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『歴史思考』 [趣味]

世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考

世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する 歴史思考

  • 作者: 深井 龍之介
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2022/03/30
  • メディア: Kindle版
出版社からのコメント
元大工の政治犯として処刑されたイエス・キリスト
仕事もできず、引っ込み思案だったマハトマ・ガンディー
転職は10回以上! 3度も破産したカーネル・サンダース
目からウロコ!偉人たちのリアルで身近なストーリー続々!
歴史と聞いて、学生時代を思い出し、身構えてしまう人も多いはずです。でも、この本には覚えるのが大変な年号などは登場しません。歴史上の偉人たちの人間くさくておもしろいエピソードを通して、新しいモノの見方・考え方を獲得することができます。本書を読めば、あなたを苦しめている悩みが間違いなく吹っ飛びます。「歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)」初の著書! ! 音声配信でも語られることのなかったメッセージがてんこ盛り
【購入(キンドル)】
ファンになってから日が浅いのだけれど、僕は「COTEN RADIO」の愛聴者である。1月下旬のある日、LINE電話で妻や娘と話していて、2人が口を揃えて「COTEN RADIO」を勧めたことがあった。僕が歴史書や歴史小説をやたらと借りてきたり、買ったりして読んでいても、ほとんど興味を示さなかった我が家の女子2人が、揃って「COTEN RADIOは面白い。初めて歴史が面白いと感じた」と言っていた。

これは革命的なことだ。僕を歴史の世界にいざなったのは、小学校時代に父が買い揃えてくれたポプラ社の伝記全集の「豊田佐吉」「豊臣秀吉」と、小学校の図書館で読んだ古典文学全集「太平記」「平家物語」あたり、そして1973年に放送されたNHK大河ドラマ「国盗り物語」だったと思っている。そういう「出会い」がないと、歴史の面白さって家族にすらなかなか理解してもらえないのが実情。我が家の女子2人にとって、「COTEN RADIO」との出会いが、歴史を知り、歴史を学ぶきっかけになってくれたのならとても嬉しい。深井さん、ヤンヤンさん、樋口さん、ありがとうございます!

首都での1回目のロックダウンの終わりが見え始めた2月上旬、メガゾーン内での徒歩移動が許されるようになってから、僕は運動不足解消のため、1時間以上にもわたるウォーキングを日課にするようになった。そこで、かねてから妻と娘に勧められていた「COTEN RADIO」を、試しにポッドキャストで聴いてみた。結果として、僕もハマった。以後、ウォーキングに出かけるとき、徒歩通勤の途上、たいてい聴いている。

吉田松陰、スパルタ、秦の始皇帝、世界三大宗教、ヒトラー、ガンディー、アレクサンドロス大王、フランス革命、三蔵法師玄奘、高杉晋作―――どれも良かった。中には僕も知っているエピソードも少なからずあった。男性同士のセックスが昔は当たり前だったというのは僕は知っていたけれど、一時BL小説を読んでたうちの娘にとっては「目から鱗」だったらしい。そういう、歴史をちょっとかじっていれば誰でも知ってそうな話を、ユーモアたっぷりにぶっこんでくるプレゼンの仕方が、「COTEN RADIO」にはある。

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電気柵のその先は [ブータン]

AMC、野生動物自動撃退装置を試作
AMC comes out with automatic repellent to prevent animals from attacking crops
Namgay Wangchuk記者(パロ)、BBS、2022年3月30日(水)
http://www.bbs.bt/news/?p=167277
AMC.jpg
【要約】
獣害はこの国のニュースとして頻繁にヘッドラインを飾る。農家は、ブリキ缶を叩いたり、叫んだり、農地をパトロールしたりして、眠れぬ夜を過ごしながら、農地を守ろうと試みてきた。しかし、かなりの作物を野生動物に食べられる。しかし、パロの農業機械センター(AMC)が自動動物撃退装置を開発したことで、変化が訪れるかもしれない。

かかしの口には動きを察知するセンサーが装備され、何らかの動きを察知すると、かかしは直ちに照明を点灯させ、さらに大きな音がかき鳴らされる。農地所有者はすぐにアプリで侵入者についての連絡を受け取ることができる。試作システムでは、食料連鎖の頂点に立つトラやクマの鳴き声によって害獣を怖がらせるようプログラムされている。

AMC-side-1.jpg

このモデルは費用効率も良く、マイコンボードとセンサーチップは購入が必要だがプログラムは国内で行うことができる。かかる費用は2,000ニュルタム未満。インドのような近隣国から完成品を輸入していたら、5万~6万ニュルタムはかかるところ。こう語るのはAMCの研究部門長であるウゲン・プンツォ氏。

政府だけではスケールアップは難しい。そこでAMCではDeSuupやFMCLを巻き込んだ。FMCL職員や若者に訓練を施すことで、長期的にはこうしたテクノロジーを採用し、これを拡大して農家にも届くようになる。こう述べるのはAMCのキンガ・ノルブ所長。

AMCでは今後も野生動物が忌避するための試作を繰り返していくという。電気柵は最初は効率的だが、野生動物も学習し、電気柵に適応してしまうだろうと危惧する。AMCは近々フィールドでのテストを開始する予定。

日本の経験からすれば、野生動物の被害に対して電気柵を使用すると、動物がそれに適応するため、さらなる対策を人間側も考えないといけないというエスカレーションが起きる。ブータンでも、獣害対策で電気柵は有効だとさんざん報じられているが、その有効性もいつまで続くのか、少なからず疑問だった。そんなところに、この面白いかかしの画像が報じられた。お~と思ったので今回は取り上げる。

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『メダカ、太平洋を往け』 [重松清]

めだか、太平洋を往け (幻冬舎文庫)

めだか、太平洋を往け (幻冬舎文庫)

  • 作者: 重松清
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2021/08/05
  • メディア: Kindle版

内容
小学校教師を引退した夜、息子夫婦を事故で失ったアンミツ先生。遺された血縁のない孫・翔也との生活に戸惑うなか、かつての教え子たちへこんな手紙を送る。〈先生はみんなに「太平洋を泳ぐめだかになりなさい」と言いました。でも、ほんとうに正しかったのでしょうか〉。返事をくれた二人を翔也と共に訪ねると――。じんわり胸が温まる感動長篇。
【購入(キンドル)】
あれだけ読んでた重松作品だが、このところの発表作品にはパワーダウンの感があり、なかなか良作がないなと思っていたが、最初に言っておくと、個人的には本作品は相当なヒットだと思った。

著者は東日本大震災以後、三陸を舞台とする著作が結構目立つ。津波で突然亡くなられた方、家族や友人、同僚などを津波で失い、残された方、それぞれの人々の生きておられた記録を残し、残された人々の思いや、絶望の淵から立ち直ろうとする姿を描いて来られている。

それ以前から題材としてよく扱ってきた、交通事故等により突然最愛の人を亡くすケース、癌の進行とともにゆっくりとその日を迎えていくケース、さらに舞台としても、団地やニュータウン、衰退する商店街などが扱われるケース、そして小学校時代のクラスメートや教員が、何十年かの時を経て再会するというストーリーも多かった。

そうしたこれまでの重松作品の諸要素を、うまく配合して構築されたのが本作品だといえる。教員が主人公でも、女性教員というのはこれまでの重松作品ではあまり記憶にない。学童保育や外国人子女教育、「ガイジン」問題、モンスターペアレンツ問題などが扱われたことも今までなかったと思う。そういう新たな要素も盛り込みつつ、いいストーリーに仕上がっている。主人公を女性にしたことも、展開に生かせた。

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『なぜローカル経済から日本は甦るのか』 [読書日記]

なぜローカル経済から日本は甦るのか GとLの経済成長戦略 (PHP新書)

なぜローカル経済から日本は甦るのか GとLの経済成長戦略 (PHP新書)

  • 作者: 冨山 和彦
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/10/24
  • メディア: Kindle版
内容紹介
グローバルとローカルの経済圏を区別せずにその施策を考えていたため、格差問題が生じ、日本経済は停滞してしまっていた。グローバル企業がいくら稼いでも、日本経済全体の占有率は3割にすぎない。雇用にいたっては、2割程度である。残り7割のローカル経済圏が復活してこそ、初めて成長軌道に乗ることができる。内容例を挙げると、「GとL」を理解すれば格差問題の実相も見えてくる、日本のグローバルプレーヤーが長期的に後退してきた本当の理由、大企業と中小企業ではなくグローバルとローカルで分ける、ほとんどの産業がローカル経済圏のプレーヤー、「コト」消費の時代の到来で「GもLも」戦略に追い風が吹き始めた等々。そして、今、労働市場で人類史上発の巨大なパラダイムシフトが起きている、と著者は主張する。GDPや企業の売上が緩やかに減少していく中で、極度の人手不足が起こっているのだ。日本経済復活へのシナリオを明らかにする一冊。
【ラーメン颯文庫棚から拝借】
先週の行動制限緩和以降、外食もできるようになり、さっそく訪れた「ラーメン颯(HAYATE)」さんで、注文して待っている間に文庫棚をあさって、1冊お借りしてきた。その前の週に日本の地方開発の経験についてブータンの学生に対してオンラインで講義する機会があったので、関連しそうな文献で当地で読めそうなものは後付けでも読んでおこうと考えたのがその理由。誰が置いて行かれたのかは存じませんが、ありがとうございます。

ただ、ちょっと古いかな。多作な著者なので、議論がいささか古くなっているような気がする。内容については上記の囲みの中で紹介したことがほぼすべてだが、著者のバックグランドからして、ローカルといっても、経営者と従業員がわりとクリアに分かれている企業が中心。本書が世に出て以降に広まってきた「関係人口」の議論とか、「経営者=従業員」のようなマイクロ起業の可能性についてはほとんど言及されていない。

本書が出てきたのは、あの「増田レポート」の発表直後で、著者の立場もわりと増田レポートに好意的な言及があるだけに、それへの反論として言われ始めた「関係人口」とは、立場が違うということなのだろう。ローカルの人口は固定と考えられており、増田レポートの反論でよく言われる、都市ー農村間の一時的人口移動の可能性や、ラップトップとインターネット接続があればどこに行っても仕事ができる、ギグワーカーの存在については、言及すらされていない。

もう、年齢的に、「日本は~~たるべき」というような大所高所の議論は、していても地に足がつかないフワフワ感が拭えず、自分はだんだん興味をなくしてきている。むしろ僕の関心は「Lの世界(ローカル経済圏)」の方なのだが、それでも本書は地域経済を論じてていて、とっつきにくさはあると思う。著者も好意的に述べている「六次産業化」も、想定されている規模感が結構大きい。

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