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『雑に作る』 [仕事の小ネタ]


雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集

雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集

  • 出版社/メーカー: オライリー・ジャパン
  • 発売日: 2023/10/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

内容紹介
独学、手探りで、“雑に”電子工作を続けてきた3人の“先輩”による電子工作実践書。「完成度は低くてもまずは完成させること」を目標に、作りたいものがあるけど入門書の内容だけでは作れないという初心者や、何を作ったらよいのか思いつかない人を対象とし、最低限の技術を身につける方法、雑に使える電子部品など、限界まで敷居の低いノウハウを紹介。1つの技術で数多くの作品を作る方法、「そのうちやろう」問題への立ち向かい方など、アイデアを生み出し、そのアイデアを完成まで導くマインドセットも紹介します。「雑な作品作りでも大丈夫!」という平和な心で、電子工作、ものづくりの初心者を応援します。
【購入】
現在受講しているデジタルものづくり系のグローバルディプロマコースが佳境に差し掛かった4月は、読書量がガクンと落ちた。課題をこなすのに精一杯で、読書にいそしんでいるような心の余裕を完全に失っていた時期だ。マンガという「飛び道具」を加えても7冊しか読めていない。年初の貯金があるとはいえ、ちょっと寂しい数字ではある。

そうはいっても本日ご紹介の書籍は、ものづくりという点において受講中のコースとは方向性は似ていて、なんとか4月中に読み終えたかったのだけれど、課題と格闘する過程で起きたバグの解消に時間を費やしすぎたり、引越し準備と重なったりして、なかなか速度を上げられずに月をまたいでしまった。

本書は昨年末の発刊で、わりと待ちわびていた刊行だったので、お金を払って1冊購入した。

「待ちわびて」としたのは、本書刊行のきっかけとなった2023年9月のMaker Faire Tokyoでのステージイベントは、僕はブータンからライブで視聴していて、「自分が指向するのはこれだ」と思わず膝を打ったからだ。主著者の石川大樹さんは「雑」と表現し、登壇した藤原麻里奈さんは「「雑」に見えるかもしれないが本人は真面目に取り組んでいる」とちょっと反論されていたが、ギャラリーがその作品を見る際の目線を少し下げて、製作者が一歩前に出やすくする環境を作るという点で、「雑に作る」というまとめ方であるのはいいかと思う。製作者が真剣に取組み、努力しているのは間違いない。

このステージイベントの模様は、今でもYouTubeで見ることができる。


さて、石川大樹さんの「雑に作る」人々というのは、「最低限の技術を、都度覚えて、雑な作品を作りまくる」人々という定義のようである。Maker Faire Tokyo 2023のパネルトークの登壇者が、本書の共著者でもある人気YouTube「無駄づくり」の藤原麻里奈さん、ストリート電子工作ギャルユニットの「ギャル電」きょうこさん、それに、大学でも電子工作を教えつつSTEAM教育の全国普及に取り組んでいる青山学院大学の阿部和弘さんという点から見て、石川さんのイメージしておられる「雑に作る」人々とは、女性や子どもを強く意識されているように思う。

僕はこの2つのカテゴリーにはあまり異論はない。強いて挙げるなら、女性と言っても若い人々がイメージされているきらいがあるけれど(影響力を考えれば仕方ないが)、STEAMに目覚めつつある子どもを持つお母さんの世代も、インフルエンサーとしてやっていける余力があるのかどうかはわからないけれど、目覚めつつある方々がいそうな気がする。

ただ、僕が本書の特に最後にあったパネルトークの抄録や石川さんの雑誌投稿の転載等を読みつつ、石川さんが無意識的に落としてしまっているもう1つのグループがあるように感じた。

それは「高齢者」である。

元々電子工作を仕事としてやってきて退職年齢に到達したようなシニアの方とか、長年趣味で電子工作をやってきてプロの領域にまで到達したようなシニアの方々は、石川さんはどちらかというと、「仕事や専門教育で覚えたガチ勢」で、雑に作る人々の芽を摘みかねない危ない人々として、ちょっと距離を置いておられるように思われるが、僕がここで言いたいのは、そんなバックグランドは持っていないけれど、退職年齢到達後のたしなみとしてものづくりに入ろうとしている、どちらかというと文系の素人シニアのことである。

要すれば僕自身が属するようなグループを、石川さんは端折って論じておられるのである。

僕はその点にはちょっと違和感があって、「僕たちも仲間に入れて下さい」と声高に主張したい。何にも知らないオジサンだって、頑張っているのですよと(笑)。

4月、こんな経験をした。秋葉原の某電子部品取扱店にセンサーを買いに行って、「そういえば」とついでにDCDCコンバーターを買おうと思った。それで店員さんに念のため、自分が何をやりたいのかを説明し、それに必要なパーツはこうでいいのか、それはどの辺にあるのか尋ねた。

すると、この店員さんはつっけんどんに、「そういうのはネット等で作例を調べてから来て下さい」と言い放った。まあ、点数を全部揃えたって500円に行くか行かないかの買い物しかしない客に、時間を割かれるのは効率的ではないというお気持ちはわかる。(帰宅してこの話を電子工作を大学時代に相当やっていたうちの長男にしたところ、「そりゃあ店員の言うことは当たり前だ」と言われた。)

ただ、こちらも秋葉原まで行くのに往復1000円近い出費をしている。「出直して来い」と言われても…。ネットで購入する手もあるけれど、現地に行った方がイメージが湧きやすいというのもある。結局僕はそのままいそいそと帰宅するのも癪で、アキバのカフェでPCを開き、ネットで調べてこんなところかなと考え、もう一度そのお店に行ったのだが、18時閉店だったので、お店に着いた時には閉まっていた。

後日改めてそのお店に買い物の行って、欲しいものは店員に訊かずに何とか探し出せたが、その物色の最中にも、その店員にちょっとぶっきらぼうな声かけをされて、ちょっとだけ気持ちが凹んだ。

僕がここで言いたいのは、文系出身のシニアのオジサンは、自分の子どもぐらいの世代でこれまでホビーで電子工作やってましたというバリバリ経験者っぽい子たちに雑に扱われると、それだけでも気持ちが萎えるのだということなのです(笑)。これは、石川さんが本書で言っている「仕事や専門教育で覚えたガチ勢」というのは決して年齢を基準にしたカテゴリーではなく、頑張っている素人とそれをはなで笑うガチ勢との対比なのだと敢えて言い換えたい。

だから、本書で石川さん、ギャル電さん、藤原さんが書かれていることはいずれも腑に落ちたし、実際それに近いことを僕自身も経験していて、そうだそうだと膝を叩いたところもある。

とはいえ、現在受講中のディプロマコースでの要求水準は、ちょっと「雑に作る」のレベルを超えているところもある。僕自身は本書ぐらいの立ち位置でものづくりをやっていきたいのに、超短期的にはもう少し高いレベル―――いや、取りあえずは雑でいいけどもっと広いカバー範囲が求められているので戸惑う。例えば、目下の課題といったらシリアル通信とかスマホアプリによるUIだったりするのである。

本書の著者の皆さんがあえて残してくれた、「文系シニア世代の雑なものづくり」というところで、これからちょっと頑張っていきます。あ、違う。今も既に頑張っているので温かい目で見守っていて下さい。

4月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:2432
ナイス数:24

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読了日:04月28日 著者:佐々 大河
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読了日:04月26日 著者:福田 和宏
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読了日:04月17日 著者:
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読了日:04月12日 著者:ノーマン・マクレイ
これだけ!電子回路 (これだけ!シリーズ)これだけ!電子回路 (これだけ!シリーズ)感想
どのレビュアーも書かれている通り、第6章までとそれ以降のギャップがすごすぎ。「これだけ」と謳っているが、第6章冒頭の「バイアス回路」は、他の電子回路工作の本でもあまり扱われていない。そういう意味で「これだけ」なの?これが本当に必要最低限だというのなら、そもそも著者の読者に対する要求水準が高すぎなのではないかと思うし、自分が理解できないことにショックも受けた。第6章以降は、図表に対する解説の分量が少なすぎ。これだけ高いものを要求するのなら、もうちょっと解説も丁寧にすべき。
読了日:04月04日 著者:石川 洋平
八本目の槍八本目の槍感想
仮説としてはけっこうおもしろかったが、話が入り組んでいて読み進めるのが大変だった。「佐吉」=石田三成といった、比較的知られている名前ならいいが、七本槍の他のメンバーの通称にあまりなじみがないため、誰が誰なのか読んでいて途中でわからなくなった。
読了日:04月03日 著者:今村 翔吾

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