『他者と働く』 [仕事の小ネタ]
他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 (NewsPicksパブリッシング)
- 作者: 宇田川 元一
- 出版社/メーカー: NewsPicksパブリッシング
- 発売日: 2019/10/04
- メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
すべての厄介な問題は、関係性のなかで起きている。現場で起きる「わかりあえなさ」から始まる諸問題は、ノウハウで一方的に解決できるものではありません。その「適応課題」と呼ばれる複雑で厄介な組織の問題をいかに解くか。それが本書でお伝えする「対話」です。忖度する・論破するでもなく、相手の「ナラティヴ」に入り込み、新しい関係性を構築すること。それこそが、立場や権限を問わず、新たな次元のリソースを掘り出して、組織を動かす現実的で効果的な方法なのです。組織論とナラティヴ・アプローチの超実践的融合。いま最も注目の経営学者、待望のデビュー作!
このブログでは最近、愚痴めいた書き込みがちょっと増えている。職場の同僚、それを取り巻く人々、ひいては職場の長、そして会社のトップとその取り巻き―――。いい仕事ができないポジションだなと感じる。今までだっていい仕事ができないポジションにいたことはあったが、年齢的なものから生じる不寛容もあるのだろうか、今置かれた状況を許せない、我慢できないから早く足抜けしたい、という気持ちは、これまでの中でも最も強い。
この本で書かれていることはわかる。自分か、相手か、どちらかのナラティブが正しいということではなく、それぞれの立場におけるナラティブがあるので、こちらのナラティブとあちらのナラティブに溝があることを見つけて、「溝に橋を架けていく」対話を行えと著者は言っている。それを、自分からやっていくことが、動く組織にする第一歩なのだと著者はいう。
それは頭ではわかります。でもーーー。
非管理職に立場が変わった今、「仕事があるだけでもありがたいと思え」と言い放つような同僚がいる職場で、わざわざ非管理職の僕が率先してやるべきことなのか、というやりきれなさも感じてしまう。そういうのをやるべきなのは、肩書は一応管理職である同僚であり、その上の中間管理職であり、管理職であり、ひいては会社のトップなのではないかと。いろいろな要因が絡み合っているのでひと言では言えないけれど、「自分が変われば周りも変わる」的なことを軽々に俺に言ってくれるなという思いを感じながら読ませていただいた。
この論法をリーダーシップ論と絡めて書かれていれば、まだ納得感があった。著者が本書でたびたび引用しているロナルド・ハイフェッツの『最前線のリーダーシップ』は、悩める管理職だった10年以上前に読んで、それなりに感銘を受けて、管理職でいる間はできるだけ実践してきたつもりではある。だから、管理職に対してこれを言うのならわかる。それを一兵卒も含めて、ひとりひとりが実践しろと言われるのは悩む。
ハイフェッツの『最前線のリーダーシップ』は、訳本が出たばかりの頃に読んで、ブログでも感想を述べている。『他者と働く』は、それを職場の人間関係全般にまで援用して書かれているので、10年以上前に書いたハイフェッツの著書の紹介記事は、それなりに今も役に立つところがあると思う。
https://sanchai-documents.blog.ss-blog.jp/2008-03-16
https://sanchai-documents.blog.ss-blog.jp/2008-03-19
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