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『野望の憑依者(よりまし)』 [伊東潤]

野望の憑依者 (徳間時代小説文庫)

野望の憑依者 (徳間時代小説文庫)

  • 作者: 潤, 伊東
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2017/07/07
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
時は鎌倉時代末期。幕府より後醍醐帝追討の命を受け上洛の途に就いた高師直は、思う。「これは主人である尊氏に天下を取らせる好機だ」。帝方に寝返った足利軍の活躍により、鎌倉幕府は崩壊。建武の新政を開始した後醍醐帝だったが、次第に尊氏の存在に危機感を覚え、追討の命を下す。そのとき師直は…。野望の炎を燃やす婆裟羅者・高師直の苛烈な一生を描いた南北朝ピカレスク、開演。

小説が読みたい――そんな気持ちが強くなったので、土曜日にコミセン図書室で歴史小説を借りた。久々の伊東潤作品、そして久々の南北朝作品である。但し、伊東潤が南北朝ものを扱うのは多分本作品が唯一でもある。

なぜ南北朝? それは、現在NHK-BSで日曜早朝に放送されている大河ドラマのアンコール放送が『太平記』であるからだ。『太平記』は1991年1月から放映開始されたが、1980年代の大河ドラマをまったく見ていない僕が再び大河ドラマを見るようになるきっかけとなった作品であり、かつNHK大河ドラマ史上最高傑作ともいえる作品とも言われている。

もっと振り返れば、なぜこの『太平記』から大河ドラマを再び見るようになったかといえば、以前何かの拍子にブログでも述べたことがあるが、僕が歴史大好き人間になるきっかけをくれたのも、小学校時代に学校図書館で読んだポプラ社古典文学全集の『太平記』であったからだ。阿新丸(日野資朝の息子)の佐渡潜入、護良親王の般若寺脱出、楠木正成の赤坂城・千早城攻防戦、新田義貞の鎌倉攻撃、楠木正成父子の桜井の別れ等、古典太平記の中から拾ったエピソードだけで構成された短編集になっていた。

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