『イドコロをつくる』 [読書日記]
内容紹介【購入(キンドル)】
不安の感染を防ぎ、思考の健康さを保つ。縁側を自作する、近所の公園を使いこなす、銭湯に行く、行きつけのお店を大事にする、お気に入りの散歩道を見つける、趣味をつくる、一人で自然を眺める、仕事仲間、生活共同体、親しい友人を手入れする……現代において正気を失わないために各人が意識的に確保したい「イドコロ」を思考の免疫系という考え方で提案。個人でできる小さい広場のつくり方、見つけ方。
ブータンでは何年かに1回、GNH全国調査というのが行われている。僕は直接質問項目を吟味したわけではないが、その質問項目の中に、「病気の時に頼れる人は何人いるか」とか、拠りどころについて尋ねる質問があると聞いた。当然、ある程度は多い方が幸福度にはプラス要素となる。
自分が心の安寧を維持するのに拠りどころとできる場所が何カ所あるかという質問でもされたら、ほどほどに多い人は精神的に安定している人と言えるのだろう。日本では、会社で変に細かい上司にやられるとか、学校で何かの拍子にいじめの対象になり、教師や学校もそれに目をつぶっていて、そのせいでメンタルをおかしくしているような人がかなり増えてきたのではないかと思われるし、そうしたハラスメントのターゲットとされる人々の側でも、1人で抱え込んで悩み続け、余計に負の思考のスパイラルに落ち込んでしまうようなパターンも多いのではないかと思われる。そういう場合の拠りどころと思われていた家族も、今は核家族化が進んでいるし、何よりも各世帯構成員が余裕を無くしているところもある。
そういうのに抗いたいという動きが、こうした書籍を世に送り出したのだろう。