元日だから『陸王』再読 [池井戸潤]
内容(「BOOK」データベースより) 埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。日々、資金繰りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のためにある新規事業を思い立つ。それは、伝統の技術を駆使したランニングシューズの開発だった。世界的スポーツブランドとの熾烈な競争、素材探し、開発力不足…数々の難問が立ちはだかるなか、従業員20名の地方零細企業が、一世一代の勝負に打って出る。ドラマ化もされた超話題作、ついに文庫化!【再読(キンドル)】
先月、「月間10冊」ノルマを達成するために、池井戸潤『下町ロケット』の第2弾以降を通しで読んだのだが、その勢いでもう1冊ということになり、選んだのが『陸王』だった。間に合えば新年元旦恒例のニューイヤー駅伝を盛り上げようと目論んだのだが、読了まではできたものの、ブログを書いている時間がなく、結局元日の朝にこれを書いている。
主題がランニングである上に、上州のシルクが重要な役回りで描かれていたりもして、過去に自分がかじって接点もあるテーマが扱われていて良かったのだけれど、今回6年ぶりに読んでみて、特に冒頭で出てくる、倒産した町工場から古いミシンを引き取るシーンや、高齢の縫子さんたちがミシンで足袋を縫い上げていくシーンなどに、新たな親近感を抱くことになった。
昨年の大きな出来事として、僕もミシンを使い始めたということが挙げられる。作中で細かなミシン操作がどのように行われるのかまでは描かれていないのだけれど、縫子さんたちがどのような作業環境で、どんな機械を動かしておられるのか、どんな姿勢で作業されているのかも、だいたいイメージできる。冒頭からちょっと新鮮だったので、再読とは思えない面白さを感じることができた。
ただ、『下町ロケット』から『陸王』に行くと、どうしてもドラマと被る結果となる。僕は自分が海外駐在していた2017年10月期にテレビドラマ化されたこともあって、年末年始の一時帰国時に見た最終回の記憶しかないのだが、その最終回は「陸王」を履いた茂木がクローズアップされて、そこの印象だけがやたらと残っている。演じたのは竹内涼真クン。つまり、『下町ロケット』の方では佃製作所の技術開発部でキープレイヤーだった立花を演じたのと同じ役者さんだった。
いやぁ、被って仕方なかったな~。
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