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『ブータンの教育変容』 [ブータン]

ブータン王国の教育変容――近代化と「幸福」のゆくえ

ブータン王国の教育変容――近代化と「幸福」のゆくえ

  • 編著者:杉本均
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2016/08/31
  • メディア: 単行本
内容紹介
1970年以降の急速な近代化は、ブータン社会の教育と若者たちの意識に何をもたらしたのか。信仰が支える伝統と新しい価値観の相克、熾烈な試験競争がもたらすストレス、ドロップアウトする若者たちなど、近代化推進の過程で生じた諸問題を、京都大学による長年の現地調査をもとに、比較教育学の見地から考察する。

この本は、発刊当時から読みたいと思っていたものだったが、新品の価格(9180円!)を見てぶったまげてしまい、怖くて手が出せなかった。中身を知らない状態で払える金額ではない。ページ数(248)でそんなに高い理由は何なんだろうか、強気の価格設定ができるだけの説得力ある内容なのだろうか、いろいろなことを考えさせられるアマゾンの紹介ページだった。

結局、帰国するまで内容確認はできず、買わずに3年間を過ごしてしまったのだが、さすがに入るところには所蔵されていて、借りて読んでみることができた。

結論から言うと、これから赴任する人は、買わなくてもいいけど図書館で借りて読んでおくことは勧める。特に、教育分野でブータンで何か活動をされようという青年海外協力隊の人とかなら、徒手空拳で現地に乗り込むより先に、ブータンの教育行政の機構や歴史などは予め理解しておいた方がいいので、こういう本はきっと有用だと思う。強気の価格設定を受け容れられるかどうかは別として(笑)。

予備知識があるからというわけじゃないと思うが、かなりスラスラ読める文体である。写真や図表も多くて、それも読みやすさの確保に一役買っている。一方で、写真を多用するアカデミックリサーチというのは珍しくて、アカデミックな体裁を取っている割にはアカデミックっぽくない、ややもすると紀行文かエッセイのような記述も所々に見られた。

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