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使われない「壁の穴」 [ブータン]

情報通信省、次期五カ年計画で「壁の穴」を刷新
MoIC to revamp the ‘hole in the wall’ project in 12th Plan
Kuensel、2018年4月28日、Tshering Palden記者(ゲレフ)
http://www.kuenselonline.com/moic-to-revamp-the-hole-in-the-wall-project-in-12th-plan/

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《同記事に関連したBBSニュースから》

【ポイント】
サルパン県タレタン郡(ゲオッグ)の郡庁近くのコミュニティセンターには、2010年からインド政府の支援で始まったチフェン・リペル(Chiphen Rigpel)プロジェクトの一環で設置された2台のコンピュータがある。プロジェクトは、ICTや知識へのアクセスを保証することを目指している。「壁の穴(HIWEL)」、あるいは「遊びながら学べる学習ステーション(PLS)」と呼ばれるこの施設は、子どもたちが、正規教育なしでもコンピュータ知識を習得するのを助ける仕掛けとして、いつでも自分で学べるよう、自由に使ってよいことになっていた。

しかし、タレタン郡の子どもや住民が、このコンピュータ施設を訪れる子どもを最後に見かけたのは1年以上前である。地元住民の1人、タシ・ノルブさんによると、PLSには鍵がかかった状態で、動いているのを最後に見たのがいつだったか思い出せないという。このコミュニティセンター担当者であるカルマ・ワンゾムさんによると、この施設はバッテリーの問題があって1年以上閉鎖されているという。

これはタレタンだけの問題ではない。27日に開かれた閣僚記者懇談会で、ツェリン・トブゲイ首相は、自分が全国の郡を訪問しても、PLSを使っている子どもを見たことは全くないと認めた。DNドゥンゲル情報通信相は、同省がPLSの利用状況を調査したことを明らかにした。「学校や集落に近い場所に設置されたPLSは子どもたちに大いに役立っているが、学校から離れた場所に設置されたPLSは最初から使われない状態が続いている。」

ほとんどの施設が設置から償却年限を迎えており、維持管理や機械の更新に大きな問題を抱えている。情報通信相は、第12次五カ年計画では、ブータン開発銀行(BDBL)と調整し、既存のPLSの刷新を最優先事項として取り組んでいく方針であることを明らかにした。全国の郡コミュニティセンターのうち、131カ所に設置されたPLSは、インドの情報通信コンサルティング会社NIITが場所を特定したもので、学校や集落が近くにあることを基準に決められた。運営メンテナンスはプロジェクト期間中はNIITが行うことになっていたが、プロジェクト終了後は、コミュニティセンターの一部としてBDBLに移管された。

ドゥンゲル大臣はさらに、同省ではほとんど使われていないPLSは、郡庁と協議の上地域の学校の構内に移設するなどの措置を取っていく方針であると述べた。首相は、PLSが設置された当時、野党党首だった自分は、こうした事態を危惧して問題提起をしていたという。PLSとスマートフォンでは大きな違いがあり、インターネットが普及した今となっては、設置型情報通信端末で遊ぶようなものに子どもたちは興味を失くしていると指摘する。「親のスマートフォンでゲームをやったり学習したりすることができる時代に、設置型情報端末を導入しようとすること自体、最初から間違っていた。PLSにはゲームはあまり入っていないし、学習するにも時間がかかる」と付け加えた。

一方でこんな問題も。同じサルパン県のデキリン郡のPLSは機能しているが、別の問題を引き起こしている。子どもたちがゲームに夢中になり、学校を休んでしまうような事態が発生しているという。デキリンのデビ・バクタ・ゲレ副郡長は、そのためにPLSは週末のみオープンにするような措置を取っていると明らかにした。

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