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『新技術の社会誌』(日本の近代15) [仕事の小ネタ]

日本の近代 15 新技術の社会誌

日本の近代 15 新技術の社会誌

  • 作者: 鈴木 淳
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1999/12
  • メディア: 単行本

内容(「BOOK」データベースより)
幕末明治、洋式小銃の導入は軍隊の近代化を急がせた。戦前、電車や自転車、ラジオは庶民の生活を一変させ、戦後、洗濯機の登場は主婦に家事以外の時間を与える…。その他、活版印刷、人力車、時計、蒸気ポンプ、板ガラス、プロパンガスなどの「新技術」が日本社会を変えていった過程を詳述する。

何の気なしに市立図書館で借りてみたのだが、思っていた以上に面白い本。僕らが普通に利用しているものが、いつ頃どのような人々の手によって開発・実用化に至ったのか、知っておくにはとてもいい1冊である。

第1章「維新の技術」で、明治初期に導入された新技術として、洋式小銃、活版印刷、人力車を取り上げ、続き第2章「産業革命と生活」では、日本における産業革命期と言われる1890年前後から戦間期までに導入されたものとして、時計、蒸気ポンプ、板ガラスを取り上げる。

第3章「大衆の技術革新」も時代としては同じ時期を取り上げているが、扱われる技術は電車、自転車、ラジオと来る。ちょっと前にNHK『チコちゃんに怒られる』でも出てきた、全国ラジオ体操の起源についても、ラジオの節では出てくる。そして第4章「家庭生活の変容」は戦後。高度経済成長期までに普及した耐久消費財として洗濯機、地方にも普及したエネルギーインフラとしてのプロパンガスが取り上げられている。

いずれも今僕らは当たり前に利用しているものばかりだが(人力車の場合は日本国内というよりは開発途上国で)、それがいつ頃日本に入ってきていつ頃から普及して行ったのか。誰が国産化に成功したのかなど、訊かれると答えられないことが実に多い。蘊蓄をたれるために、こういう本を読んでおいたら面白いかもしれない。ちょっと散漫になって一つ一つの技術の話が頭に入ってこないリスクもあるが。

それにしても面白いシリーズだ。全16巻もあって、しかもこの中央公論新社のシリーズは、その後文庫化されて中公文庫から出ている。わけあって今後そんなに日本の近現代史のことを勉強するとは思えないけれど、読む本に困ったら、たまにはこういうテーマのシリーズから1冊ピックアップして、図書館で借りて読むというのはやってもいいかもしれない。

タグ:鈴木淳
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