まとめ借りで必ず入れる、文庫/新書サイズの1冊。夜の睡眠導入のための1冊としてはちょうどよいサイズで、3夜ほど就寝前にダラダラ読み進め、最後は約100ページをイッキ読みして読了。就寝目標時刻(午後10時)を30分オーバーしてしまった。

垣谷美雨さんの作品はこれまでにも何冊か読んできたが、前半は主人公をどん底に落とす出来事がこれでもかこれでもかと続いて起こり、ちょうど中間点ぐらいでちょっとしたきっかけとなる出来事が起こり、そこから反転してすべてが好転していき、最後はハッピーエンド、というパターンが多い。

そういうパターンを予想しながら本作品も読んでいくと、序盤に主人公・久美子が叩き落されていく奈落がけっこう底深く、序盤でここまで描いたらこの後どうなるのかと少し緊張した。同棲していたマンションを出て、大学の先輩のつてを頼って実際に地方に引っ越してからは、実はすごい落ち込みがあるわけではない。農業大学校での実習の過程は淡々と安定的に描かれていて、農業大学校がどんなところなのか、これを読むだけでも結構参考になる。

でも、本当の試練はこの農業大学校の課程を修了してからで、主人公はその地域にそれまで縁もゆかりもなかった女子が1人で農業をやっていくのが並大抵の努力では済まないという現実を知り、さらに、移住のきっかけとなったテレビ番組の「農業女子」特集が、実はわけありだったことも見抜く。

そしてそこからが面白かった。今回の作品は、好転の糸口が意外と序盤にあったわりに、どうやってハッピーエンドになるのかが、終盤に迎えるまであまりよく見えない展開だった。農業婚活パーティーの部分の描写が細かくてやや中だるみ感があったが、最後の100ページの展開は良かったと思う。おかげで就寝が遅くなったわけで。ちゃんとメモを取り、必要なことはちゃんと行動して人と会って話を聞き、しっかりとした作物を作ることが、結局身を助けるのだというのを改めて認識させられる。

ハッピーエンドで良かった。但し、元・同棲相手の言動って、ちょっとそりゃないだろ、お前それでも人間か、というぐらいのもので、登場人物の中では唯一こいつだけ違和感あった。

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