『老いては「好き」にしたがえ!』 [読書日記]
内容紹介【コミセン図書室】
人生を充実させるコツは、心の赴くままに行動すること――。モノマネでブレイクして以降、役者をベースに、ボクシング、絵画、ヨガの世界でも活躍する著者。還暦を機に離婚した現在は、「60代は体が元気に動く最後の時間。漫然と過ごすのはもったいない」と終活には目もくれず、自分のしたいことだけに情熱を注ぐ。常に挑戦をしてきた経験から、「何かを始めるのに年齢やセンスは関係ない」と断言。やりたいことの具体的な見つけ方から、自身も苦しんだ「男の更年期」の乗り越え方まで、老いに負けない極意がここに!
新年最初の土曜日、ようやく業務再開した近所のコミュニティセンター図書室に出かけた。今後の貸出はバーコード管理するということで、そのバーコードを貼付する作業のために、4カ月近く閉鎖されていたそうだ。なんにせよ、コミセン図書室が新刊を借りるにはいちばんいいので、ここが利用できるようになったのは大きい。さっそく、新着本の棚にあった中から4冊ピックアップして借りることにした。(新しい利用者カード発行手続の際に、司書のシニアボランティアの方が、僕が申込書に記入した個人情報を読み上げながら入力していたので、他の利用者にまる聞こえになっていたのは気分悪かったが。)
冒頭の内容紹介でも書かれている、「60代は体が元気に動く最後の時間。漫然と過ごすのはもったいない」という記述に惹かれ、はずしてもダメージの少ない新書だからというので手に取った。3時間弱で読了した。
著者の始めたことがどれも自分にはあまりフィットせず、正直言えば著者がそうしているから自分もそうせねばとはほとんど思わなかった。片岡鶴太郎の足跡と今を描いたライフヒストリーだと割り切れば、それなりに読める本だと思うが、ここまで徹底してやりたいことを突き詰めるには時間とおカネが必要だし、いい人的ネットワークも必要だと思う。(そして、そういう良質の人的ネットワークを利用して何かをやろうとすれば、それなりにおカネもまたかかる。)自分が好きなことに没頭したいからといって、還暦とともに妻と別れるなんて選択も僕にはとてもムリだし、1日一食も、朝型だか夜型だかわからない深夜の時間帯で起きて3時間のヨガから1日を始めるライフスタイルなんてのも、とてもムリだ。
「やりたいこと」の事例はともかくとして、メタで見れば著者の主張には首肯できるところはある。60代を漫然と過ごしたいとは思わないが、60代にやりたいことのリストの中身の見直しはして、「やるべきではないこと」は思い切って捨てる覚悟も必要だと改めて思った。逆に、「やるべきこと」にもっと投入できる時間を増やすべきだというのもそうだと思う。
個人のライフスタイルの紹介だと割り切って読むには軽く読める1冊。自分がどうあるべきかは自分で考えるしかない。