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ソトコト2019年10月号「未来をつくる働き方図鑑」 [読書日記]

ソトコト (2019年10月号)

ソトコト (2019年10月号)

  • 出版社/メーカー: RR
  • 発売日: 2019/09/05
  • メディア: 雑誌
内容紹介
【特集】未来をつくる働き方図鑑
生き方を変える、自分らしい仕事たち!
目の前に延びていく道を、未来をつくるようにゆっくりと歩く。
働き方が広がると、「自分らしさ」が大切な基準になる。
好きなこと、おもしろいこと、わくわくすること、心の震え。
働くことで、自分や地域や社会が変わっていく手応えを感じる。
すると、明日やりたいことにつながる。そう、それが未来。
自分らしい仕事を見つけた仲間に、これから会いに行きましょう!

ソトコトって、毎年10月号は仕事、働き方特集を組むのかな?今や恒例となりつつある、気になる雑誌のバックナンバー図書館借出し、今回は『ソトコト』2019年10月号を取り上げる。

そのちょうど1年前、『ソトコト』2018年10月号も、「あたらしい仕事図鑑」というタイトルの特集号だった。大学生になり、二十歳を迎えた娘の今後の生き方の参考にでもなればという思いと、自分は今勤めている会社をそろそろ卒業して、次にどんな展開をしようかという思いとが重なり、『ソトコト』の仕事特集は楽しみにしている。

実際、2018年10月号で紹介されていた「グラフィックレコーダー」という仕事は、娘に話したところ、「興味ある」と言っていた。多分、もう一度この2018年のバックナンバーも図書館で借り出して、娘に読ませた方がいい。そんな時期に彼女はさしかかっている。

そんなこともあって期待した2019年のバックナンバーだが、娘の今後の生き方の参考になるものというより、その下に控える高1の末っ子の将来の生き方の参考にしてほしいものはあった。備忘録的に書いておけば、「森から地域を変えていく、地域に根付いた「自伐型林業家」」(但し、彼には花粉症というアキレス腱があるが)、「寒冷地デザインセンター「akivan」、地域のプロデュース、北海道の「日本で一番寒い町」で仕事をつくります」「愛知県瀬戸市の「ゲストハウスますきち」。大学卒業後、選んだ仕事はゲストハウスのオーナーでした。」などだ。

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『どうしても生きてる』 [朝井リョウ]

どうしても生きてる

どうしても生きてる

  • 作者: 朝井 リョウ
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2019/10/10
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
死んでしまいたい、と思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。(『健やかな論理』)。家庭、仕事、夢、過去、現在、未来。どこに向かって立てば、生きることに対して後ろめたくなくいられるのだろう。(『流転』)。あなたが見下してバカにしているものが、私の命を引き延ばしている。(『七分二十四秒めへ』)。社会は変わるべきだけど、今の生活は変えられない。だから考えることをやめました。(『風が吹いたとて』)。尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が映されているような気がした。(『そんなの痛いに決まってる』)。性別、容姿、家庭環境。生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。(『籤』)。現代の声なき声を掬いとり、ほのかな光を灯す至高の傑作。

意味深なタイトルだな。『どうしても生きてる』―――生に必死でしがみつこうという姿、生き抜く意志のようなものが「生きてる」という言葉から伝わってくるようでもあるし、逆境の中、何度も「死」が脳裏をよぎってもそれを選べない、そんな様子が伝わってくるようでもある。どちらにもとれる作品が収録されているような気がする。タイトルとしては絶妙だな。

久々に朝井リョウ作品を読んだ。母校の後輩の作品は無条件で読むと宣言しているので。初期の朝井作品は舞台が高校や大学であるケースが多かったので、40代後半になって初めて読んだ時にはすごい世代ギャップを感じた。その彼も大学を卒業して、いったんは会社員になった。それからは作品にも会社員の登場頻度が高まり、相変わらずリアルな場面設定も、おそらく会社やその周辺での観察の成果が生かされているのだろう。初期は20代の会社員、学生から社会人への端境期の若者が多く登場していたが、本日ご紹介の『どうしても生きてる』は、登場人物が30代後半から40代で占められるようになってきている。

朝井リョウもそういう年代の人物を描くようになったのだ。感慨深いものがある。初老の域に達しようとするオジサンが言うのもなんだが、ちょっと彼の作品との距離感は狭まったような気もする。

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『新技術の社会誌』(日本の近代15) [仕事の小ネタ]

日本の近代 15 新技術の社会誌

日本の近代 15 新技術の社会誌

  • 作者: 鈴木 淳
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1999/12
  • メディア: 単行本

内容(「BOOK」データベースより)
幕末明治、洋式小銃の導入は軍隊の近代化を急がせた。戦前、電車や自転車、ラジオは庶民の生活を一変させ、戦後、洗濯機の登場は主婦に家事以外の時間を与える…。その他、活版印刷、人力車、時計、蒸気ポンプ、板ガラス、プロパンガスなどの「新技術」が日本社会を変えていった過程を詳述する。

何の気なしに市立図書館で借りてみたのだが、思っていた以上に面白い本。僕らが普通に利用しているものが、いつ頃どのような人々の手によって開発・実用化に至ったのか、知っておくにはとてもいい1冊である。

第1章「維新の技術」で、明治初期に導入された新技術として、洋式小銃、活版印刷、人力車を取り上げ、続き第2章「産業革命と生活」では、日本における産業革命期と言われる1890年前後から戦間期までに導入されたものとして、時計、蒸気ポンプ、板ガラスを取り上げる。

第3章「大衆の技術革新」も時代としては同じ時期を取り上げているが、扱われる技術は電車、自転車、ラジオと来る。ちょっと前にNHK『チコちゃんに怒られる』でも出てきた、全国ラジオ体操の起源についても、ラジオの節では出てくる。そして第4章「家庭生活の変容」は戦後。高度経済成長期までに普及した耐久消費財として洗濯機、地方にも普及したエネルギーインフラとしてのプロパンガスが取り上げられている。

いずれも今僕らは当たり前に利用しているものばかりだが(人力車の場合は日本国内というよりは開発途上国で)、それがいつ頃日本に入ってきていつ頃から普及して行ったのか。誰が国産化に成功したのかなど、訊かれると答えられないことが実に多い。蘊蓄をたれるために、こういう本を読んでおいたら面白いかもしれない。ちょっと散漫になって一つ一つの技術の話が頭に入ってこないリスクもあるが。

それにしても面白いシリーズだ。全16巻もあって、しかもこの中央公論新社のシリーズは、その後文庫化されて中公文庫から出ている。わけあって今後そんなに日本の近現代史のことを勉強するとは思えないけれど、読む本に困ったら、たまにはこういうテーマのシリーズから1冊ピックアップして、図書館で借りて読むというのはやってもいいかもしれない。

タグ:鈴木淳
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『透き通った風が吹いて』 [読書日記]

透き通った風が吹いて

透き通った風が吹いて

  • 作者: あさの あつこ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/11/27
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
野球部を引退したら、空っぽになってしまった渓哉。故郷美作を出て都会の大学に行けば、楽しい生活が待っているのかもしれない。でも、それは自分が望んでいることなのだろうか。親友の実紀は、きちんと自分の将来を見据えている。未来が見えずにいる渓哉は、ある日偶然、道に迷っていた美しい女性・里香を案内することになる。里香は美作に「逢いたい人がいる」と言うが…。モラトリアムの時期を迎えた高校生の焦燥、そして淡い恋を描く、心が澄み渡る青春小説。

前回も書いた通り、僕は今同時並行で2冊の本を読むようにしている。予定としては、読み進めるスピードが遅い、ちょっと難しい本を先に読了してこのブログでも紹介するつもりでいたが、前回の恩田陸『歩道橋シネマ』読了の後に読み始めたあさのあつこ『透き通った風が吹いて』の読み進めるスピードが速すぎて、専門書より先に読了してしまった。

ページ数的にも150頁ちょっとだし、1頁当たりの文字数も少なめだ。わずか3日ほどの間の出来事を描いており、あっという間に読了可能である。それと、オジサンがこの類の小説にさほどの時間をかけているわけにもいかないので、とっとと読み終えることにした。

高3の夏の終わり、少し前まで白球を追いかけていた高校球児が、県予選で敗退し、次の目標に向かって歩き出すまでのお話である。ついでにちょっとばかり岡山県美作地方の宣伝も入っている。僕自身は高2になったばかりの春には既に自分がどんな道を歩みたいかイメージできていたので、こうやって部活に打ち込んでいて、次に何をやったらいいのかわからなくなってしまう状態というのは理解しづらいところがあった。(だからといって、僕が部活にあまり力を入れてなかったわけではない。)

僕の場合は、団体戦のBチームがせいぜいだったので、夏休みの県大会にまで部活に打ち込む立場にはなかった。それじゃ何やってたのか、何を考えていたのか思い出そうと試みるが、あまりよく覚えていない。僕の大学入試本番は11月初旬だったが、学校推薦を取る際の評定が3年1学期までの学業成績だったので、夏休み前であっても結構勉強していたに違いない。第一志望校への学校推薦枠が取れた後の夏休みは、多分普通に受験勉強をしていたと思う。(あまりに思い出せないので、帰省した時に日記で確認してみたい。)確実に言えるのは、ラジオ講座『百万人の英語』は聴いていたし、映画『さよなら銀河鉄道999』を映画館に観に行ったことぐらいだろうな。

あさのあつこは多作過ぎてあまり作品を読む気になれずにいた。舞台も中学高校が多いので、オジサンにはあまり向く作品群ではない。うちにも高校生が1人いて、3人兄弟の中ではもっとも小説を読みそうな気もするが、そういう現役高校生には向いているかもしれません。

それにしても、4年以上前に出た本が、なんでコミセン図書室の新着本の棚に置かれてあったのかは不明だ。お陰で僕の目に留まって、借り出されることになった。

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『歩道橋シネマ』 [読書日記]

歩道橋シネマ

歩道橋シネマ

  • 作者: 恩田陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/11/20
  • メディア: 単行本

内容紹介
あなたは、小説の奇跡を目撃する。とある強盗殺人事件の不可解な証言を集めるうちに、戦慄の真相に辿り着いて……(「ありふれた事件」)。幼なじみのバレエダンサーとの再会を通じて才能の美しさ、酷薄さを流麗な筆致で描く「春の祭典」。密かに都市伝説となった歩道橋を訪れた「私」が記憶と、現実と、世界の裂け目を目撃する表題作ほか、まさにセンスオブワンダーな、小説の粋を全て詰め込んだ珠玉の一冊。

以前、同じ作者の短編集『図書館の海』を読んだとき、自分には合わないけれど、就寝前の睡眠導入剤としてはちょうどいい長さかもというような感想を述べたことがある。『図書館の海』の場合は、1編あたり平均30頁ほどあったが、本日ご紹介の『歩道橋シネマ』は18編で300頁、つまり、1編あたり16~17頁程度ということになる。

この長さだと、睡眠導入剤としては勿論のこと、朝の出勤前にトイレを占拠して、用が済むまでの10分程度であっても十分読み切れる。多分通勤電車の中でも可能だろうが、今は同時並行的に2冊の本を読み進めるスタイルをとっているので、あまり外を出歩くときには小説は読んでいない。

なので、本書は読了までに数回の就寝と、数回の朝のおつとめが絡んでいる(笑)。

で、内容はというと、結構なインターバルを入れたとはいえ、18編も読むと、正直言ってこの場で感想など書きづらい。印象としてはどれもホラーで、しかも少しばかり想像力を働かせないとオチが理解しずらいところがある。同じ恩田作品でも、『夜のピクニック』や『蜜蜂と遠雷』とは明らかに異質で、同じ作家の違った一面を感じることができる。それをよしとできるか否かは、読み手側の許容度による。

ただ、収録作品の中には、今作者が取り組んでいる長編作品の習作として描いてみたという短編が含まれている。『図書館の海』の中の「ピクニックの準備」のような作品である。よって、将来その長編作品が世に出て、そして売れた時、『歩道橋シネマ』も再び注目を集めることになるのだろう。


タグ:恩田陸
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『工業化の軌跡-経済大国前史』 [仕事の小ネタ]

工業化の軌跡―経済大国前史 (20世紀の日本)

工業化の軌跡―経済大国前史 (20世紀の日本)

  • 作者: 岡崎 哲二
  • 出版社/メーカー: 読売新聞社
  • 発売日: 1997/01
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
日清戦争以後、途上国日本の経済は、戦争と平和の波間で成長を続けた。市場メカニズムと計画メカニズムが葛藤した太平洋戦争の戦時体制下で、戦後の高度成長を準備した諸制度が生まれ、焼け跡の中に残された。マクロ経済の手法と豊富な図表を駆使し、20世紀前半の日本経済の変転を探る。

以前、自分で本を書いたとき、日本の製糸業の勃興期のことを調べていた。そこがメインでなかったので、そんなにたくさんの文献を読み込んだわけではないけれど、検索する際のキーワードを製糸だとか蚕糸業だとか養蚕だとかに絞ってやっていたので、工業化とか産業政策といった切り口で情報探索の網をもっと広く張っていれば、知りたいことがもっとクリアに知れた可能性がある。

このことを改めて痛感させられたのがこの本である。

冒頭囲みの紹介では、「20世紀前半の日本経済の変転」とあるが、実際のこの本のスタートは1885年頃であり、日清戦争よりもさらに10年ほど前からである。別の本で最近読んだが、日本において機械制工業が定着して産業や社会の大変革が始まった産業革命期というのは、1886年(明治19年)頃から1890年にかけての企業の勃興期だというのが定説らしい。ただ、こと生糸の輸出に関してはそれ以前に始まっている。だから、本書の場合も、囲みの紹介だけでは本当は説明が不十分で、実際はもっと広く工業化の歴史を描いている。

幕末の開国後に始まった外国との貿易は、1870~80年の輸出額の約3割が生糸だった。生糸の国内生産のうち、6割から7割が輸出に充てられていたと言われている。実際の本書の説明は、このあたりからちゃんとスタートしているのである。

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ソトコト2020年1月号「地域のデザイン2020」 [読書日記]

ソトコト (2020年1月号)

ソトコト (2020年1月号)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: RR
  • 発売日: 2019/12/05
  • メディア: 雑誌
内容紹介
【特集】日本の地域づくり、まちづくりのデザイン最前線!地域のデザイン2020
・介護、就労支援、保育園にレストラン。『アンダンチ』がつくる、風の通り道。
・小学校から地域のみんなの学校へ。アートで地域をつなぐ「月出工舎」
・「なにも建てない」。それが最初のスタートでした。面木健さんの『オモケンパーク』
・まちを楽しむきっかけをデザイン。『かがみがはら暮らし委員会』が願うもの。
・"私の好き"を届ける言葉と写真が、関わり方をデザインする。
 "市民ライター"が届けるウェブメディア「まきまき花巻」
山形県酒田市・大沢地区。山の暮らしを、「公益DIY」で持続&自走可能にしていきます。
・山と里、海との循環。塩造りから始まる、瀬戸内版・持続可能な経済モデル
・数々の事業承継、新規事業に邁進する意味。
 今川宗一郎さんが仕掛ける、町の歴史を受け継ぎ、新しく始める覚悟。
・デザインの力で伝統をつなぐ。新潟の「ゆか里」を、全国の「浮き星」に。
 『hickory 03travelers』の仕事。
・住み継がれる場所をつくる『イロハクラフト』。「リノベーションのまち・韮崎市」を目指して。

外国で暮らす機会を得て以来、時々この雑誌は読むようになった。海外駐在時は最新号の電子書籍版をダウンロードしてキンドルで読んでいたが、最近、『美術手帖』だの『WIRED』だののバックナンバーを市立図書館で借りて読み始めたので、ふと、「『ソトコト』のバックナンバーも図書館だったら読めるかも…」と思い付いた。バックナンバーだから少しだけ古いが、あまり気にはならない。毎回最新号をダウンロードしていたらお金ももったいないし、内容を事前確認できないから、電子書籍版の購入を躊躇した最新号だって相当ある。

でも、今回読んだのはわりと新しい号である。表紙も、各記事のトップページの口絵も、その地域の活動に関わっている方々の、笑顔に満ち溢れた集合写真である。皆さんとてもいい顔をしている。きっと活力のある地域活動なのだろう。

若い人ばかりが写っている集合写真だと、オジサンは参加できるのだろうかと躊躇もしてしまうが、既に人生の引き際を考えているような年齢なんだから、自分たちの居場所と考えるよりも、うちの子どもたちの将来進む道の選択肢の1つとして、考えておいてもらえたらいいかなと思う。勿論、様々な世代の人々が交じり合っている取り組みも中にはある。

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タグ:地域おこし
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『21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考』 [持続可能な開発]

21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考

21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考

  • 作者: ユヴァル・ノア・ハラリ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/11/19
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
『サピエンス全史』で人類の「過去」を、『ホモ・デウス』で人類の「未来」を描き、世界中の読者に衝撃をあたえたユヴァル・ノア・ハラリ。本書『21 Lessons』では、ついに人類の「現在」に焦点をあてる―。テクノロジーや政治をめぐる難題から、この世界における真実、そして人生の意味まで、われわれが直面している21の重要テーマを取り上げ、正解の見えない今の時代に、どのように思考し行動すべきかを問う。いまや全世界からその発言が注目されている、新たなる知の巨人は、ひとりのサピエンスとして何を考え、何を訴えるのか。すべての現代人必読の21章。

たまにミーハーで、こういうベストセラーも読んでみることにした。発刊早々の頃、職場で開催された勉強会にお招きした講師の先生がさっそく言及されていたし、どこの書店に行っても、「読んで下さい」とばかりに店頭に平積みで置いてある。こういう本をほとんど読まないうちの新成人の娘ですらが、「見たことある本だね」と言っていた。オヤジとしては、当然、読んでくれてたらもっと嬉しかったけど(苦笑)。

コミセン図書室で借りたベストセラー。返却期限が近付いてきていて、それが原動力になって読み進められたけれど、結局4日かかった。1日5レッスン、100頁読むのが限界。今週前半は仕事の上で時間との戦いを強いられて、生きた心地がしなかった。「間に合わなかったらどうしよう…」という不安感が頭から離れず、読書どころではなかったのだ。後半一種の「神風」のおかげで一息つくことができ、それでようやく読み込みが捗るようになった。

そうなると、前半読んだ記憶が忘却の彼方に行ってしまい、何が書いてあったか思い出せなくなってしまう。そうした中でどうブログで紹介しようか悩んだが、読んでみて感じたことをザクっと述べてみようかと思う。先ずは目次だけ見てみよう。

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LSU最高の日 [LSU]


このブログのプロフィール画像を15年にわたって変更していないことからもご想像の通り、僕はアメリカンフットボールのファンであり、ルイジアナ州立大学(LSU)のファンである。1985年に1年間、LSUに留学させてもらい、LSUタイガースタジアムにも何度か足を運んだ。

1980年代から90年代にかけ、LSUはNCAAディビジョン1のランキングではよくて10位台ということが多かった。サウスイースタンカンファレンスの対抗戦では、アラバマ大やフロリダ大には分が悪かったし、時々格下(失礼)のミシシッピー大やミシシッピー州立大に足元をすくわれ、平均すると6勝4敗、ないし7勝3敗のチームだった。そしてポストシーズンも、ボウルゲームの成績はあまり良くなかった。

それが、2000年にニック・セイバンがヘッドコーチに就任してから、戦績が良くなった。ほとんどのシーズンでランキングひとけた台を記録するようになり、2003年のシーズンには全米チャンピオンになった。但し、この時は2つあったランキングで1位が割れて、2チームが全米チャンピオンを名乗ったと記憶している。この実績が買われて、ニック・セイバンはNFLマイアミ・ドルフィンズHCに転身したが、その後を受けたレス・マイルズHCの下で、2007年のシーズンにも全米チャンピオンに輝いている。

1959年も含めるとこれまで3回全米チャンピオンになったLSUだが、レギュラーシーズンを全勝で締めくくったことはこれまで一度もなかった。僕はこのブログでも一時期LSUの試合の結果を紹介したりしてきたが、あまり前のめりになるとどこかで必ず黒星が付くので、ブログでは固く口をつぐむよう心掛けるようになった。

だから、今年のチームが全勝街道をひた走っている間も、結果はチェックしていたものの、ブログでは一切触れなかった。カンファレンス内での最大のライバルで、対戦時にランキングひと桁台だった強豪フロリダ大とアラバマ大を下しても、浮かれることなく静かに様子を見守り、レギュラーシーズンを12勝0敗で終え、さらにカンファレンス決勝ジョージア大に圧勝した後も、口をつぐんでいた。

チームはさらに勝ち星を重ね、プレーオフ準決勝、オクラホマ大にも圧勝。そして13日(現地時間)、チャンピオンシップゲームでクレムソン大を42-25で突き放し、とうとう全勝でシーズンを締めくくった。誰も文句のない全米チャンピオンである。

35年間もLSUファンをやってきて、初めての経験だ。

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『いのちを守るデザイン』 [仕事の小ネタ]

コミュニケーションデザイン 1 いのちを守るデザイン

コミュニケーションデザイン 1 いのちを守るデザイン

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 遊子館
  • 発売日: 2009/12
  • メディア: 大型本
コミュニケーションデザインは関係のデザインである。かかわりのデザイン、あるいはふれあいのデザインといってもよい。関係やかかわりには主体と目的の明確化が欠かせない。生活者としての生命体、未だ誕生を見ていない動植物も含めて生物は全てコミュニケーションデザインの主体者となる。これまでのデザインは、建築、インテリア、プロダクト、グラフィックなどの専門分野に分かれていた。コミュニケーションデザインでは、そうした分類も意味をなさなくなる。本書『コミュニケーションデザイン』では、主体者相互並びに環境とのよりよい関係を生み出すデザインに注目し、掘り下げている。写真・図版のウェイトを高め、ビジュアルに時代を見通す素材として役立つものとした。第1巻『いのちを守るデザイン』では、あらゆる分野で、いのちを守るために試みられている多くの事例を紹介し、デザインに何ができるかを、読者とともに考えようとした。

成人の日の三連休。僕は持ち帰り残業があったのだけれど、どうしてもこの作業をやる気になれず、連休最終日を迎えてしまった。この作業をやったから明日以降の仕事がその分はかどるというわけでもなく、やっても無駄になるか、あるいは大幅な改編を出勤してからやらなければならなくなるだろう。そんな作業に時間を割きたくないという気持ちが、持ち帰っていた資料に目を通す気持ちを萎えさせる。

現実逃避のためか、その分今週は余計な読書が進んだ。当初読む予定じゃなかったものまでガンガン読んでいて、お陰で積読蔵書も多少ははけた。本日ご紹介する図鑑もそんな1冊。連休二日目の枕元に持ち込み、就寝前と翌朝の1時間弱を使って、全部目を通した。図鑑なので。

そもそもこの本に手を出したのは、先月読んだビクター・パパネック『生きのびるためのデザイン』の延長である。パパネックも、複数の専門分野の人が、垣根を越えて協働し、課題解決につながるものやサービスのデザインを考えよと、1970年代には既に提唱していた人である。それを、21世紀的文脈において、どこでどうデザインされたのか、それをビジュアルに見られる図鑑を手元に置いておきたかったというのが購入の意図。ひょっとしたら、全5巻といわれるこのシリーズ、続刊についても買い揃えちゃおうかとも思っている。

本書には、1件のみだが開発途上国の課題解決にプロダクトデザインが生かされている事例が紹介されている。南アフリカのデザイン事務所が考案した水運搬タンク「Qドラム」で、これはこの手の書籍を昔重点的にブログで扱った際にも、最も僕が印象に残った事例の1つとして紹介した記憶がある(山崎亮『ソーシャルデザイン・アトラス』)。これは目からうろこであった。

昨年11月にインドを訪問した際、オディシャ州で訪れた公立学校で、学校菜園を始めたはいいが、水場から菜園までの50メートルほど距離があるので、水を運ぶのが大変だから援助して欲しいと生徒に言われた。だったら最初から菜園をそんなに離れた場所にしなけりゃよかったじゃないとか、もっと言えば、50メートルってそんなに大変な距離なのか、とか思わないでもなかったが、Qドラムのことが頭にあったので、「援助はできないけど、自分たちでどうしたらいいか、もう少し考えてみてよ」と言って返した。

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