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『ミッドナイト・バス』 [読書日記]

ミッドナイト・バス

ミッドナイト・バス

  • 作者: 伊吹 有喜
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/01/24
  • メディア: 単行本
内容紹介
東京での過酷な仕事を辞め、故郷の新潟で深夜バスの運転手をしている利一。
ある夜、彼が運転するバスに乗ってきたのは、16年前に別れた妻だった――。
父親と同じく、東京での仕事を辞めて実家に戻ってきた長男の怜司。
実現しそうな夢と、結婚の間で揺れる長女の彩菜。
そして、再婚した夫の浮気と身体の不調に悩む元妻、美雪。
突然の離婚で一度ばらばらになった家族は、今、それぞれが問題を抱えて故郷に集まってくる。
全員がもう一度前に進むために、利一はどうすればいいのか。
家族の再生と再出発をおだやかな筆致で描く、伊吹有喜の新たな代表作!

主人公の利一が僕とほぼ同年代であることから、なんとなくの親近感を覚えて図書室で借りてみることにしたもの。それと、長距離バスの運転手という仕事にはちょっとばかり憧れもあって、元々ドライブは好きだし、人が眠っている間に1人黙々と仕事するという感覚も好きだ。カーステレオでラジオ番組や好きな音楽を聴いたりできなさそうな制約は割引いたとしても、やっぱり憧れる。人が普通に活動している日中は逆に眠っていても誰からも後ろ指刺されないのもいい(笑)。

ただ、ちょっと違うのは、利一は大学卒業とほぼ同時に後輩と結婚し、すぐに子供をもうけているので、息子と娘はいずれもすでに社会人、息子に至っては既に30代が目前に迫っているという点。本来なら安心して社会に送り出して残された妻と悠々自適の暮らしを送るか、年老いた親のケアに時間を費やしたいところなのだろうが、息子はうまく社会で人間関係を築くことができず、実家に舞い戻ってきてしまう。元々東京で所帯を持っていた利一の夫妻は、故郷新潟で働きたいという利一の希望で仕事を辞め、実家の母との同居生活を始めたが、妻・美雪は姑の折り合いが極めて悪く、夫と子供たちを置いて、家を出てしまう。それが離婚の原因だった。

世代が一緒だという点を除けば、家族が置かれている状況は主人公と僕とでは大きく異なるが、それでも、年老いた親のことやら、安心して社会に出せない子供たちのことなどいろいろ考えてしまう主人公には共感を覚えるところが多かった。

ただ、なんでこんなに利一がモテるのかがよくわからなかった。新潟の美越(架空の都市名のようだが、多分村上市あたりのことかと…)とバスターミナルのある東京とで2つの生活基盤があり、それぞれ相互の関連性が薄い人間関係が出来上がっているであろうことは想像はするが、物語が進行するにつれていずれ二択を迫られるであろうとは想像しつつも、なんで2人の女性と付き合えるのか、やったことがないので僕には全く理解できません。それに、前妻が嫁姑関係がうまくいっていなかったのを見過ごして実母になぜ何も言えなかったのかもよくわからない。

かなりの長編である上に、いろいろな人のエピソードが途中唐突に挿入されており、読みにくくもあった。結局それらのエピソードがその後の話の展開にどう生かされたのかもよくわからなかったし。家族の再生につながるいい話なのに、集中して読めなかったのは残念。

途中、「男親は家族の扇の要」というようなセリフがあったが、そうありたいとは思っています。父の日が近づいているので、なおさらそう思ったりする。

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