『半沢直樹 アルルカンと道化師』 [池井戸潤]
内容紹介【コミセン図書室】
★★「半沢直樹」シリーズ6年ぶりとなる待望の最新作!★★★
東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとにとある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版社・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とは――。
TBSテレビ日曜劇場『半沢直樹2』の放送終了から既に5カ月。明らかにこのテレビドラマの放送終了のタイミングを狙って半沢直樹シリーズの新作を講談社が出してきたが、あまりにも露骨な戦術に嫌気がさして、すぐに読もうという気になれなかった。一昨年の『ノーサイド・ゲーム』のケースと同じだ。ドラマとタイミングを合わせた新作リリースに、商業主義には簡単に乗せられまいぞという反骨心が働く。
ところが、テレビドラマを一緒に見ていた娘が半沢直樹にハマり、録画してあった本編を何度も見返している。新作『アルルカンと道化師』が出ていることを知るや、「読みたい」と言い始めた。そこで、コミセン図書室で本書を見かけるや、すぐに借りてきて、僕は娘と同時並行で読むことにした。就寝前と早朝は僕が読み進め、昼間は娘が読むという分担で。
でも、結果は僕の方がとっとと読み終えてしまった。
池井戸作品はテンポがいいので、かなり序盤からペースに乗ると、あっという間に最後のページまで辿り着ける。これは『俺たち花のバブル組』よりも前の話。大阪西支店に半沢が異動してから4カ月程度しか経っていない時期の話である。テレビとのタイアップということでは、境雅人や及川ミッチーを思い浮かべるのはたやすい。また人事部の杉田部長や小木曽次長を思い浮かべるのもたやすい。ドラマの余韻が残っていることで、場面場面の情景がイメージしやすいと感じた。さらに、昨年のドラマでは出て来なかったけれど、大阪西支店の浅野支店長役といったら石丸幹二で、支店長室での浅野支店長と半沢の対峙、両者の間で繰り広げられるやり取りも、すごくイメージしやすかった。
多分、小説の方がドラマのキャストのイメージに寄せて描かれたところがあるのだろうな。
それにしても渡真利クン、大阪出張が多すぎでは?なんだか毎月のように大阪出張してきて半沢とそのたびにオフに会って情報交換をやっている。大阪営業本部に立ち寄るでもなく、大阪西支店に業務で立ち寄るでもなく、大阪で関わっている用務とは何なんだろうね?(笑)。これだけウラ情報を取って来れる力があるんだから、自分自身でも半沢の協力も得て、行内で痛快な倍返し劇でもやってくれたら面白いのにね。
こと今回に関しては、渡真利クンの出張の多さが気になり過ぎてしまった。
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