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『美術手帖』2019年4月号 [読書日記]

美術手帖 2019年4月号

美術手帖 2019年4月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 美術出版社
  • 発売日: 2019/03/07
  • メディア: 雑誌
内容紹介
特集 100年後の民藝
 「民藝」という言葉が生み出されてから、間もなく100年が経とうとしている。20世紀前半につくられた造語である「民藝」は、それまで評価されることのなかった日用品や雑器を「民衆的工藝=民藝」として価値づけ、そこに美を見出したことに始まる。宗教哲学者の柳宗悦と、その思想に賛同した工芸家らによって推し進められた「民藝運動」は、美術品に劣らない美が生活道具に宿っており、ひいては生活のなかにこそ美があると提唱した。その思想は時代の浮き沈みのなかで文化運動や芸術へも変化し、矛盾をはらんだ活動と指摘されたこともあるいっぽうで、私たちの現在の生活文化にも影響を与えている。
 特集「100年後の民藝」では、既存の評価をなぞるのではなく、自分の評価基準でものを見ることを提示した「民藝」を参照する。デジタルテクノロジーの発達や大量生産・大量消費、そして大規模災害などを経験し、私たちとものとの関係は様々に変わっている。草創期の「民藝」や、ものを思考し活動するデザイナー、アーティストらへのインタビュー、同時代の動向などを見渡し、誕生から100年後の新しい「民藝」を考える。いまあなたにとって、本当に価値のある大切なものとはなんだろうか?

先月、明治大学の鞍田崇先生のトークイベントをたまたま聴く機会があり、その時にこの月刊誌の「民藝」特集を紹介されていた。バックナンバーだったし、図書館なら入っているだろうと思い、借りて読んでみることにした。

そもそも鞍田先生の登壇されるイベントに行ってなければ、「民藝」という言葉も、柳宗悦という人のことも知らなかったので、まったくの初心者と言ってよい。なので、そもそも民藝って何というところを軽く知っておきたいと思って、入門書として手に取った。同じイベントで別の登壇者が言及しておられた、「アーツ・アンド・クラフツ運動」とウィリアム・モリスについても、この特集号では紹介されていたので、一挙両得だった。

本気で勉強するなら、柳宗悦やら岡本太郎やらの著作物を読まなければならないのだろうが、そこまでの読者ではないので、ファクトをざっと押さえられればそれで十分で、その意味では、年表や人物相関図、ブックリスト、全国民藝館リスト、ギャラリー・ショップリスト等は有用だ。逆に、インタビュー記事等は、そもそも拠って立つ基本的知識がない中で読み始めるから、読んでいてついていけなくなった。

特に、民藝って無名性を強調していると言われているわりには、特集の中で名の売れたデザイナーが民藝を論じているし、「もの」の美と言っているわりにはその「もの」自体をフィーチャーしている感じを受けない点、さらに、無名性という意味ではそうかもしれないけど、MUJIの商品って民藝の文脈で語れるものなのかとか、読んでて頭が混乱して来た。MUJIっておそらくプロダクトデザイナーがデザインしていると思うんだけど、そのプロダクトデザイナーの生活の中にある美が商品に体現化されているわけではないような気がする。

本書を読んだ上で、東京に暮らす身としては、日本民藝館(駒場)や備後屋(新宿区若松町)、cotogoto(高円寺)あたりを覗いて来ようかな。取りあえずは街歩きのネタとしてキープしておく。


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