『ルミネッセンス』 [読書日記]
内容紹介【コミセン図書室】
低層の団地群を抱くその町は寂れていた。商店街にはシャッターが目立ち、若者は都会に去り、昔からある池には幽霊が出るという。その土地で人びとが交わすどこか歪な睦み。母の介護にやって来た男はバーで出会った少年に惹かれ、文房具店の女は一人の客のためだけに店を開ける……。終着点は見えている。だから、輝きに焦がれた。瞬く間に燃え尽きてもいいから。直木賞作家のダークサイドで染め上げられた連作短編集。
なんだか、僕は窪美澄という作家と相性悪いんですかね…。
2014年に『雨のなまえ』の寸評をした際も、「あまり感想を書く気になれない短編集」と短いコメントを残している。それ以来、窪美澄作品を遠ざけていて一度も読んだことがなかったが、『夜に星を放つ』で2022年の直木賞を受賞しているし、2月にはうちの街で講演会も予定されていて、何の気なしに申し込んでしまったので、その前に最新作でも読んでおこうかと手に取った。
結果的には『雨のなまえ』の再来。この作家さんはわりと地元だし、世代も近いので登場人物とか舞台設定とかには惹かれるところも共感するところもある。作品数もそこそこあるのでもっと読んでみたいという気持ちはあるものの、落胆することこれで二度目だ。ここまで嫌悪感を抱く作品に当たってしまう作家というのは僕にとっては初めてで、借りた本も期限までキープせずにとっとと返却したいという思いに駆られた。
読者のそういう反応も織り込み済みで描かれているのだろうか。そうだとしたらそれもスゴイと思うけれど…。本連作短編に登場する中年男性の主人公それぞれについて、置かれている境遇とか、抱いている閉塞感とか、なんか自分自身とも通じるところがあって、僕自身の内面がえぐり出されているような感覚も覚えた。それが怖いもの見たさにつながったと言えなくもないし、読んでみて抱かされた嫌悪感にもつながったように思う。そういうところを狙っている作家さんなのだろうか。
新米読者が抵抗感なく入っていける窪作品、誰かお薦めいただけないですかね(苦笑)。講演会に来る観客が、窪作品にどのような感想を述べるのか、聴いてみるのも一興だと思う。