『藤浩志のかえるワークショップ』 [仕事の小ネタ]
内容紹介
約30年以上に渡り、流行りの思想や手法に流されることなく、社会・地域・日常を見つめ続け、「循環社会への転換」「地域社会の変革」といった大きな命題に対して取り組んできたアーティスト・藤浩志氏。なかでも、おもちゃを交換するシステム「かえっこ」は、2000年に発案されて以来、国内外1,000カ所・5,000回以上にわたって開催され、それぞれの地域が抱える問題に対応し、市民や住民が主導となるコミュニティ・プロジェクトへと発展しています。本書は、その「かえっこ」の中で生まれたさまざまなワークショップから50の事例をまとめた「お金がかからず簡単で、とても楽しく意味深い」ワークショップのハンドブックです。また、「かえっこ」開催者へのインタビューや、藤氏が長年収集してきた廃材・約100種類を、ワークショップで使える素材として掲載。一見何でもないもの・役に立ちそうもないものが未来を変えるかもしれない。そんなアイデアやヒントがたくさん詰まった“新しい美術の教科書”は、アートやアートプロジェクト に携わる方はもちろん、教育、地域マネジメントなどにも役立ちます。
鉄は熱いうちに打て―――。前回、『美術手帖』2020年6月号を読み、藤浩志先生の活動に興味が湧いたので、近所の市立図書館に本の返却に行ったついでに、館内所蔵されていた関連書籍を借り、一気に読み進めた。
「かえっこ」というシステムがこんなに普及しているとは、全く知らなかった。それはうちの子どもたちが「かえっこ」の普及が始まった頃には既に中学生になろうとしていたということがあると思う。「かえっこ」とは、「いらなくなったおもちゃを使って地域にさまざまな活動をつくり出すシステム」で、「おもちゃを持っていくと、その内容に応じて子ども通貨「カエルポイント」が発行され、そのポイント数で別のおもちゃに交換」(p. 8)できるのだという。さらにそのバリエーションで、「「かえっこ」会場ではおもちゃを持って来なくても、ワークショップに参加すると「カエルポイント」が発行」(p. 9)されるという。
本書は、このカエルポイント獲得のために生まれた様々なワークショップを紹介する1冊となっている。