SSブログ

夏目漱石『三四郎』 [読書日記]

三四郎 (新潮文庫)

三四郎 (新潮文庫)

  • 作者: 夏目 漱石
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1948/10/27
  • メディア: 文庫
内容紹介
熊本の高等学校を卒業して、東京の大学に入学した小川三四郎は、見る物聞く物の総てが目新しい世界の中で、自由気儘な都会の女性里見美禰子に出会い、彼女に強く惹かれてゆく……。青春の一時期において誰もが経験する、学問、友情、恋愛への不安や戸惑いを、三四郎の恋愛から失恋に至る過程の中に描いて『それから』『門』に続く三部作の序曲をなす作品である。

正月休みのフィナーレを飾る本は、なんと夏目漱石の『三四郎』であった。

ここまでの本のラインナップから言って意表を突いたチョイスかもしれないが、先月20日だったか、タウンウォーキングの最中にたまたまスマホアプリで聴いた放送大学の専門科目『日本文学の名作を読む』(主任講師:島内裕子教授)が「夏目漱石の小説を読む」という回だったことから、これも縁かと思い、せめて漱石の前期三部作ぐらいは読んでおくことにした。

明治41年(1908年)発表の『三四郎』は、恥ずかしながら勝手に柔道を題材にしているのではないかと思っていたのだが(姿三四郎の刷りこみ)、放送大学の講座を聴いていて、地方の青年が上京してきて大学で学び始める最初の半年間だけを描いた作品であることを知った。しかも、島内先生の解説では、三四郎の上京途中の車中で、既に彼の東京での生き様を予見するような大人の女性や男性旅行客(広田先生)との出会いを特にフィーチャーしていた。

また読んでいて気付かされるのは、それまでの大学では外国人教師が大半を占めていた中で、教員の質に問題も目立ち始め、これなら日本人教師の方がしっかりとした教育をやってくれるのではないかという期待が高まっていた時期だったことである。欧米留学から戻った日本人教師もチラホラ出てきていて、彼らがようやく明治末期になって大学教員のポストに就けるようになってきたのかなと思う。

こういう時代のことを知りたければ当時を描いた小説でも読むのは一案かも。ただ、何からどう手を付けていいかわからなかった中で、放送大学のラジオ番組と出会えたことは僥倖だった。(昔、TBSラジオの番組を聴いていて、堀辰雄『風立ちぬ』とか林芙美子『浮雲』とかを知り、それで読んでみたことがあったが、残念ながらそういうコーナーを持つ番組が終了してしまった。)そういう、名作を何分かでサラッと紹介するようなテレビかラジオの番組があれば、僕らのエントリーにはちょうど良いのだけれど、思い付かないので取りあえずは漱石の前期三部作から今年は攻めていきたい。

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ: