『きみと暮らせば』 [読書日記]
内容紹介【MT市立図書館】
だから今日も、うちに帰ろう。
猫の肉球、ポトフ、あいまい弁当。幸せのにおいがつまった、兄妹物語。
十年前、陽一の母とユカリの父が結婚し、二人は兄妹になったが、五年前に両親は他界。中三のユカリは義母のレシピ帳を参考に料理し、陽一は仕事で生活費を稼ぎ、支えあいながらの二人暮らし。ある日、庭先に猫が現れる。二人は猫を飼い主らしき人へ届けに行くのだが――。のんびり屋の兄と、しっかり者の妹が織りなす、陽の光差すような、猫もまどろむほのぼのあったかストーリー。
八木沢里志の連ちゃんです。多作な作家ではないため、本作品を読み切ることで、全作品を制覇してしまったことになる。また、1編100頁近くある長めの「中編」作品を読んできた後で、1編300頁ある長編作品を読み切るのはかなりハードな作業で、続けざまに作品を読み進めるとちょっと疲れも感じざるを得なかった。(著者には大変申し訳ない気持ちです。)
ただ、この登場人物の背景設定で、しかもこのタイトルなら、オチはある程度予想がついてしまうものだが、その予想を見事に外してくれたので、その点については著者に感謝したい。
ひょっとしたら「きみ」の対象はこの迷い猫だったのかもしれない。確かに、場面場面ではこの猫「種田さん」は登場してくるが、そのわりには作品を通じて種田さんがものすごく重要な役割を果たすわけでもなかったように思えた。
書き進めるうちにどんどんネタばらしになってきそうだし、オジサンの読書対象としてはちょっと違う気もするので、今日はこれくらいにしておく。ここ2、3週間、読書に関するリハビリのつもりで読みやすい小説を選んで読むようにしてきた。おかげでかなり読書スピードは上がって来たと思うので、ここらへんからもう少し他ジャンルの読み物にも手を出していきたいと考えている。
そういう意味では、ありがとう八木沢里志。