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『WIRED』VOL.34 [持続可能な開発]

WIRED (ワイアード) VOL.34 「ナラティヴと実装 ~ 2020年代の実装論」(9月13日発売)

WIRED (ワイアード) VOL.34 「ナラティヴと実装 ~ 2020年代の実装論」(9月13日発売)

  • 作者: Condé Nast Japan (コンデナスト・ジャパン)
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2019/09/13
  • メディア: 雑誌
内容紹介
2020年代に向けて、社会実装の可能性を探るべく「ナラティヴと実装」を総力特集
これまで、IDEAS + INNOVATIONSを掲げ、0から1を生み出すアイデアやイノヴェイションの最前線に身をおいてきた『WIRED』日本版。しかし、本当に困難で死屍累々の墓場となっているのは、実は0→1ではなく1→10の実装局面ではないだろうか。そんな仮説から始まった本特集は、プロダクトやビジネスモデル、クライメートアクションからLGBTQIA+までの社会課題、あるいは特区や規制といったルールまで、2020年代の主戦場で展開されるあらゆる実装に迫っていく。デジタルにおいて「計算不能」を意味する[NaN](Not a Number)がイノヴェイションの培養地となり、そこにナラティヴが生まれることで社会へと実装されていく[NaN→10]の一気通貫から見えてきた、2020年代の実装論をお届けします。

正月休みに『WIRED』の最新号を購入して読んでから、ひょっとしてバックナンバーだったら市立図書館で借りられるかもと思い、調べてみたらやはり借りることができるようだった。さっそく借りたのは、1号前の、昨年10月に出た34号で、特集は「ナラティヴと実装」であった。

「ナラティブ」(本書は独特のカタカナ表記を使っているが、僕的にはこちらの方がしっくり来る)は最近何かと耳にする機会が増えた言葉である。英語での会話の中では昔から時々耳にしていた言葉だが、ネイティブが使っているのに聴いていただけで、僕自身が自由自在に使いこなせるタイプの言葉ではなかった。それが日本語にも入ってきたということなのだが、英語でも使用する文脈がイマイチ理解できてなかったものを、いきなり日本語で出てきたからといってすぐに理解できるわけではない。

そういう人間からすると、本書は読み手を選ぶなと思わざるを得ない。誰もが「ナラティブ」という言葉を理解しているという前提で特集が組まれていて、そもそも「ナラティブ」ってどういう定義なのか、理解もできない中でページをめくっていくことになった。

半ば過ぎになって、池田純一の寄稿の中にあった「論証となるファクトではなく、語り手の気配から立ち上がるコンテクストによって聞き手や読み手に入り込む一連の「お話」」というのが、この本の中にあった定義らしい定義だったかと思う。

僕ですらよく用いる「文脈」という言葉も、この定義では「コンテクスト」と言い換えられている。「インスタレーション」っていうのも、「インストールすること」を指しているらしいが、パソコン用語で「インストール」と言ってもらえばまだしも、そんなの知ってるだろと言わんばかりに「インスタレーション」って言われちゃうと、初心者にはかえって理解しづらい。

収録されている各記事が、特集との関連記事なのかどうかもわかりにくい。どれが特集と関連している記事なのか、理解できないものも多かった。そういうものがごっちゃに収録されていると、なんかわかりにくいけどなんか面白い、ってな感じの雑誌になる。このへんのセンスは、僕には理解がしづらい。そういうごっちゃの中で読み進めていくと、結局、「ナラティブと実装」って特集で、いったい何を言いたかったのかがよくわからなくなってしまった。

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『科学技術政策』(日本史リブレット) [仕事の小ネタ]

科学技術政策 (日本史リブレット)

科学技術政策 (日本史リブレット)

  • 作者: 鈴木 淳
  • 出版社/メーカー: 山川出版社
  • 発売日: 2010/07/01
  • メディア: 単行本
内容紹介
科学技術という言葉はいつどうして現れたのだろうか、現在の科学技術政策はどのようにかかわるのだろうか。明治初年に「科学」「技術」という言葉ができてから、科学技術政策が発足するまでの歴史的過程をたどる。

SDGsの時代になって、「科学技術イノベーション(STI)」という言葉が高い注目を浴びるようになってきた。僕ですらよく用いる言葉であるが、「科学技術」という言葉が組み合わせて使われるようになったのは意外と最近らしい。本書を読んでると、「1940年」と出てくる。科学技術という言葉は、大東亜戦争中の戦力増強のために用いられたらしい。

ただ、「科学」だけとか、「技術」だけとか、そういったバラバラでの使用については、これは明治維新後の富国強兵策の中で登場してきている。山川出版社という歴史関係の書籍に非常に強い出版社から出されたこのブックレットは、当然ながら明治初期からの科学技術振興策の変遷を描いている。

「政策」と付いているぐらいだから、本当に政府の政策制度整備の変遷の歴史が中心の記述である。本当は、「科学技術」という言葉で、具体的にどんな科学技術を意味するのか、イメージできたら良かった。例えば、明治時代と言えば僕にとっての関心は繰糸機の改善改良の歴史なのだが、そういうのにはあまり言及がない。勿論、民間主導で行われていた改善改良が、本書のカバー領域だったのかどうかは疑問だし、そもそも繰糸技術は技術ではあるが科学かといったらちょっと違う気もする。

そう考えると、こういうところで書かれるべきで書かれていない具体的な科学技術って何なんだろうか?原子力?ノーベル賞?日本にも多くの研究業績はあると思うが、それって政策の結果なのだろうか?あまり知らない領域の話なので、いろいろな疑問符を残しつつ、1時間程度の読書を終えた。

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