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『ブレイクダウン・ザ・ウォール』 [シルク・コットン]

ブレイクダウン・ザ・ウォール Break Down the Wall 環境、組織、年齢の壁を破る

ブレイクダウン・ザ・ウォール Break Down the Wall 環境、組織、年齢の壁を破る

  • 作者: 尾原 蓉子
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2018/09/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
ファッション・ビジネスの概念を日本に持ち込みアパレル業界のリーダー達に大きな影響を与えてきた著者が伝える人生の困難を乗り越えるための秘訣。

以前ご紹介した齊藤孝浩『アパレル・サバイバル』を読んだ際、アマゾンが、この本を買った人はこんな本も買っていますというリコメンドをしていた。さすがに購入はしなかったものの、ダメもとで地元の市立図書館に注文を出しておいたら、わりと早い段階で借りることができた。

期待していたような内容の本ではない。著者のこれまでの生涯を振り返り、その中でも中心的に著者が取り組んだファッションビジネス人材育成に焦点を当て、その問題意識やら今の姿にまで持って行くための様々な取組みが詳述されている本。タイトルは「壁を破る」となっているのだが、そこからは、女性が社会で直面する壁や組織の中で仕事を遂行していく中で直面する壁などが挙げられ、それらを著者がどう打ち破ってきたのかが描かれている。ある意味女性向けの啓蒙書であり、そしてある意味では日本のファッション業界人向けの啓発を意図した本でもある。

そんな中で、女性でも業界人でもない僕あたりにでも学びになるものがあるとすれば、それは著者がファッションビジネス人材育成に取り組む際に自身でも参加してみたという米国ハーバード・ビジネススクールの短期経営人材養成プログラム「AMP」に関する記述であった。

 AMPでもう1つ印象的だったのが、日本を見直す機会になったことです。第二次世界大戦で敗れ、壊滅状態だった日本が不死鳥のごとく蘇り、1973年のオイルショックを迎えるまでの経緯が書かれたケースを学んだのです。タイトルも「Miracle Recovery(奇跡的復興)」。戦後の廃墟と混乱の中で、政治家や財界、当時の大蔵省や通産省が一体となって産業振興に取組み、国民も拙しくとも一生懸命に生きていた様子は、私も実際に見てきました。この日本の復興のケースは、あらゆる開発国の手本になる、とのレクチャーもありました。議論しながら、思わず涙がこぼれてきました。本当に誇らしく思いました。同時に、日本人自身がこういった歴史をあらためて学ぶことが必要だと痛感しました。(pp.199-200)


この点は最近特に僕自身も痛感しているポイントである。僕自身もこの「Miracle Recovery」を読んでみたいと思ったのだが、調べてみたけれどもダウンロードできる状態ではなかった。
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『大川周明』 [読書日記]

『大川周明』というタイトルで、我が家に2冊の蔵書が眠っていた。いずれも2010年末頃に購入したものと思われるが、その時は関岡英之『大川周明の大アジア主義』を読んで興味を持ち、続けて2冊購入したものの、いずれも積読になってしまった。我が蔵書の中でも根雪中の根雪であった。

それを何故今頃読み始めたかといえば、根雪を溶かすという以上の大きな理由はない。9年間も積読にしておくのは心苦しいし、こんなことしていてば僕が読書管理に使っている読書メーターでも、いつまで経っても「積読本」の圧縮ができない。図書館で本を借りたりするのもいいが、帰国したら自宅の蔵書もある程度圧縮を図っておいた方がいい。そんな理由だった。

◇◇◇◇

大川周明  ある復古革新主義者の思想 (講談社学術文庫)

大川周明 ある復古革新主義者の思想 (講談社学術文庫)

  • 作者: 大塚 健洋
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/02/11
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
旧制荘内中学で社会主義に共鳴し、五高時代には黄金万能の資本主義社会打倒を訴えた扇動的学生・大川周明。帝大での宗教学研究から敬天・愛人・克己の思想を深め、さらに日本精神への回帰、アジア主義へと展開する思想的経路はいかなるものだったのか。また大東亜戦争の理論家として破局へと向かう道行とは?「始末に困る」至誠の人の思想と生涯。

1冊目は、大川周明の生涯を辿りながら、その思想形成の経緯を説明したコンパクトな解説書である。8年前に読んだ『大川周明の大アジア主義』が、「途中で同時代に大川と交流のあったキーパーソンの紹介に何度も脱線し、何の本だかわからなくなる錯覚に陥った。まるで昔のカッパブックスやNONブックスを読んでいるような感じだ。大川自身が走り回って周りを巻き込んでいく行動派ではなく、論壇で活発に評論活動を行なった学究肌の人だったからストーリーとしてのスリル性には欠けるのかもしれない」などと酷評するあまりいい文献ではなかったのと比べると、かなりまとまった解説書だった。

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『ソウルフード探訪』 [読書日記]

ソウルフード探訪: 東京で見つけた異国の味

ソウルフード探訪: 東京で見つけた異国の味

  • 作者: 中川 明紀
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2018/05/25
  • メディア: 単行本

内容紹介
インド人が食べる「味噌汁」って?モンゴル人の力の源とは?B級グルメから母の味まで、世界の食をめぐるユーモアあふれるエッセイ。

世界各国の人々のソウルフードは何かを訊き、それを東京で食してみようという食レポ。どこかの雑誌で連載されていたものを1冊にまとめた本らしい。そのソウルフードをどこに行ったら食べられるか、レストラン名も詳らかにされている。

僕がこれまでに駐在した南アジア3ヵ国のソウルフードはいずれも紹介されている。ブータンが「エマダツィ」だというのは衆目の一致するところだろう。そして、それが食べられる東京のレストランといったら、代々木上原の「ガテモタブン」がパッと出てくる。著者であるレポーターがガテモタブンに一緒に連れて行ってもらったというブータン人の女性、僕の知り合いであった。そこでエマダツィを食べながら繰り広げられた会話にはデジャブ感もあったが、肩の力を抜いて気楽に読める。

インドは「ダル」だそうだ。え?それはどうかな~。南インドに行ったら「ドサ」と「サンバル」なんじゃないのか?ハイデラバードだったら「ビリヤニ」なのでは?インドのような大国を1回だけの紹介でまとめるのはちょっと乱暴だなと思ったが、同様のことは米国にもいえて、「マカロニチーズ」と言われちゃうと、通算4年住んでて一度もマカロニチーズを食べたことのない僕には肩透かしを食らった感じがすごくする。ルイジアナ州南部だったら、どれとは言わないが「ケイジャン料理」なんじゃないのかと思う。テキサスなら「レッドビーンズ」とか。話をインドに戻せば、紹介されていたのは西葛西のインドタウン。最近妻が西葛西までインド料理を食べに行ったらしいので、ちょっと羨ましい。

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『直島から瀬戸内国際芸術祭へ』『ひらく美術』 [仕事の小ネタ]

直島から瀬戸内国際芸術祭へ─美術が地域を変えた

直島から瀬戸内国際芸術祭へ─美術が地域を変えた

  • 作者: 福武總一郎、北川フラム
  • 出版社/メーカー: 現代企画室
  • 発売日: 2016/10/20
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
瀬戸内アート本の決定版!「アートによる地域づくり」を切り拓いてきた福武總一郎(プロデューサー)+北川フラム(ディレクター)初の共著、ついに刊行!

秋元雄史『直島誕生』以来の直島、瀬戸内国際芸術祭関連の書籍である。秋元氏は2006年にベネッセ福武聰一郎会長と袂を分かち、ベネッセを去っている。『直島誕生』は本当に直島が現代アートで復興するまでの経過についてしか描かれていない。それはそれで非常に貴重なナラティブだと思うが、そこで制作されたアート作品について写真すら挿入されていないし、瀬戸内国際芸術祭の今につながるまでには欠けている情報もある。『直島誕生』を読むと、「直島以後」も知りたくなる。

秋元氏がベネッセを去るきっかけとなったのは、直島を到達点として見ていた秋元氏と、直島の経験を近隣の讃岐水道の島々にも拡げていきたいと主張した福武会長との路線の違いであった(と秋元氏は語っている)。秋元氏はベネッセのアート振興部門の事務方の人だったから、会長が言ったことは白を黒とでも言わねばならず、かなり疲弊させられたということもあったのだろう。ベネッセアートサイト直島に至るまでの経緯を描いた文書では、野中郁次郎・廣瀬文乃・平田透『実践ソーシャル・イノベーション』にしても、福武總一郎・北川フラム『直島から瀬戸内国際芸術祭へ』にしても、秋元氏の功績については全く言及されていない。社員という位置付けだったからなのだろうが、福武氏の卓越したビジョンだけが述べられている。

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『ものがたりのあるものづくり』 [シルク・コットン]

ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命

ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす「服」革命

  • 作者: 山田敏夫
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2018/11/08
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
店舗なし、セールなし、生産工場を公開、価格は工場に決めてもらう―アパレル業界のタブーを破って日本のものづくりを変えた革命児は、「無力」だからこそ仲間を巻き込み、古い常識を飛び越えられた。つくる人、売る人、買う人、誰もが「語りたくなる」メイド・イン・ジャパンの新しいものづくりがここに!

先週末、国際フェアトレードデーのイベントを傍聴していて、登壇された方の多くが、「安いけれど1シーズン終わると着なくなるシャツ」と「少々高いけど愛着があって長く着続けられるシャツ」との対比で論じられていた。

この議論は僕には非常に腑に落ちる。いつも妻には「早く捨てなさい」と言われてしまうが、いつどこでどういう形で手に入れたのか鮮明に覚えているような衣類は、10年経とうが20年経とうが、捨てられない。僕が持っている最古の衣類は、30年前に院生やってた頃に買った、母校のパーカーである。多少色落ちしてても、これって捨てがたい。襟や裾が擦り切れてきたり、穴が開いたり破れたりして、ようやく「もうそろそろ」となるのである。逆に、安くてある程度の数を必要とする肌着や下着、ソックス等ははるかに回転が速い。

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『サステナブルツーリズム』 [持続可能な開発]

サステナブルツーリズムー地球の持続可能性の視点から

サステナブルツーリズムー地球の持続可能性の視点から

  • 作者: 藤稿 亜矢子
  • 出版社/メーカー: 晃洋書房
  • 発売日: 2018/06/10
  • メディア: 単行本
内容紹介
世界で急速に拡大化する観光産業に、今何が求められているかーーー。
「地球環境の持続可能性」について考えることは、現在および将来の観光のために避けて通れない課題である。必要不可欠なグリーン施策や多くの実例も紹介しつつ、有限な地球で求められるサステナブルツーリズムの本質を学ぶ。

これは僕が読書メーター上でフォローしている読書家の方が薦めておられるのを見て、帰国したら図書館で借りて読んでみようと思っていた本である。曰く、「これからの観光業を目指す人のための教科書。持続的な観光がなぜ必要か、どんな観光が求められるのか、どのような観光のことをいうのか、丁寧に整理する」と紹介しておられる。実際、非常に丁寧に書かれており、しかもSDGsの議論の中でのツーリズムの位置付けもしっかり踏まえて描かれている。

読み始めるにあたっての僕の問題意識は、「エコツーリズム」と「サステナブルツーリズム」は、どこがどう違うのかという点だった。少し前まで僕がいたブータンでは、日本のNGOの方がJICAの草の根技術協力事業で、「コミュニティに基づくサステナブルツーリズム(CBST)」という概念に基づくプロジェクトを実施されていた。実際CBSTを冠としたFacebookのページもあり、今でもたまに更新されているが、2018年1月にプロジェクトを終了してから、「CBST」という言葉を聞く機会が激減した。

それに代わって出てきたのが、「エコツーリズム」という言葉である。

エコツーリズムという名前で、JICAの草の根技術協力事業が入っていたハ県も対象として、地域の能力開発に取り組むということになっている。ファンディングはUNDP。「エコツーリズム」という言葉はICIMOD(国際総合山岳開発センター)もよく使っていたから、このままだとCBSTという言葉はエコツーリズムに置き換わっていくだろう。ブータン政府はその時にお金を出してくれるドナーの言うことは聞く。ハ県にとっても、どこであろうと今カネを出してくれるところがありがたいとなる。

先のNGOのプロジェクトは2018年1月に終了したが、終了後、JICAがその成果を引き継いで、「CBST」の概念普及をもっと後押ししていたら、今とは違った状況になっていたかもしれない。もっとも、プロジェクト終了前に、この実施団体が「CBST」の概念普及に積極的に取り組んでいたかといえばそうでもなく、JICAにそれが引き継がれなかったのにも、何かの事情があったのかもしれない。

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再読『実践ソーシャルイノベーション』 [仕事の小ネタ]

実践ソーシャルイノベーション - 知を価値に変えたコミュニティ・企業・NPO

実践ソーシャルイノベーション - 知を価値に変えたコミュニティ・企業・NPO

  • 作者: 野中 郁次郎
  • 出版社/メーカー: 千倉書房
  • 発売日: 2014/06/04
  • メディア: 単行本

2014年10月以来の久々の再読である。初出の際のブログ記事をご覧いただければ本書が扱った7つの事例はお分かりいただけるかと思う。驚いたことに、三鷹在住だった僕がブータン駐在することになった後、仕事の関係で接点ができた自治体が2つ、このケースの中に含まれている。僕がブータンで仕事をする際、この本を事前に読んで予備知識を得ていたことが役に立った場面もある。また、実現には至らなかったものの、「アートサイト直島」のことを知っていたことで、現代アートを通じた地域おこしをブータンなりに演出できないものかと思い付き、それなりの頭の体操もできた気がする。

それを久々に読み直したのは、この事例に関する記憶自体をリフレッシュしておこうと思ったからである。確かこう書いてあったなと思っていた記憶が、結構怪しいような気もしたので。初めて読んだ時には、将来ブータンでこの事例で取り上げられた離島の関係者の方々と接点ができるとは思っていなかったので、わりと飛ばし読みしていた。曖昧な記憶に基づいて僕はしゃべっていたが、今回読み直してみたら事例の記述のトーンがやっぱり「町長のリーダーシップ」ありきだった。「それよりも住民が問題を直視して行動を起こしたからだろ」と何度か発言したことがあるが、これはむしろ三鷹市のことだった(冷や汗)。

7つの事例を読んでみて、各々の取組みの革新性、先進性には改めて頭が下がる思いがする。だからといって、その離島に特段の便宜を図れと言われると、「ちょっと違うんだけどな~」という複雑な思いを抱く。既に成功しているんだからいいじゃないかと考える自分もいる。僕は仕事以外の点ではこの離島とは全く接点がないし、自分が地域おこしに関わりたいと思うとしたら、自分の故郷で、この離島ほどメディアからは注目はされていないけれど、「知る人ぞ知る」という活動にである。これは、年老いた両親を故郷に残して東京だったり海外だったりとかで好き勝手に生きてきた自分が、この歳になって強烈に思うところでもある。

責任ある立場から外れて少しは自分が今後関わりたいことに選り好みができるなら、仕事の10%程度の時間はこんな活動にも充てたい。我が社が社員のモチベーションを損ねない形でオープンイノベーション的なことを始めるとしたら、そういう形を言うんじゃないのかな。

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『もう一度学びたい日本の近現代史』 [仕事の小ネタ]

もう一度学びたい日本の近現代史

もう一度学びたい日本の近現代史

  • 作者: 菊地 正憲
  • 出版社/メーカー: 西東社
  • 発売日: 2006/11
  • メディア: 単行本

内容(「BOOK」データベースより)
明治・大正・昭和―世界を知り、戦った「激動の時代」から平成までをこれ一冊でわかりやすく解説。幕末からの時代の流れを知れば、いまの日本がよくわかります。

何の気なしに市立図書館で借りた。日本の近現代史を手っ取り早くおさらいしておきたかったからで、小難しい専門書に行く前に、中学高校時代の歴史教科書並みの記述で幕末から明治・大正・昭和期のことがひと通り言及されているのがいいと考えた。そのニーズには、本書はピッタリ合っていた。

ひとつひとつの出来事をそれほど深くは解説していない。著者自身もそれは割り切っていて、それを補足する仕掛けとして、その時代をもっと知るための、書籍・映画情報というのを欄外に盛っている。これがなかなか捨てがたい。僕が過去に読んだ本も幾つかは含まれていたが、ほとんどは未読。次のステップは多分これらの何冊かを読んでいくことになるのだろうが、そうすると本書は座右に置いておく方が望ましい。

ということで、読了後、すぐに中古で1冊購入することにした(なんと1円!)。これから日本の近現代史に関する文献を幾つか読んでいくと思うが、その出所は本書だと思って下さい。

ところで、今小学館ビッグコミックオリジナルで、能條純一『昭和天皇物語』というのが連載中で、その中で皇太子裕仁親王の欧州ご訪問が描かれている。ずっと楽しみに読んでいるが、描かれ方を見ていて、皇太子の欧州訪問中に大正天皇がお亡くなりになるのか、原敬首相が暗殺されるのか、どちらも起きかねない緊迫感が感じられた。てっきり大正時代の末期の話かと思っていたので、その後本日ご紹介した本の該当時期の出来事の記述を読んでいたら、欧州訪問の話は載っていなかったものの、原敬が首相だったのは大正中期だというのがわかり、ちょっと意外な感じがした。今後の『昭和天皇物語』の展開を理解するためにも、本書は手元に常に置いておきたいと思う。

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『アパレル・サバイバル』 [シルク・コットン]

アパレル・サバイバル

アパレル・サバイバル

  • 作者: 齊藤 孝浩
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2019/02/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
消費者の「クローゼット」を支配せよ!アマゾン「プライム・ワードローブ」、ZOZO「おまかせ定期便」、メルカリが変えた中古の意味…10年後の勝者が見通す壮大な戦略!

刊行されて2ヵ月少々、日経新聞の書評で取り上げられたのもつい最近という1冊を、市立図書館で順番待ちわずか1回のみで借りることができたのはラッキーだった。この手のアパレル業界情報を扱った本は2017年に出ている『誰がアパレルを殺すのか』以来だが、時々読んでキャッチアップしておかないといけないとつくづく感じる。それくらいはやりすたりが激しい。

本書において、著者は、アパレル業界のトレンドは10年ごとに新しいイノベーションが起こり、欧米のおよそ10年後を日本は追いかけてきているとの仮説を提示、2008年のファストファッションブームの日本上陸から10年が経過した2018年は、日本のファッション流通の新たなパラダイムシフトの年になると予測している。この仮説によると、これまでの10年間に欧米で起きてきたことを見れば日本で次に起きることがおよそ予測可能だとする。

1つは、ベーシックカジュアルアパレルSPA(アパレル製造小売り)やファストファッションSPAを下回る「さらなる低価格化」、2つめはチェーンストアによる電子商取引化の流れ、3つめは、(本書ではあまり深掘りされてないが)アパレル事業からランジェリーとヘルス&ビューティ事業にドメイン変更する流れ、4つめは店舗で無料体験を提供する業態の躍進なのだという。

この中でも本書で中心的な扱いを受けているのは上記2で、欧米の小売業店舗で見られるデジタル化や機械化の流れが、最先端テクノロジーをアピールするものではなく、顧客の体験やストレス解決を最優先にした課題対応型の適応策だと強調する。店舗スタッフの作業軽減に関しては日本の小売店でもセルフレジの取組み等が見られるが、欧米では、来店客の無駄足の軽減、接客待ち、試着待ち、レジ待ちの時間の軽減といった、ユーザーの利便性の向上を主眼として導入されているのが特徴で、著者は、この動きが今後日本でも強まっていくだろうと予想する。

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『転職の思考法』 [仕事は嫌い]

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

  • 作者: 北野 唯我
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2018/06/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
転職に必要なのは「情報」でも「スキル」でもなく、確かな「判断軸」である。一生食えて、心から納得のいく仕事を見つける方法。

帰国してまる1カ月が経過した。新しい仕事の内容についてはブログの中でもチラホラと言及しており、そこからご想像いただくとして、正直言って僕は適応障害を起こしており、仕事の内容の激変に戸惑いを感じている。人に英語を話させる仕事ではあっても、自分自身が英語を話さなければならない仕事では必ずしもないし、前の仕事内容との関連性はゼロに近い。

そういう仕事の内容だというのは最初の1、2週間でわかってしまった。特に僕自身がつらいなと感じたのは、繰り返しになるが前職との仕事内容の関連性のなさである。僕が前任地でやってきたことに対する関心は今の職場ではほとんどないし、それが評価されることはこの1カ月全くなかった。自分の持ち時間の1割程度は費やして、別の部署の仕事はやってもいいと言われるが、1カ月仕事してみて、そんな余裕は全くないことがよくわかった。前任地で磨いたスキルや培ったネットワークが全く生かされないだけではなく、それを維持発展させていくことですらここでは難しい。

それに輪をかけて、新たなタスクが次々振られようとしている。さすがに僕自身も先月後半は開き直り、振られかけたタスクを断るどころか、そもそもそんなタスクの必要性に関して疑念を公言するようになった。そんなのに俺の貴重な時間を奪うなと…。遠慮しなくなった。

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タグ:北野唯我
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