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各地域にありそうな雇用のミスマッチ [ブータン]

求人数は多いのに、採用は低調:プンツォリン
More jobs less takers in Phuentsholing
Rajesh Rai記者、Kuensel、2022年6月24日(金)
https://kuenselonline.com/more-jobs-less-takers-in-phuentsholing/
【ほとんど抄訳】
プンツォリンの地域労働事務所が6月22日に行った「Gowa」プログラムには、22の企業と求職者が集まった。合計299の仕事のオファーがあったが、わずか106人の求職者しか来なかった。出席した22の企業のうち、16社は即採用したいとの希望を持っていた。しかし、即日採用となったのはわずか4名で、80人は今後の面接候補者としてリストアップされたのみだった。労働事務所関係者によると、90%以上が職を得る見込みだという。

パサカ工業団地の企業や、他地区の製造業、サービス業者の提示する給与は、月額5,000~24,000ニュルタムの範囲である。しかし、それでも求職者を見つけるのに困難を感じる企業は多い。ラキ・セメント社は電気工の求人を行ったが、同社担当者の下を訪れた求職者は、勤務地がゴムトゥだと聞くと去って行った。「1人だけ来ました」——ある担当者はこう述べた。

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地域労働事務所のソナム・テンジン所長によると、これは逆説的な状況だという。「仕事がないわけではない。職はあるのです。」若者はこうした職に就く必要があるのだと述べる。

製造業者のほとんどが、熟練工、主に職業訓練校の卒業生を求めている。職業訓練校卒業生の1人、プレム・クマール・グルンさん(24)は、どんな仕事でも就きたいと述べた。配管工としてリストアップされた。

ケザン・ダワさん(26)は採用が決まった1人だ。クラス10卒業生で、1年ぐらい無職の状態が続いた。彼はパーフェクト・コンポジット社で採用が決まった6人のうちの1人だ。彼は、リゾート施設で働いていたが、パンデミックのせいで職を失った。ミニドライポートや建設現場で働いて、なんとか生計を維持してきた。

求人担当者によると、彼らは長期雇用のために求人を行ってきたという。「何度も求人広告を出しましたが、誰も来てくれません。今日は、求職者に来てもらって求人内容について直接説明することができ、なんとかリクルートすることができました。」

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プンツォリン市のウッタル・クマール・ライ市長は、求職者に対し、今ある仕事が何であれ、受けるべきだと求めた。「小さく始めることが肝要。それが大きな成功への第一歩なのです」と述べた。 .

求職者と求人内容にミスマッチは日本でもよく聞かれることだと思う。どんな仕事のオファーがあったのか、どんな人が仕事を探しにこの相談会に来たのか、いずれも記事だけからでは想像がつかないが、思ったことを挙げておく。僕はここで取材を受けているソナム・テンジン所長を存じ上げているので、そのうち、会ってもうちょっと掘り下げて調べてみたい。

思ったことの1つめは、プンツォリンの地域労働事務所の活動内容をもっと知る必要性についてだ。前回の記事で書いた通り、僕はここ2週間ほど大変なマルチタスク状態だったのだが、そのタスクの1つは日本からの来訪者を地元企業のどこに見学に連れて行けばいいのかを考えることで、ただでも土地勘が十分でない中で、この作業を進める糸口が思いつかなかった。もう少し準備時間があれば、Association of Bhutanese Industriesとか、プンツォリン地域労働事務所とコネクションを作り、それらのネットワークで訪問企業をリストアップしたりできたのではないかと今さらながらに思う。

2つめに、この来訪者の受入れ準備過程で、僕のいるCSTが地元の産業界とそれほど太いコネクションを持っていない実態についても垣間見えた気がした。家具工場等、大学に出入りしている業者もあることはあるが、特に感じたのはパサカ工業団地に入居している企業とのコネクションが、思っていたほどないという点だった。これらについても、地域労働事務所とのパイプを生かせれば、CSTの学生のフィールドワークの場としていくつかの事業所と交流させてもらって、そこでIoTシステム導入を一緒に考えるとか、そういうWin-Win関係が作れないものかと思う。学生と地元事業所との交流機会をもっと作ることができたら、両者の間の期待感のすり合わせもできて、相思相愛も生まれてくるのではないか。あくまで仮説だけど。

3つめに、記事にあった月給の範囲だけれど、未熟練労働者の求人も含まれていたのではないかと思われるがどうだろうか。そうすると、ちょっといいところを狙っている職業訓練校の卒業生あたりをターゲットにしているだけでは不十分で、薬物依存症回復者とかも、予断抜きで採用検討の俎上に上げてあげられたらよかったのではないかという気もした。これもGowaプログラムを主催した地域労働事務所に訊いてみないとわからないけれど、今回検討の埒外だったのかもしれないが、将来的には、求人側に事業所への働きかけの1つとして、そういう「わけあり」求職者であっても社会への再統合の一環ととらえて、協力してもらえるように仕向けて行けたらよい。

薬物依存症回復者のスキルアップのための技能研修って、意外と最近になってからしか取り組まれてこなかった領域らしい。彼らのスキルアップにも取り組みつつ、一方でそのスキルを生かす機会を地元事業所に広く働きかける、そんな役割も、地域労働事務所は担っているのではないかと思われる。

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