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『会計の世界史』 [読書日記]

会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語

会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語

  • 作者: 田中 靖浩
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2018/09/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
「会計ギライ」の方を悩ませる、数字および複雑な会計用語は一切出てきません。「世界史ギライ」の方をげんなりさせる、よく知らないカタカナの人や、細かい年号もほとんど出てきません。登場するのは偉人・有名人ばかり。冒険、成功、対立、陰謀、愛情、喜びと悲しみ、芸術、発明、起業と買収…波乱万丈、たくさんの「知られざる物語」が展開します。物語を読み進めると、簿記、財務会計、管理会計、ファイナンスについて、その仕組みが驚くほどよくわかります。

見た目の分厚さに相当躊躇したが、図書館で見かけて借りてみることにした。400頁以上あったが、意外とサクサク読めて、通勤で持ち運びする日数も少なめで済んだ。

「会計と歴史をエピソード満載に組み合わせ、新しい物語をつくる」というのが本書の目的だったようだが、これを読んで簿記会計やファイナンスをもっと深く理解しようとするかどうかは僕自身はわからないが、息抜きとして読むには最高の1冊ではあった。

第1部は、帳簿と会計が登場し会計の基礎が誕生した、16世紀のイタリアから17~19世紀のオランダのお話。銀行、簿記、会社組織等の誕生の歴史を、時代を彩った有名な絵画のエピソードを絡めて述べている。

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『アウトプット大全』 [読書日記]

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)

  • 作者: 樺沢紫苑
  • 出版社/メーカー: サンクチュアリ出版
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
発行部数37万部突破! Amazonビジネス実用カテゴリー1位! 説明・アイデア・雑談・交渉など……すべての能力が最大化する。日本一情報を発信する精神科医が贈る、脳科学に裏付けられた、伝え方、書き方、動き方。
「メルマガ、毎日発行13年」「Facebook、毎日更新8年」「YouTube、毎日更新5年」「毎日3時間以上の執筆11年」「年2~3冊の出版、10年連続」「新作セミナー、毎月2回以上9年連続」……日本一アウトプットしている医師である、ベストセラー作家・樺沢紫苑が圧倒的に結果が変わる「アウトプット術」を大公開。

書店店頭とかキンドルのおススメ本リストとかを見ていて、なんとなく気になっていた本。図書館で借りて読み始めるまで、これが樺沢̪紫苑の著作だと気付かなかった。樺沢紫苑と知って、内容の想像がついた。彼の著書、『読んだら忘れない読書術』で読んだことを、忘れていなかったからだ。この本を読んだ後、僕は自分のブログで、「本に書かれた内容を効果的に記憶に留めるのに、僕の取り入れている実践があながち間違いではなかったのが確認できたという点で、本書は読む価値はあったかなとは思う」とコメントしている。しかも、この本でも、キーワードは「アウトプット」と「スキマ時間」だと述べていた。

本日ご紹介の1冊は、そのうち、「アウトプット」の方を掘り下げて書かれたもので、おそらく『読んだら忘れない~』を書かれた時点で、次は「アウトプット」で掘り下げようという構想が著者の頭の中にはあったのではないかと想像する。「スキマ時間」の方は、2017年に出された別の著書の中で詳述されているようだし。

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『FACTFULNESS』 [持続可能な開発]

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

  • 作者: ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2019/01/11
  • メディア: 単行本
内容紹介
ファクトフルネスとは――データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣。賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につく。世界を正しく見る、誰もが身につけておくべき習慣でありスキル、「ファクトフルネス」を解説しよう。世界で100万部の大ベストセラー!40カ国で発行予定の話題作、待望の日本上陸

これも発刊直後にキンドル版を衝動買いして、その後3カ月寝かせていた1冊である。3月末に帰国して驚いたのだが、今でも本書はビジネス・経済書のベストセラーのランク上位に位置付けられている。ハンス・ロスリング教授やその主催されていた「ギャップマインダー財団」のことをご存知の読者だったらともかく、日本ではあまり知られていなかったであろう教授のお話が、こうして3カ月にもわたってベストセラーになっているというのは驚きだ。

僕自身は2014年だったと記憶しているが、何かのきっかけでロスリング教授がバブルチャートを用いて行われた講義を生で聴く機会があった。一緒に聴いてた同僚も、衝撃を受けたと言っていた。職場に戻ってから、バブルチャートのことを多くの同僚にも話した。調べてみたら教授はTEDトークでも何度か登場されている。

読みながら、分かりやすい例示で軽妙な語り口で観衆に訴えかける、当時の教授の講義が蘇ってくるようだった。データを使って、分かりやすく、というのは相当意識されていたようなので、例も分かりやすいし、単文で小刻みに区切って話しかけられる。それがそのまま文章に落されたらこんなテンポの良い読み物になったという感じ。

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『NEW POWER』 [読書日記]

NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ

NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ

  • 作者: ジェレミー・ハイマンズ、ヘンリー・ティムズ
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2018/12/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
いまや、1、2年前とくらべただけでも世界が激変し、「個人でできること」の幅が大きく広がっている。そんないま「身につけるべきスキル」「意味のなくなったスキル」とは?いつでも誰とでも「つながれる」環境の中、いま何が起こっていて、あなたは一体何をすべきなのか?世界は変わってしまった――。新しい時代の「人生と働き方のルール」!20世紀は、大手企業、大組織、政府などが権力を持つ「オールドパワー」の時代だった。だがテクノロジーの発展の結果、いまや大組織がパワーを溜めこむことは不可能となった。21世紀は、個人が権力や影響力を持てる「ニューパワー」の時代だ!

2月、3月はほとんど読書らしい読書はできず、キンドルで購入してあった「積読蔵書」は、最も後回しになった。でも、キンドルにダウンロードしてある蔵書は、帰国して真っ先に読み込み開始することができる。その後図書館で借りて読み始めた小説もあったが、東京での通勤生活を再開し、真っ先に読み始めたのは本書であった。小説はもっぱら週末に自宅でよむための本である。

この本の宣伝文句に惹かれて、キンドル版もあるからと即購入してしまったのだが、この本に惹かれる理由は、この共著者の2人、自身で大きなムーブメントを起こしたり資金調達を成功させたりといった実績を持った人々で、でも自分達だけが特殊なのではない、今は個人ででも大きな影響力を発揮することが可能な時代で、読者の僕たち一人一人にもその可能性があるのだと言ってるからだと思う。

アマゾンの紹介ページには、「オールドパワーは少数の人間が貨幣(カレンシー)のように溜めこめるものだった。だが、ニューパワーは多数の人間が生み出すもの。それは潮流(カレント)の性質を持ち、どっと流れるときに巨大な力を発揮する」とあった。テクノロジーが発展して、個人同士が繋がり合い、お互いに影響を持つことでさらにより多くの人を巻きこみ、大きなパワーを発揮することが可能になる時代なのだという。

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『続 横道世之介』 [吉田修一]

続 横道世之介

続 横道世之介

  • 作者: 吉田 修一
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2019/02/20
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
バブルの売り手市場に乗り遅れ、バイトとパチンコで食いつなぐこの男。横道世之介、24歳。いわゆる人生のダメな時期にあるのだが、彼の周りには笑顔が絶えない。鮨職人を目指す女友達、大学時代からの親友、美しきヤンママとその息子。そんな人々の思いが交錯する27年後。オリンピックに沸く東京で、小さな奇跡が生まれる。

日本にいなかった3年間の空白を埋めるための読書。といっても、この作品が出たのは割と最近だが。

過去二度も読んでいる『横道世之介』の続編ということだが、前作が毎日新聞社→文春文庫という版元の組合せだったのに対して、今回は中央公論社から出ている。

前作はバブル全盛期の1988年か89年頃に法政大学に入学してからの最初の1年の19歳の世之介を描いているが、続編の舞台はそれから5年後。大学を1年留年した後、就活で失敗してバイトとパチンコで食いつなぐ生活を始めて1年が経過した、1993年から94年にかけての、24歳の世之介を描いている。その頃を思い出させる事物がいくつか登場する。そんな空気感だったかなという気もする。面白いことに、僕はこの時期、池袋をターミナルとする私鉄沿線に住んでいて、駅も池袋から2つめだったので、この周辺の土地勘が多少ある。しかも世之介のアパートのあったエリアはジョギングコースとして走っていた。僕の住んでいたアパートにも、お節介な管理人とか、訳ありな隣人がいたなというのを思い出す。

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タグ:池袋 小岩
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『大江戸リサイクル事情』 [持続可能な開発]

大江戸リサイクル事情 (講談社文庫)

大江戸リサイクル事情 (講談社文庫)

  • 作者: 石川 英輔
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1997/10/15
  • メディア: 文庫

内容紹介
人口100万を数え、近世では世界最大の都市といえる江戸。膨大な日常消費は草の根レベルの活発なリサイクルで支えられていた。藁、竹、灰、みな太陽エネルギーの有効利用でよみがえる。現代では忘れられ、失われてしまった江戸庶民の合理的でムダのない暮らしの知恵を描いた「大江戸事情」シリーズ第4作。(講談社文庫)

本帰国して戻った我が家は、オヤジが留守にしていた3年間のうちに子どもたちがますます大きくなり、その分手狭になった。最初にどうしてもやらなければならなくなったのは断捨離で、とりわけ僕が大学時代から溜め込んできた蔵書の中でも、こんまり流に言えば「ときめかない」ものについては思い切って捨てることにした。その過程で「ときめく/ときめかない」のチェックはかけているので、この作業は思いのほか時間がかかっている。

中には、僕が溜め込んだわけではない蔵書もある。本書はずっと気になっている妻の蔵書で、多分本人も読了後忘れているのではないかと思う。ただ、今僕は新しい仕事の関係で、江戸から明治にかけての日本の近代化の歴史を学び直す必要に駆られていて、役に立つ立たないはともかくとして、これらの時代について描かれている蔵書については、ちょっと中身の確認はしておいた方がいいと感じ始めている。これが、優先順位を変えてこの妻の蔵書を盗み読みすることにした背景である。

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地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門 [仕事の小ネタ]

地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門

地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門

  • 作者: 木下 斉
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2018/11/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
SNSで話題の「地元がヤバい本」はこちら!
「補助金が地方のガンなんや!自分らの手で稼ぐ、それ以外の方法で再生なんかありえへん」
地方衰退の「構造」とビジネスでの「変革手法」がストーリーで一気にわかる!
札幌・盛岡・女川・山形・福井・甲府・熱海・勝川・城崎・小倉・長崎・熊本・鹿児島…全国各地の「未経験者」400名が実践したノウハウを大公開!
「地方のリアル」と「成功のコツ」が122の充実キーワード解説からまるわかり!

この本も、発刊当時から読みたいと思っていたものだが、本帰国してすぐに図書館で借りて読むことができた。この人の著書は、以前『稼ぐまちが地方を変える』を二度読んで、毎回ブログで読後感を書き綴ってきている。
第1回:https://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2015-07-24
第2回:https://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2018-01-22

初回読了の際のコメントで、「この(まちおこしの10の)鉄則を当てはめたケースストーリーを幾つか知りたいということなのだと思う。一応本書でも各鉄則毎にそれなりに具体的なケースへの言及はあるものの、全ての鉄則を1つの特定の自治体のまちづくりのケースに当てはめてみるような取組みがもう少し多いとわかりやすくなったかもしれない」と書いているが、それを特定の自治体についてではなく、架空のまちと登場人物を用いて小説として描いたのが本作品である。従って、過去にそうしたコメントを付けた張本人としては、本書は読まねばならない1冊だといえた。

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『剣道時代』2019年5月号 [ブータン]

剣道時代2019年5月号

剣道時代2019年5月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 体育とスポーツ出版社
  • 発売日: 2019/03/25
  • メディア: 雑誌
内容紹介
(特集)構え。攻防自在
(特集)中学生初心者の育て方
(特別企画)女子学生のための将来を考える講座
(特集)2019年進学進路大調査
(大会速報)全日本実業団女子・高壮年剣道大会、全国自衛隊剣道大会、日本剣道少年団研修会ほか
(表紙&インタビュー)高鍋進
(好評連載)剣談剣話ほか
今月号も盛りだくさんの内容となっております。詳細は目次をご覧下さい。

ブータン好きのための情報満載のメルマガ「B・ニュース」の管理人さんには、この3年間、大変お世話になった。でも、さすがに3月25日に発売された月刊『剣道時代』5月号で、ブータンの剣道事情が紹介されていることまでは、そのアンテナには引っ掛からなかったとみえる。

何を隠そう、この原稿を書いたのは僕である。発売日が僕の離任の前日になってしまったけれど、ここまでの歩みをご紹介するには非常にいいタイミングだった。

稽古自体は、もう1人の有段者である青年海外協力隊員が指導できる今年6月までは続く。場所はブータン卓球連盟の新卓球場。時間は毎週日曜10時から12時までである。但し、6月末以降は、Board Examが控えているクラス12(日本の高校3年生相当)の3人が稽古を続けられる状況ではなくなると思うので、いったんは稽古自体を終了となるだろう。

20190317_113320.jpg
《直近の稽古シーンです》

その後については、彼ら自身が稽古場を確保できることが条件となるが、日本から訪れる人が、稽古をやりたいと思われるならば、できないこともないのかなとは思う(但し、高地なので相当な覚悟は必要)。

ブータンファンの方々に、わざわざ本書を買ってくれとは言いませんが(出版社さんスミマセン)、図書館でちょっと読んでみて下さい。また、英文書籍がひと段落した今、僕が原稿執筆に取りかかろうとしている日本での書籍刊行でも、この雑誌寄稿はBOXコラムとして取り上げるつもりでいる。

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消えゆく綿織物の灯 [ブータン]

ワンフーに消えた綿織物の灯
The extinct craft of weaving cotton fabrics in Wangphu
BBS、2019年3月29日、Kinley Wangchuk通信員(サムドゥップジョンカル)
http://www.bbs.bt/news/?p=112247

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【抄訳】
サムドゥップジョンカル県ワンフー郡(ゲオッグ)でかつて広く普及していた、綿花から織物を織るという古くからの伝統は、長い間姿を消していた。地元の人々は、郡内のほぼすべての世帯が約40年間綿花を栽培していたという。しかし今日では、綿花栽培農家はほんの数世帯だけで、彼らはそれをバターランプ用の芯を作るために使用している。

68歳のラキさんは、地元産の綿花を主原料とするキラ織を所有しています。彼女は年配者として、絶滅した習慣について覚えていることを教えてくれた。「綿球を摘んだ後、私たちはその加工工程で伝統的な道具を使っていました。そして、糸の準備ができたら、それをさまざまな織物に織り込みます。大変な作業が必要でした。」

しかし何年にもわたって継承されてきた手織りの綿の服は、市場で容易に入手できる織物に取って代わられた。地元の人々は、人々が伝統的な習慣をあきらめたもう一つの理由として、綿花の種が入手困難であることを挙げる。

村の特別な行事で綿織物を着たのを覚えていると言う地元住民もいる。村人の一人、ウセンさんは、次のように述べる。「私は、地元の綿とインドから購入した綿を織った義母のキラを持っています。」また、ジンパ・ジャムツォさんは、次のように述べる。「以前、私は、100%綿製で、私の母が織ってくれた服だけを着ていました。」

一方、郡庁では、伝統工芸振興庁(APIC)の支援を受けて、綿花を栽培し、服を織るという文化を復活させることを計画している。

「昨年、APICの関係者が郡を訪問しました。彼らは私たちに綿花をもう一度栽培するよう勧めました。興味のある村人のリストを提出するように依頼されました。しかし、今のところ、誰も手を挙げる人はいません」ワンフー郡の郡長サンゲイ・テンジン氏はこのように述べる。

今のところ、この伝統工芸を復活させられるかどうかの命運は、何人の村人が綿花栽培に再び関心を抱くかどうかにかかっている。そして、地元住民がまだ1人も手を挙げていない現状を見ると、彼らが他の選択肢に慣れきっている恐れもある。

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タグ:コットン
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