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『いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン』 [仕事の小ネタ]

いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン

いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン

  • 作者: 大塚 雄介
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2017/03/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
ビットコイン、ブロックチェーン、フィンテックの「?」に答えます。
[>]ビットコインはどうやって手に入れるの?
[>]投資対象としてはどうなの?
[>]コピーや改ざんされる心配はないの?
[>]ブロックチェーンってどんな技術?
[>]フィンテックが実現する未来とは?
[>]次はどんなサービスが登場する?
これでわからなければ、ごめんなさい!基本の仕組みの解説から最新トピックまでを体系的に解説。数あるビットコインやブロックチェーンの解説書の中でも、一番わかりやすい入門書です。

―――という宣伝だったし、「いまさら聞けない」とあったので、取りあえずこっそり読んでみた。

わかったようなわからなかったような、不思議な気持ちだが、少なくともビットコインについては少しは理解できたかなと思う。まあ、申し訳程度にちょっとだけ実際にやってみたらもっとわかるのかもね。本当に理解しようと思ったら、やっぱりその世界に飛び込んでみないとね。

但し、本書については注意が必要。アマゾンの書評を見ればさんざん出ていて、超辛口の評価を付けている人々は口々に言っているが、本書の著者が共同創業者兼COOを務めるコインチェック社は、2018年初頭に仮想通貨流失事件を起こしていて、「仮想通貨は安全」と言っていた著者の主張を、自ら否定する事態を招いてしまった。

なので、本書についてはそういう批判が必ずついて回ると思う。それでも、入門書としては良かったと評価したい。技術的なことはわからないけれど、銀行経由での海外送金手数料の高さは常々感じていたところなので、ビットコインをかませるだけで送金手数料がぐっと安くなると言われたら、ちょっと食指は動く。

また、大規模災害時の寄付金とか海外クラウドファンディングへの投資とか、僕が今身を置く業界と近いところでも、ひょっとしたらもっと普及していく可能性があるかもしれない。そういうことを考えるためのスタートラインに立てたような気分にはなれた。

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『還暦からの底力』 [読書日記]

還暦からの底力―歴史・人・旅に学ぶ生き方 (講談社現代新書)

還暦からの底力―歴史・人・旅に学ぶ生き方 (講談社現代新書)

  • 作者: 出口治明
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: Kindle版
内容(「BOOK」データベースより)
人生100年時代をパワフルに行動するための出口流初の人生指南!人生の楽しみは喜怒哀楽の総量で決まる!

僕自身はまだ還暦未到達なのだが、コミセン図書室を訪れたのが敬老の日前日だったこともあり、「定年制も敬老の日もいらない」と販促オビに書かれているちょっと挑発的な本が目に留まり、ちょうど借りる本の中に1冊新書サイズのものを入れたかったこともあって、借りてみることにした。

「「飯・風呂・寝る」の生活から「人・本・旅」へ」とか、「「変態オタク系」が育つ教育を」とか、「60歳は人生の折り返し地点に過ぎない」など、第1章あたりで書かれていることについては、還暦をこれから迎える僕らの世代に対するメッセージとして素直に受け止めた。たまたま偶然だが、僕の書いていた本がこの25日に発売になった。僕はこの本で書いた内容でこれから食っていきたいと思っているので、出口学長のお言葉は僕自身への応援メッセージとして受け止めることができた。

「古典を読め」というのは、最近読んだ本では度々主張されているポイントなので、これも素直に受け止めたい。またしてもアダム・スミスの『国富論』が出てきたりしたわけで…。

また、高校生の息子を抱えている身としては、どうも東大を頂点とした富士山型の人材ピラミッドには違和感があって、受験勉強はとうてい身が入らない奴のことだから、入ってからの勉強でレベルアップを図ってくれたらと思い、立命館アジア太平洋大学(APU)も、受けられるなら挑戦してみて欲しいと思ったりもした。「ダイバーシティ尊重」にも大賛成である。

立命館APUの宣伝という意味では、本書はなかなか良かった。ただ―――。

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『欧米人の見た開国期日本』 [仕事の小ネタ]

欧米人の見た開国期日本 異文化としての庶民生活 (角川ソフィア文庫)

欧米人の見た開国期日本 異文化としての庶民生活 (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 石川 榮吉
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/09/21
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
ケンペル、イザベラ・バード、モース、シーボルトほか、幕末・明治期に訪日した欧米人たちは豊富な記録を遺している。彼・彼女らが好奇・蔑視・賛美などの視点で綴った滞在記や研究誌を広く集め、庶民たちの当時の暮らしを活写。著名な日本滞在記の読みどころも一冊で掴める、人類学の巨人が「異文化理解」の本質に迫った比較文明論。

インターネットどころか映像メディアすらなく、国境を越えた人の往来もほとんどなかった時代に、なにかの事情で海を渡った人が、異国の地で未知の風習文化を持つ人と出会い、言葉もわからない中でそれを記録し、帰国後旅行記や探検記として発表する―――幕末から明治期にかけて、そんなことをやっていた欧米人は、アーネスト・サトウやラザフォード・オールコック、イザベラ・バードだけじゃなかったらしい。

このブログでも、過去に中野明『グローブトロッター』R.H.ブラントン『お雇い外人の見た近代日本』などを紹介してきたが、そうした日本訪問者がその滞在記を母国に戻って発表した出版物を集め、徹底的に文献調査を行い、当時の外国人が日本人と日本社会をどのように見ていたのか、そのイメージをまとめたのが本書である。

但し、原文を読んだのか、その後翻訳されて日本でも発売された訳本を読んだのか、その辺は定かではない。原文を読み込むとしたら英語だけでなく、ドイツ語やロシア語もあったらしいから、それはそれはの労作だといえるが…。

文庫本だから軽く読み終われるかと思っていたが、そうはいかず結局3日もかかった。最大の理由は最初の3章を読み込むスピードが遅すぎたことにあるが、この3章は読んでいて嫌悪感を感じさせるもので、読むのをやめようかと何度も思った。

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『「新しい働き方」の経済学:アダム・スミス『国富論』を読み直す』 [読書日記]

「新しい働き方」の経済学: アダム・スミス『国富論』を読み直す (いま読む!名著)

「新しい働き方」の経済学: アダム・スミス『国富論』を読み直す (いま読む!名著)

  • 作者: 義朗, 井上
  • 出版社/メーカー: 現代書館
  • 発売日: 2017/10/17
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
『国富論』を「21世紀の貧困論」として読む。こんな大胆な試みで見えてくる市場経済の理想と現実。その矛盾の中で私たちは誰と何を争い競争しているのか。日々追いかけられる日常のなかで勇気を持って立ち止まり「新しい働き方」を実現させるための「新しい企業」の姿を考えてみる。

そもそも経済学の古典中の古典である『国富論』を読んでないのに、読み直して新解釈を試みる本に先に手を出すのもどうかとは思ったけれど…。とにかく、これも数日かけて読み切った。

経済学を勉強していれば、原典は読んでなくてもアダム・スミスの有名な「神の見えざる手」という言葉は、市場メカニズムを端的に示すものとして、誰もがよく知っていると思う。ちょっと前まで優勢だった「新古典派」の市場万能主義が拠って立つ思想だが、『国富論』が書かれたのは1776年だ。20世紀終盤から21世紀初頭にかけての現代経済社会の実態を、18世紀後半の時代背景を踏まえて書かれた本をベースに論じて、それで市場メカニズム礼賛を論じるのって、なんか違和感があるようにずっと感じてきた。

そもそもアダム・スミスが『国富論』で論じたかったことというのは、当時の時代背景を踏まえたらどういうことだったのだろうか?―――その疑問から考察をスタートさせ、その上で現代経済社会を振り返ってみるという、本書はそんな試みから書かれた興味深い1冊だ。そして、「『国富論』の理想は、資本主義の歴史のなかでいったん挫折したかに見えたが、それが今、もしかしたらよみがえろうとしているのかもしれない。そして、その先鋒を担うのが、社会的企業なのかもしれない」(p.15)として、なんと現代の社会的企業の台頭とアダム・スミスの理想の社会のあり方とをつなごうと試みている。

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『SDGs(持続可能な開発目標)』(中公新書) [持続可能な開発]

SDGs(持続可能な開発目標) (中公新書)

SDGs(持続可能な開発目標) (中公新書)

  • 作者: 蟹江 憲史
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/08/20
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
SDGs(持続可能な開発目標)は、国連で採択された「未来のかたち」だ。健康と福祉、産業と技術革新、海の豊かさを守るなど経済・社会・環境にまたがる17の目標があり、2030年までの達成が目指されている。「だれ一人取り残されない」ために目標を設定し、達成のための具体策は裁量に任されているのが特徴だ。ポスト・コロナ時代に、企業・自治体、そして我々個人はどう行動すべきか、第一人者がSDGsのすべてを解説する。

最近、SDGsをタイトルにいただいた本を書店店頭でやたらと見かけるようになった。面白いことに、ほとんどの本がビジネス書のコーナーに配置されている。国際情勢とか各国事情のコーナーではない。

また、新聞紙上でもSDGsという言葉をやたらと目にするようになった。2015年9月にSDGsが制定された当初は、せいぜい朝日新聞か東京新聞ぐらいだったが、今や日本経済新聞では毎日のように取り上げられ、しかもSDGs絡みのビジネスサミットのようなイベント告知広告もデカデカと出ている。もっと驚いたのは、日刊工業新聞ですらSDGsの特集ページが週1回取り上げられていたことである。僕は新聞をあまり購読してないので他の全国紙はしっかりフォローしてないが、今は某Y新聞に勤めている大学時代のサークルの友人から声をかけられ、同紙が後援している高校生による海洋プラスチック問題解決の研究プロジェクトに関わらせてもらっている。

海洋プラスチック問題はちょっと脱線したが、ここで指摘したいのは、SDGs制定に最も敏感に反応した日本のアクターは企業だったという点である。それと、そんなコーナーが書店にないからあくまで印象論に過ぎないが、もう1つの重要アクターは都市を含む地方自治体であるという点も付け加えておく。

2000年のミレニアム開発目標(MDGs)の時代から国際開発目標というのを追いかけていた立場の人間としては、ビジネスセクターと自治体がSDGsにこれほど敏感に反応したというのは驚きだった。MDGsは目標の多くが開発途上国を対象としていたので、これに関心を持っていたのは国際協力に関わっていた政府(主に外務省)であり、援助機関であり、そして国際協力NGOぐらいしかなかった。それがSDGsの時代になると、政府内でも発言が目立つようになったのは環境省であり、「SDGs未来都市」を推進する内閣府である。そして、ビジネスセクターや自治体が目立つようになり、相対的に援助機関やNGOは印象として存在感が薄れた。

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『ドナルド・キーンの東京下町日記』 [読書日記]

ドナルド・キーンの東京下町日記

ドナルド・キーンの東京下町日記

  • 作者: ドナルド・キーン
  • 出版社/メーカー: 東京新聞出版局
  • 発売日: 2019/09/26
  • メディア: 単行本
内容紹介
日本文学を愛し、日本文化を愛し、何より日本人を愛したキーンさんは、2019年2月24日に永眠した。日本国籍を取得して7か月後の12年1月に始まった新聞連載「ドナルド・キーンの東京下町日記」は、日記文学研究でも高い 評価を得ながら、自身は日記を書いてこなかったというキーンさんの最初の日記であり、最後の新聞連載だ。
アメリカで生まれ、偶然手にした『源氏物語』で日本文学と出会い、戦争で日本とかかわるようになったいきさつや、三島由紀夫、谷崎潤一郎、安部公房、司馬遼太郎ら著名作家との秘話、戦争と平和についてなど、話題は多岐にわたる。「外国人の時は遠慮したが、もう日本人だから言いたいことを言う」と、現代日本人への手厳しい苦言を呈した回もあった。
そんなキーンさんが遺してくれた言葉たちを再編集するとともに、連載担当記者が接したキーンさんの姿、エピソードをまとめた評伝「人ドナルド・キーン」も収録した。

大学生時代にドナルド・キーンの著書を読んだように記憶していて、著書の一覧を見渡してみたけれど、どうも記憶違いだったようだ。ドナルド・キーンの名前は高校時代に聴いていたラジオ講座『百万人の英語』で、エドワード・サイデンステッカーやエドウィン・ライシャワー、ハーバート・パッシンらとともに頻繁に耳にしていて、その後大学生の頃にその流れで読んだ本が何冊かあったので、てっきりドナルド・キーンも読んだような気になっていた。

でも、本書を読んで、そのことに気付いて本当に良かったと思う。彼が英訳を手がけた古典や日本文学を原書ですぐ読みたいとはなかなか思わないけれど、彼が交流があったという現代文学の作家の作品とか人物評伝とかは、これを機会に気にかけて、時々手に取ってみたいと思った。特に、僕がこれまで一度として読もうと思ったこともない、三島由紀夫の作品はちゃんと読んでみたい。

帰化が認められて晴れて日本人となった著者が、日本人になったのだからというので率直に語った日本と日本人について、当時の東京新聞に月1回のペースで行ってきた連載を集めたものだ。当然、同じ出来事が何度も出てくるところもあるが、それはしょうがないと思う。また、「日記」とは銘打っているけれど、これはインタビューをもとにして、聞き役の東京新聞の記者が文章にまとめたものである。

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Self-Sufficient City(自給自足する都市) [持続可能な開発]

The Self-Sufficient City

The Self-Sufficient City

  • 作者: Guallart, Vicente
  • 出版社/メーカー: Actar
  • 発売日: 2014/04/01
  • メディア: ハードカバー
内容紹介
インターネットは私たちの生活を変えたが、それはまだ私たちの都市を変えていない。どんな技術的革命も、ライフスタイルのいくつかの側面で同時多発的な変革を伴う。自動車と石油の時代が20世紀の都市を形作ったとすれば、21世紀は情報社会が都市を形作るといえるだろう。それは止められない進化である。しかし、基準を持ってリードしていくことが必要である。それは、人間が何世紀にもわたって蓄積してきた都市の経験を生かせるかどうか、成長が無限でなく、私たちの惑星が提供するエネルギー資源に有効期限があるということを理解しているかどうかの問題である。ヴィセンテ・ガラルトは、この魅力的なプロセスを、この本にアイデア、情報、提案を盛り込まむことで公開している。未来の建築の観察者、思想家、開拓者として、ガラルトは都市の再生を、住宅レベルから大都市レベルまで階層を分けて考察することで、都市のイノベーションの新しいエコノミーへの刺激を試みる。現地資源を自給自足的に活用し、知識や情報はグローバルにつながっているという途である。こうしたt外とつながっている自給自足は、都市とそこに住む人々をより強く、自由で、独立性を高めてゆくだろう。

4月に巣ごもりに突入すると同時に購入した1冊。多分オンデマンド製本なんだろうけど、段落の切り方がわかりにくく、フォントもわかりにくい。所々スペルや文法に、僕でも気づく間違いがある。どういう編集をやってたんだろうかと苦笑しながら、ダラダラと読み進めたが、枠組みとしてはとてもわかりやすく、内容は相当面白い。都市化が進むこれからの時代に、どのような都市化であるべきか、ビジョンを提示してくれている。

著者は、2014年夏にバルセロナでローンチされた「ファブ・シティ」という世界的イニシアチブの理論的支柱となった建築家で欧州最初のファブラボ「ファブラボ・バルセロナ」ができたカタロニア高度建築研究所(IAAC)の所長である。僕は「ファブ・シティ」についてはホワイトペーパーなどを読んである程度は理解しているつもりだけれど、その理論枠組みをもう少しちゃんと理解したいと思って購入に踏み切った。これだけ読み進めるのに時間を費やすと、前に書かれていたことを思い出すのも難儀だが、概念枠組みがクリアなので、後から引用する時には活用しやすいだろう。

消費するものをすべて地場で生産し、その生産に必要な知識や情報のやり取りではグローバルにつながっている都市、それが本書ではイメージされている姿である。その姿の具体的な実現に向けて、世帯レベルから、1棟のビルレベル、さらには街区レベル、近所(人の生活圏)レベル、都市全体、大都市レべル、地域レベル、そしてグローバルレベルと、いくつかの階層別で、それぞれ何にどう取り組んでいく必要があるのかを論じている。

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『教科書ではわからない ごみの戦後史』 [持続可能な開発]

教科書ではわからない ごみの戦後史

教科書ではわからない ごみの戦後史

  • 作者: 大澤 正明
  • 出版社/メーカー: 文芸社
  • 発売日: 2020/06/30
  • メディア: Kindle版

内容紹介
ヘミングウェイはなぜ缶を蹴ったのか? 隣の街と分別方法が違うのは何故か? 日本は何故焼却大国になったのだろうか? プラスチックの栄光の時と挫折の時って何? 56年前のオリンピックと東京2020はどう違うのだろうか? 使い捨てのプラスチック袋を指定袋にするのはなぜだろうか? 新しいごみ戦争が中国の動向で起こるかもしれない?――これらの解答は本書の中にあります。

仕事の関係で、著者の大澤さんを存じ上げている。ブータンのゴミ問題について、最近の事情を訊いてみたいと思い、先々週大澤さんに久しぶりに連絡をとったところ、訊きたかった情報に加えて、大澤さんが今年の3月に出されたばかりの著書を1冊送って下さった。

ブータンのゴミの話ではない。タイトルからわかる通り、この本は日本の廃棄物処理問題の近現代史の本である。確かに、教科書ではここまで詳述はされていないが、高校や大学の副読本として読まれるべき良書だと思う。

外国から訪れる人も、僕たち自身も、今の日本の姿だけを見て、ごみの分別がこれだけ進んでいて街路がきれいな日本はスゴイと思ってしまう。どうしても今の姿に引っ張られてイメージ形成をしてしまうが、1964年の東京オリンピックあたりまでは、東京の住民のごみの捨て方は相当ひどかったらしい。江戸時代の江戸の町はかなりリサイクルが進んでいたことも有名だから、その間にごみが市中に溢れるような状況が生じたのに違いない。その状況は、僕らが開発途上国の都市で見てきたものと大して変わらないから、日本人はスゴイとはとうてい思えない。

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『図解よくわかるスマート農業』 [仕事の小ネタ]

図解よくわかるスマート農業-デジタル化が実現する儲かる農業-

図解よくわかるスマート農業-デジタル化が実現する儲かる農業-

  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2020/03/28
  • メディア: 単行本
内容紹介
農業法人化や企業の農業参入が活発になり、「儲かる農業」の成功事例が生まれてきました。特に、IoTやAI、ロボットなどを活用した「スマート農業」が実用段階となり、農業のイノベーションが加速しています。本書では、実際に農業に参入するにあたっての障壁やその課題を解決するデジタル化といった「スマート農業」に焦点を当てます。著者が所属する日本総合研究所では、栃木県茂木町で実証を通して先進農業モデルの調査・研究・提案を行っています。この内容にも多分に触れます。

「図解」と銘打つなら、もう少し図を入れて下さい。印象としては文字ばっかりという感じで、これまで読んできた「図解」と付いた解説本と比べて、サラッと読んでわかった気になるというおいしさはない本だった。

ひと言で言ってしまえば、裏の畑での野菜栽培での労力軽減といった程度のものに個人レベルで取り組むのは「スマート農業」ではないというのがよくわかった。あるいは、故郷で70代や80代の親がいまだに田畑に出て働いているのを、少しでも負担軽減してあげられないかと思って、個人的に何らかの装置を作って実装してしまうというのも、「スマート農業」の射程からは外れているというのも…。

要するに、ソリューションを考えて、提供する主体が企業である場合が、「スマート農業」にあたるらしい。

執筆者側にそんな意図はなかったとしても、本書の主役は農家の直面する課題を特定してソリューションを提供する企業であって、それを導入する農家でもないということである。農業分野で新規顧客開拓しようとするメーカーやコンサルタント、農業法人でも設立して請け負い農業をやりたい企業家にはいい読み物だと思うが、農家が主役の描き方ではないので、農業従事者にはあまりアピールしないだろう。

そして、なにげに自社の開発したシステムをBOXコラムで宣伝もされている。

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プラゴミから3Dプリントへ [持続可能な開発]

プラスチック廃棄物のアップサイクルによる、
ゴミ収集作業員の生計と都市の持続可能性の向上

Improving wastepicker livelihoods and urban sustainability
through the upcycling of plastic waste

URL: https://www.socialseva.org/protoprint/



プロトプリント・プロジェクトとは?
プロトプリント・プロジェクトは、廃プラスチックのリサイクルのための体系的で自立的な循環モデルを段階的に実装することにより、リサイクル部門のインフォーマル性を変革していこうという共同イニシアチブである。 具体的には、低コストの技術ソリューションをコミュニティ開発や創造的な資金動員策、官民パートナーシップ等と組み合わせて実装し、都市のゴミ収集作業員のステイタスをリサイクルのバリューチェーンの上方に引き上げ、生計を向上させることを目的としている。そうすることで、プラスチック廃棄物は都市環境の中での加工プロセスが改善され、インフォーマル部門に位置するゴミ収集作業員や廃棄物管理中小零細事業者がフォーマルなバリューチェーンに統合される動きが進むと期待される。このプロジェクトは、300万人以上の住民が暮らすプネ市を拠点としている。

2020-9-9 Protoprint01.png

プロトプリント・プロジェクトは、自主運営される廃棄物加工ユニットの発展を支えるエコシステムを地域に作ることを目指している。このユニットはゴミ収集作業員メンバーから構成され、低コストの技術ソリューションと標準化された加工技術を用いて、廃棄プラスチックをフレーク状に破砕し、このフレークをエンドユーザーに対して販売する。販売は産業セクターのパートナーとの契約に基づき、個々の作業員に公正な賃金を保証する販売価格とすることになっている。

そうする中で、各々の加工ユニットは持続的かつ複製及び規模拡大が可能なビジネスとして機能し、最終的にはインフォーマルな作業員をフォーマルな経済に統合されるところまで引き上げ、医療保険のような恩恵を得られるようにし、ビジネスセンターとして機能するよう育てていくことを目指している。

フレーク生産に加えて、プロジェクトの製品チームは、いくつかのユニットとの協働で、廃棄プラスチックのさらなるアップサイクルを図り、3Dプリンターのフィラメントのフェアトレード製品化や、その他消費財といった高付加価値の製品開発にも取り組んでいる。こうした高付加価値製品の開発と販売が、ゴミ収集作業員にさらに大きな経済的ステイタスの上昇余地を与える。

2020-9-9 Protoprint02.png

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