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ブータンに来にくくなるのか新法案 [ブータン]

特別な観光の目的地ブータンの再促進
Tourism Levy Bill to re-promote Bhutan as a destination for exclusive tourism
Phub Gyem記者、BBS、2022年6月20日(月)
http://www.bbs.bt/news/?p=170952
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【抄訳】
財務相は本日、国会下院にツーリズム徴収法案を上程した。同法案は特別なツーリズムの目的地としてのブータンを再びプロモートすることが狙い。

同法案では、持続的開発手数料(SDF)を1日65ドルから200ドルに引き上げることを提案。ツーリストは1人当たり1晩あたり250ドルを負担している。このうち、65ドルがSDGとして国庫に入る。同法案が可決されれば、ツーリストは1晩あたり200ドルを負担、加えて、宿泊、食事代、交通費、そのた費用を別途負担せねばならない。

同法案を国会に提出するにあたり、財務相は、高付加価値・低ボリュームで知られるブータンのツーリズム政策は、国際的に評価されていると述べ、同法案がブータンをツーリズムの特別な目的地として再興することを狙ったものだと述べた。

65ドルのSDFは1991年に導入されたもので、以来、改訂が行われたことはない。

ナムゲ・ツェリン財務相「我々にとって、国益に優先順位をつけ、政治的アジェンダや私益は後に残しておくことが重要。この法案を支持してもらえれば、我々の子どもたちにとってよりよい未来を建設するのに貢献するだろう。」

同法案によれば、最初の目的地から外に出ない日帰りツーリストの場合はSDFは免除となり、5歳以下の子どもにも適用されない。また、6歳から12歳の子どもについては、50%の割引が適用される。この改訂SDFは、6月20日よりも前に旅行予約を行ったツーリストには適用されない。

ドルジ・ワンディ野党党首「法案審議委員会が同法案がツーリスト数にどのような影響を与えるのか、経済にどんな影響を与えるのかを説明して欲しい。現時点では、我々の協議は、財務相が行ったプレゼンだけをベースに行われている。」

首相は、この変更が時宜を得たもので、必要不可欠だと述べた。ツールズムの恩恵は一般大衆にまで行き渡っていなかった。首相によれば、一般大衆をツーリズム産業の直接的なステークホルダーだと捉えている。

「我々はツーリズムセクターでの政策制度変更にあたっては、常にホテル業界やツアーオペレーターと協議してきた。直接的なステークホルダーはブータンの一般市民だ。ルールを作るにあたり、我々は短期的に直接恩恵を得るステークホルダーとだけ協議をしてきた。それが、我々の政策に柔軟性を欠いてしまった理由だ。」

下院議長は、同法案を下院経済財政委員会に回付するとした。同委員会は水曜日に法案集中討議を行う予定。

今週に入ってから2日間、大学の行事で忙殺されていた間に、世間はこの話題で盛り上がっていたようだ。SNS上で、「こんなの導入したら、ツーリズム産業が窒息する」とつぶやいていた知人もいて、それでこの法案が上程されたことを知った。

長期滞在している人間としては、このSDFの埒外で日々の業務に当たっており、正確にこの制度を理解しているわけではないが、日本の学生さんにブータンにお越しいただくプログラムとか、来年になれば第18回世界ファブラボ会議の誘致とか、この法案の影響を受ける行事が身近にあり、気が気ではない。

要はこういうことでしょうか。ご存知の方がいたら、コメント欄への書き込みで訂正を指摘して下さい。

①ツーリストはこれまで、「1晩あたり250ドル」でトータルの負担額を計算してきた。うちSDFは「1晩あたり65ドル」で計算され、国庫に積み立てられてきたが、今後はこれを200ドルに増額。

②同法案では、この「1晩あたり250ドル」の変更にまでは言及されていないが、SDFの取り分が増額されることで、ツーリズム業界(ホテル、ガイド、旅行会社、レンタカー会社等)の取り分が減る。

③「1日あたり250ドル」という1日当たりの最低パッケージ料金(MDPR)は、今回のSDF引き上げにより廃止されると報じられており(クエンセル、6月1日)、そうすると、上記②の関係で、ツーリストの支払い総額は増える可能性の方が高い。(当然、オフシーズンに適用されていた「1日あたり200ドル」という割引料金も廃止。)

―――これは、外国人でブータンに旅行で来たいという人にとってはしんどいですね。

ただでも航空料金は値上げの圧力が大きいわけだし、そんなに簡単には来れない。また、前述した第18回世界ファブラボ会議は主催者が招聘ビザを手配してくれる可能性がまだ残っているからいいが、学生のフィールドワークを計画している日本の大学にとっては大きな影響がありそうだ。僕もそんな受入れ調整を日本の大学としている案件があって、これはしんどいなと頭を抱えている。

SDFの積立金の総額にどう影響が出るのかはわからないが、「1日250ドル」よりも負担額が増えても構わないという高所得者層にとっては影響はないものの、なるべく安く旅行したいというバジェットツーリストにとっては痛い筈で、トータルの入国者数は頭打ちになるだろうし、平均滞在日数も減るだろう。

タグ:観光
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