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『なめらかなお金がめぐる社会。』 [持続可能な開発]

なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。

なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。

  • 作者: 家入 一真
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2017/08/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
「お金がすべて」の社会のその先に。クラウドファンディング、恩送りの社会。資本主義のアップデートが始まる。今、家入一真が伝えたい、新しいお金、経済の姿。
【Kindle Unlimited】
この本は、日本にいた頃、一度近所のコミセン図書室で借りようかどうしようか悩み、結局借りなかったという記憶がある。それを今さら読んだのは、Kindle Unlimitedで読めたからである。

ただ、先週ぐらいからだろうか、クラウドファンディングで資金調達を手伝ってあげられないかと思う案件があり、ちょうどタイミングの良い読書となった。これを読んだ後、CAMPFIRE主催の「クラウドファンディング勉強会」も出てみた。30分と短い講座の中に多くの情報を詰め込もうと、ずいぶん早口で説明されて少しついていけなかったが、外国在住者でもあってもクラウドファンディングに挑戦可能とのお話があったのには勇気づけられた。(ちなみに、資金調達を手伝ってあげたいと思っている目標額は5000ドルである。)

本書は、著者が立ち上げた日本のクラウドファンディングプラットフォーム最大手のCAMPFIREの宣伝本ともいえる。2016年にCAMPFIREの代表取締役に就任しているので、なぜ自分がクラウドファンディングを推すのか、そしてCAMPFIREで何を目指すのかが、述べられている。著者のエッセイとしても読める。

くそ長いタイトルの本である。ブログ記事のタイトルとしては後半を端折ってしまったけれど、後半もサブタイトルというよりも、メインタイトルの一部なのだろう。本書のキーワードは「小さな経済圏」で、そこは著者のこだわりの部分だったのだろう。

 これからの日本では、国というレイヤーを超越したところで活躍する「超グローバル」みたいな生き方と、地元で気のいい奴らと暮らしていくような「超ローカル」みたいな生き方の二極化が激しく進んでいくんじゃないかな、と思っている。

 ただ、世界と比べたときに、大半の日本人の強さは「超グローバル」ではない気がしている。もちろん、世界に飛び出して地球規模の課題に取り組める人もいるけれど、むしろ小さなコミュニティを作ったり、小さな経済圏を作ったりするほうが日本人は得意なのではないだろうか。

 生きづらくなった世の中を、生きづらくなったと感じている人たちが直接つながって課題を解決する、もしくは、風雪を耐え忍ぶ。
 そっちの方向のほうがよっぽど幸せ度が高そうだし、自由な生き方ができるんじゃないだろうか。(中略)
 だから僕の関心も、もっぱら「小さな経済圏」を作ることにある。(「おわりに」より)
―――なんだか、前半部分の「超グローバル」と「超ローカル」の二極化って、最近読んだ冨山和彦『なぜローカル経済から日本は甦るのか』でも論じられていたな。ただ、冨山さんの著書の方は、「日本人の強さは「超グローバル」ではない」とまでは言い切ってないし、「超ローカル」の方の議論でも、ここまで小さなお金の話は全然されていないのだが。

以上でだいたい本書の要旨は語ってしまっているわけだが、最後に自分がちょっとだけひらめきをもらった記述だけを抜粋して、本書の紹介は終えたい。

 日本ではある人が個人的な目的で融資を受ける際、借り手を保護するために個人情報を開示できない。個人情報が特定できるとお金が返せなくなったときに貸し手が直接取り立てにいく可能性があるからだ。

 でも、海外だと普通に開示していて、若い子が「学校に行くお金がないから貸してください」と世界に発信して、みんなが少しずつお金を貸すという流れができている。(位置No. 1274)
―――そういう若者を身近で見ているだけに、5000ドルを調達するのを手伝えないかなと思った次第である。本書のこの記述を見て、ちょっと背中を押された気がした。

 僕はこのカルマキッチンの思想がとにかく好きで、この考え方を学びの場に持ち込んだらどうなるのかと思ってLivertyで企画したのが「青空学区」という無料プログラミング合宿だった。
 完全無料でプログラミングを学ぶことができる代わりに、この合宿で学んだ人はその知識を他の人に無償で分け与えるという「お願い」の上に成り立った仕組みだ。(後略)

 学びの場で授業料をもらってしまうと、生徒の中には「お金払ってるんだから自由にやってもいいじゃないか」という気持ちになってしまう人もいる。そう思った瞬間にその関係性は「生徒」から「お客さん」になってしまうので、それ以上、関係の発展を望めないことが多い。
位置No.544~557

 この合宿を開催するための講師と会場の費用はLivertyからの持ち出しだった。(中略)合宿の参加者には、次回の合宿で講師になってもいいし、Livertyで働いているプロジェクトを手伝ってくれてもいいと伝えていて、実際に開発業務を手伝ってくれた子が何人もいた。(後略)
 実際、アメリカには大学生などに無料でプログラミングを教えるユニークな学校が存在している。その仕組みは、生徒がもしグーグルやフェイスブックのような大手企業に就職できたら、給与の1割を数年にわたって学校に払うというもの。
 お金がないけど意欲はある学生からしてみたら「出世払いでいいよ」と言われていることと同じなので、こんなありがたい話はない。(位置No.570)
―――このあたりは、僕が近い将来、大学生向けに研修を行う際に、参加費用は取らないけれど、将来研修の講師を代わりにやって欲しいという条件の付け方で、縁を次々とつないでいく応用の仕方が考えられると思った。

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