『続 横道世之介』 [吉田修一]
内容(「BOOK」データベースより)
バブルの売り手市場に乗り遅れ、バイトとパチンコで食いつなぐこの男。横道世之介、24歳。いわゆる人生のダメな時期にあるのだが、彼の周りには笑顔が絶えない。鮨職人を目指す女友達、大学時代からの親友、美しきヤンママとその息子。そんな人々の思いが交錯する27年後。オリンピックに沸く東京で、小さな奇跡が生まれる。
日本にいなかった3年間の空白を埋めるための読書。といっても、この作品が出たのは割と最近だが。
過去二度も読んでいる『横道世之介』の続編ということだが、前作が毎日新聞社→文春文庫という版元の組合せだったのに対して、今回は中央公論社から出ている。
前作はバブル全盛期の1988年か89年頃に法政大学に入学してからの最初の1年の19歳の世之介を描いているが、続編の舞台はそれから5年後。大学を1年留年した後、就活で失敗してバイトとパチンコで食いつなぐ生活を始めて1年が経過した、1993年から94年にかけての、24歳の世之介を描いている。その頃を思い出させる事物がいくつか登場する。そんな空気感だったかなという気もする。面白いことに、僕はこの時期、池袋をターミナルとする私鉄沿線に住んでいて、駅も池袋から2つめだったので、この周辺の土地勘が多少ある。しかも世之介のアパートのあったエリアはジョギングコースとして走っていた。僕の住んでいたアパートにも、お節介な管理人とか、訳ありな隣人がいたなというのを思い出す。