『遅いインターネット』 [読書日記]
内容紹介
インターネットによって失った未来をインターネットによって取り戻す。
インターネットは世の中の「速度」を決定的に上げた。しかしその弊害がさまざまな場面で現出している。世界の分断、排外主義の台頭、そしてポピュリズムによる民主主義の暴走は、「速すぎるインターネット」がもたらすそれの典型例だ。インターネットによって本来辿り着くべきだった未来を取り戻すには、今何が必要なのか。気鋭の評論家が提言する。
なんだかね~。またNewsPicks&幻冬舎かという感じ。当然、バックにいるのは箕輪厚介さん。ヒット連発の編集者なんだけど、NewsPicksって元々名前が売れている論者を著者として引っ張ってきて本を出させるのだから、売れない筈がない。出版不況の中での出版社のサバイバル戦略としては正しいかもしれないけれど、無名のライターには割り込む余地がない。逆恨みだけど、NewsPicksの本を手に取ると、僕は最初からすごい敗北感を感じてしまう。
それで読み始めると、タイトルの簡潔さに惹かれて手に取ってしまった読書が一気に苦痛に変わる。そもそもこういった社会評論的な書物をあまり多く読んでないという自分のキャパシティの問題が大きいのだが、前半の100ページぐらいは読んでて自分はちゃんと理解しているのか確認するのに難儀した。
この著者の本は初めてなのだが、とにかく、AというものとBというものを並置して、それらを同じものを示すメタファーとして使ってみたり、間に対立軸を立てて対立する2つの異なる概念として提示して見たり、時間軸に沿ってAからBへと展開していく姿を描いてみたりと、そういう記述がものすごく多い。