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『ブータン、これでいいのだ』 [ブータン]

ブータン、これでいいのだ

ブータン、これでいいのだ

  • 作者: 御手洗 瑞子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/02/01
  • メディア: 単行本

内容(「BOOK」データベースより)
クリーニングに出したセーターの袖は千切れているし、給湯器が壊れてお湯が噴出するし、仕事は思ったようにまったく運ばない。でも、問題山積みだけど、これでいいんだよね。現地で公務員として働いた著者が語る、「幸福」の国の秘密。特別企画・夜這いインタビュー収録。王室の写真など、カラー写真満載。

2011年から2012年にかけて、日本の出版業界では、ちょっとしたブータンブームが起きた。きっかけは国王御夫妻の訪日であった。当時、お仕事でご一緒した某出版社の社長さんから、「ブータンがテーマだったら出したいんだけどね」と言われた。原稿を書いてくれそうな人を探すのに難航し、結局実現できないうちに、わが社とその出版社との関係が途絶えてしまった。そのことがあったので、僕は先ず原稿を書くことから始めた。

そうした出版業界のブータンブームの中でも、トップ集団で出てきた本の1つが、本日ご紹介の1冊である。著者は初代首相フェローとして、2010年9月より1年間、ブータン政府のGNH委員会(計画委員会)に勤務されていた方である。そうすると2011年9月には帰国されていたことになるので、本書の刊行までは4ヵ月程度しか猶予がなかった筈である。現地でお勤めされていた間に相当書き進めていないと、この日程での書籍刊行は難しいと思う。聞けば元々マッキンゼーにお勤めで、ネットワークも持っておられた状態でブータン行きを決められていて、ブータンでの生活の様子をブログで発信しておられたという。また、日経ビジネスオンラインでも、『ブータン公務員だより』なる連載枠を確保しておられた。なるほど、それなら書き溜めてあったものを編集すればある程度の短期間で本に仕上げることができるだろう。

はなから脱線気味でもう少し述べると、実は僕もブータン赴任が決まった時に、知り合いのつてを頼って某地方新聞の編集部の方に、同じような企画を持ち込んだことがある。その時に付けられた条件が3つあって、①女性目線で見て書くこと、②娘に父の喜怒哀楽の表情のイラストを4パターンぐらい作ってもらうこと、③800字の原稿を隔週ペースで書いてこの編集者に送ること(新聞紙上での掲載の確約はなし)、というものだった。

ブログの文体をご覧いただければわかると思うが、僕にとっては女性目線でテーマを選んで「です・ます」調で書くというのがとてつもない難題であった。以前某経済紙に隔週でインドのことを書かせてもらった時のイメージでいた僕には、①は特に高いハードルだった。②は高校漫研の娘には難易度は高くないと思ったが、①が捗らなかったので娘に無理強いもしなかった。そして、③は①が決まらなかったのでとてもできなかった。代わりにやったのがブログでのハードなブータンネタの発信だった。でも、御手洗さんは女性だから、女性目線で見た事物をやさしいトーンで発信できただろう。

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タグ:御手洗瑞子
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