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2019年のGOOD-BAD-UGLY [ご挨拶]

例年、大みそかにアップしている回顧録ですが、ちょっと趣向を凝らして、今年1年間の気持ちの前向き度をグラフで表してみることにしました。

前向き度曲線.jpg

ご覧の通りで、仮に前向き度50のところから1年が始まったとして、この年末にはなんと前向き度ゼロというところまで気持ちが落ち込んでいます。目下の最大のタスクに関する納得感のなさ、自分はいったい誰のために仕事をしているのだろうかというミッション喪失感、そんなのに関わっている間にもっと自分が大事にしていたものが失われていく恐怖感、それによって自分の将来展望が閉ざされていくのではないかという不安感、などが交錯。状況打開してくれると期待して打っておいた2つの布石についても吉報はなく、なんともいえない気持ちで年末を迎えています。

途中にはいくつか、萎える気力を一時的に立て直す出来事もありました。それらのほとんどが、職場を離れたところで起きています。職場以外の場でそうした気分転換の機会があったのは、今にしてみれば大きかったと思います。でも、少し前向きになって職場に戻ると、またどよんとした空気に圧し潰されそうになる、そんなことの繰り返しでした。

3月末に帰国して、はじめのうちは朝の通勤電車も立っていても苦にならなかったのですが、夏頃から立っていると突然胸が苦しくなる時間帯がありました。一駅か二駅やり過ごせば、胸苦しさは去ります。帰りの電車ではそんなことは全く起きません。朝の通勤電車だけは、時間をかけても座る席を確保するようにして、なんとか対処しています。

が、最近は職場で胸苦しさを感じるようになりました。特に、ある特定の仕事を特定の人々とやらねばならないときにだけそれを感じる。新たな「爆弾」が落ちてくる時、会議をやっている時、そういう状況を知らない外野が暢気にメールで「作業依頼」をしてくる時、胸が苦しくなる。明らかに気持ちが拒否している。10月以降が特にひどく、元々僕がやっていた仕事を、僕自身の留守中に同僚にチャラにされたこともあるし、コメント依頼されたのでしたコメントを、気に入らなかったのか同僚にひっくり返されたこともあり、その同僚とぶつかったこともありました。

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『絹と武士』 [仕事の小ネタ]

絹と武士

絹と武士

  • 作者: ハル・松方 ライシャワー
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1987/10/01
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
明治の元老松方正義と生糸をアメリカに輸出した新井領一郎。日米にまたがって活躍した二人の祖父をライシャワー夫人が描く大河伝記。

今年1年間で読んだうち、何がベスト1だったかと問われれば、少し前にご紹介したエドウィン・ライシャワー『ザ・ジャパニーズ』かなと思う。この本を市立図書館で借りた時、ついでにもう1冊借り出した本がある。それが、本日ご紹介するライシャワー夫人の書いた『絹と武士』(原題Samurai and Silk)であるが、読了した今思うことは、実は『絹と武士』の方が自分にとっては印象的だった。

借りたのは本当についでだったに過ぎない。強いて言えばタイトルに「絹」と付いていたからだ。図書館の書誌情報だけでは内容を想像するところまではできなかったが、今年は久しぶりに綿(綿花栽培)や絹(養蚕)に触れた1年でもあったので、締めで読んでみようかと考えた。著者の出自についてはほとんど予備知識のないままに読み始めたのである。

それでわかったことは、邦題は「絹」が先に来ているが、原題は「武士(Samurai)」が先に来ていて、これは著者の父方である松方家の家族史を先に紹介し、その後、母方の新井家の家族史を描いているからだ。松方家は薩摩の出で、本書が中心的に描いているのは明治の元老の1人、松方正義である。一方の新井家は上州群馬の出で、本書で中心的に描かれているのは新井領一郎、20歳にて太平洋を渡り、米国との生糸の直接貿易の道を開いた人である。

つまり、嫌々ながらも仕事だからというので今僕がやっている日本の近現代史の勉強の中で、これまであまり詳しく見てこれなかった明治時代の財政政策の話と、僕が元々調べていた明治の蚕糸業の中で、ブラックボックスとなっていた生糸の対米輸出の話という、要するに嫌々やらねばならない部分と前向きにやれそうな部分がセットになっている、非常にコストパフォーマンスの高い1冊だったのである。

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『彼方の友へ』 [読書日記]

彼方の友へ

彼方の友へ

  • 作者: 伊吹 有喜
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2017/11/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
第158回直木三十五賞ノミネート!
「友よ、最上のものを」
戦中の東京、雑誌づくりに夢と情熱を抱いて――
平成の老人施設でひとりまどろむ佐倉波津子に、赤いリボンで結ばれた小さな箱が手渡された。「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。そう印刷された可憐な箱は、70余年の歳月をかけて届けられたものだった――。戦前、戦中、戦後という激動の時代に、情熱を胸に生きる波津子とそのまわりの人々を、あたたかく、生き生きとした筆致で描く、著者の圧倒的飛躍作。

2014年6月に『ミッドナイト・バス』を読んで以来の伊吹有喜作品である。そして、『ミッドナイト・バス』以来の直木賞候補作品でもある。

今、あまり小説を読んでいる余裕はなかったのだけれど、近所のコミセン図書室で、年末年始の本の貸出は3週間もの猶予が与えられているのを知り、それじゃ小説も含めて借りておこうかと考えた。伊吹作品は、『ミッドナイト・バス』以降拡充されてなかったが、かろうじて残っていたのが『彼方の友へ』で、しかも扱っている時代が戦前だったこともあり、小説とはいえ時代背景をちょっと知っておくにはいい作品かもと期待して、借りることにした。

『ミッドナイト・バス』とはまた全然異なる主題を取り上げた作品である。本当に同じ作者なのかと思ったぐらいだ。読み始めてしばらくの間は、なかなかエンジンがかからず、ページをめくるスピードが非常に遅かった。それは作品の展開のせいでもあるかもしれないが、読む側の僕の読む姿勢(readiness)の問題も大きかったと思う。そのへんのことは大みそかのご挨拶でも書くつもりだが、今やらねばならないことはそれじゃないだろという罪悪感を感じながら読んでいたのである。要するに現実逃避だったのだ。

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タグ:伊吹有喜
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『生きのびるためのデザイン』 [持続可能な開発]

生きのびるためのデザイン

生きのびるためのデザイン

  • 作者: ヴィクター・パパネック
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 1974/08/01
  • メディア: 単行本

内容紹介
ヴィクター・パパネックの古典的な研究。現代のエネルギーと資源不足の世界で生き残るための青写真を提供し、人間のニーズに応える製品を開発するための戦略を示唆した1冊。

この本は今月初旬に実は読了していた。岐阜おおがきビエンナーレ2019を見学するのに、予習も何もしていかないのもまずいかなと思い、長きにわたって読書メーターの「読みたい本」リストに挙げてあった本書を市立図書館で借りて、それを旅行中に読み切ったのである。借りた本だからマーカーで線を引いたりはできないが、代わりに付けておいた付箋が40枚近くにもなり、返却前にこれを全て外してコピーを取り、さらに読み直してコピーに線を引く作業をやっていたら今日に至った。

訳本は1974年発刊だが、原書は71年に出ている。こういう問題意識が50年近く前に既にあったということや、こうした訳本を扱っていた出版社が当時はあったということには大いに感銘を受ける。付箋を付けた箇所が40以上にも及んだというところからもわかる通り、本書は今を生きる僕たちにとっても依然として参考にできるポイントが数多く、この論点は今でも生きていると思う。もっと極論言ってしまえば、この本自体、開発学のテキストにしたいぐらいである。

本書を貫く思想は、「デザイン」とは問題解決することだということだ。行けるところまで来てしまった感がある先進国に住む僕たちにとっては、生活していて不便だと感じるものが少なくなり、メーカーは物を売るのに蛇足のようなデザインを施す。それがデザインだと僕らは思ってしまっているが、これが開発途上国であれば、社会の問題を軽減ないしは解決してくれるようなものを試作し、実用化できる余地が今でも相当に広い。

著者は、デザイナーは途上国に出かけて行き、しばらくの間そこに住み、その土地の住民の要求に本当に適合したデザインを考えるべきだと述べている。また、できればそこで地場のデザイナーの養成も行ない、一緒にデザイン活動を進めるべきだとも主張する。

僕らに非常に刺さる著者からのメッセージは他にもある。

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『ザ・ジャパニーズ』 [仕事の小ネタ]

ザ・ジャパニーズ―日本人

ザ・ジャパニーズ―日本人

  • 作者: エドウィン O.ライシャワー
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1979/06
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
世界において日本ほど長い孤立の歴史をもつ国はない。その経験と地理的特異性とが相まって、日本人は文化的に特異な民族でありつづけた。つよい自意識と集団性、独自の宗教観、自己完結の傾向、他から学習し自らに適応させる並外れた能力―。日本研究の第一人者ライシャワーが圧倒的分析力と客観性、深い洞察をもって日本を論じた本書は70年代にベストセラーを記録。日本の未来に向けて発した期待と危惧が今あらためて強く響く。

今、放送大学で『シリーズ日本の近代化を知る7章』という講座が放送されている。英語で日本の近現代史を学べる珍しいプログラムである。ただ、番組を1回だけ見ても簡単には理解できないので、ビデオに撮って何度か見直すとか、できれば英文トランスクリプトを入手して文字で追いかけてみるとか、補足で何かをしないといけない。

各回45分の講義である。でも、正直言うと、英語であるか日本語であるかは問わないものの、45分間番組を集中して見続けるのは難しい。こういう先生方は、通常の大学の講義は1コマ90分でなさっている。多少の雑談は設けているにせよ、そうした贅肉をそぎ落としたにせよ、90分で教えるものを45分に圧縮するのは至難の業だ。本当は述べたいけれども、尺の関係で落とした項目も多いことと思う。そういうのを、番組を見ていて所々で感じる。

本当は、番組の中ででも、参考文献を提示してくれていたら、講義の行間をそれを読んで埋めることができて助かるのだが、そういう配慮までは残念ながらされていない。自分でやろうと思って少しずつ読んではいるんだけれども、どうも「これ」というのに出会うことができずにここまで来た。

特に自分にとって難解だったのは第2章「政党政治の盛衰」だった。板垣退助の自由党と大隈重信の立憲改進党の話から始まり、途中で伊藤博文の政友会が出て来て、これが今の自由民主党の先駆けだと講義では言われていた。また、講義では立憲改進党という名前だった大隈重信の政党が、途中から「大隈系の政党」という曖昧な表現に変わっていく。そして戦後はどうなっていたのかまでは述べられない。なのに講義では戦後の自民党の話だけは出てくる。だいぶ説明を端折っているように感じる。それが難解な理由だろう。

上の事例は例えに過ぎない。そういう、「行間を埋める」作業を自分で進めようとして、その一環で読み始めたのがライシャワー元米駐日大使の1977年の著書『ザ・ジャパニーズ』であった。市立図書館で借りる直前、ある大学の先生から、「日本の近現代史を英語で教えようと思った時に困るのは、授業でテキストとして使える良い英語の文献が最近ないこと。ライシャワーの『ザ・ジャパニーズ』以降、更新されたものがない」と聞かされた。それが借りるきっかけとなった。

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再々読『貧困を救うテクノロジー』 [持続可能な開発]

貧困を救うテクノロジー

貧困を救うテクノロジー

  • 作者: イアン・スマイリー
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2015/08/19
  • メディア: 単行本

Mastering the Machine Revisited: Poverty, Aid and Technology

Mastering the Machine Revisited: Poverty, Aid and Technology

  • 作者: Ian Smillie
  • 出版社/メーカー: Practical Action Pub
  • 発売日: 2000/11/01
  • メディア: ペーパーバック

邦訳が発刊された直後の2015年12月、そして2018年8月以来の再読となる。なぜに再読が二度も続くのかというと、前回読んだときに、この本を自分が教えている大学での次年度からのテキストに採用しようかと思い立ち、そして今年度実際にそうしたからである。

履修生と輪読してみて気付いたこともある。この本、意外に無駄な記述が多く、何が論点なのかを見えにくくしている。学生が1回読んだだけで著者が各章で言いたいとすることを的確に把握するのは難しいかもしれない。これは、訳本の編集の問題というよりも、原書自体が持っている問題なのでどうしょうもないが、この業界で仕事して、それなりの経験を積み重ねてくると、「ああ、この節ではこんなことが言いたいのだな」というのが見えてくる。しかし、履修生に各章の要旨をまとめてレポートさせてみると、ちゃんと著者の言いたいことを掴んだのかどうかが怪しい履修生もいる。

かく言う僕も、三度目の読書だから、またテキストとして熟読を求められたからこそ理解できた細かい部分もあった。第三部の終盤を読んでいて、ようやく、第一部や第二部で書かれていたことがここにつながってくるのかというのが見えてきたようにも思えた。こうした経験から言えるのは、やっぱり誰か有識者かそれとも翻訳者による巻末解説が必要だったのではないかといういうことだ。出典明記がないこと、索引がないことは致命的だと前々回、前回と指摘してきたが、もう1つの本書の問題は巻末解説がないことだ。

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『他者と働く』 [仕事の小ネタ]

他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 (NewsPicksパブリッシング)

他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 (NewsPicksパブリッシング)

  • 作者: 宇田川 元一
  • 出版社/メーカー: NewsPicksパブリッシング
  • 発売日: 2019/10/04
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
すべての厄介な問題は、関係性のなかで起きている。現場で起きる「わかりあえなさ」から始まる諸問題は、ノウハウで一方的に解決できるものではありません。その「適応課題」と呼ばれる複雑で厄介な組織の問題をいかに解くか。それが本書でお伝えする「対話」です。忖度する・論破するでもなく、相手の「ナラティヴ」に入り込み、新しい関係性を構築すること。それこそが、立場や権限を問わず、新たな次元のリソースを掘り出して、組織を動かす現実的で効果的な方法なのです。組織論とナラティヴ・アプローチの超実践的融合。いま最も注目の経営学者、待望のデビュー作!

このブログでは最近、愚痴めいた書き込みがちょっと増えている。職場の同僚、それを取り巻く人々、ひいては職場の長、そして会社のトップとその取り巻き―――。いい仕事ができないポジションだなと感じる。今までだっていい仕事ができないポジションにいたことはあったが、年齢的なものから生じる不寛容もあるのだろうか、今置かれた状況を許せない、我慢できないから早く足抜けしたい、という気持ちは、これまでの中でも最も強い。

この本で書かれていることはわかる。自分か、相手か、どちらかのナラティブが正しいということではなく、それぞれの立場におけるナラティブがあるので、こちらのナラティブとあちらのナラティブに溝があることを見つけて、「溝に橋を架けていく」対話を行えと著者は言っている。それを、自分からやっていくことが、動く組織にする第一歩なのだと著者はいう。

それは頭ではわかります。でもーーー。

非管理職に立場が変わった今、「仕事があるだけでもありがたいと思え」と言い放つような同僚がいる職場で、わざわざ非管理職の僕が率先してやるべきことなのか、というやりきれなさも感じてしまう。そういうのをやるべきなのは、肩書は一応管理職である同僚であり、その上の中間管理職であり、管理職であり、ひいては会社のトップなのではないかと。いろいろな要因が絡み合っているのでひと言では言えないけれど、「自分が変われば周りも変わる」的なことを軽々に俺に言ってくれるなという思いを感じながら読ませていただいた。

この論法をリーダーシップ論と絡めて書かれていれば、まだ納得感があった。著者が本書でたびたび引用しているロナルド・ハイフェッツの『最前線のリーダーシップ』は、悩める管理職だった10年以上前に読んで、それなりに感銘を受けて、管理職でいる間はできるだけ実践してきたつもりではある。だから、管理職に対してこれを言うのならわかる。それを一兵卒も含めて、ひとりひとりが実践しろと言われるのは悩む。

ハイフェッツの『最前線のリーダーシップ』は、訳本が出たばかりの頃に読んで、ブログでも感想を述べている。『他者と働く』は、それを職場の人間関係全般にまで援用して書かれているので、10年以上前に書いたハイフェッツの著書の紹介記事は、それなりに今も役に立つところがあると思う。
https://sanchai-documents.blog.ss-blog.jp/2008-03-16
https://sanchai-documents.blog.ss-blog.jp/2008-03-19

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再読『SFを実現する』 [ブータン]

JICA、CSTのファブラボ開設を支援
JICA to help establish a global standard FabLab at CST
BBS、2019年12月5日
http://www.bbs.bt/news/?p=125030

2019-12-6 BBS.jpg
―――良かったですね。

僕がブータンにいた最初の年、2016年10月に初めてCSTの学長にデジタルファブリケーションについて吹き込んだ張本人としては、紆余曲折があったけれどもなんとかJICAの技術協力の調印にまで漕ぎつけられたことについては感慨もひとしおだ。張本人がとっくの昔に離任しちゃっている現状については、複雑な思いはあるけれど。

BBSの報じ方は割とサラッとしているので、大事なポイントがカバーされていない。今の政権は、2023年の第12次五カ年計画終了までに全国に15カ所もファブラボを設置すると閣議で決めちゃっている。「デジタルデータからさまざまな物質(フィジカル)へ、またさまざまな物質(フィジカル)からデジタルデータへ、自由に”相互変換”するための技術の総称」がデジタルファブリケーションであり、ファブラボが全国各地にあることで、確かに距離の問題や地理的条件の障壁は克服できる。外国とのコミュニケーションを上手くやれたら、データだけ低コストでダウンロードして現地である程度は生産できてしまうようになるので、対外収支の改善にもつながるだろう。

しかし、各ファブラボで工作機械の操作をアドバイスでき、問題発見やソリューション発見をファシリテートできるファブマスターの育成は大きな課題となって来る筈だ。そういうファシリテーションがちゃんとできる人材を育てられるのがCSTに求められる役割で、それをJICAのプロジェクトでやろうとしているのだろう。

また、CSTのフェースブックページによると、12月3日から5日まで、日本大学の山崎先生という方がCSTを訪れ、人工衛星開発のワークショップを主宰して行かれたそうだが、こういうアドホックな外国人研究者の訪問にその都度真摯に応えているCSTの教員と学生に、その後もちゃんと習ったことを実践させるようなフォローアップを行うことも、実は期待されているのではないかと思う。基本的にCST側は来る者は拒まずなんだろうが、そうやってお客様がいらっしゃる間は真摯に応対してくれる彼らも、お客様が帰られた翌日からは別のお客様の来訪に備え、それに全力投球するようなその日暮らし的な対応をする可能性が高い。折角外国の研究者とのネットワークがあるんだから、そのネットワークを維持させていくことが必要で、そういうフォローアップをJICAのプロジェクトは担っていく必要があるように思う。

―――と僕は思いますが、帰国しちゃったので評論家的なコメントになってしまうことはお許し下さい。

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『よかれと思ってやったのに』 [読書日記]

よかれと思ってやったのに  男たちの「失敗学」入門

よかれと思ってやったのに 男たちの「失敗学」入門

  • 作者: 清田隆之(桃山商事)
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2019/07/11
  • メディア: 単行本
内容紹介
女は「わかる!」、男は「マジで?」
「すれ違い」の背景がわかる、衝撃のレポート
恋バナ収集というちょっと変わった活動を行うユニット「桃山商事」の代表を務める著者が、これまで1200人以上の女性たちの失恋話や恋愛相談に耳を傾けるなかで気づいた、失望される男性に共通する傾向や問題点とは?女性たちの生の声を聞いてみると、男女でこんなにも違う景色が見えているのか、ということが浮かび上がってくる。ジェンダー観のアップデートが求められる現代を生きる、すべての人たちに贈る、より良い関係を築くための「心の身だしなみ」読本。

息抜きの読書のチョイスであるが、思った以上に重かった。全部ではないけど、自分のこれまでの行動にも心当たりがあったからだ。例えば―――。

◆旅行の手配や結婚式の準備を任せっきりにしている夫にいつもイライラしている。

◆夫に食べたいものを聞いても、「なんでもいい」「そっちは?」としか答えない。

◆自分が詳しい話は得意気に語るが、知らない話題になると話の輪から外れる男友達。

◆「会社を3年で辞めて起業する」と宣言した男友達がいつまでも会社を辞めない。

◆彼氏はケンカや話し合いになるとすぐ黙り、不機嫌をまき散らす。それが怖い。

◆彼氏はうまくいかないことがあると黙り込み、“話しかけるなオーラ”を出す。

◆会社の男性は年齢の上下に関係なく、ミスや間違いを指摘すると機嫌を損ねがち。

◆夫は不満や要望を言わず自分の中に溜め込むタイプ。なのに不機嫌になるから厄介。

◆同棲中の彼氏がトイレのドアを開けっ放しでするようになった(大のときも…)。


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