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新卒でスタートアップ? [ブータン]

企業家精神は未発達のステージ:労働人材省
Entrepreneurship still at embryonic stage: MoLHR
Kuensel、2018年3月31日、Tshering Dorji記者
http://www.kuenselonline.com/entrepreneurship-still-at-embryonic-stage-molhr/

【ポイント】
労働人材省が大学卒業生を対象に行った企業家マインドに関する調査によると、若者の間での起業への関心はまだまだ低いことがわかった。社会規範の影響が依然として強く、給料をもらえる仕事を強く指向している。起業に対しては懐疑的な見方が強い。

この調査は、2015年に大学を卒業し、全国新卒者オリエンテーションプログラムに参加した卒業生2000人を対象に行われたもの。労働省によれば、学校や大学での企業家教育のレベルが低いことが、起業促進の妨げになっていると指摘している。高等教育機関では伝統的なアカデミック科目が教えられており、雇用者よりも被雇用者を生みだしているという。

また、多くの卒業生とその親は、仕事を生みだすのは政府の責任だと捉えている。一方で、大学でビジネスマネジメントを学んだ卒業生の間では、キャリアの選択肢として起業を選ぶ傾向が強いという。また、求職者の指向とその親の仕事の間には相関関係があり、親が企業経営に従事していて高所得を得ている新卒者は、ビジネスを指向する傾向があることもわかった。女性の起業指向は男性に比べて強くないという傾向も確認された。

現在の社会経済状況は起業には向かない。起業に必要な資金が高額すぎることや、コミュニティからの支援が少ないことがその理由とされている。

起業促進シナリオの改善を図るために、報告書では、アイデアに乏しい若者を支援するビジネスリサーチセンターの設立や少額助成金、無担保融資、既に成功を収めている企業に対する支援、大学教員のビジネスへの理解の促進、大学へのビジネスカウンセラーの設置や起業クラブの設置促進等を方策として挙げている。

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タグ:起業 大学
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7 Dreams to Reality [インド]

7 Dreams to Reality: Transforming Indian Manufacturing

7 Dreams to Reality: Transforming Indian Manufacturing

  • 作者: Shoji Shiba
  • 出版社/メーカー: Penguin Books India
  • 発売日: 2013/12/01
  • メディア: ハードカバー
内容紹介
インドの製造業を変革するにはどうすればよいか?日本の経営学者でインドのパドマシュリ表彰受賞者である司馬正次教授が、インド製造業の7つの模範的な牽引役の事例をもとに、私たちの問いに応えてくれる。本書は、2004年にインド工業同盟(CII)の招聘でインドを訪れて以来続いているインドの製造業との関わりについて、その経験を振り返る。JICAの協力も受けて、CII、技術者養成課程を持つインドの大学等とともに、インド製造業におけるビジョナリー・リーダー育成のためにVLFMプログラムを立ち上げた。ブレイクスルーマネジメントの原則に焦点を当て、顧客の声を聞く、変化を予期し準備する、従業員や社会全体を見据えるという、シンプルなメッセージを有する。ブレイクスルーマネジメントの先駆者である司馬教授は、経営学の専門用語とは違う簡単な言葉で、この原則を適用した7つのストーリーで、製品開発や組織変革に新たな道を切り開いたケースを紹介している。その感動的なストーリーは、製造業に限らず、飛躍的な成功を目ざす私たち一人一人に共感を与えるだろう。

2013年に出たこの本は、当時このプロジェクトに関わっていた方からお裾分けいただいていたのだが、その時の僕はインドと関わりのほとんどない超多忙な部署にいたことから、すぐに読み始めることができなかった。ブータンに来て間もなく2年になるため、年明けから続けている蔵書の在庫一掃の一環で、この本も読んでしまうことにした。この直前に読んでいた英語のペーパーバックとは違い、本書は1週間程度で読むことができた。最後の約30頁は、先週末にハで民泊して、ネットにもつながらない静かな環境の中で、集中して読むことができた。

司馬教授の書かれた本は、実はこれで2冊目になる。2003年に『ブレークスルー・マネジメント』という本を出されていて、僕はそれを2010年に読んでいる。リーダーにとっての現場主義という記述が非常に心に響いたようで、そこの部分のみ詳述したブログ紹介記事となっていた。

この点は2004年から始まっている著者のインドとの関わりの中でも再三強調されている。2004年からはラーニング・コミュニティという名称で始まった相互学習機会は、その後2007年からはJICAの製造業経営幹部育成支援プロジェクト(VLFM)としてよりシステマチックに展開されていった。本書は2004年からVLFMがプロジェクト期間終了を迎える2013年までの約10年間でインド製造業に起こった7つのブレークスルーの事例を取り上げているが、どれも経営者が「金魚鉢に飛び込む」というところから始めている。

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『理科系の作文技術』 [仕事の小ネタ]

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

  • 作者: 木下 是雄
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1981/09/22
  • メディア: 新書
商品説明
調査報告、出張報告、技術報告、研究計画の申請書など、好むと好まざるとにかかわらず、書かなければならない書類は多い。このような書類を書く際にまず考えるべきことは、それを読むのは誰で、その文章から何を知りたいと思っているかである。それに応じて自分は何について書くか主題を決め、最終的にこういう主張をする、という目標を定めて書き始める。

著者はまず、この目標を1つの文にまとめた目標規定文を書くことを勧める。そうすることで明確な目標意識を持つことができ、主張の一貫した文章を書くことができるというわけである。そしてその目標をにらみながら材料をメモし、序論、本論、結論といった原則に従って記述の順序や文章の組み立てを考え、すっきりと筋の通った形にしていく。本書では本論の叙述の順序、論理展開の順序、パラグラフの立て方から文の構造までを解説し、日本人に特有の明言を避ける傾向と対策、事実と意見の書き分けについても触れている。

数年前、僕の業界の一部の人々の間で、この本が流行したことがある。その当時、僕自身はそういう人たちと付き合っていくのに息苦しさを感じていた。この業界にいて、文章を書いて食べていくような自信を失っていた時期だったので、当然、こういう本は皆が読んでいても自分とは別次元の話だと思っていたのである。

それを今さら読む気になったのは、そういう息苦しさのあったコミュニティから距離ができ、僕も僕なりに文章を書く気になれたからである。彼らが書くほどのクオリティのものを僕自身が書けるとは今でも思っていないが、今の僕じゃないと書けないものもあるような気がするし、実際に書いている。この本は2年前にブックオフで購入してあったが、今年初めからスタートさせている蔵書の在庫一掃プロジェクトの一環でもあり、読むとしたら今しかないと思い、手に取った。

今、ブータンで書籍を出版する計画があり、その中で1章を担当させてもらうことになったので、その執筆との同時並行での読み込みとなった。日本語の作文と英語の作文とは違うところもあるかもしれないし、理科系と文系の作文も違うところもあるかもしれないが、本書で述べられていることは、文系の英作文であっても通じるところは多いと感じた。

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タグ:木下是雄
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『メイカーズ』 [読書日記]

Makers

Makers

  • 作者: Cory Doctorow
  • 出版社/メーカー: HarperCollins
  • 発売日: 2010/07/08
  • メディア: ペーパーバック
内容紹介
我々の未来はどうなるのか?『リトル・ブラザー』を世に放った作家が新たに送る経済の終焉に関するオリジナル小説。ペリーとレスターはあらゆるものを発明する。トーストを作る貝殻ロボット、車を運転するブギウギ・エルモ人形。彼らはまったく新しい経済システムを創り出す。 「ニューワーク」は、テクノロジー時代のニューディールだ。そこに、裸足の銀行家たちは、ペリーとレスターのようなハイテク共同創業者の間を往来し、少額の投資を始める。彼らはともに国を変え、ジャーナリストのスザンヌはそれを文章にして発信を試みる。しかし、新しい経済システムは全く新しい信頼の体系を必要とし、そこには反対者もいる。ニューワークの破綻は、ドットコムの爆弾をさく裂させ、まもなくペリーとレスターは資金不足になり、失業する。落ちぶれても彼らはそこに留まらず、自分たちが最もうまくやれることに回帰する。そこに現れたのが、ディズニーのエグゼクティブ。再び急上昇する彼らの人気に嫉妬し、3-DプリンタがAK-47の「印刷」に使用されていることを警察に通報し、事態は再び悪化する。彼らの運命は?

先月、鳥飼玖美子先生の著書『本物の英語力』を紹介した際、それをきっかけに、舌ならしのために手元にあった英語の小説の音読を始めたとお知らせした。そこで取り上げた小説が、コリイ・ドクトロウの作品で、訳本が出ている『リトル・ブラザー』を2015年に読んだ際、訳本が出ればいずれ読みたいと書いていた『メイカーズ』だった。但し、訳本は未だ出ておらず、原書をキンドルで読んだものだ。

長かった。3週間かかった。音読の素材にしていたのだから、黙読に比べても読むスピードは遅い。それにこの本はペーパーバックだと600頁近くもある大作であり、キンドルだと「%」で示されるページ進行が、非常に遅くて大変だった。キンドルで6頁ぐらいフリップしないと1%にならないのだ。だから、最初の頃は1日でも1%進めるのが関の山だった。二度の週末に頑張ってそれぞれ30~40%読み進めるような力技も駆使して(お陰で1日中読書していた日も)、なんとか最後まで読み切った。

そうして、少なくともその間に出てきた単語のいくつかは、自分が同時進行で執筆に取り組んでいた論文の中で使ってみることにした。ちょうど同じような文脈があったからだが、こうやってアウトプットの機会を組み合わせながらインプットをしていったら、語彙は増えるなと実感したところでもある。

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幼稚園で教える院卒教員? [ブータン]

教員は第12次五カ年計画期間中に修士号を取れ
Teachers will require master’s degree in the 12th Plan
Kuensel、2018年4月2日、Yangchen C Rinzin記者
http://www.kuenselonline.com/teachers-will-require-masters-degree-in-the-12th-plan/

【ポイント】
ノルブ・ワンチュク教育大臣によると、教育大学卒業生に教員免許を与えることよりも、教員のエンパワーメントの方が優先度が高く、7月から始まる第12次五カ年計画でも、教員の能力強化に重点が置かれているという。教員になる者は、全国に3校ある教員養成大学において修士課程を修了していることが求められる。

12次五カ年計画の2年次、すなわち2019年7月までには、クラス12(日本の高3に相当)卒業生の教員養成大学への入学は認められなくなる。教員資格は、学部卒の学生が2年間の修士課程を終えることで認められ、晴れて教員になることができる。現在、修士課程にはサムチ、パロ、ヨンフラの教員養成大学を合わせて約350人の履修生がいる。毎年これくらいの人数が修士課程に入ってくる計算である。

教育相によると、これまでは、学士資格(B.Ed)で教員になっている者は、その後修士課程に進むための留学機会に恵まれれば、学期途中でも授業を投げ出してとっとと離職することが多く、これが教員不足の原因になっている。こうした事態は、修士を終えてから教員にならせることで回避が可能だと述べる。

また、12次五カ年計画では、教員は年間80時間の専門技能研修を受講することができ、政府はこうした専門能力育成に5年間で4億ニュルタムの予算投入を行うことになっている。また、計画では、教員の80%以上が住める職員宿舎を学校構内に建設すること、教員1人につき1台のラップトップ支給、コンピュータ・ラボの各校への設置、インターネット接続その他ICT設備の拡充等も予定されているという。

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タグ:教育 大学院
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アッサム側のシルクビジネス [シルク・コットン]

国境を越えて広がる野蚕シルクビジネス
Burey business thrives across border
Kuensel、2018年3月28日、Tshering Namgyal 記者(サムドゥップジョンカル)
http://www.kuenselonline.com/burey-business-thrives-across-border/

2018-3-28 Kuensel.jpg

【ポイント】
サムドゥップジョンカルの街を訪れるブータン人の多くは、インドとの国境を越えてアッサム州ダランガの街まで出かける。目的はブラ(野蚕シルク)の生地を購入すること。この生地は、メチ(Mechey)、コチラパ(Kotsirapa)、グダマ(Gudama)、サムドップジョンカル・ブラ(SJ Burey)などと呼ばれ、自家用、贈答用、いずれのニーズもある。ダランガを訪れる多くのブータン人は東部の人々。

国境沿いのインド側にあるグダマやメラバザールといった街では、ブータンのゴやキラに使えるパターンの生地が生産されている。ショールームを訪れるブータン人の相手をする店主は、流暢なシャショップ語を話す。40店舗ほどが集まる市街地で、生地を扱う卸売業者は6店舗あり、その周辺に加工品を小売りする業者が数店舗展開している。ブラのゴ、キラの価格は1800ニュルタムから15,000ニュルタム。カブニは1500ニュルタムから4000ニュルタムの価格帯だという。

インドの巨額紙幣廃止や物品サービス税(GST)導入の影響は、ブラ取扱業者の間ではあまり感じられていない。ブラに対する需要は堅調で、1店舗当たりの月間売上高は、5万ルピーから200万ルピーにもなるという。店主の1人、ビジュ氏(48歳)は、この地で35年間営業を続けているが、毎日30~50人のブータン人が店舗を訪れ、月50万ニュルタムの売上げがあるという。

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